アダストリア:BigQuery を活用したデータレイクの構築により、データ分析の準備作業を 1 ヶ月から 1 週間に短縮

株式会社アダストリア について

1953 年、茨城県水戸市で株式会社福田屋洋服店として創業。「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など、30 種類を超えるブランドを、国内外の約 1,400 店舗で展開するカジュアルファッション専門店チェーン。アパレルに加え、バッグ、シューズ、キッチン雑貨や家具など、暮らしをとりまくさまざまなカテゴリーでアイテムを提案。「Play fashion!」というミッションに基づき、ファッションを通じてお客さま 1 人ひとりの毎日に「もっと楽しい」選択肢を提案。

業種: 小売業、卸売業
地域: 日本

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株式会社トップゲート について

(Google Cloud パートナー)

アダストリアは成長戦略の一環として、AI やクラウドなどのテクノロジーを積極的に活用。BigQuery を活用したデータレイクの構築で、分析用データの準備作業を大幅に効率化し、収集したデータを商品・サービスの進化に役立てています。

Google Cloud 導入の効果

  • 分散した環境から必要な分析用データを抽出、集約、クレンジングする準備作業を大幅に効率化
  • データポータルの活用で、営業部やマーケティング部の担当者が新しい施策を行うときにデータをすぐに可視化
  • データレイク構築により、外部パートナーとの連携リードタイムを短縮。サプライチェーンの最適化も可能に

データ分析の準備作業を 1 ヶ月から 1 週間に短縮

いつの時代もお客さまの暮らしに寄り添うために、アパレルの枠を超え、食や住環境、カルチャー、アートなど、自分らしい人生を楽しむための、あらゆるモノやコトへと進化を続ける株式会社アダストリア(以下、アダストリア)。成長戦略の 1 つであるデータ分析の強化を目的に、Google Cloud を採用したデータレイクを構築。このプロジェクトについて、アダストリア デジタル推進の責任者、およびシステム構築をサポートしたトップゲートの担当者 2 名に話を伺いました。

ビッグデータ活用には Google Cloud の BigQuery が最適と判断

紳士服の小売店として創業したアダストリア。会社設立から 60 年以上の歴史において、何度もビジネスモデルの変革を繰り返し、常にお客さまに最適な製品やサービスを提供することで成長を続けてきました。成長戦略の一環として、AI やクラウドなどのテクノロジーを積極的に活用し、社内を横断して高度なデータ分析環境を整備するとともに、意思決定の精度と情報共有のスピードを高める組織体制の確立を目指しています。

アダストリアにおけるデータ分析は、売上や利益、在庫などの基本的な KPI を、日次、週次でウォッチし、アクションするというプロセスです。また、EC サイトのレビュー機能で得られた、良かった点、悪かった点など、お客さまからの声も分析して新しい商品やサービスの開発に役立てています。最近では、「身長が 150 センチですが、S サイズでも大丈夫ですか?」といった、QA 機能で得た購買前のお客さまからの問い合わせデータも収集、可視化・ラベリングすることで分析に利用し、商品・サービスの進化に役立てています。

アダストリア デジタル推進部 部長の梅田さんは、「企画から生産、物流、販売まで一貫して自社で行うアダストリアのデータ分析は、基本的には全部門が対象ですが、データの収集、加工にはスキルが必要なので、デジタル推進部とマーケティング本部で行っています。分析結果のアウトプットは、商品の企画から販売までの責任を負う営業担当者、EC サイトを運営しているマーケティング担当者が利用しています」と話します。

スピーディなデータの利活用を推進するにあたり、以前のデータ分析には大きく 3 つの課題がありました。まず、アパレル、飲食、家具など業態が複数あるため、数十種類のシステムにデータが分散してしまい、必要なデータを収集する作業にかなりの時間がかかっていました。次にデータを収集しても、データの抜けや漏れや、定義などの確認に時間がかかりました。最後に根本的に、本番相当のデータを扱えるデータベース環境自体が存在していませんでした。

「3 つの課題を解消することで、データ分析のスピード化を実現することが必要でした。まずは社内の人材の育成と外部からの採用による、データ分析のための組織作りからスタート。組織はできつつあるので、次はデータ分析の基盤となるデータレイクの構築に取りかかりました」(梅田さん)

「データレイクの最大の目的であるビッグデータの活用を考えた場合、Google Cloud の BigQuery が最適と判断しました。」

株式会社アダストリア デジタル推進部 部長 梅田 和義 氏

データレイクの構築は、2018 年 6 月ごろから検討を開始。いくつかのクラウド サービスを検討した結果、Google Cloud の採用を決定。同時に、Google Cloud の豊富な知見と実績、ノウハウを持つトップゲートにサポートを依頼しています。Google Cloud の採用を決めた理由を梅田さんは、次のように話します。

「これまでは、多くのシステムに他社のクラウド サービスを利用していたので、データレイクも同じサービスを使って構築するのが自然の流れではありますが、データレイクの最大の目的であるビッグデータの活用を考えた場合、Google Cloud の BigQuery が最適と判断しました。」

データレイクを構築したことで、分析用データの準備作業を大幅に効率化しています。梅田さんは、「データレイク構築以前は、データを分析する場合、商品マスターデータや顧客マスターデータなどがすべて分散していたために、それぞれのシステムからデータを抽出し、データを集約、クレンジングして、ようやく分析ができるという状況でした。その準備作業に 1 週間、長いもので 1 ヶ月かかっていましたが、データレイクの構築により、新規のデータ収集でも 1 週間、それ以外はゼロにまで短縮できました。この 1 年でデータポータルの活用もかなり進んでいます。営業部やマーケティング部の担当者が新しい施策を行うときに、データをすぐに可視化できるので、非常にメリットを感じていると思います」と話しています。

「データ分析の準備作業に 1 週間、長いもので 1 か月かかっていましたが、Google Cloud によるデータレイクの構築により、新規のデータ収集でも 1 週間、それ以外はゼロにまで短縮できました。」

株式会社アダストリア デジタル推進部 部長 梅田 和義 氏

フルマネージド サービスの活用で運用保守の作業負荷を大幅に軽減

データレイク構築プロジェクトは、2019 年 4 月よりスタートし、2020 年 2 月に本番稼働しています。構築されたデータレイクは、データソースから取り込んだ多種多様の生データを Cloud Storage に集約し、構造化データとともに BigQuery に保存しています。BigQuery では、保存されたデータの加工も行い、加工のワークフローは Cloud Composer で管理。最終的には、データポータルやアプリケーションを使ってデータ分析をしています。

トップゲート System Solution Division / Developer Section2 / Leader の笹原さんは、「BigQuery は、十分なパフォーマンスが得られるので、収集したデータを加工してデータウェアハウス(DWH)に保存する ETL(Extract、Transform、Load)方式ではなく、収集したデータを DWH に保存してから加工する ELT 方式を採用しました。これにより、ほかのプロダクトを使うことなく、BigQuery だけでデータレイクを実現できるので、扱いやすく、構成もシンプルなので、開発の負担を軽減することができます」と話します。

また、Google Cloud の強みであるフルマネージド サービスを活用したこともメリットの 1 つ。トップゲート Specialty Division / Solution Sales の森田さんは、次のように話します。「他社のクラウド サービスでも、マネージド サービスを提供していますが、Google Cloud は、アプリケーション レイヤー以外も管理してくれるので、運用保守のフェーズに入ったときに作業負荷を大幅に軽減できます」

トップゲートのサポートについて梅田さんは、「データレイクの要件の整理から設計、環境構築、データ連携、運用保守まで、一気通貫でサポートしてもらいました。Google Cloud の幅広い知見を生かし、開発におけるいろいろな選択肢、提案、アドバイスを提供してもらえるので本当に助かっています」と話しています。

AI や ML を使ったパーソナライズによる顧客満足度の向上にも期待

データレイクの実現で、データを整理できたことにより、外部のパートナーとの連携のリードタイムが短縮され、サプライチェーンの最適化も可能になりました。たとえば、サプライチェーンにおける在庫の最適化や需要予測の分析に強いパートナーとトライアルを行う場合、以前は、複数のシステムから CSV 形式でデータを抽出し、その CSV データをデータの定義の説明とともにパートナーに提供していました。データレイク構築後は、アクセス権を設定することで、新規のパートナーでも、必要なデータにすぐにアクセスできるので好評です。

AI や ML(Machine Learning) の分野に関して梅田さんは、次のように話します。「 Vision AIRecommendations AI、AutoML など、Google Cloud のサービスを積極的に利用していきたいと思っています。たとえば、Recommendations AI を使うことで、パーソナライズした情報をお客さまに提供できるので、顧客満足度の向上も期待できます」

今後の取り組みについて梅田さんは、「今後はデータレイクを活用して、在庫の最適化や需要予測に取り組みたいと思っています。おそらく 2021 年中には、何らかの結果が出せると思います。また、データレイクに関しては、メタデータの管理を効率的、かつ利便性高く改善していきたいと思っています。改善のためのデジタル人材の育成、外部からの採用も続けていく計画です」と話しています。

インタビュイー

adastria interviewees photo
写真左:株式会社アダストリア
・デジタル推進部 部長 梅田 和義 氏
写真中央・右:株式会社トップゲート
(写真中央、左から)
・System Solution Division / Developer Section2 / Leader 笹原 貴 氏
・System Solution Division / Developer Section2 新倉 綾太 氏
・System Solution Division / Specialty Section / Tech Club / Manager 鈴木 達彦 氏
・System Solution Division / Developer Section2 橋本 篤徳 氏
(写真右)
・Specialty Division / Solution Sales  森田 氏

※ 掲載している部署名 は 2020 年 12 月時点の部署名です。

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事例制作:2021

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1953 年、茨城県水戸市で株式会社福田屋洋服店として創業。「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など、30 種類を超えるブランドを、国内外の約 1,400 店舗で展開するカジュアルファッション専門店チェーン。アパレルに加え、バッグ、シューズ、キッチン雑貨や家具など、暮らしをとりまくさまざまなカテゴリーでアイテムを提案。「Play fashion!」というミッションに基づき、ファッションを通じてお客さま 1 人ひとりの毎日に「もっと楽しい」選択肢を提案。

業種: 小売業、卸売業
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