Microsoft SQL Server の Always On フェイルオーバー クラスタ インスタンス(FCI)を使用すると、複数の Windows Server フェイルオーバー クラスタ(WSFC)ノードで単一の SQL Server インスタンスを実行できます。どの時点においても、いずれかのクラスタノードが、SQL インスタンスをアクティブにホストします。エラーが発生すると、WSFC はインスタンス リソースの所有権を別のノードに自動的に移します。
SQL Server FCI では、すべての WSFC ノードからアクセスできるように、データを共有ストレージに配置する必要があります。このガイドでは、共有ストレージに記憶域スペース ダイレクト(S2D)を使用する SQL Server 2019 フェイルオーバー クラスタ インスタンスをデプロイする方法について説明します。S2D は、Compute Engine VM データディスクを使用して SQL データベースを格納できるソフトウェアベースの仮想 SAN を実現します。
この環境を次の図に示します。
ハイパーコンバージド アーキテクチャを実装すると、VM インスタンス node-1
と node-2
が WSFC ノードとして機能し、共有ストレージもホストします。3 番目の VM インスタンス witness
は、フェイルオーバー シナリオでクォーラムを達成するために使用されます。3 つの VM インスタンスは 3 つのゾーンに分散され、共通のサブネットを共有します。
クライアントは、内部 TCP ロードバランサ経由で SQL Server インスタンスと通信します。このロードバランサは、カスタム ヘルスチェックを使用して、現在 SQL インスタンスをホストしている WSFC ノードを特定し、そのインスタンスにトラフィックをルーティングします。
この記事は、Google Cloud に Active Directory がデプロイされており、SQL Server、Active Directory、Compute Engine の基本的な知識があることを前提としています。
目標
- 2 つの SQL Server VM インスタンスと、ファイル共有監視の機能を有する 1 つの VM インスタンスで構成される WSFC をデプロイします。
- WSFC に SQL Server FCI をデプロイします。
- フェイルオーバーをシミュレートして、クラスタが動作していることを確認します。
料金
このチュートリアルでは、Google Cloud の課金対象となる以下のコンポーネントを使用します。
料金計算ツールを使うと、予想使用量に基づいて費用の見積もりを出すことができます。
始める前に
このガイドを完了するには、次の準備が必要です。
- ドメイン コントローラが 1 つ以上配置された Active Directory ドメイン。Active Directory ドメインは、Managed Microsoft AD を使用して作成できます。または、Compute Engine にカスタムの Active Directory 環境をデプロイして、DNS クエリをドメイン コントローラに転送するプライベート DNS 転送ゾーンを設定することも可能です。
- コンピュータをドメインに参加させ、RDP を使用してログインする権限を付与された Active Directory ユーザー。Managed Microsoft AD を使用している場合は、
setupadmin
ユーザーを使用できます。 - Active Directory ドメイン コントローラと Google Cloud プロジェクトおよび VPC の接続。
- WSFC VM インスタンスに使用するサブネット。
このガイドを完了するには、次の Google Cloud プロジェクトも必要です。
- Sign in to your Google Cloud account. If you're new to Google Cloud, create an account to evaluate how our products perform in real-world scenarios. New customers also get $300 in free credits to run, test, and deploy workloads.
-
In the Google Cloud console, on the project selector page, select or create a Google Cloud project.
-
Make sure that billing is enabled for your Google Cloud project.
-
In the Google Cloud console, on the project selector page, select or create a Google Cloud project.
-
Make sure that billing is enabled for your Google Cloud project.
このチュートリアルを終了した後、作成したリソースを削除すると、それ以上の請求は発生しません。詳しくは、クリーンアップをご覧ください。
プロジェクトとネットワークの準備
SQL Server FCI をデプロイするために Google Cloud プロジェクトと VPC を準備するには、次の操作を行います。
Google Cloud コンソールで、[Cloud Shell をアクティブにする] ボタンをクリックして Cloud Shell を開きます。
次の変数を初期化します。
VPC_NAME=
VPC_NAME
SUBNET_NAME=SUBNET_NAME
ここで
VPC_NAME
: VPC の名前SUBNET_NAME
: サブネットの名前
デフォルトのプロジェクト ID を設定します。
gcloud config set project
PROJECT_ID
PROJECT_ID
は、Google Cloud プロジェクトの ID に置き換えます。デフォルトのリージョンを設定します。
gcloud config set compute/region
REGION
REGION
は、デプロイするリージョンの ID に置き換えます。
ファイアウォール ルールの作成
クライアントによる SQL Server への接続、WSFC ノード間の通信、ロードバランサによるヘルスチェックの実行を可能にするには、ファイアウォール ルールをいくつか作成する必要があります。ネットワーク タグを使用すると、こうしたファイアウォール ルールを簡単に作成できます。
- 2 つの WSFC ノードには、
wsfc-node
タグを付加します。 - すべてのサーバー(監視サーバーを含む)には、
wsfc
タグを付加します。
こうしたネットワーク タグを使用してファイアウォール ルールを作成します。
- 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
WSFC ノードのファイアウォール ルールを作成します。
SUBNET_CIDR=$(gcloud compute networks subnets describe $SUBNET_NAME --format=value\('ipCidrRange'\)) gcloud compute firewall-rules create allow-all-between-wsfc-nodes \ --direction=INGRESS \ --action=allow \ --rules=tcp,udp,icmp \ --enable-logging \ --source-tags=wsfc \ --target-tags=wsfc \ --network=$VPC_NAME \ --priority 10000 gcloud compute firewall-rules create allow-sql-to-wsfc-nodes \ --direction=INGRESS \ --action=allow \ --rules=tcp:1433 \ --enable-logging \ --source-ranges=$SUBNET_CIDR \ --target-tags=wsfc-node \ --network=$VPC_NAME \ --priority 10000
Google Cloud プローバーの IP 範囲からのヘルスチェックを許可するファイアウォール ルールを作成します。
gcloud compute firewall-rules create allow-health-check-to-wsfc-nodes \ --direction=INGRESS \ --action=allow \ --rules=tcp \ --source-ranges=130.211.0.0/22,35.191.0.0/16 \ --target-tags=wsfc-node \ --network=$VPC_NAME \ --priority 10000
VM インスタンスを作成する
フェイルオーバー クラスタ用に 2 つの VM インスタンスをデプロイします。任意の時点でいずれかの VM がアクティブな FCI ノードとして機能し、もう 1 つのノードはフェイルオーバー ノードとして機能します。2 つの VM インスタンスは、次の要件を満たす必要があります。
- 内部 TCP ロードバランサからアクセスできるように、同じリージョンに配置されている。
- ゲスト エージェントが WSFC モードを使用するように構成されている。このモードでは、ゲスト エージェントは、ローカル ネットワーク インターフェースを構成するときに内部ロードバランサの IP アドレスを無視します。この動作は、WSFC フェイルオーバー イベント中の IP アドレスの競合を防ぐために必要です。
SQL Server 2019 がプリインストールされた SQL Server プレミアム イメージを使用します。
多数決でフェイルオーバー シナリオのクォーラムを構成するには、ファイル共有監視として機能する 3 つ目の VM をデプロイします。
- 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
WSFC ノード用の専用スクリプトを作成します。このスクリプトは、必要な Windows 機能をインストールし、WSFC と SQL Server 用のファイアウォール ルールを作成します。
cat << "EOF" > specialize-node.ps1 $ErrorActionPreference = "stop" # Install required Windows features Install-WindowsFeature Failover-Clustering -IncludeManagementTools Install-WindowsFeature RSAT-AD-PowerShell # Open firewall for WSFC netsh advfirewall firewall add rule name="Allow SQL Server health check" dir=in action=allow protocol=TCP localport=59997 # Open firewall for SQL Server netsh advfirewall firewall add rule name="Allow SQL Server" dir=in action=allow protocol=TCP localport=1433 EOF
VM インスタンスを作成します。S2D ノードと WSFC ノードとして機能する 2 つの VM で、追加のデータディスクをアタッチし、メタデータキー
enable-wsfc
をtrue
に設定して WSFC モードを有効にします。REGION=$(gcloud config get-value compute/region) PD_SIZE=50 MACHINE_TYPE=n2-standard-8 gcloud compute instances create node-1 \ --zone $REGION-a \ --machine-type $MACHINE_TYPE \ --subnet $SUBNET_NAME \ --image-family sql-ent-2019-win-2022 \ --image-project windows-sql-cloud \ --tags wsfc,wsfc-node \ --boot-disk-size 50 \ --boot-disk-type pd-ssd \ --boot-disk-device-name "node-1" \ --create-disk=name=node-1-datadisk-1,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-1-datadisk-2,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-1-datadisk-3,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-1-datadisk-4,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --metadata enable-wsfc=true \ --metadata-from-file=sysprep-specialize-script-ps1=specialize-node.ps1 gcloud compute instances create node-2 \ --zone $REGION-b \ --machine-type $MACHINE_TYPE \ --subnet $SUBNET_NAME \ --image-family sql-ent-2019-win-2022 \ --image-project windows-sql-cloud \ --tags wsfc,wsfc-node \ --boot-disk-size 50 \ --boot-disk-type pd-ssd \ --boot-disk-device-name "node-2" \ --create-disk=name=node-2-datadisk-1,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-2-datadisk-2,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-2-datadisk-3,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --create-disk=name=node-2-datadisk-4,size=$PD_SIZE,type=pd-ssd,auto-delete=no \ --metadata enable-wsfc=true \ --metadata-from-file=sysprep-specialize-script-ps1=specialize-node.ps1 gcloud compute instances create "witness" \ --zone $REGION-c \ --machine-type n2-standard-2 \ --subnet $SUBNET_NAME \ --image-family=windows-2022 \ --image-project=windows-cloud \ --tags wsfc \ --boot-disk-size 50 \ --boot-disk-type pd-ssd \ --metadata sysprep-specialize-script-ps1="add-windowsfeature FS-FileServer"
3 つの VM インスタンスを Active Directory に参加させるには、3 つの各 VM インスタンスに対して次の操作を行います。
シリアルポートの出力を表示して、VM の初期化プロセスをモニタリングします。
gcloud compute instances tail-serial-port-output
NAME
NAME
は VM インスタンスの名前に置き換えます。Instance setup finished
という出力が表示されるまで数分待ちます。表示されたら Ctrl+C キーを押します。この時点で、VM インスタンスが使用できるようになります。VM インスタンスにユーザー名とパスワードを作成します。
リモート デスクトップを使用して VM に接続し、前のステップで作成したユーザー名とパスワードを使用してログインします。
[スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
コンピュータを Active Directory ドメインに追加して再起動します。
Add-Computer -Domain
DOMAIN -Restart
DOMAIN
は、Active Directory ドメインの DNS 名に置き換えます。再起動が完了するまで 1 分ほど待ちます。
クラスタの IP アドレスを予約する
VPC ネットワーク内に 2 つの静的 IP アドレスを予約します。この 2 つのアドレスはそれぞれ異なる目的で使用されます。
- ロードバランサの IP: この IP アドレスは、クライアントが SQL Server に接続するために使用されます。
- クラスタの IP: この IP アドレスは WSFC によって内部的にのみ使用されます。
静的 IP アドレスを予約する手順は次のとおりです。
内部ロードバランサ用に静的 IP を予約し、そのアドレスを
LOADBALANCER_ADDRESS
という新しい環境変数でキャプチャします。gcloud compute addresses create wsfc \ --subnet $SUBNET_NAME \ --region $(gcloud config get-value compute/region) LOADBALANCER_ADDRESS=$(gcloud compute addresses describe wsfc \ --region $(gcloud config get-value compute/region) \ --format=value\(address\)) && \ echo "Load Balancer IP: $LOADBALANCER_ADDRESS"
後で必要になるため、IP アドレスをメモします。
クラスタ IP として使用する別の静的 IP アドレスを予約します。
gcloud compute addresses create wsfc-cluster \ --subnet $SUBNET_NAME \ --region $(gcloud config get-value compute/region) && \ CLUSTER_ADDRESS=$(gcloud compute addresses describe wsfc-cluster \ --region $(gcloud config get-value compute/region) \ --format=value\(address\)) && \ echo "Cluster IP: $CLUSTER_ADDRESS"
後で必要になるため、IP アドレスをメモします。
これで、プロジェクトと VPC を WSFC と SQL Server にデプロイする準備が整いました。
監視ファイル共有を作成する
witness
をファイル共有監視として使用できるように準備するには、ファイル共有を作成し、ご自身と 2 つの WSFC ノードにファイル共有へのアクセス権を付与します。
- リモート デスクトップを使用して、
witness
に接続します。 ドメイン ユーザー アカウントでログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
- 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
監視フォルダを作成して共有します。
New-Item "C:\QWitness" -Type directory icacls C:\QWitness\ /grant 'node-1$:(OI)(CI)(M)' icacls C:\QWitness\ /grant 'node-2$:(OI)(CI)(M)' New-SmbShare ` -Name QWitness ` -Path "C:\QWitness" ` -Description "SQL File Share Witness" ` -FullAccess $env:username,node-1$,node-2$
フェイルオーバー クラスタのデプロイ
次に、VM インスタンスを使用して WSFC と SQL Server をデプロイします。
WSFC をデプロイする
ここでは、フェイルオーバー クラスタを作成します。
- リモート デスクトップを使用して、
node-1
に接続します。 ドメイン ユーザー アカウントでログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
- 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
新しいクラスタの作成
New-Cluster ` -Name windows-fci ` -Node node-1,node-2 ` -NoStorage ` -StaticAddress
CLUSTER_ADDRESS
CLUSTER_ADDRESS
は、前に作成したクラスタ IP アドレスに置き換えます。このコマンドにより、Active Directory ドメインにコンピュータ アカウント
windows-fci
が作成されます。witness
の PowerShell セッションに戻り、このコンピュータ アカウントに、ファイル共有にアクセスするためのwindows-fci
権限を付与します。icacls C:\QWitness\ /grant 'windows-fci$:(OI)(CI)(M)' Grant-SmbShareAccess ` -Name QWitness ` -AccountName 'windows-fci$' ` -AccessRight Full ` -Force
node-1
の PowerShell セッションに戻り、witness
のファイル共有をクラスタ クォーラムとして使用するようにクラスタを構成します。Set-ClusterQuorum -FileShareWitness \\witness\QWitness
クラスタが正常に作成されたことを確認します。
Test-Cluster
次のような警告が表示される場合がありますが、無視して問題ありません。
WARNING: System Configuration - Validate All Drivers Signed: The test reported some warnings.. WARNING: Network - Validate Network Communication: The test reported some warnings.. WARNING: Test Result: HadUnselectedTests, ClusterConditionallyApproved Testing has completed for the tests you selected. You should review the warnings in the Report. A cluster solution is supported by Microsoft only if you run all cluster validation tests, and all tests succeed (with or without warnings).
cluadmin.msc
を実行してフェイルオーバー クラスタ マネージャー MMC スナップインを起動し、クラスタの正常性を確認することもできます。Managed AD を使用している場合は、WSFC が使用するコンピュータ アカウントを Cloud Service Domain Join Accounts グループに追加して、コンピュータをドメインに参加させることができるようにします。
Install-WindowsFeature RSAT-ADDS Add-ADGroupMember ` -Identity "Cloud Service Domain Join Accounts" ` -Members windows-fci$
記憶域スペース ダイレクトの有効化
S2D を有効にし、前に作成した 3 つの永続ディスクを組み合わせたクラスタ共有ボリュームを作成します。
node-1
の PowerShell セッションに戻ります。S2D を有効にします。
Enable-ClusterStorageSpacesDirect
必要に応じて、ディスクのパフォーマンスを改善する必要がある場合は、標準 SSD 永続ディスクに加えて、SCSI ローカル SSD を S2D ノードに追加できます。ローカル SSD は S2D キャッシュ層として機能します。キャパシティ ドライブ(このケースでは SSD 永続ディスク)の数は、ローカル SSD の数の倍数にします。キャッシュによる S2D を有効にするには、次のコマンドを実行します。
Enable-ClusterStorageSpacesDirect -CacheDeviceModel "EphemeralDisk"
確認のメッセージが表示されたら、デフォルトを受け入れます。次のような警告が表示される場合がありますが、無視して問題ありません。
WARNING: 2021/04/08-13:12:26.159 Node node-1: No disks found to be used for cache WARNING: 2021/04/08-13:12:26.159 Node node-2: No disks found to be used for cache
必要に応じて、クラスタ共有ボリューム(CSV)のメモリ内キャッシュを 2,048 MB に設定し、読み取りスループットを改善します。
(Get-Cluster).BlockCacheSize = 2048
ReFS バージョンのクラスタ共有ボリュームと 64 KB のクラスタサイズを使用する新しいボリュームを作成します。
New-Volume ` -StoragePoolFriendlyName S2D* ` -FriendlyName FciVolume ` -FileSystem CSVFS_ReFS ` -UseMaximumSize ` -AllocationUnitSize 65536
ストレージ プールのフェイルオーバーをテストする
必要に応じて、ストレージ プールのフェイルオーバーが正常に機能するかどうかをテストできます。
- リモート デスクトップを使用して、
node-2
に接続します。 ドメイン ユーザー アカウントでログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[実行] を選択します。
- 「
cluadmin.msc
」と入力して [OK] を選択します。 左側のウィンドウ ペインで、[Failover Cluster Manager] > [windows-fci] > [Storage] > [Pools] に移動します。
[Owner node] が「
node-1
」に設定された、「Cluster Pool 1」というプールが表示されます。Cloud Shell に戻り、
node-1
VM をリセットしてフェイルオーバーをシミュレートします。gcloud compute instances reset node-1 --zone $REGION-a
node-2
のフェイルオーバー クラスタ マネージャーに戻ります。F5 キーを繰り返し押してビューを更新し、ストレージ プールのステータスを確認します。
約 30 秒後、[Owner node] が自動的に「
node-2
」に切り替わります。
デフォルトの SQL Server インストールを削除する
2 つのノードからデフォルトの SQL Server インストールを削除し、新しい FCI 構成に置き換えます。
node-1
と node-2
の 2 つの WSFC ノードそれぞれに、次の手順を行います。
- [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
- 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
デフォルトの SQL Server インスタンスを削除します。
C:\sql_server_install\Setup.exe /Action=Uninstall /FEATURES=SQL,AS,IS,RS /INSTANCENAME=MSSQLSERVER /Q
Microsoft OLE ドライバを削除します。
Get-Package -Name "Microsoft OLE*" | Uninstall-Package -Force
Microsoft ODBC ドライバを削除します。
Get-Package -Name "Microsoft ODBC*" | Uninstall-Package -Force
コンピュータを再起動します。
Restart-Computer
再起動が完了するまで 1 分ほど待ちます。
SQL Server FCI をインストールする
新しい FCI 構成をインストールする前に、node-1
がクラスタのアクティブ ノードであることを確認します。
- リモート デスクトップを使用して
node-1
に再接続し、ドメイン ユーザーを使用してログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[実行] を選択します。
- 「
cluadmin.msc
」と入力して [OK] を選択します。 左側のウィンドウ ペインで、[Failover Cluster Manager] > [windows-fci] に移動します。
[Current host server] が「
node-1
」に設定されていることを確認します。[Current host server] が「
node-2
」に設定されている場合は、左側のウィンドウ ペインで [windows-fci] を右クリックして、[More actions] > [Move core cluster resources] > [Select node…] > [node-1] を選択し、[OK] をクリックします。左側のウィンドウ ペインで、[Failover Cluster Manager] > [windows-fci] > [Storage] > [Pools] に移動します。
[Cluster Pool 1] の [Owner node] が「
node-1
」に設定されていることを確認します。[Owner node] が「
node-2
」に設定されている場合は、プールを右クリックして、[Move] > [Select Node] > [node-1] を選択し、[OK] をクリックします。
node-1
で新しい SQL Server フェイルオーバー クラスタ インストールを作成します。
- [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
- 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
SQL サーバーと SQL エージェントのドメイン ユーザー アカウントを作成し、パスワードを割り当てます。
Active Directory
$Credential = Get-Credential -UserName sql_server -Message 'Enter password' New-ADUser ` -Name "sql_server" ` -Description "SQL Agent and SQL Admin account." ` -AccountPassword $Credential.Password ` -Enabled $true -PasswordNeverExpires $true
Managed Microsoft AD
$Credential = Get-Credential -UserName sql_server -Message 'Enter password' New-ADUser ` -Name "sql_server" ` -Description "SQL Agent and SQL Admin account." ` -AccountPassword $Credential.Password ` -Enabled $true -PasswordNeverExpires $true ` -Path "OU=Cloud,DOMAIN"
DOMAIN
は、ドメインの識別名(DC=example,DC=org
など)に置き換えます。SQL Server の設定を開始します。
& c:\sql_server_install\setup.exe
左側のメニューで [Installation] を選択します。
[New SQL Server failover cluster installation] を選択します。
[Microsoft Update] ページで、[Next] を選択してインストールを開始します。
[Install Failover Cluster Rules] ページに、MSCS クラスタの確認の警告と Windows ファイアウォールの警告が表示されます。この警告は無視して [Next] を選択できます。
[Product Key] ページで、デフォルト値をそのまま使用して [Next] を選択します。
[License Terms] ページで、規約を確認し、同意する場合は [Next] を選択します。
[Feature Selection] ページで [Database Engine Services] を選択し、[Next] を選択します。
[Instance Configuration] ページで、ネットワーク名と名前付きインスタンスとして「
sql
」と入力し、[Next] を選択します。[Cluster Resource Group] ページで、デフォルト値をそのまま使用して [Next] を選択します。
[Cluster Disk Selection] ページで、[Cluster Virtual Disk (FciVolume)] を有効にして、他のすべてのディスクを無効にします。[Next] を選択します。
[Cluster Network Configuration] ページで次の設定を構成し、[Next] を選択します。
- DHCP: 消去します。
- IP アドレス: 内部ロードバランサの IP アドレスを入力します。
[Server configuration] ページで、SQL Server エージェントと SQL Server データベース エンジンの両方について、次の設定を構成します。
- アカウント名:
DOMAIN\sql_server
。DOMAIN
は Active Directory ドメインの NetBIOS 名です。 - パスワード: 前に作成したパスワードを入力します。
- アカウント名:
[Collation] タブを選択し、使用する照合を選択します。[Next] をクリックします。
[Database Engine Configuration] ページで、[Add current user] を選択して現在のユーザーを SQL Server 管理者として指定します。[Next] を選択します。
[Ready to Install] ページで設定内容を確認し、[Install] を選択します。
インストールが完了したら、[Close] を選択します。
これで、Active Directory ドメインには、SQL Server インスタンスを表すコンピュータ アカウント sql
と、内部ロードバランサの IP アドレスを指す対応する DNS エントリが含まれるようになりました。
次に、node-2
を SQL Server フェイルオーバー クラスタに追加します。
- リモート デスクトップを使用して
node-2
に接続し、ドメイン ユーザーを使用してログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
- 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
SQL Server の設定を開始します。
& c:\sql_server_install\setup.exe
左側のメニューで [Installation] を選択します。
[Add node to a SQL Server failover cluster] を選択します。
インストール ウィザードの手順に沿って、[Service Accounts] ページが表示されるまでデフォルトの設定を受け入れます。
[Service Accounts] ページで、以前に作成した SQL Server エージェントと SQL Server データベース エンジンのパスワードを入力します。[Next] を選択します。
[Ready to Install] ページで設定内容を確認し、[Install] を選択します。
インストールが完了したら、[Close] を選択します。
ヘルスチェックを構成する
最後の手順として、内部ロードバランサで使用可能なヘルスチェック エンドポイントを公開するようにクラスタを構成します。
node-2
の PowerShell セッションに戻ります。ロードバランサの IP アドレスを使用して変数を初期化します。
$LoadBalancerIP = '
IP_ADDRESS
'IP_ADDRESS
は、前に予約したwsfc
アドレスの IP アドレスに置き換えます。ヘルスチェック サービスに応答するようにフェイルオーバー クラスタを構成します。
$SqlGroup = Get-ClusterGroup | Where-Object {$_.Name.StartsWith("SQL Server")} $SqlIpAddress = Get-ClusterResource | Where-Object {$_.Name.StartsWith("SQL IP Address")} $SqlIpAddress | Set-ClusterParameter -Multiple @{ 'Address'=$LoadBalancerIP; 'ProbePort'= 59997; 'SubnetMask'='255.255.255.255'; 'Network'= (Get-ClusterNetwork).Name; 'EnableDhcp'=0; }
クラスタ リソースを再起動します。
$SqlIpAddress | Stop-ClusterResource $SqlIpAddress | Start-ClusterResource
クラスタ グループを再起動します。
$SqlGroup | Stop-ClusterGroup $SqlGroup | Start-ClusterGroup
内部ロードバランサを作成する
SQL Server クライアントに単一のエンドポイントを指定するため、内部ロードバランサをデプロイします。ロードバランサはヘルスチェックを使用して、トラフィックが WSFC のアクティブ ノードに転送されるかどうかを確認します。
- 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
非マネージド インスタンス グループを 2 つ(各ゾーンに 1 つ)作成し、2 つのノードをグループに追加します。
gcloud compute instance-groups unmanaged create wsfc-group-1 --zone $REGION-a gcloud compute instance-groups unmanaged add-instances wsfc-group-1 --zone $REGION-a \ --instances node-1 gcloud compute instance-groups unmanaged create wsfc-group-2 --zone $REGION-b gcloud compute instance-groups unmanaged add-instances wsfc-group-2 --zone $REGION-b \ --instances node-2
ロードバランサがアクティブ ノードの判別に使用できるヘルスチェックを作成します。
gcloud compute health-checks create tcp wsfc-healthcheck \ --check-interval="2s" \ --healthy-threshold=1 \ --unhealthy-threshold=2 \ --port=59997 \ --timeout="1s"
ヘルスチェック プローブ ポート
59997
は、以前に SQL Server IP アドレス リソース用にProbePort
として構成したポートです。バックエンド サービスを作成し、2 つのインスタンス グループを追加します。
gcloud compute backend-services create wsfc-backend \ --load-balancing-scheme internal \ --region $(gcloud config get-value compute/region) \ --health-checks wsfc-healthcheck \ --protocol tcp gcloud compute backend-services add-backend wsfc-backend \ --instance-group wsfc-group-1 \ --instance-group-zone $REGION-a \ --region $REGION gcloud compute backend-services add-backend wsfc-backend \ --instance-group wsfc-group-2 \ --instance-group-zone $REGION-b \ --region $REGION
内部ロードバランサを作成します。
gcloud compute forwarding-rules create wsfc-sql \ --load-balancing-scheme internal \ --address $LOADBALANCER_ADDRESS \ --ports 1433 \ --network $VPC_NAME \ --subnet $SUBNET_NAME \ --region $REGION \ --backend-service wsfc-backend
フェイルオーバー クラスタのテスト
フェイルオーバー クラスタのインストールは完了しましたが、クラスタが正常に機能するかどうかをテストする必要があります。
クライアントを準備する
フェイルオーバー クラスタへの接続に使用できる新しい VM インスタンスを作成します。
- 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
新しい VM インスタンスを作成します。
gcloud compute instances create sqlclient \ --zone $REGION-a \ --machine-type n2-standard-2 \ --subnet $SUBNET_NAME \ --image-family sql-ent-2019-win-2022 \ --image-project windows-sql-cloud \ --boot-disk-size 50 \ --boot-disk-type pd-ssd
シリアルポートの出力を表示して、VM の初期化プロセスをモニタリングします。
gcloud compute instances tail-serial-port-output sqlclient
Instance setup finished
という出力が表示されるまで数分待ちます。表示されたら Ctrl+C キーを押します。この時点で、VM インスタンスが使用できるようになります。VM インスタンスにユーザー名とパスワードを作成します。
リモート デスクトップを使用して VM に接続し、前のステップで作成したユーザー名とパスワードを使用してログインします。
[スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
コンピュータを Active Directory ドメインに追加します。
Add-Computer -Domain
DOMAIN
DOMAIN
は、Active Directory ドメインの DNS 名に置き換えます。コンピュータを再起動します。
Restart-Computer
再起動が完了するまで 1 分ほど待ちます。
テストを実行する
sqlclient
VM を使用して、フェイルオーバー クラスタに接続できることをテストし、フェイルオーバーが正しく機能していることを確認します。
- リモート デスクトップを使用して
sqlclient
に接続し、ドメイン ユーザーを使用してログインします。 - [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell] をクリックします。
TCP/IP と DNS 名
sql
を使用して SQL Server クラスタに接続し、dm_os_cluster_nodes
テーブルに対してクエリを実行します。& "$env:ProgramFiles\Microsoft SQL Server\Client SDK\ODBC\170\Tools\Binn\SQLCMD.EXE" ` -S tcp:sql -E -Q "SELECT * FROM sys.dm_os_cluster_nodes"
出力は次のようになります。
NodeName status status_description is_current_owner ------------------------------ ----------- ------------------ ---------------- NODE-1 0 up 1 NODE-2 0 up 0 (2 rows affected)
node-1
が SQL Server フェイルオーバー クラスタ リソースの現在のオーナーであることがわかります。Cloud Shell に戻り、node-1 VM を停止してフェイルオーバー シナリオをテストします。
gcloud compute instances stop node-1 --zone $REGION-a
クエリを繰り返します。
& "$env:ProgramFiles\Microsoft SQL Server\Client SDK\ODBC\170\Tools\Binn\SQLCMD.EXE" ` -S tcp:sql -E -Q "SELECT * FROM sys.dm_os_cluster_nodes"
出力は次のように変わります。
NodeName status status_description is_current_owner ------------------------------ ----------- ------------------ ---------------- NODE-1 1 down 0 NODE-2 0 up 1 (2 rows affected)
node-1
が失われたにもかかわらず、クエリに成功し、node-2
がフェイルオーバー クラスタの現在のオーナーであることが示されます。
制限事項
- S2D は Windows Server 2016 以降でのみサポートされています。
- S2D では、各ディスクにデータ全体の部分的なビューのみが含まれます。したがって、永続ディスクのスナップショットを作成するだけでは、データをバックアップできません。スナップショットではなく、ネイティブの SQL バックアップを使用してください。
クリーンアップ
チュートリアルが終了したら、作成したリソースをクリーンアップして、割り当ての使用を停止し、課金されないようにできます。次のセクションで、リソースを削除または無効にする方法を説明します。
プロジェクトの削除
課金されないようにする最も簡単な方法は、チュートリアル用に作成したプロジェクトを削除することです。
プロジェクトを削除するには:
- In the Google Cloud console, go to the Manage resources page.
- In the project list, select the project that you want to delete, and then click Delete.
- In the dialog, type the project ID, and then click Shut down to delete the project.