Google Cloud デプロイ アーキタイプ ガイドのこのセクションでは、マルチクラウド デプロイ アーキタイプについて説明し、ユースケースの例を示して設計上の考慮事項について説明します。
マルチクラウド デプロイ アーキタイプを使用するアーキテクチャでは、アプリケーションのある部分が Google Cloud 上で実行され、その他の部分が他のクラウド プラットフォームにデプロイされます。
ユースケース
次のセクションでは、マルチクラウド デプロイ アーキタイプが適しているユースケースの例を示します。
Google Cloud をプライマリ サイトに、別のクラウドを DR サイトに
Google Cloud でミッション クリティカルなアプリケーションの障害復旧(DR)を管理するには、次の図に示すように、別のクラウド プラットフォームにデータをバックアップしてパッシブ レプリカを維持できます。Google Cloud のアプリケーションが停止した場合は、外部レプリカを使用して、アプリケーションを本番環境に復元できます。
Google Cloud の機能によるアプリケーションの機能強化
Google Cloud は、ストレージ、AI、ML、ビッグデータ、分析などの分野で高度な機能を実現します。マルチクラウド デプロイ アーキタイプでは、他のクラウド プラットフォームで実行するアプリケーションに Google Cloud の高度な機能を利用できます。これらの機能の例を次に示します。
- 低費用で無制限のアーカイブ ストレージ。
- 他のクラウド プラットフォームにデプロイされたアプリケーションで生成されたデータ用の AI と ML のアプリケーション。
- 他のクラウド プラットフォームで実行されるアプリケーションから取り込まれたデータに対する BigQuery を使用したデータ ウェアハウジングと分析プロセス。
次の図は、Google Cloud の高度なデータ処理機能を使用して、別のクラウド プラットフォームで実行されるアプリケーションの機能を強化するマルチクラウド トポロジを示しています。
詳細
マルチクラウド デプロイ アーキタイプの原理とユースケースの詳細については、Google Cloud を使用したハイブリッド アーキテクチャとマルチクラウド アーキテクチャの構築をご覧ください。
設計上の考慮事項
マルチクラウド デプロイ アーキタイプに基づいてアーキテクチャを構築する場合は、次の設計要素を考慮してください。
冗長リソースの費用
マルチクラウド アーキテクチャは多くの場合、次の要因により、アプリケーションが Google Cloud だけで実行されるアーキテクチャよりも費用がかかります。
- データは、1 つのクラウドではなく、各クラウドに重複して格納する必要がある場合があります。ストレージとデータ転送の費用が高くなる可能性があります。
- アプリケーションが複数のクラウド プラットフォームで実行される場合、冗長リソースの一部が十分に活用されず、デプロイ全体の費用が増加する可能性があります。
クラウド間接続
複数のクラウド プラットフォームでリソース間の効率的なネットワーク通信を行うには、安全で信頼性の高いクラウド間接続が必要となります。たとえば、Google Cloud の Cross-Cloud Interconnect を使用すると、Google Cloud と別のクラウド サービス プロバイダの間で高帯域幅の専用接続を確立できます。詳細については、他のクラウド サービス プロバイダを Google Cloud に接続するためのパターンをご覧ください。
設定の労力と運用の複雑さ
マルチクラウド トポロジを設定して運用する場合は、Google Cloud のみを使用するアーキテクチャよりもかなり多くの労力が必要となります。
- セキュリティの機能やツールは、クラウド プラットフォーム間で標準的なものではありません。セキュリティ管理者は、使用するすべてのクラウド プラットフォームを横断して分散しているリソースのセキュリティを管理するために必要なスキルと知識を習得する必要があります。
- 複数のパブリック クラウド プラットフォームにわたるリソースを効率的にプロビジョニングして管理する必要があります。Terraform などのツールを使用すると、リソースのプロビジョニングや管理の労力を軽減できます。コンテナ化されたマルチクラウド アプリケーションを管理するには、クロスクラウド オーケストレーション プラットフォームである GKE Enterprise を使用します。
アーキテクチャ例
マルチクラウド デプロイ アーキタイプを使用するアーキテクチャの例については、Google Cloud を使用したハイブリッド アーキテクチャとマルチクラウド アーキテクチャの構築をご覧ください。