デサント:ワークスペースからデータ分析、基幹システムまでの刷新によりビジネス変革を推進
株式会社デサント について
1935 年にデサントの前身であるツルヤとして創業。1957 年に「デサント」ブランドの展開を開始し、1961 年 9 月に社名を現在の株式会社デサントに変更。「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」という企業理念に基づいて、スポーツ用品、および関連製品の製造と販売を事業として展開。店舗数は、日本国内に 401 店舗(直営店 65 店舗、百貨店 336 店舗:2021 年 9 月 1 日現在)。取り扱いブランドは、デサントのほか、ルコックスポルティフ、アリーナ、マンシングウェア、アンブロ、イノヴェイト、マーモット、ランバン スポール、スリクソン。
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お問い合わせデサントはグループウェアを Google Workspace に刷新し、データ分析基盤に BigQuery を導入。基幹システムのモダナイゼーションには Google Cloud での RISE with SAP を採用しました。ビジネス変革の推進で、ブランドのさらなる価値向上を目指しています。
Google Cloud 導入の効果
- Google Workspace の導入で、端末や場所に依存しないワークタイル定着による事業継続性向上と運用保守コスト削減に期待
- Google Cloud を採用した新しいデータ分析基盤により、業務の実行に必要なレポーティングの自動化を実現
- RISE with SAP の選定で、SAP インフラ管理の苦労から解放、 ビジネス環境の変化に追従し得る可用性の高いシステム基盤を構築
基幹システムの刷新でビジネス変革を推進
「カラダ動く。ココロ動く。MoveWear」というコンセプトで、スポーツに限定しない "動くためのウエア" を提唱する株式会社デサント(以下、デサント)。機能性とファッション性を融合させた高品質なスポーツウエアやシューズなどの企画開発力を競争力の源泉として事業を推進しています。ブランドのさらなる価値向上を目的とした、ビジネス変革のためのシステム刷新に Google Cloud を採用。このプロジェクトについて、IT・デジタル戦略部の部長およびエンジニアに話を伺いました。
Google Workspace でコラボレーションしやすいワークスタイルを社内に浸透
「2018 年 5 月に中途入社した当時は、レガシーなグループウェアが運用されており、クライアント版、ウェブ版、クラウド版という 3 つの形式で、それぞれメーラーとカレンダーが並行して利用されていたことにまず衝撃を受けました。カレンダーは会議室予約とも同期しておらず、ビデオ会議ツールも利用しづらい状態でした。古いシステムのため情報システム部門への問い合わせも多く、その対応にも工数がかかっていました」と、笑いながら当時を振り返るのは、CFO担当 IT・デジタル戦略部 部長の牧野氏です。
2019 年、 IT・デジタル戦略部へ着任した牧野氏は、グループウェアを刷新することを決定。同年 10 月に Google Workspace を採用し、約半年かけて移行作業を進め、2020 年 4 月より本格的な運用を開始しました。Google Workspace の採用を決めた理由を牧野氏は、次のように話します。「ほかの SaaS も検討したのですが、かなりのマシンスペックが必要でした。また、必要な機能を持つ別々のツールを組み合わせて利用することになるならば、最初からコラボレーションを前提に開発された Google Workspace の方が大いに使いやすいと考えました。」
「必要な機能を持つ別々のツールを組み合わせて利用することになるならば、最初からコラボレーションを前提に開発された Google Workspace の方が大いに使いやすいと考えました。」
—株式会社デサント CFO担当 IT・デジタル戦略部 部長 牧野 壮 氏現在、Google Workspace の機能は、Gmail、ドライブ、Google Meet、カレンダー、Google Chat、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなど広く活用。スマートフォンを使った社内の情報共有には Currents を利用、またブランドチームで実施する消費者向けのブランド調査やプレゼント キャンペーン企画などにも Google フォームが利用されているとのこと。牧野氏は、「Google Workspace の本格導入をスタートしたのが 2020 年 2 月ごろ、その後すぐに、新型コロナウイルスの感染拡大、最初の緊急事態宣言、全社在宅勤務体制の開始など環境が大きく変化する中でシステム部では多くの対応を迫られましたが、この期間に集中的に社内からの問い合わせ対応をしたことによって、コラボレーション ツールとしての Google Workspace が一気に全社に浸透しました。結果的に、その後のコロナ禍の制約の中でも Google Workspace の機能を活用し必要なコミュニケーションを取りながら、リモートワークで事業を継続することができました」と話します。
「今後数年中に PC の入れ替えが予定されていますが、Google Workspace を採用したことで、端末に依存せず、PC でも、Chromebook でも、タブレット端末でも、好きな端末を選択して、いつでも、どこでも仕事ができるワークスタイルを定着することができる思っています。またコラボレーション ツールを 1 つに統合したことで、運用保守コストの削減も期待できます。」(牧野氏)
全社的なデータ活用を進めることを考えると Google Cloud が最適な選択
デサントでは、2020 年 6 月当時、利用していたデータ分析基盤の契約終了が迫っていたことから、契約を延長するか、刷新するかの意思決定が必要となっていました。CFO担当 IT・デジタル戦略部 DX課 兼 DTC部門 CRM課の三倉氏は、次のように話します。「中期経営計画の柱として日本事業の収益改善が示された直後で、データ活用の先の CRM 領域を見据えてシステムの見直しと運用体制の変革が必要でした。社内に本格的なデータ エンジニアを擁していなかったこともあり、当時のデータ分析基盤は十分に活用されずコストだけがかかっている状態であったことも課題でした。将来的に社内全体でのデータ活用を進めていくことを考えたときに、スプレッドシートや データポータルなどとの連携が容易な Google Cloud を採用することは、Google Workspace が浸透し始め、Google のサービスの UI に慣れ始めた当社にとってメリットとなると感じ、データ基盤への Google Cloud 採用を決めました。状況に応じて必要な機能を拡張 / 縮小できる柔軟性のある仕様かつ従量課金制のサービスであるという点も、当社の実情に合っていると感じました。」
新しいデータ分析基盤は、社内のデータソースから取得した分析用データを Cloud Storage に保管し、Cloud Functions で BigQuery へのデータ連携と加工を実行。連携・加工処理は、Cloud Scheduler と Pub/Sub でトリガーが設定され自動実行されています。
構築当初は苦労も多かったという三倉氏、「社内には明確なエンジニア職がなく、開発経験のない 3 名で学びながら構築を進めました。当初は学習すべき内容が多岐にわたりましたが、1 週間の作業の中で出てくる疑問点をスプレッドシートにまとめておき、週 1 回の Google Cloud 担当者とのミーティングで回答してもらう流れで疑問を解決していきました。知識が追いつかない部分はコードのサンプルを作ってもらったり、また、Qwiklabs(現在の Google Cloud Skills Boost)でのデモ体験で、その後の自己学習の基礎もできました」と話しています。
現在、新しいデータ分析基盤では、主に以下のような業務の実行に必要なレポーティングの自動化に注力しているとのこと。
・セルアウトデータを活用した商談レポート作成
・生産発注カラー / サイズバランスの適正化のための過去のセルアウトデータ活用
・期末推定在庫の計算
いずれも、過去の実績データや制定された販売計画などに基づいて、事業に必要な資料を自動的に作成するというものです。 「今後は CRM にも注力し、顧客のレビューや商品に対するコメント、評価などを集約し、テキスト マイニングにより販売や PR、販売促進に生かすことを検討しています。また、過去の実績データを使った機械学習による在庫の着地予測の精度向上も目指しています。」(三倉氏)
Direct to Consumer 実現の最適な ERP として、Google Cloud での RISE with SAP を選定
デサントでは、基幹システムのモダナイゼーションに、SAP のクラウド オファリング「 RISE with SAP」の採用を決めました。この背景を牧野氏は次のように語ります。 「これまで運用してきた基幹システムは、経営方針の変更や商流の拡大にあわせて部分最適で構築されてきました。そのためシステム間で主要なマスターも統合されておらず、保守メンテナンスの限界点を越えていました。インフラ面も複雑な構成になっており、保守業務を外部委託してはいるものの、障害も多く、管理が非常に煩雑でした。さらにビジネス ロジック面では、卸商流が主体に構成されているため、中期経営計画で掲げる DTC(Direct To Consumer)事業の拡大に対する足枷にもなっていました。」
この現状を打破するために、基幹システムを SAP で刷新することを決定します。「財務・管理会計だけであれば多くの選択肢がありますが、購買、販売、生産など、スポーツ アパレル メーカーに必要な機能を標準でカバーできる ERP としては、SAP が最適な選択肢と判断しました。併せて、インフラの管理苦労からも随分と解放されるであろうと捉え、RISE with SAP を選択しています。」(牧野氏)
さらに牧野氏は、「Google Workspace が社内に浸透し、データ分析基盤に BigQuery を導入したので、SAP も Google Cloud 上で動かす方がメリットは大きいと判断しました。また将来的に SAP のデータを、BigQuery に直接取り込めるようになり、データポータルやスプレッドシートで誰もが簡単に活用できるようになれば、データ分析基盤として大きな効果が期待できます」とも話します。
「この会社の全社員が、BigQuery とデータポータルでデサントの強みや今のトレンドなどを分析しはじめれば、どのスポーツ アパレル メーカーよりも高度な分析、および意思決定ができる会社になることができる。デサントの戦略は、データに確実に裏打ちされているという状況を確立したいと思っています。」
—株式会社デサント CFO担当 IT・デジタル戦略部 部長 牧野 壮 氏「一連の取り組みから、デサントという会社には時代にあわせて変化できる柔軟さがあり、きっかけがあれば一気にさらに成長できることを実感しています。目的に向け、最短距離で突き進むのはスポーツ マインド集団の特長です(笑)。この会社の全社員が、BigQuery とデータポータルでデサントの強みや今のトレンドなどを分析しはじめれば、どのスポーツ アパレル メーカーよりも高度な分析、および意思決定ができる会社になることができる。デサントの戦略は、データに確実に裏打ちされているという状況を確立したいと思っています。」(牧野氏)
最後に、今後の展望について牧野氏は次のように語っています。「Google Cloud のサポートも受けて、若いエンジニアがデジタルにより変革を起こすことができたのは、今後の会社にとっても大きなメリットでした。この若いエンジニアたちが中心となり、ほかのエンジニア向けに勉強会を開催したり、誰もが利用できるシステム環境を作ったりすることで、データ分析の民主化を進めてほしいと思っています。こうした機会を得られたのは、Google Cloud との出会いが原点であり、今後は次世代のエンジニアに向けたサポートも期待しています。」
インタビュイー
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お問い合わせ株式会社デサント について
1935 年にデサントの前身であるツルヤとして創業。1957 年に「デサント」ブランドの展開を開始し、1961 年 9 月に社名を現在の株式会社デサントに変更。「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」という企業理念に基づいて、スポーツ用品、および関連製品の製造と販売を事業として展開。店舗数は、日本国内に 401 店舗(直営店 65 店舗、百貨店 336 店舗:2021 年 9 月 1 日現在)。取り扱いブランドは、デサントのほか、ルコックスポルティフ、アリーナ、マンシングウェア、アンブロ、イノヴェイト、マーモット、ランバン スポール、スリクソン。