ZENKIGEN:Web 面接を中核とした採用業務全体の DX 化やオンライン時代の社内コミュニケーションの促進をテクノロジーの活用で実現
株式会社ZENKIGEN について
「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンのもと、2017 年 10 月に創業。HR Tech スタートアップとして採用 DX サービス「harutaka(ハルタカ)」および 1 on 1 改善サポート AI「revii(リービー)」を提供。東京大学との共同研究に取り組み、2020 年には 8.5 億円の資金調達を行い、人工知能により人の感情を扱う技術であるアフェクティブ・コンピューティングの研究開発に注力し事業化を手掛ける。社名の由来でもある「全機現」とは、「人の持つ能力のすべてを発揮する」という意味の禅の言葉。
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お問い合わせZENKIGEN は採用 DX サービスのプラットフォームに Google Cloud を導入。Google Kubernetes Engine(GKE)のメリットを活かし、開発環境、検証環境、ステージング、本番環境で、同じプラットフォームを利用し、開発効率の向上とコストの最適化も実現しています。
Google Cloud 導入の効果
- Google Kubernetes Engine の採用によりスパイクが発生した場合でも、迅速かつ容易にスケールアウトすることが可能
- コンテナ化により開発環境、検証環境、ステージング、本番環境で、同じプラットフォームの利用が可能に
- サーバーレスによるリソースの縮退により運用コストを最適化
Web 面接を中核とした採用業務全体の DX を推進
採用 DX サービス harutaka を中心とした採用領域、AI の活用で社内コミュニケーションを促進する職場領域という 2 つの分野で事業を展開する株式会社ZENKIGEN(以下、ZENKIGEN)。ライブ面接サービスで蓄積した百数十万件の動画データを、AI を活用して解析することで、バイアスを軽減し、候補者を多角的に捉え、候補者・人事双方にとって生産性の高い採用を実現。サービス提供のためのプラットフォームとして、Google Cloud が採用されています。このプロジェクトについて、Development Section の責任者、およびエンジニアに話を伺いました。
Kubernetes の利用時に運用コストを 3 分の 1 程度に抑えられる試算で採用を決定
「harutaka は、Web 面接サービスとしてスタートしましたが、現在は採用 DX サービスとして展開しています。エントリー動画(候補者が応募時に投稿する、自己アピールなどの動画)を AI 解析し、候補者の印象を定量化するエントリー ファインダー(EF)、面接品質を AI で見える化するインタビュー アセスメント(IA)を組み合わせることで、応募から入社までの採用領域における DX を推進。将来的には、動画データを AI で解析することで、社内コミュニケーション促進のために、1 on 1 の改善など職場領域にも注力していきます。」と話すのは、Development Section / VPoE の柳原氏です。
少子高齢化により、労働人口が減少の一途をたどる現在、いかに活躍できる人材を採用するかは、今後の企業の成長や競争力の強化、事業の拡大などに大きな影響をもたらします。harutaka は、採用面接における、時間、場所、人的バイアスなどの問題を解決することで、候補者体験の良化と生産性向上を両立する採用 DX サービスです。柳原氏は、「我々の強みは、これまでに蓄積した 百数十万件の動画データと AI を活用した解析技術を内製化できる技術力です」と話します。
この harutaka と EF、および IA が動作するプラットフォームとして、Google Cloud が採用されています。採用理由を Development Section / リードエンジニアの若林氏は、「技術的興味から、Google Kubernetes Engine(GKE)を使いたいと思ったのが最大の理由です。Google Cloud に移行したのは 2~3 年前ですが、特に当時は Kubernetes を使うのであれば GKE 一択という認識だったことも理由の一つ。また、運用コストが既存のインフラ利用に比べて、3 分の 1 程度に抑えられるという試算も背景にありました」と話します。
「Google Cloud に移行したのは 2~3 年前ですが、当時 Kubernetes を使うのであれば Google Kubernetes Engine 一択という認識と、運用コストが既存のインフラ利用に比べて 3 分の 1 程度になるという試算が採用の理由でした。」
—株式会社ZENKIGEN Development Section / リードエンジニア 若林 利秋 氏動画の登録から解析、可視化までを安定したセキュアな基盤に構築
harutaka は、エントリー動画とライブ面接の 2 つの機能で構成されています。エントリー動画の登録は、利用者からのリクエストが Cloud Load Balancing 経由で GKE の各 Pod に振り分けられ、動画データが外部ストレージにアップロードされます。ログイン制御に関しては、Memorystore や Cloud SQL で実現されています。
一方、ライブ面接の音声、映像のやり取りは、Compute Engine 上に構築した WebRTC サーバで実現。WebRTC サーバー、動画データを結合 / 成型するトランスコーダの 2 つの機能が Compute Engine 上に構築されています。ライブ面接が終了したら、Pub/Sub 経由でトランスコーダに通知が送信され、トランスコーダが動画データの結合や成型を行い、外部ストレージにアップロードします。
外部ストレージにアップロードされた動画データは、EF により非同期で解析されます。EF では、インスタンス スケジュール機能と Cron により、Compute Engine で稼働する解析機能を起動。夜間バッチで動画データを解析し、解析結果を Cloud Storage に保存します。解析結果は、harutaka の管理画面上で可視化することができます。
またセキュリティ対策として、Google Cloud Armor を採用。採用理由を若林氏は、「既存のセキュリティ対策のサービスレベルが高くなかったことから、システムを俯瞰して見たときにシングル ポイントになると考えました。そこで、Google Cloud の安定した基盤に移行したいと考え、Google Cloud Armor を採用しました」と話します。
さらに harutaka の開発 / 検証環境としては、CI / CD パイプラインを構築。GitHub で管理されたソースを更新すると、Cloud Build が検知してビルドを開始。ビルド後、生成された Docker イメージを Container Registry に格納し、デプロイ時には Container Registry から Docker イメージを取得して GKE に配備します。ビルドの状態はビジネス チャットに通知されるので、失敗時も迅速に検知ができます。
そのほか解析チームでは、さまざまなログや Cloud SQL のデータを BigQuery に連携してデータ解析に活用しています。柳原氏は、「BigQuery を実際に使ってみて、連携のしやすさを実感しています。SQL を使って大量のデータを高速に解析できることも魅力です。いろいろなデータをジョインして、データポータルで簡単に分析できるので本当に便利です」と話しています。
スケールアウトの速さと、しやすさが GKE のメリット
GKE を利用するメリットを若林氏は、次のように話します。「GKE を使ってよかったのは、スケールアウトの速さです。スパイクが発生した場合に、スケールアウトが必要ですが、コンテナの立ち上がりが、これまでの VM 環境に比べて速いので、即座に対応することができます。水平 Pod オートスケールと組み合わせることで、サーバー上のリソースを自動的に増やしてくれるのも便利な機能です。」
また、開発環境、検証環境、ステージング、本番環境で、同じプラットフォームを利用できることもコンテナ化のメリットの 1 つ。もし問題が発生しても、ローカル PC 上に簡単にコンテナを動かす環境を作ることができるので、容易に再現することができ、スムーズな調査が可能になります。さらに、夜間はアクセスが少ないサービスなので、リソースの夜間縮退によりコストの最適化も実現できます。
「GKE では Kubernetes マニフェストベースで構成を定義でき、定義ファイルを使ってKubernetes 上に実行環境を構築できます。定義ファイルの変更は Git のような VCS でバージョン管理することができるので、変更に対するレビューもしやすいです。組織に構成をコード化する仕組みがない状態だったので、コード化しインフラを再現可能にしていくことに一役買ってくれたと思っています。そのほか気になっているのは、 GKE Autopilot です。今後、バックエンドの非同期の部分に使ってみたいと思っています。」(若林氏)
ZENKIGEN では、Google Workspace も導入しているので、新たにアカウントを発行することなく、Google アカウントを使って、BigQuery をはじめとするすべての Google Cloud のサービスを利用することができます。また、Google アカウントをサポートしている Identity and Access Management(IAM)を活用することで、Google グループに対する権限などを一括で管理することもできます。
柳原氏は、「いま 1 番興味があるのは Cloud Run で、今後も利用が拡大すると思っています。Cloud Run や Pub/Sub、Cloud Functions など、サーバーレスのサービスを組み合わせることでメンテナンスなしで、さまざまなアプリケーションを開発できるようにしたいと思っています。AI に関しても、Compute Engine 上で AI のプログラムが動いているので、Vertex AI を使ってサーバーレス化したいと思っています」と話します。
そのほか現在 PoC をおこなっている Looker は、選考の可視化、定量化、どの面接官と相性がよいか、面接官の適性などの可視化をする計画です。柳原氏は、「以前は、自前のダッシュボードを使っていましたが、お客様により使いやすく、分析結果を把握しやすいダッシュボードを提供したいということが Looker 導入の背景にあります。データ分析関連では、 Cloud Data Fusion などのデータ パイプライン ツールにも期待しています」と話します。
「Google Cloud の迅速なサポートは、ほかとは格段に違うサービスだと評価しています。何か問題が発生しても、内部の詳しいログの確認までサポートしてもらったり、さまざまなプログラムやカリキュラムなども提供してもらえたりするので、エンジニアの満足度は大幅に向上しています。これ以上ないほどサポートしてもらえているので、引き続き同様のサポートを期待しています。」(柳原氏)
インタビュイー
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「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンのもと、2017 年 10 月に創業。HR Tech スタートアップとして採用 DX サービス「harutaka(ハルタカ)」および 1 on 1 改善サポート AI「revii(リービー)」を提供。東京大学との共同研究に取り組み、2020 年には 8.5 億円の資金調達を行い、人工知能により人の感情を扱う技術であるアフェクティブ・コンピューティングの研究開発に注力し事業化を手掛ける。社名の由来でもある「全機現」とは、「人の持つ能力のすべてを発揮する」という意味の禅の言葉。