LIXIL:ERP システムを含む膨大なデータ分析基盤をクラウド化、BigQuery でさらなるデータ利活用を促進する
株式会社LIXIL について
2011 年にトステムや INAX といった、国内の主要な建材・設備機器メーカー 5 社が統合する形で設立。以降、GROHE、American Standard といった世界的ブランドを傘下に収め、現在は世界 150 か国以上で 5 万 9,360 人もの従業員(2020 年 11 月時点の連結従業員数)を要するグローバル企業に成長している。
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お問い合わせLIXIL は次世代データ基盤構築に向け ERP システムである SAP S/4HANA のインフラに Google Cloud を採用。圧倒的な計算能力とスケーラビリティを持つ BigQuery を中心に膨大な自社データを集約し、さらなるデータ利活用の促進に取り組んでいます。
Google Cloud 導入の効果
- 3 つの SAP システム、30 以上のランドスケープ、120 を超える SAP 関連サーバ を 8 か月で構築
- ネットワーク設計の柔軟性 や ライブ マイグレーションなどインフラ面を評価し Google Cloud を選択
- SAP を含む様々なデータを BigQuery に集約し、データ活用のセルフサービス化を実現
使いたい時に使って、変えたいときに変えられるクラウド テクノロジーのメリットを ビジネスに
世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供する株式会社 LIXIL。そんな同社が今、将来に向けて取り組んでいるのがデータ基盤の刷新プロジェクトです。『LIXIL Data Platform』と名付けられた次世代データ基盤に、Google Cloud が選ばれた理由を聞いてきました。
膨大な自社データを Google Cloud に集約してシナジーを生み出す
メインフレームを利用した大がかりな自社データセンターを持ち、長らく自前でさまざまな社内システムの提供・運用を行ってきた LIXIL ですが、将来的なビジネスの変化へ柔軟に対応していくため、2018 年頃から本格的なパブリック クラウド移行を検討し始めました。この狙いについて、株式会社 LIXIL 常務役員であり、Digital 部門 システム開発運用統括部 リーダー、兼コーポレート&共通基盤デジタル推進部 リーダーの岩﨑さんは「メインフレームのような固定資産に縛られず、使いたい時に使って、変えたいときに変えられるクラウド テクノロジーのメリットを LIXILのビジネスに採り入れたいと考えました」とその理由を説明します。
「数あるプラットフォームの中から Google Cloud を選んだのは、我々が何よりもまずデータに重きを置いているから。それぞれのシステムが毎月のように生み出す何億、何十億というデータを社員 1 人ひとりが能動的に利活用していくためには、きちんとしたデータのプラットフォームが必要ですよね。そう考えた時にまず我々が注目したのが、マーケティングなど、一部の部門で限定的に使っていた BigQuery です。BigQuery は圧倒的な計算能力とスケーラビリティを持ち、しかも使いやすく、料金も使っただけしかかからない、まさに我々が求めていたプロダクトでした。そして BigQuery を中心にデータを集めていこうと言うことになると、システム全体を Google Cloud 上に置いた方がシナジーが出しやすくなるというわけです。」(岩﨑さん)
「数あるプラットフォームの中から Google Cloud を選んだのは、我々が何よりもまずデータに重きを置いているから。それぞれのシステムが毎月のように生み出す何億、何十億というデータを社員 1 人ひとりが能動的に利活用していくためには、きちんとしたデータのプラットフォームが必要。」
—株式会社LIXIL 常務役員 Digital部門システム開発運用統括部リーダー兼コーポレート& 共通基盤デジタル推進部リーダー 岩﨑 磨 氏そこで、LIXIL は前出のメインフレームからの将来的な脱却を主題とした基幹刷新プロジェクトにおいて中核をなす ERP システム(SAP S/4 HANA)のインフラとして Google Cloud を採用、ERP システムなどに集まる膨大なデータを BigQuery と連動させることでさらなるバリューを生み出す『LIXIL Data Platform』の構築を進めています。
なお、この移行作業を手がけた同社 Digital 部門 システム開発運用統括部 システムインフラ部の古沢さんと藤江さんにとっては、これが初めての Google Cloud 活用でしたが、Google Cloud プロフェッショナル サービスで提供される Cloud Foundation や Cloud Sprint for SAP などのコンサルティングなどを通じて、徐々に Google Cloud のアドバンテージが大きいことに気がついていったと言います。
「一般的なパブリック クラウドでは定期的なメンテナンスでシステムが止まってしまうことがあるのですが、Google Cloud ならライブ マイグレーション機能を使って、無停止でメンテナンス対象外のサーバーに環境を移行することができます。これは基幹システムを動かすインフラとしては非常に有効なところだと考えています。そのほか、複数ゾーンの中で 1 つのセグメントを構築できるなど、ネットワーク構成的なメリットも大きかったです。」(古沢さん)
「Google Cloud ならライブ マイグレーション機能を使って、無停止でメンテナンス対象外のサーバーに環境を移行することができます。これは基幹システムを動かすインフラとしては非常に有効なところだと考えています。」
—株式会社LIXIL Digital 部門 システム開発運用統括部 システムインフラ部 古沢 比呂志 氏「ゾーンをまたいで同じサブネットを使えるというのはありがたかったですね。他のクラウドでゾーンをまたいだ構成を組んだ場合と比べて可用性設計をとてもシンプルにすることができました。また、ゾーン間の通信も極めて速く、ゾーンごとにレプリケーションされているデータベースを非同期ではなく同期型で構築することができました。これは他のクラウド プラットフォームと比べても大きなメリットだと感じています。」(藤江さん)
その後、実際の移行作業は 2020 年 5 月にスタート。同時期に プレミアム サポート及びテクニカル アカウント マネジメントの利用も開始し、約 8 か月をかけて、3 つの SAP システム、30 以上のランドスケープ、約 120 台の SAP 関連サーバーを段階的に構築していきました。なお、同社ではこのタイミングで 2025 年にメインストリーム サポートが終了する予定だった(その後、2027 年末までの期限延長が決定)『SAP ERP』から、最新の『SAP S4 / HANA』への移行も実施しています。
「この 8 か月で印象深かったことの 1 つは、移行ツール(Migrate for Compute Engine)を利用したサーバー移行時のトラブルです。どうしても土日で移行作業を完了せねばならない中、なぜかサーバーが止まってしまう問題が発生し、Google Cloud の担当者も交えてチーム総出で問題解決に取り組まねばなりませんでした。そしてこの際、驚かされたのが、サポートのためにこのツールを開発した海外のエンジニアを手配してくれたことです。ツールの裏の裏まで知り尽くしている方が問題解決に注力してくれたことも大きく働き、無事、期日内に問題を乗り切ることができました。」(藤江さん)
2020 年 11 月末には SAP 会計本番環境が稼働開始。期末の決算処理なども含め、現状大きなトラブルを起こすことなく安定稼働しているとのことです。
Google のカルチャーを採り入れることで LIXIL を変えていきたい
Google Cloud を活用することで、データの徹底活用というマネジメント サイドのニーズと、エンジニア サイドの求める可用性、拡張性両立への道筋をつけた『LIXIL Data Platform』。すでに本番稼働している会計部門からの評価は上々で、特に使い勝手について高い評価を集めているとのことです。
「とは言え『LIXIL Data Platform』の構築はまだまだ道半ば。ERP(SAP S4 / HANA)で収集したデータを BigQuery でどのように活用していくかはまさにこれからの取り組みとなります。また、データのソースは ERP だけではありません。今後はそれ以外の仕組みも Google Cloud 上に移行し、データを速やかに会社の価値貢献に繋げていけるようにしなければなりません。データ基盤はいわば我々の共通言語ですから、これをよりシンプリフィケーション(単純化)、スタンダーダイゼーション(標準化)しながら、LIXIL の新しいカルチャーを作っていきたいと考えています。」(岩﨑さん)
「さらにその後の取り組みとなりますが、将来的には GROHE(グローエ)や American Standard といった海外グループ企業ともシステムをワン インスタンスでハンドリングできる形に統合していく予定です。そのためには Google Cloud のグローバルなインフラが欠かせないと考えています。」(古沢さん)
『LIXIL Data Platform』の構築に Google Cloud を選択したのは正しかったという LIXIL の皆さんですが、実はその背景には、ここまでで語られていないもう 1 つの理由がありました。それが Google とのリレーションシップです。
「Google の自由でオープンな文化を採り入れ、強力なパートナーシップのもと、さまざまなチャレンジをしていく中でカルチャー トランスフォーメーションを成し遂げたい。それによって LIXIL という会社を大きく変えて進化させていきたいと考えています。」
—株式会社LIXIL 常務役員、Digital 部門 システム開発運用統括部 リーダー 兼コーポレート&共通基盤デジタル推進部 リーダー 岩﨑 磨 氏「我々は今、新経営陣が 2019 年 11 月に掲げた『変わらないと、LIXIL』という言葉に象徴されるよう、さまざまな角度からこれまでの企業文化を変え、ビジネスモデルを変えていこうとしています。それは、そうしないとこれからの国際市場で我々が生き残っていけないことが明白だから。ではどう変えていくべきか? その 1 つのリファレンスにしたいと思っているのが Google なんです。Google の自由でオープンな文化を採り入れ、強力なパートナーシップのもと、さまざまなチャレンジをしていく中でカルチャー トランスフォーメーションを成し遂げたい。それによって LIXIL という会社を大きく変えて進化させていきたいと考えています。」(岩﨑さん)
インタビュイー
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事例制作:2021
貴社の課題を教えてください。私たちがお手伝いします。
お問い合わせ株式会社LIXIL について
2011 年にトステムや INAX といった、国内の主要な建材・設備機器メーカー 5 社が統合する形で設立。以降、GROHE、American Standard といった世界的ブランドを傘下に収め、現在は世界 150 か国以上で 5 万 9,360 人もの従業員(2020 年 11 月時点の連結従業員数)を要するグローバル企業に成長している。