Google Cloud のマイクロサービス アーキテクチャにトランザクション ワークフロー アプリケーションのサンプルをデプロイする

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このドキュメントでは、Cloud Run、Pub/Sub、Workflows、Datastore モードの Firestore（Datastore）を使用してサンプル アプリケーションをデプロイする方法について説明します。これは、マイクロサービス ベースのアプリケーションでトランザクション ワークフローを実装するアプリケーション デベロッパー向けです。

このドキュメントは、以下で構成されるシリーズの一部です。

• Google Cloud のマイクロサービス アーキテクチャのトランザクション ワークフロー: このチュートリアルでデプロイするサンプルのトランザクション ワークフロー アプリケーションのアーキテクチャの概要。
• Google Cloud のマイクロサービス アーキテクチャにトランザクション ワークフロー アプリケーションのサンプルをデプロイする（このドキュメント）。

このチュートリアルでデプロイするこのサンプル アプリケーションは、次の 2 つのアーキテクチャ パターンでマイクロサービスを実装します。

• コレオグラフィー ベースの Saga
• 同期オーケストレーション

アプリケーションにはウェブ クライアントが含まれています。Google Cloud CLI とウェブ クライアントの両方で、これらのパターンの両方をテストできます。

目標

• コレオグラフィー ベースの Saga アーキテクチャ用にサーバー側コンポーネントをデプロイする
• 同期オーケストレーション アーキテクチャ用にサーバー側コンポーネントをデプロイする
• curl コマンドを使用してサーバー側コンポーネントをテストする
• ウェブ アプリケーションをデプロイし、それを通じてワークフローを実行する

費用

このドキュメントでは、Google Cloud の次の課金対象のコンポーネントを使用します。

• Cloud Run
• Datastore
• Pub/Sub
• Workflows
• Cloud Scheduler
• Cloud Build
• Firebase

料金計算ツールを使うと、予想使用量に基づいて費用の見積もりを生成できます。 新しい Google Cloud ユーザーは無料トライアルをご利用いただける場合があります。

このドキュメントに記載されているタスクの完了後、作成したリソースを削除すると、それ以上の請求は発生しません。詳細については、クリーンアップをご覧ください。

始める前に

1. Google Cloud Console の [プロジェクト セレクタ] ページで、Google Cloud プロジェクトを選択または作成します。

   注: この手順で作成するリソースをそのまま保持する予定でない場合、既存のプロジェクトを選択するのではなく、新しいプロジェクトを作成してください。チュートリアルの終了後にそのプロジェクトを削除すれば、プロジェクトに関連するすべてのリソースを削除できます。

   プロジェクト セレクタに移動

2. Google Cloud プロジェクトで課金が有効になっていることを確認します。

3. Cloud Services, Cloud Run, Workflows, Cloud Build, and Cloud Scheduler API を有効にします。

   API を有効にする

ソースコードのクローンを作成する

このセクションではプロジェクト ID を設定し、Cloud Shell でソースコードのクローンを作成します。

1. Cloud Shell でプロジェクト ID を設定します。

   PROJECT_ID=PROJECT_ID
   

   PROJECT_ID は、前の手順で作成した Google Cloud プロジェクトのプロジェクト ID に置き換えます。

2. プロジェクト ID を設定します。

   gcloud config set project $PROJECT_ID
   

3. チュートリアル リポジトリのクローンを作成します。

   cd $HOME
   git clone https://github.com/GoogleCloudPlatform/transactional-microservice-examples
   

コレオグラフィー ベースの SAP アーキテクチャ用にサーバー側コンポーネントをデプロイする

このセクションでは、サンプル アプリケーションのサーバー側コンポーネントをデプロイします。このアプリケーションは、Cloud Run でのマイクロサービス、Cloud Scheduler でのイベント公開のスケジュール、Pub/Sub トピックなどのコレオグラフィー ベースの Saga アーキテクチャを実装します。

コンテナ イメージの構築とデプロイ

1. Cloud Shell で、Order サービスのコンテナ イメージを order-async という名前でビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/order-async
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-async
   gcloud run deploy order-service-async \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-async \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated
   

2. customer-async という名前の Customer サービスのコンテナ イメージをビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/customer-async
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-async
   gcloud run deploy customer-service-async \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-async \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated
   

3. event-publisher サービスのコンテナ イメージをビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/event-publisher
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/event-publisher
   gcloud run deploy event-publisher \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/event-publisher \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated \
     --set-env-vars "PROJECT_ID=$PROJECT_ID"
   

Datastore のインデックスを作成する

このセクションでは、Datastore のインデックスを作成します。このインデックスは、公開する必要があるイベントを選択するために、event-publisher サービスによって使用されます。

1. Google Cloud コンソールの [Datastore] メニューで、[Datastore モード] を選択します。

2. [データの保存場所を選択] をクリックし、ロケーションとして us-east1 を選択します。次に、[データベースを作成] をクリックします。

3. Datastore のインデックスを作成する:

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/event-publisher
   gcloud datastore indexes create index.yaml --quiet
   

4. Google Cloud コンソールの [Datastore] メニューで [インデックス] を選択し、[インデックス登録] から [サービス提供] にインデックスのステータスが変化するまで待ちます。この処理には数分かかる場合があります。

Cloud Run でマイクロサービスを呼び出すサービス アカウントを作成する

• Cloud Shell で cloud-run-invoker サービス アカウントを作成します。

  SERVICE_ACCOUNT_NAME="cloud-run-invoker"
  SERVICE_ACCOUNT_EMAIL=${SERVICE_ACCOUNT_NAME}@${PROJECT_ID}.iam.gserviceaccount.com
  gcloud iam service-accounts create $SERVICE_ACCOUNT_NAME \
    --display-name "Cloud Run Invoker"
  

  このチュートリアルの後半では、このサービス アカウントを使用して、Cloud Run で実行されるマイクロサービスの REST API を呼び出します。

イベント パブリッシャー サービスを呼び出すスケジュールを定義する

このセクションでは、event-publisher という名前のイベント パブリッシャーを 1 分間隔で呼び出すスケジュールを定義します。

1. Cloud Shell で、run.invoker ロールを event publisher サービスに割り当てます。

   SERVICE_NAME="event-publisher"
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.invoker \
     --platform=managed --region=us-central1
   

2. cloud-run-invoker サービス アカウントを使用して、event-publisher という Event publisher サービスを 1 分間隔で呼び出すスケジュールを定義します。

   SERVICE_NAME="event-publisher"
   SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
     --format="table[no-heading](URL)"
     --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
   SERVICE_URL="${SERVICE_URL}/api/v1/event/publish"
   gcloud scheduler jobs create http event-publisher-scheduler \
     --schedule='* * * * *' \
     --http-method=GET \
     --uri=$SERVICE_URL \
     --oidc-service-account-email=$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --oidc-token-audience=$SERVICE_URL \
     --location=us-central1
   

Pub/Sub トピックを作成する

• Cloud Shell で、次の Pub/Sub トピックを作成します。

  gcloud pubsub topics create order-service-event
  gcloud pubsub topics create customer-service-event
  

order-service-event トピックは、Order サービスと event-publisher サービスが、Order サービスからイベントを公開するために使用します。customer-service-event トピックは、Customer サービスからイベントを公開するために使用されます。

イベント通知をマイクロサービスに送信するためのトピックを定義する

このセクションでは、Pub/Sub トピックのメッセージをマイクロサービスに配信する push-subscription トピックを定義します。

1. Cloud Shell で、プロジェクトの Pub/Sub サービス アカウントに iam.serviceAccountTokenCreator ロールを割り当てます。

   PROJECT_NUMBER=$(gcloud projects describe $PROJECT_ID --format "value(projectNumber)")
   gcloud projects add-iam-policy-binding $PROJECT_ID \
     --member=serviceAccount:service-${PROJECT_NUMBER}@gcp-sa-pubsub.iam.gserviceaccount.com \
     --role=roles/iam.serviceAccountTokenCreator
   

   このコマンドにより、サービス アカウントは Cloud Run でマイクロサービスを呼び出すためのアクセス トークンを作成できます。

2. run.invoker ロールを customer-service-async サービスに割り当てます。

   SERVICE_NAME="customer-service-async"
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.invoker \
     --platform=managed --region=us-central1
   

3. push-subscription トピックを作成します。

   SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
     --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
   SERVICE_URL="${SERVICE_URL}/api/v1/customer/pubsub"
   gcloud pubsub subscriptions create push-order-to-customer \
     --topic order-service-event \
     --push-endpoint=$SERVICE_URL \
     --push-auth-service-account=$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
   

   このトピックは、cloud-run-invoker サービス アカウントを使用して、order-service-event トピックのメッセージを Customer サービスに配信します。

4. run.invoker ロールを order-service-async サービスに割り当てます。

   SERVICE_NAME="order-service-async"
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.invoker \
     --platform=managed --region=us-central1
   

5. push-subscription トピックを作成します。

   SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
     --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
   SERVICE_URL="${SERVICE_URL}/api/v1/order/pubsub"
   gcloud pubsub subscriptions create push-customer-to-order \
     --topic customer-service-event \
     --push-endpoint=$SERVICE_URL \
     --push-auth-service-account=$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
   

   push-subscription トピックは、cloud-run-invoker サービス アカウントを使用して、customer-service-event トピックのメッセージを Order サービスに配信します。

同期オーケストレーション アーキテクチャ用にサーバー側コンポーネントをデプロイする

このセクションでは、サンプル アプリケーションのサーバー側コンポーネントをデプロイします。これらのコンポーネントは、Cloud Run に、同期オーケストレーション アーキテクチャと、Workflows で実行されるワークフローを実装します。

コンテナ イメージの構築とデプロイ

このセクションでは、マイクロサービスのコンテナ イメージをビルドし、Cloud Run にデプロイします。

1. Cloud Shell で、Order サービスのコンテナ イメージを order-sync という名前でビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/order-sync
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-sync
   gcloud run deploy order-service-sync \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-sync \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated
   

2. customer-sync という名前の Customer サービスのコンテナ イメージをビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/customer-sync
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-sync
   gcloud run deploy customer-service-sync \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-sync \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated
   

3. Order プロセッサ サービスのコンテナ イメージを order-processor という名前でビルドし、Cloud Run にデプロイします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/order-processor
   gcloud builds submit --tag gcr.io/$PROJECT_ID/order-processor-service
   gcloud run deploy order-processor-service \
     --image gcr.io/$PROJECT_ID/order-processor-service \
     --platform=managed --region=us-central1 \
     --no-allow-unauthenticated \
     --set-env-vars "PROJECT_ID=$PROJECT_ID"
   

Cloud Run でマイクロサービスを呼び出すサービス アカウントを作成する

このセクションでは、Cloud Run でマイクロサービスを呼び出すサービス アカウントを作成するで作成した cloud-run-invoker サービス アカウントを再利用します。

ワークフローをデプロイして注文を処理する

1. Cloud Shell で、order-service-sync サービスの cloud-run-invoker サービス アカウントに run.invoker と run.viewer のロールを割り当てます。

   SERVICE_NAME="order-service-sync"
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.invoker \
     --platform=managed --region=us-central1
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.viewer \
     --platform=managed --region=us-central1
   

2. customer-service-sync サービスの cloud-run-invoker サービス アカウントに run.invoker と run.viewer のロールを割り当てます。

   SERVICE_NAME="customer-service-sync"
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.invoker \
     --platform=managed --region=us-central1
   gcloud run services add-iam-policy-binding $SERVICE_NAME \
     --member=serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \
     --role=roles/run.viewer \
     --platform=managed --region=us-central1
   

3. cloud-run-invoker サービス アカウントを使用してワークフローをデプロイします。

   SERVICE_NAME="order-service-sync"
   ORDER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
     --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
   
   SERVICE_NAME="customer-service-sync"
   CUSTOMER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
     --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
   
   cd $HOME/transactional-microservice-examples/services/order-processor
   cp order_workflow.yaml.template order_workflow.yaml
   sed -i "s#ORDER-SERVICE-URL#${ORDER_SERVICE_URL}#" order_workflow.yaml
   sed -i "s#CUSTOMER-SERVICE-URL#${CUSTOMER_SERVICE_URL}#" order_workflow.yaml
   
   gcloud beta workflows deploy order_workflow \
     --source=order_workflow.yaml \
     --service-account=$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
   

コレオグラフィー ベースの Saga アーキテクチャ コンポーネントをテストする

このセクションでは、コレオグラフィー ベースの Saga アーキテクチャにデプロイされたコンポーネントを curl コマンドを使用してテストします。

• Cloud Shell で、customer-service-async マイクロサービスと order-service-async マイクロサービスの API エンドポイントの URL を指す環境変数を設定します。

  SERVICE_NAME="customer-service-async"
  CUSTOMER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
    --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
  
  SERVICE_NAME="order-service-async"
  ORDER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
    --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
  

顧客エントリを作成する

• Cloud Shell で、customer-service-async という名前の Customer サービスに API リクエストを送信して、customer01 という名前のお客様 ID を作成します。

  curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
    -H "Content-Type: application/json" \
    -d '{"customer_id":"customer01", "limit":10000}' \
    -s ${CUSTOMER_SERVICE_URL}/api/v1/customer/limit | jq .
  

  出力は次のようになります。

  {
    "credit": 0,
    "customer_id": "customer01",
    "limit": 10000
  }
  

注文を送信する

このセクションでは、注文を送信して、注文 ID の割り当てをトリガーします。

1. Cloud Shell で、order-service-async という名前の Order サービスに API リクエストを送信して注文を送信します。

   curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
     -H "Content-Type: application/json" \
     -d '{"customer_id":"customer01", "number":10}' \
     -s ${ORDER_SERVICE_URL}/api/v1/order/create | jq .
   

   この例では、"number": 10 を指定して 10 個の商品を注文します。

   出力は次のようになります。

   {
     "customer_id": "customer01",
     "number": 10,
     "order_id": "720d1305-b6fd-4f57-aaf4-fd2ca5bdfe1e",
     "status": "pending"
   }
   

   出力の "order_id" フラグには、注文に割り当てられている一意の注文 ID が表示されます。次のステップで使用するため、この ID をコピーします。

2. 注文 ID を環境変数に設定します。

   ORDER_ID=ORDER_ID
   

   ORDER_ID は、前の手順でコピーした "order_id" フラグに置き換えます。

注文のステータスを確認する

このセクションでは、注文ステータスの変化を確認します。

1. Cloud Shell で、order-service-async という名前の Order サービスに API リクエストを送信して注文のステータスを取得します。

   curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
     -H "Content-Type: application/json" \
     -d "{\"customer_id\":\"customer01\", \"order_id\":\"$ORDER_ID\"}" \
     -s ${ORDER_SERVICE_URL}/api/v1/order/get | jq .
   

   出力は次のようになります。

   {
     "customer_id": "customer01",
     "number": 10,
     "order_id": "720d1305-b6fd-4f57-aaf4-fd2ca5bdfe1e",
     "status": "pending"
   }
   

   出力の "status" フラグに注文のステータスが表示されます。トランザクション プロセスがまだ実行中の場合、ステータスは "pending" です。この場合は、数分待ってから同じコマンドを実行して再度ステータスを確認します。トランザクション プロセスが完了すると、ステータスは "accepted" になります。

2. お客様 ID customer01 のお客様情報を取得します。

   curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
     -H "Content-Type: application/json" \
     -d '{"customer_id":"customer01"}' \
     -s ${CUSTOMER_SERVICE_URL}/api/v1/customer/get | jq .
   

   出力は次のようになります。

   {
     "credit": 1000,
     "customer_id": "customer01",
     "limit": 10000
   }
   

   "credit" フラグは、お客様の現在のクレジット使用状況を示します。このトランザクションのビジネス ロジックでは、1 つの商品に対してクレジットが 100 増加するため、この場合は 1,000 増加します。

   注文プロセスを繰り返すには、注文を送信するの手順を繰り返します。"number": 100 を指定して 100 個の商品を注文した場合、クレジット使用量が上限を超えているため、注文の最終ステータスは "rejected" になります。

同期オーケストレーション アーキテクチャ コンポーネントをテストする

このセクションでは、curl コマンドを使用して、同期オーケストレーション アーキテクチャのデプロイされたコンポーネントをテストします。

• Cloud Shell で、customer-service-sync、order-service-sync、order-processor-service マイクロサービスの API エンドポイントの URL を指す環境変数を設定します。

  SERVICE_NAME="customer-service-sync"
  CUSTOMER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
    --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
  
  SERVICE_NAME="order-service-sync"
  ORDER_SERVICE_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
    --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
  
  SERVICE_NAME="order-processor-service"
  ORDER_PROCESSOR_URL=$(gcloud run services list --platform managed \
    --format="table[no-heading](URL)" --filter="SERVICE:${SERVICE_NAME}")
  

顧客エントリを作成する

• Cloud Shell で、customer-service-sync という名前の Customer サービスに API リクエストを送信して、customer02 という名前のお客様 ID を作成します。

  curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
    -H "Content-Type: application/json" \
    -d '{"customer_id":"customer02", "limit":10000}' \
    -s ${CUSTOMER_SERVICE_URL}/api/v1/customer/limit | jq .
  

  出力は次のようになります。

  {
    "credit": 0,
    "customer_id": "customer02",
    "limit": 10000
  }
  

注文を送信する

このセクションでは、注文を送信して結果を確認します。

1. Cloud Shell で、Order サービス order-processor-service に API リクエストを送信して注文を送信します。

   curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
     -H "Content-Type: application/json" \
     -d '{"customer_id":"customer02", "number":10}' \
     -s ${ORDER_PROCESSOR_URL}/api/v1/order/process | jq .
   

   この場合、"number": 10 を指定して 10 個の商品を注文します。

   出力は次のようになります。

   {
     "customer_id": "customer02",
     "number": 10,
     "order_id": "fb6d5087-dd99-4d5a-84c2-0e381016b9d3",
     "status": "accepted"
   }
   

   トランザクションのワークフローは同期的に実行されるため、クライアントはすぐに結果を確認できます。この場合、最終ステータスは "accepted" となります。

2. お客様 ID が customer02 のお客様情報を取得します。

   curl -X POST -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-identity-token)" \
     -H "Content-Type: application/json" \
     -d '{"customer_id":"customer02"}' \
     -s ${CUSTOMER_SERVICE_URL}/api/v1/customer/get | jq .
   

   出力は次のようになります。

   {
     "credit": 1000,
     "customer_id": "customer02",
     "limit": 10000
   }
   

   お客様のクレジット使用量は 1,000 増加します。注文プロセスを繰り返すには、上述の手順を繰り返します。値 "number": 100 を指定して 100 個の商品を注文すると、クレジット使用量が上限を超えているため、クライアントはすぐに結果 "rejected" を取得します。

省略可: ウェブ アプリケーションをデプロイする

このセクションでは、チュートリアルのオプションの拡張として、前のセクションでデプロイしたマイクロサービス上にトランザクション ワークフローを実行するサンプル ウェブ アプリケーションをデプロイします。Firebase Hosting を使用して、Cloud Run で実行されているバックエンド マイクロサービスとやり取りするウェブ アプリケーションをデプロイします。

Firebase Hosting には組み込みの Cloud Run のインテグレーションがあります。これにより、ウェブ アプリケーションとバックエンド マイクロサービスのサービスが同じドメインでホストできます。他のタイプのデプロイでは、クロスオリジン リソース シェアリング（CORS）の問題が発生する可能性があります。詳細については、エンドユーザーの認証をご覧ください。

Firebase Hosting のインテグレーションでは、次の処理が行われます。

• ウェブ アプリケーションの静的アセットをホストします。
• API へのアクセスを Cloud Run の次のバックエンド サービスにリダイレクトします。
  • /customer-service-sync/* から customer-service-sync
  • /customer-service-async/* から customer-service-async
  • /order-service-sync/* から order-service-sync
  • /order-service-async/* から order-service-async
  • /order-processor-service/* から order-processor-service
• ウェブ アプリケーションの静的アセットを返します。

Firebase を設定する

このセクションでは、Firebase Hosting でウェブ アプリケーションをホストするように Firebase を設定します。

1. Firebase CLI を使用するには、Cloud Shell で Node.js を最新の LTS バージョンに更新します。

   nvm install lts/gallium
   

2. Firebase リソースを既存の Google Cloud プロジェクトに追加する

   firebase projects:addfirebase $PROJECT_ID
   

3. Firebase CLI のデフォルトのプロジェクト エイリアスを追加します。

   jq -n --arg project_id $PROJECT_ID \
     '{"projects": {"default":$project_id}}' > \
     $HOME/transactional-microservice-examples/frontend/.firebaserc
   

ウェブ アプリケーションをデプロイする

このセクションでは、Firebase Hosting にウェブ アプリケーションをデプロイします。

1. Cloud Shell で、ウェブ フロントエンド アプリケーションをビルドします。

   cd $HOME/transactional-microservice-examples/frontend
   yarn install && yarn build
   

2. Firebase Hosting にウェブ アプリケーションをデプロイします。

   firebase deploy
   

ウェブ アプリケーションを使用する

• 前のセクションでコピーしたホスティング URL をブラウザに入力します。ウェブ アプリケーションのホームページが表示されます。

ID トークンでウェブ アプリケーションを初期化する

このセクションでは、ID トークンでウェブ アプリケーションを初期化し、ショッピング ページに進みます。

1. Cloud Shell で、ID トークンを出力します。

   gcloud auth print-identity-token
   

2. 前のコマンドの出力をコピーし、テキスト ボックスに貼り付けます。

3. [続行] をクリックします。ID トークンが有効であれば、[ショッピング] ページにリダイレクトされます。

カートに商品を追加する

• ウェブ アプリケーションで、[カートに追加] をクリックして商品をカートに追加します。

カート内の商品を確認する

• ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーのカートアイコンをクリックして [ご購入手続き] ページに移動します。カートに商品が表示されています。

非同期サービスを使用して注文を送信する

1. ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーのショッピング カート アイコンをクリックして [ご購入手続き] ページに移動します。
2. [注文を送信（非同期）] をクリックします。注文が正常に送信されると、[注文履歴] ページにリダイレクトされます。

同期サービスを使用して注文を送信する

1. ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーのショッピング カート アイコンをクリックして [ご購入手続き] ページに移動します。
2. [注文を送信（同期）] をクリックします。注文が正常に送信されると、[注文履歴] ページにリダイレクトされます。

注文履歴を確認する

• ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーの [注文] をクリックして [注文履歴] ページに移動します。

未完了の注文のステータスを更新する

1. ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーの [注文] をクリックして [注文履歴] ページに移動します。
2. 個々の注文の更新アイコンをクリックします。このアイコンは、注文が非同期で処理され、ステータスが pending の場合にのみ表示されます。

お客様の現在の予算を確認する

• ウェブ アプリケーションで、ナビゲーション バーのお客様の名前（customer-number）をクリックして、お客様のプロフィール ページに移動します。

ウェブ アプリケーションの状態をリセットする

• ブラウザで、ウェブ アプリケーションを再読み込みします。カート内の商品、注文履歴、顧客情報などの状態がリセットされ、ホームページにリダイレクトされます。

クリーンアップ

このチュートリアルで使用したリソースについて、Google Cloud アカウントに課金されないようにするには、リソースを含むプロジェクトを削除するか、プロジェクトを維持して個々のリソースを削除します。

注意: プロジェクトを削除すると、次のような影響があります。

• プロジェクト内のすべてのものが削除されます。このドキュメントのタスクで既存のプロジェクトを使用した場合、それを削除すると、そのプロジェクトで行った他の作業もすべて削除されます。
• カスタム プロジェクト ID が失われます。このプロジェクトを作成したときに、将来使用するカスタム プロジェクト ID を作成した可能性があります。そのプロジェクト ID を使用した URL（たとえば、appspot.com）を保持するには、プロジェクト全体ではなくプロジェクト内の選択したリソースだけを削除します。

複数のアーキテクチャ、チュートリアル、クイックスタートを実施する予定がある場合は、プロジェクトを再利用すると、プロジェクトの割り当て上限を超えないようにすることができます。

1. In the Google Cloud console, go to the Manage resources page.

   Go to Manage resources

2. In the project list, select the project that you want to delete, and then click Delete.
3. In the dialog, type the project ID, and then click Shut down to delete the project.

リソースを個別に削除する

このセクションでは、このチュートリアルで使用する個別のリソースを削除します。

Firebase Hosting を無効にする

• Cloud Shell で次のコマンドを実行して、Firebase Hosting トラフィックの配信を停止します。

   firebase hosting:disable -f
  

Cloud Run でサービスを削除する

• Cloud Shell で、Cloud Run でのサービスを削除します。

  gcloud run services delete order-service-async \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  
  gcloud run services delete customer-service-async \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  
  gcloud run services delete order-service-sync \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  
  gcloud run services delete customer-service-sync \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  
  gcloud run services delete order-processor-service \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  
  gcloud run services delete event-publisher \
    --platform=managed --region=us-central1 --quiet
  

Cloud Run で使用されているコンテナ イメージを削除する

• Cloud Shell で、このチュートリアル用に作成したコンテナ イメージを削除します。

  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-async --force-delete-tags --quiet
  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-async --force-delete-tags --quiet
  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/event-publisher --force-delete-tags --quiet
  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/order-service-sync --force-delete-tags --quiet
  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/customer-service-sync --force-delete-tags --quiet
  gcloud container images delete \
    gcr.io/$PROJECT_ID/order-processor-service --force-delete-tags --quiet
  

ワークフローを削除する

• Cloud Shell でワークフローを削除します。

  gcloud beta workflows delete order_workflow --quiet
  

Pub/Sub サブスクリプションとトピックを削除する

1. Cloud Shell で、Pub/Sub サブスクリプションを削除します。

   gcloud pubsub subscriptions delete push-customer-to-order --quiet
   gcloud pubsub subscriptions delete push-order-to-customer --quiet
   

2. Pub/Sub トピックを削除する

   gcloud pubsub topics delete order-service-event --quiet
   gcloud pubsub topics delete customer-service-event --quiet
   

Datastore からレコードを削除する

1. Google Cloud コンソールの Datastore メニューで、[エンティティ] を開きます。
2. [Customer] 内のすべてのエンティティを確認します。
3. [削除]、[確認] の順にクリックし、エンティティを完全に削除します。
4. 次のフィールドに対して、手順 2 と 3 を繰り返します。
   1. Event
   2. Order
   3. ProcessedEvent

Cloud Scheduler でジョブを削除する

• Cloud Shell で、Cloud Scheduler で実行されているジョブを削除します。

  gcloud scheduler jobs delete event-publisher-scheduler --quiet \
    --location=us-central1
  

サービス アカウントを削除する

• Cloud Shell でサービス アカウントを作成します。

  gcloud iam service-accounts delete $SERVICE_ACCOUNT_EMAIL --quiet
  

チュートリアル アセットを削除する

• Cloud Shell で、このチュートリアルで使用するアセットを削除します。

  cd $HOME
  rm -rf transactional-microservice-examples
  

次のステップ

• マイクロサービスの設計、ビルド、デプロイの詳細については、次のシリーズをご覧ください。
  • マイクロサービスの概要
  • モノリスのマイクロサービスへのリファクタリング
  • マイクロサービス設定でのサービス間通信
  • マイクロサービス アプリケーションの分散トレース
• モノリスとマイクロサービス両方のメリットと課題について確認する
• サービス境界を定義し、モノリスをリファクタリングする方法を確認する。
• マイクロサービス間でトランザクションを分散する方法を理解する
• 多言語環境での分散トレースを設定する方法を確認する
• マイクロサービス アーキテクチャのサービス メッシュを実装する方法を確認する
• リファレンス アーキテクチャ、図、ベスト プラクティスについては、Cloud アーキテクチャ センターをご確認ください。