Bare Metal Solution サーバーで実行されている SAP システムの SAP サポートには、Google Cloud の SAP 用エージェントが必要です。
Google Cloud が提供する次の「SAP 用」RHEL または SLES OS イメージを使用する場合、Google Cloud の SAP 用エージェントは OS イメージに含まれています。
- RHEL: すべての「SAP 用」イメージ
- SLES: SAP 用 SLES 15 SP4 以降のバージョン
Bare Metal Solution サーバーで SAP の実行に使用できるオペレーティング システムについては、以下をご覧ください。
- SAP HANA の場合は、認定されたオペレーティング システムをご覧ください。
- SAP NetWeaver の場合は、認定されたオペレーティング システムをご覧ください。
Compute Engine VM インスタンスにバージョン 2 の Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールして構成するには、Compute Engine VM インスタンスに Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールするをご覧ください。
インストールの概要
標準のオペレーティング システム パッケージ管理コマンド(RHEL の場合は yum
コマンド、SLES の場合は zypper
コマンド)を使用して、Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールします。パッケージ管理コマンドは次のタスクを実行します。
- Google Cloud の SAP 用エージェントをダウンロードします。
- エージェントを
google-cloud-sap-agent
という名前の Linuxsystemd
サービスとして作成します。 - サービス
google-cloud-sap-agent
を有効にして開始します。
エージェントをインストールする
より多くの機能をサポートする Google Cloud の SAP 用エージェントの最新バージョンをインストールすることをおすすめします。手順については、Google Cloud の SAP 用エージェントを Bare Metal Solution サーバーにインストールして構成するをご覧ください。
Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 2 をインストールする場合は、Cloud カスタマーケアにお問い合わせください。
Google Cloud の SAP 用エージェントと SAP Host Agent をインストールしたら、エージェントのインストールを検証するの説明に従って、Google Cloud の SAP 用エージェントのインストールを検証します。
エージェントのインストールを検証する
Bare Metal Solution サーバーと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
systemctl status google-cloud-sap-agent
エージェントが正常に機能している場合、出力には
active (running)
が含まれます。次に例を示します。google-cloud-sap-agent.service - Google Cloud Agent for SAP Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/google-cloud-sap-agent.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Fri 2022-12-02 07:21:42 UTC; 4 days ago Main PID: 1337673 (google-cloud-sa) Tasks: 9 (limit: 100427) Memory: 22.4 M (max: 1.0G limit: 1.0G) CGroup: /system.slice/google-cloud-sap-agent.service └─1337673 /usr/bin/google-cloud-sap-agent
エージェントが実行されていない場合は、エージェントを再起動します。
SAP Host Agent が指標を受信していることを確認する
Google Cloud の SAP 用エージェントによってインフラストラクチャの指標が収集され、SAP Host Agent に正しく送信されていることを確認するには、次の操作を行います。
- SAP システムで、トランザクションとして「
ST06
」を入力します。 概要ウィンドウで可用性と以下のフィールドの内容を確認し、SAP と Google モニタリング インフラストラクチャのエンドツーエンドの設定が正しいか調べます。
- クラウド プロバイダ:
Google Cloud Platform
- Enhanced Monitoring Access:
TRUE
- Enhanced Monitoring Details:
ACTIVE
- クラウド プロバイダ:
Linux で Google Cloud の SAP 用エージェントを構成する
Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールした後、必要に応じて、Process Monitoring 指標、Workload Manager 評価指標、SAP HANA モニタリング指標を収集するようにエージェントを構成できます。デフォルトでは、SAP Host Agent 指標のみの収集が有効になっています。
前提条件
これらの機能を Bare Metal Solution サーバーで実行されているエージェント インスタンスで有効にするには、次の前提条件を満たす必要があります。
- エージェントが Google Cloud リソースにアクセスするための IAM サービス アカウントを作成し、必要な IAM ロールをサービス アカウントに付与します。詳細については、サービス アカウントを設定するをご覧ください。
- Bare Metal Solution サーバーに gcloud CLI をインストールします。詳細については、gcloud CLI をインストールするをご覧ください。
- Google Cloud にアクセスするには、gcloud CLI を承認します。詳細については、gcloud CLI を承認するをご覧ください。
- Google Cloud APIs への接続を確立します。詳細については、オンプレミス ホスト用の限定公開の Google アクセスの構成をご覧ください。
サービス アカウントを設定する
エージェントが Bare Metal Solution 環境から Google Cloud リソースにアクセスできるようにするには、IAM サービス アカウントを設定する必要があります。
エージェントが使用するサービス アカウントには、少なくともモニタリング指標の書き込み(roles/monitoring.metricWriter
)ロールが含まれている必要があります。
サービス アカウントを作成するには、次の操作を行います。
-
Create a service account:
-
In the Google Cloud console, go to the Create service account page.
Go to Create service account - Select your project.
-
In the Service account name field, enter a name. The Google Cloud console fills in the Service account ID field based on this name.
In the Service account description field, enter a description. For example,
Service account for quickstart
. - Click Create and continue.
-
Grant the Monitoring > Monitoring Metric Writer role to the service account.
To grant the role, find the Select a role list, then select Monitoring > Monitoring Metric Writer.
- Click Continue.
-
Click Done to finish creating the service account.
Do not close your browser window. You will use it in the next step.
-
-
Create a service account key:
- In the Google Cloud console, click the email address for the service account that you created.
- Click Keys.
- Click Add key, and then click Create new key.
- Click Create. A JSON key file is downloaded to your computer.
- Click Close.
サービス アカウントを作成したら、その JSON キーファイルを、エージェントがアクセスできる Bare Metal Solution サーバー上の安全な場所にアップロードしてください。
機能を有効にする
Bare Metal Solution のサービス アカウントを設定して必要なロールを付与したら、次の構成を行うことで、Google Cloud の SAP 用エージェントの他の機能を有効にできます。
デフォルトの構成ファイル
次のスニペットは、Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 2 のデフォルト構成の例です。
{ "provide_sap_host_agent_metrics": true, "bare_metal": , "log_level": "INFO", "log_to_cloud": true, "collection_configuration": { "collect_workload_validation_metrics": false, "collect_process_metrics": false, "sap_system_discovery": true }, "hana_monitoring_configuration": { "enabled": false } }
構成パラメータ
次の表に、Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 2 の構成パラメータを示します。
パラメータ | |
---|---|
provide_sap_host_agent_metrics |
SAP Host Agent に必要な指標の収集を有効にするには、 |
bare_metal |
エージェントが Bare Metal Solution サーバーにインストールされている場合は、 |
log_level |
エージェントのロギングレベルを設定するには、必要な値を設定します。使用可能なログレベルは次のとおりです。
デフォルトは |
log_to_cloud |
エージェントのログを Cloud Logging にリダイレクトするには、 |
sap_system_discovery |
SAP システム ディスカバリを有効にするには、 |
cloud_properties.project_id |
SAP システムが Bare Metal Solution サーバーで実行されている場合は、Bare Metal Solution で使用する Google Cloud プロジェクトのプロジェクト ID を指定します。 |
cloud_properties.instance_name
|
エージェントをインストールした Bare Metal Solution サーバーの名前を指定します。 エージェント バージョン 2.5 以前で、 |
cloud_properties.region |
SAP システムが Bare Metal Solution サーバーで実行されている場合は、Bare Metal Solution サーバーのリージョンを指定します。 |
cloud_properties.zone |
エージェントが VM インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、エージェントがインストールされている VM インスタンスのゾーンが使用されます。 |
cloud_properties.image |
インスタンスの OS イメージ名を指定します。 |
cloud_properties.numeric_project_id |
SAP システムが実行されている Google Cloud プロジェクトの数値 ID を指定します。 |
collection_configuration.collect_process_metrics |
Process Monitoring 指標の収集を有効にするには、 |
collection_configuration.process_metrics_frequency |
バージョン 2.6 以降では、このパラメータによって急速に変化する Process Monitoring 指標の収集頻度(秒単位)が決定されます。急速に変化する Process Monitoring 指標は、 このパラメータのデフォルト値は 変化が緩やかな他の Process Monitoring 指標はすべて、デフォルトの 30 秒の頻度で収集されます。変化が緩やかな Process Monitoring 指標の収集頻度を変更するには、 |
collection_configuration.slow_process_metrics_frequency |
変化が緩やかな Process Monitoring 指標の収集頻度を秒単位で指定します。 このパラメータのデフォルト値は |
collection_configuration.process_metrics_to_skip |
エージェントで収集しない Process Monitoring 指標を指定します。このパラメータには、Process Monitoring 指標名のカンマ区切り値を指定できます。例: |
collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_user |
エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントを指定します。デフォルトは |
collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_password |
エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントのパスワード(書式なしテキスト)を指定します。 書式なしテキスト パスワードを指定する代わりに、次のいずれかのオプションを使用することをおすすめします。
|
collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_password_secret_name |
エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントのパスワードを安全に指定するには、データベース ユーザー アカウントのセキュリティ認証情報を含むシークレットの名前を指定します。
|
collection_configuration.hana_metrics_config.sid |
SAP HANA インスタンスの SID を指定します。HANA ユーザーストア キーを使用する場合は、hdbuserstore_key セクションをご覧ください。 |
collection_configuration.collect_workload_validation_metrics |
Workload Manager 評価指標の収集を有効にするには、 |
collection_configuration.workload_validation_metrics_frequency |
Workload Manager 評価指標の収集頻度(秒)。デフォルト値は Workload Manager 指標の収集頻度を変更する必要がある場合は、 |
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hana_db_user |
SAP HANA インスタンスのクエリに使用するユーザー アカウントを指定します。ユーザー アカウントには、SAP HANA データベースに対する読み取り権限が必要です。 |
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hana_db_password_secret_name |
ユーザー アカウントのパスワードを保存する Secret Manager に Secret の名前を指定します。 |
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.sid |
SAP HANA インスタンスの SID を指定します。 |
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hostname |
SAP HANA インスタンスをホストするマシン(ローカルまたはリモート)の識別子を指定します。サポートされている値は次のとおりです。
|
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.port |
SAP HANA インスタンスがクエリを受け付けるポートを指定します。最初の、または唯一のテナント データベース インスタンスの場合、ポートは |
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_frequency |
Workload Manager の評価に関する SAP HANA データベース指標の収集頻度(秒)。デフォルトは |
hana_monitoring_configuration.enabled |
省略可。Google Cloud の SAP 用エージェントが SAP HANA モニタリング指標を収集できるようにするには、 hana_monitoring_configuration.enabled: true を指定した場合にのみ適用されます。 |
hana_monitoring_configuration.sample_interval_sec |
省略可。サンプル間隔を秒単位で指定します。これにより、Google Cloud の SAP 用エージェントが SAP HANA インスタンスにクエリを実行して SAP HANA モニタリング指標を収集する頻度を決定します。デフォルト値は 300 秒です。 Google Cloud の SAP 用エージェントの構成ファイルで定義されているクエリごとに、必要な間隔を |
hana_monitoring_configuration.query_timeout_sec |
省略可。SAP HANA インスタンスに対して実行する各クエリのタイムアウトを指定します。デフォルト値は 300 秒です。 |
hana_monitoring_configuration.execution_threads |
省略可。SAP HANA インスタンスにクエリを送信するために使用するスレッド数を指定します。各クエリはそれぞれのスレッドで実行されます。デフォルト値は 10 です。 |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.name |
SAP HANA インスタンスの名前識別子を指定します。 |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.sid |
SAP HANA インスタンスの SID を指定します。この文字列は、SAP HANA インスタンスへのクエリの結果から得られるすべての指標にラベルとして追加されます。 |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.host |
SAP HANA インスタンスをホストするマシン(ローカルまたはリモート)の識別子を指定します。サポートされている値は次のとおりです。
|
hana_monitoring_configuration.hana_instances.port |
SAP HANA インスタンスがクエリを受け付けるポートを指定します。最初の、または唯一のテナント データベース インスタンスの場合、ポートは |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.user |
SAP HANA インスタンスのクエリに使用するユーザー アカウントを指定します。 このユーザーに、SAP HANA データベースのモニタリング ビューを読み取る権限があることを確認してください。この権限が付与されていないと、モニタリング ビューに関連する SAP HANA モニタリング指標にはデータは含まれません。 |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.password |
省略可。SAP HANA インスタンスにクエリを行うためのユーザー アカウントを認証するパスワードを書式なしテキストとして指定します。 認証には、次のいずれかを指定する必要があります。
|
hana_monitoring_configuration.hana_instances.secret_name |
省略可。ユーザー アカウントのパスワードを保存する Secret Manager に Secret の名前を指定します。 |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.enable_ssl |
省略可。SAP HANA インスタンスで SSL を有効にするかどうかを指定します。デフォルト値は |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.host_name_in_certificate |
SAP HANA インスタンスに |
hana_monitoring_configuration.hana_instances.tls_root_ca_file |
SAP HANA インスタンスに |
hana_monitoring_configuration.queries.enabled |
省略可。すべての SAP HANA インスタンスに対して SQL クエリを有効にするには、その SQL クエリの |
hana_monitoring_configuration.queries.name |
構成ファイルでカスタムクエリを定義している場合は、カスタムクエリごとに一意の名前を指定する必要があります。 クエリ名は、Monitoring で指標のデフォルト URL を構築するために使用されるため、一意であることが必要です。 |
hana_monitoring_configuration.queries.sql |
エージェントが SAP HANA インスタンスに発行する SQL ステートメントを指定します。 SQL ステートメントは、SAP HANA SQL と System Views Reference で SAP が定義している SQL 構文に準拠している必要があります。 |
hana_monitoring_configuration.queries.sample_interval_sec |
省略可。SQL クエリのサンプル間隔を指定します。これはグローバル サンプル間隔をオーバーライドします。値は 5 秒以上にする必要があります。 |
hana_monitoring_configuration.queries.columns.name |
各列を一意に識別する名前を指定します。 列名は、Monitoring で指標のデフォルト URL を構築する際に使用されるため、一意であることが必要です。 |
hana_monitoring_configuration.queries.columns.metric_type |
Monitoring で処理する場合は、
|
hana_monitoring_configuration.queries.columns.value_type |
Monitoring で処理する場合は、指標タイプでサポートされているデータ型を指定します。 サポートされているデータ型は、 |
hana_monitoring_configuration.queries.columns.name_override |
省略可。Monitoring で処理する場合は、クエリ名と列名の代わりに、指標 URL に表示するパスを指定します。例:
|
トラブルシューティング
Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールして構成するときに発生する可能性のある問題の診断と解決については、Google Cloud の SAP 用エージェントのトラブルシューティング ガイドをご覧ください。
サポートを利用する
Google Cloud の SAP 用エージェントの問題を解決するには、利用可能なすべての診断情報を収集し、Cloud カスタマーケアにお問い合わせください。カスタマーケアへのお問い合わせについては、Google Cloud での SAP に関するサポートを受けるをご覧ください。