NTTドコモ:マネージド サービスとマイクロサービス化で価値創出や改善活動に集中できる環境を実現

株式会社NTTドコモ について

「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」という企業理念に基づき、お客様や社会に楽しさ、便利さを提供するサービスを展開。モバイル通信サービスや光通信サービス、およびその他の通信サービスなど、これまで培ってきた「通信事業」をベースに、コンテンツ・ライフスタイルサービス、金融・決済サービス、法人ソリューションなど、コンシューマ向け / 法人向けの「サービス領域」においても価値を提供しています。

業種: 通信
地域: 日本

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NTTドコモ株式会社では、無料情報サービスアプリである『マイマガジン』を 2021 年 11 月にリニューアル。開発 / 運用プラットフォームに Google Cloud を採用することで、各種施策サイクルの高速化やパーソナライズ機能の強化など、メディアとしての基本的な価値向上を目指しています。

Google Cloud 導入の効果

  • キャンペーンなどの急なアクセス増の際のリソース拡張が容易に
  • バッチ処理のため 1.5~2 日遅れだったログ分析を BigQuery でリアルタイム化、ユーザーの利用状況のリアルタイムの把握・分析が可能に
  • BigQuery と Vertex AI を組み合わせたレコメンド環境を内製で実装、開発期間の短縮と施策そのものの高速化を実現
  • マイクロサービス化や CI / CD パイプラインの構築により開発からリリースまでのサイクルの高速化を実現
  • コンサルティング サービス・プレミアム サポートの導入で少ない経験値を補完、アーキテクチャやコストの最適化の近道に

モノリシックな巨大システムをマイクロサービス化

国内の携帯電話契約件数 8,300 万件(2021 年9月末時点)を超える通信事業を中核にさまざまなサービスを展開している株式会社NTTドコモ(以下、NTTドコモ)。そのサービスの 1 つである情報サービス『マイマガジン』を 2021 年に大幅リニューアルし、開発 / 運用プラットフォームを Google Cloud に刷新しました。その背景や目的などについて、サービスデザイン部の担当者 5 名に話を伺いました。

モノリシックで巨大化したシステムをマイクロサービス化により刷新

2012 年よりサービスの提供が開始されている『マイマガジン』は、「国内外のニュースから、スポーツ・エンタメ、クーポン・dポイント情報、動画まで、日々の生活を少し豊かにする情報と出会える、あんしん・あんぜんの情報サービス」です。大きい画像で、直感的に記事を選択できるタイル UI を採用することで、幅広いジャンルから知りたい情報を容易に収集することが可能。さまざまな店舗で使えるクーポンや、支払いにも使える dポイントなどの情報も提供されます。

サービスデザイン部で本プロジェクトリーダーを務める田中彰氏は、「2021 年 11 月のリニューアルでは、豊富なジャンル、記事の中から好みの記事を容易に見つけることができる機能や、気になった記事を保存できるお気に入り機能などが追加されています。また使えば使うほど、好きな情報が表示されやすくなるレコメンド エンジンも搭載。リニューアルのための開発 / 運用プラットフォームとして Google Cloud を採用しています」と話します。

サービス開始から約 10 年を経て、マイマガジンではパーソナライズ機能の強化をはじめ、新たな付加価値を伴うサービスの迅速な展開が、より一層求められていました。しかし、従前のシステムは仮想サーバーをベースとしたレガシーな構成で、各機能が密結合するモノリシックで巨大なシステムになっていたことから、取得する情報の追加や UI の変更などを行う際、都度広範囲な開発・テストが必要となっていました。更に、利用者のログ分析にも時間がかかるつくりになっていたため、多様なビジネス変化や利用者のニーズに迅速かつ柔軟に対応することが難しくなっていたのだと言います。

「マイクロサービスなアーキテクチャに変更すること開発スピードを上げられること、リアルタイムな利用者ログ分析が行えることを必須条件として各種プラットフォームを比較検討しを決定し、Google Cloud を決めました。これにより、開発サイクルを高速化することで、お客様に提供する価値の創出や改善活動に集中できる仕組みの実現を目指しました。」

NTTドコモ株式会社 サービスデザイン部 角田 理恵 氏

サービスデザイン部では、この課題の解決を目的に Google Cloud の採用を決定。その背景を同部でプロジェクトの発足から開発マネジメントを担当する角田理恵氏は次のように話します。「マネージド サービスをフルに活用し、マイクロサービスなアーキテクチャや CI / CD 導入により開発スピードを上げられること、リアルタイムな利用者ログ分析が行えることを必須条件として各種プラットフォームを比較検討し、Google Cloud の採用を決めました。これにより、お客様に提供する価値の創出や改善活動に集中できる仕組みの実現を目指しました。」

システム構成は以下の通り。

  • フロントエンドの API やバッチのコンテナは Google Kubernetes Engine(GKE)上で、バックエンドのコンテナは Cloud Run For Anthos 上で稼働する構成を採用
  • 無停止でのデータベース性能の拡張を可能とする Cloud Spanner を採用
  • 記事のレコメンドを実現するための機械学習に、Vertex AI(旧称 AI Platform) を利用
  • Pub/Sub を利用して分析イベントを取り込み、Dataflow を使って BigQuery にストリーミングするログ分析の仕組みを構築
  • Cloud Build により CI / CD パイプラインを構築しリリースの高速化を実現
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<図を拡大>

1.5~2 日遅れだったログ分析を BigQuery でリアルタイムに

Google Cloud 導入による効果としては、(1)キャンペーンなどで急にアクセスが増えた場合のリソース拡張が容易になったこと、(2)マイクロサービス化や CI / CD パイプラインの構築により開発からリリースまでのサイクルの高速化を実現できたこと、そしてなにより、(3)ユーザーの利用状況のリアルタイムの把握・分析が可能になったことが大きなポイントだと角田氏は話します。

「利用者のアクセスログ分析について、旧システムでは、ログを日次バッチで抽出し、データ ウェアハウスにロードして集計していたため、1.5〜2 日遅れた分析になっていましたが、BigQuery の活用によりリアルタイムなログ分析が可能になりました。これによりキャンペーン施策や A/B テストの結果が迅速に得られるようになり、高速に PDCA を回すことで、メディアとしてお客様に提供できる価値を向上させ続けることができます。この点、フルマネージドでサーバーレス、かつ大規模クエリをサポートしている BigQuery の存在は大きいと感じています。」(角田氏)

また BigQuery の技術面での効果を、データ分析担当の安立理人氏は、次のように話します。「BigQuery は、直感的に操作できるので便利だと思います。データをデータポータルで可視化することで、ビジネス部門の担当者はデータに基づく施策を容易に策定することができます。また、View の機能を使い、見たいデータを仮想テーブルに絞り込むことで、最適なデータ活用ができるのもメリットの 1 つです。」

さらに BigQuery と Vertex AI を組み合わせたレコメンド環境は内製で実現させました。主にインフラ・レコメンド部分の開発マネジメントを担当する石原知憲氏は、「Vertex AI のノートブック インスタンスを利用することで、外部のパートナーに依頼することなく、自分たちだけで分析環境を立ち上げることができました。そのおかげで、開発期間を短縮でき、施策そのものの高速化を実現できています。今後はデータポータルとの組み合わせで、さらに機能を磨き上げていきたいと思っています」と話しています。

コンサルティング サービスとプレミアム サポートの活用で少ない経験値を補完

今回のシステム開発では、Google Cloud が提供するコンサルティング サービスと、プレミアム サポートが活用されました。プレミアムサポートでは、専任のテクニカル アカウント マネージャー(TAM)が効果的かつ効率的にオペレーションを進められるように支援します。

「プレミアムサポートで提供されるテクニカル アカウント マネージャー(TAM)から、コストの最適化に繋がる情報を提供いただけて助かっています。大規模なプロジェクトなので、1% のコスト削減でも大きな効果に繋がります。」

株式会社NTTドコモ サービスデザイン部 田中 彰 氏

石原氏は、「マイマガジンは非常に多くのお客様にご利用いただいているサービスであり、確実性を意識してシステムを構築する必要がありました。Google Cloud を採用すると決定したものの経験やノウハウが少なかったことから、コンサルティング サービスを利用しました。ML、Cloud Spanner、コンテナ(GKE、Anthos)など機能やサービスごとのワークショップを開催して、マイマガジンのアーキテクチャの最適化に向けたアドバイスを受けられました。開発時は特に、マイクロサービスのクラスタの立て方について悩みましたが、利用者に見える部分のフロントエンドと、コンテンツを管理するバックエンドに分けるアーキテクチャを提案してもらうなど、適宜必要なアドバイスを受けながら進めることができました。おかげさまで、初めてGoogle Cloudを利用しましたが、スムーズに開発を進めることができました。」

また田中氏は「プレミアムサポートで提供されるテクニカル アカウント マネージャー(TAM)から、コンテナにおける水平ポッド オートスケーラー(HPA)の活用、Cloud Spanner の購入単位最適化、その他開発中の新機能も含めコストの最適化に繋がる情報を提供いただけて助かっています。大規模なプロジェクトなので、1% のコスト削減でも大きな効果に繋がります。今後もこうした情報に加えてベストプラクティスを積極的に共有してほしいです」と話しています。

コストを減らし、より付加価値の高いサービスの創造に投資

NTTドコモでは、今後のマイマガジンの改善として、より一層お客様に寄り添う、価値あるコンテンツを提供することを目的に、レコメンド機能の強化や、プッシュ通知でのアプローチの精度を高める取り組みを進めていく計画です。また、UI デザインも A/B テストなどを実施しながら磨き上げていく考えです。

さらに、現在は運用でカバーしている不適切画像の判定については、 Vision AI を利用して自動化することも検討しているとのこと。角田氏は、「画像判定は、Google Cloud の強みだと思っているので期待しています」と話します。

「Google Cloud を活用し分析環境の立ち上げを内製化できたことで、開発工数やコスト削減の効果を感じています。今後も Google Cloud を効果的に利用することで、無駄な工数やコストを減らし、より付加価値の高いサービスの創造に投資していきたいと思っています。」

NTTドコモ株式会社 サービスデザイン部 担当課長 加藤 雅俊 氏

最後に、今後の取り組みについて、サービスデザイン部 担当課長 プロジェクトマネージャーの加藤雅俊氏が次のように話してくださいました。

「サービスデザイン部 では、ユーザーファーストを前提に、お客様にとって便利かつ信頼性の高いサービスをスピーディに開発・改善すべく取り組みを続けています。Google Cloud の活用により開発サイクルの高速化を実現しサービス価値向上の高速化を実現できました。また、分析環境を内製化できたことによりサービス改善の高速化が図れ、コスト削減の効果も感じています。今後もアジャイルを志向してビジネス変化に迅速に対応したサービスを提供しつづけるために、Google Cloud を効果的に利用することで、より付加価値の高いサービスの創造に投資していきたいと思っています。」

インタビュイー

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(写真左から)
・サービスデザイン部 担当課長 加藤 雅俊 氏
・サービスデザイン部 石原 知憲 氏
・サービスデザイン部 角田 理恵 氏
・サービスデザイン部 安立 理人 氏
・サービスデザイン部 田中 彰 氏

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事例制作:2022

利用しているソリューション:
クラウドネイティブ アプリケーションの開発

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