リージョン MIG のターゲット分配形態


デフォルトでは、リージョン マネージド インスタンス グループ(MIG)は選択されたゾーンにマネージド仮想マシン(VM)インスタンスを均等に分配します。ただし、すべてのゾーンでは使用できないハードウェアや選択したゾーンで一時的に使用できなくなる可能性があるハードウェアが必要な場合、またゾーン予約の使用を優先する場合は、別の分配方法が必要になります。

リージョン MIG がリージョン内の選択されたゾーンマネージド インスタンスを分配する方法を構成するには、MIG のターゲット分配形態を設定します。次のオプションが用意されています。

  • EVEN(デフォルト): 選択されたゾーン全体で同じ数の VM を完成、維持するために、VM の作成と削除が行われます。EVEN 分配では、2 つのゾーン間の VM の数の差が 1 つ以内になります。これは、高可用性サービスを提供するワークロードに適しています。
  • BALANCED: リソースが利用可能なゾーンで VM の作成を優先しますが、選択したゾーンに可能な限り均等に VM を分配して、ゾーン障害の影響を最小限に抑えます。これは、高可用性サービスを提供するワークロードやバッチ ワークロードに適しています。
  • ANY: リクエストされた数の VM を現在のリソース制約内で用意し、未使用のゾーン予約を最大限利用できるように、VM インスタンスの作成時にゾーンを選択します。高可用性が不要なバッチ ワークロードに適しています。
  • ANY SINGLE ZONE: 1 つのゾーン内にすべての VM インスタンスを作成するグループです。ゾーンは、ハードウェア サポート、現在のリソースと割り当ての可用性、および一致する予約に基づいて選択されます。VM 間の大規模な通信が必要なワークロードには、コンパクトなインスタンス配置ポリシーと組み合わせて使用することをおすすめします。

ワークロード要件と必要な MIG 機能に応じてオプションを選択します。比較表ユースケース分配形態の仕組みをご覧ください。

形態の比較

次の表では、ターゲット分配形態ごとに、対象のワークロード、目的、マネージド インスタンスの分配、機能サポート、リソースが利用できない場合の MIG の動作の簡単な説明を示します。

EVEN(デフォルト) BALANCED ANY ANY_SINGLE_ZONE
対象のワークロード 高可用性サービスを提供するワークロード(ステートレスまたはステートフル) 高可用性サービスを提供するワークロード(ステートレスまたはステートフル)

高可用性バッチ ワークロード
バッチ ワークロード VM 間の大規模な通信が必要なバッチ ワークロード
目的 各ゾーンのリソースに十分な可用性があることを全体に、ゾーンレベルの障害の影響を最小限に抑えます。 ゾーンレベルの障害の影響を最小限に抑え、各ゾーンのリソースの可用性を可能な限り考慮します。 リソースの取得と未使用の予約の使用を優先します。 すべての VM を 1 つのゾーンにまとめることで、VM 間のネットワーク レイテンシとコストを最小限に抑えます。
ゾーン間のマネージド インスタンスのターゲット分配 均等。

2 つのゾーン間でマネージド インスタンスの数が均等になります。リソースの可用性は考慮されません。*

ゾーン容量の制約がある場合、一部のマネージド インスタンスが起動しない可能性があります。
可能限り均等。

ゾーン間での VM の数の違いは、現在のリソースの可用性によって異なります。

リソースが利用可能であれば、分配は EVEN と似ています。リソースの制約が最も厳しい場合、分配形態は「任意」になることがあります。
任意。

ゾーンごとに、異なるマネージド インスタンスの数を指定できます(すべて、なし、も可能)。
シングルゾーン。

すべてのインスタンスが 1 つのゾーン内に作成されます。MIG は、ゼロ VM からスケールアウトするたびにゾーンを選択します。
機能サポート EVEN(デフォルト) BALANCED ANY ANY_SINGLE_ZONE
自動スケーリング (プレビュー)
カナリア更新
プロアクティブなインスタンスの再分配 不適用
予約 各ゾーンで最大限に利用できます。

予約はインスタンスの分配方法に影響しません。
各ゾーンで最大限に利用できます。

予約を使用すると、「バランス」形態に近づく場合ができます。
リージョン内で最大限に利用できます。

リージョン内で予約の使用が優先されます。
選択したゾーンで最大限に利用できます。

グループに VM がなく、1 つ以上の VM を作成する必要がある場合は常に、そのゾーンにも十分なリソースがあり、リクエストを満たすためのハードウェアをサポートしている場合、グループは予約が最も多いゾーンを優先します。
インスタンス テンプレートとステートフル構成のハードウェア要件(マシンタイプ、CPU、GPU、既存のディスク) 選択したハードウェアは、選択したすべてのゾーンで使用可能である必要があります。 選択したハードウェアは、少なくとも 1 つの選択したゾーンで使用可能である必要があります。 選択したハードウェアは、少なくとも 1 つの選択したゾーンで使用可能である必要があります。 選択したハードウェアは、少なくとも 1 つの選択したゾーンで使用可能である必要があります。
単一テナントノード
障害対応 EVEN(デフォルト) BALANCED ANY ANY_SINGLE_ZONE
ゾーン内のリソースが一時的に利用できない 影響

マネージド インスタンス数の少ないゾーンに新しいマネージド インスタンスを作成します。成功するまで、リソースを使用できないゾーンで VM インスタンスの作成を再試行します。

リスク: リソースが限られたゾーンには VM を作成できません。
復元性

リソースが利用できるゾーンで新しいマネージド インスタンスを作成し、インスタンスをゾーン間で可能な限り均等に分配します。

リスク: VM がゾーン間で均等に分配されないことがあります。
復元性

リソースが利用できるゾーン内に新しいマネージド インスタンスを作成し、未使用の予約を最大限使用します。

リスク: VM がゾーン間で均等に分配されないことがあります。
グループ作成時の復元性とゼロからのサイズ変更が可能

リソースが利用可能な単一のゾーン内に新しい VM インスタンスを作成します。

リスク: 選択したゾーンに十分なリソースがない場合、スケールアウト リクエスト時にすべての追加インスタンスが正常に作成されるとは限りません。
ゾーンレベルの障害 復元性

正常なゾーン内のインスタンスは引き続き稼働しているため、影響は最小限に抑えられます。

ゾーンが 1 つ不足しても処理を継続できるように追加のインスタンスをプロビジョニングすることで、影響を最小限に抑えることができます。
復元性

正常なゾーン内のインスタンスは引き続き稼働しているため、影響は最小限に抑えられます。

ゾーンが 1 つ不足しても処理を継続できるように追加のインスタンスをプロビジョニングすることで、影響を最小限に抑えることができます。
影響

障害が発生したゾーンに大半またはすべてのインスタンスが集中している場合、停止する可能性があります。
影響

選択したゾーンで障害が発生すると、停止は避けられません。

*ロード バランシングと自動スケーリングを構成していて、ゾーンに障害が発生した場合、負荷が増大するゾーンで VM が増加する可能性があります。プロアクティブなインスタンスの再分配を無効にして、ゾーンでインスタンスの追加や削除を行った場合、分配が不均等になる可能性があります。

ユースケース

機能サポートを確認して、ユースケースに応じて分配形態を選択します。

均等な分配でワークロードの復元力を優先する

パフォーマンスを低下させずにゾーンレベルの障害に対応する必要のある高可用性アプリケーションの場合は、ターゲット分配形態に EVEN を使用して、オーバープロビジョニングのグループサイズを指定します。グループ内のインスタンスをオーバープロビジョニングすると、ワークロードをゾーンレベルの障害から保護できます。

ワークロードに応じて、オートスケーラーを作成して負荷の増減に合わせてインスタンスを自動的に追加または削除することを検討してください。

EVEN のターゲット分配形態の詳細については、ターゲット分配形態の比較EVEN 分配形態の仕組みをご覧ください。

リージョン MIG に高可用性ワークロードをデプロイする場合の詳細については、以下のセクションをご覧ください。

均等な分配でリソースの取得を調整する

高可用性のワークロードまたはバッチ ワークロードを実行するときに、リージョン内の選択したゾーンで VM インスタンスを均等に分配してリソースの取得を調整する必要がある場合は、ターゲット分配形態に BALANCED を使用します。

BALANCED 形態は、リソースの取得を優先し、リソースを利用できるゾーンにインスタンスを作成します。ゾーン間で可能な限り均等にインスタンスを分配して、ゾーンレベルの障害の影響を最小限に抑えます。

ゾーンレベルの障害から保護する必要がないバッチ ワークロードを実行する場合は、ターゲット分配形態に ANY を使用します。ANY 形態は、リソースの取得およびゾーン予約の使用を優先します。

分配形態を BALANCED または ANY に設定すると、特定のゾーンで特定のハードウェアが使用できるかどうかを手動で検証する必要はありません。リージョン内のすべてのゾーンを選択できます。グループにより、必要なハードウェアが利用可能なゾーンにインスタンスが自動的にデプロイされます。

BALANCED のターゲット分配形態の詳細については、ターゲット分配形態の比較BALANCED 分配形態の仕組みをご覧ください。

リソースの取得を優先する

バッチ ワークロードでゾーンレベルの障害に対するワークロードの復元よりも、処理に必要なインスタンスの数の取得のほうが重要な場合は、ターゲット分配形態に ANY を使用します。

予約が一致する場合、ターゲット分配形態を ANY に設定し、一致する予約を含むゾーンの使用を優先します。インスタンス テンプレートで予約を構成する方法については、特定の予約からのインスタンスを使用するをご覧ください。

BALANCED ターゲット分配形態と同様に、バッチ ワークロードで次のいずれかの機能が必要な場合は、ANY 形態が有用です。

  • 特殊なハードウェアを備えた VM(特定の CPU プラットフォームや GPU モデルなど)。このグループは、リソースの可用性に応じて、また予約が一致するゾーンの設定に従って、リクエストされたハードウェアをサポートするゾーンにインスタンスをデプロイします。
  • プリエンプティブル VM。プリエンプティブル容量を利用できるゾーンを調べる必要はありません。プリエンプティブル容量を利用できるゾーンに自動的にデプロイされます。
  • コア数の多い VM。予約が一致するゾーンの設定に従って、使用可能な場所でサイズの大きいマシンが取得されます。

特定のゾーンで特定のハードウェアが利用可能かどうかを手動で検証する必要はありません。リージョン内のすべてのゾーンを選択できます。グループにより、必要なハードウェアが利用可能なゾーンにインスタンスが自動的にデプロイされます。

他のワーカーに影響を与えることなく、完了したジョブのバッチワーカー インスタンスを選択して削除できます。ターゲット分配形態が EVEN で、プロアクティブな再分配を行うグループとは異なり、ANY の分配形態が設定されているグループは均等な分配を必要としないため、再分配は行われません。

ANY のターゲット分配形態の詳細については、ターゲット形態の比較ANY ターゲット分配形態の仕組みをご覧ください。

VM 間のネットワーキングを最小限に抑える

バッチ ワークロードで、VM 間のネットワーク レイテンシとコストを削減するためにすべての VM を 1 つのゾーンに配置し、特定のゾーン要件がない場合は、グループのターゲット形態を ANY_SINGLE_ZONE に設定します。またコンパクト プレースメント ポリシーを作成して MIG に適用し、MIG 内の VM が互いに近く、同じネットワーク インフラストラクチャ上に配置されるようにすることもできます。

少なくとも 1 つの VM で MIG を作成し、VM のない MIG が再度スケールアウトする必要がある場合はいつでも、ANY_SINGLE_ZONE 形態は予約、割り当て、ハードウェア要件に基づいて最適なゾーンを選択します。

BALANCEDANY のターゲット形態と同様に、バッチ ワークロードで次のいずれかの機能が必要な場合は、ANY_SINGLE_ZONE 形態が便利です。

  • 特殊なハードウェアを備えた VM(特定の CPU プラットフォームや GPU モデルなど)。このグループは、リソースの可用性に応じて、また予約が一致するゾーンの設定に従って、リクエストされたハードウェアをサポートするゾーンにインスタンスをデプロイします。
  • プリエンプティブル VM。プリエンプティブル容量を利用できるゾーンを調べる必要はありません。ゾーンはプリエンプティブル容量を利用できるゾーンに自動的にデプロイされます。
  • コア数の多い VM。グループは予約が一致するゾーンの設定に従って、使用可能な場所でサイズの大きいマシンが取得されます。

特定のゾーンで特定のハードウェアが利用可能かどうかを手動で検証する必要はありません。MIG の作成時に、リージョン内のすべてのゾーンを選択すると、必要なハードウェアが使用可能なゾーンにインスタンスが自動的にデプロイされます。

すべてのANY_SINGLE_ZONE ターゲット分配形態の詳細については、ターゲット分配形態の比較ANY_SINGLE_ZONE ターゲット分配形態の仕組みをご覧ください。

特定のゾーン要件があり、どのような状況でも MIG がゾーンを切り替えないようにするには、ゾーン MIG を使用します。

仕組み

このセクションでは、次の状況でターゲット分配形態がどのように機能するかについて説明します。

  • MIG のサイズを変更する場合
  • ゾーンでリソースが一時的に利用できない場合
  • ゾーン障害が発生した場合

EVEN 分配形態

ターゲット分配形態が EVEN に設定され、プロアクティブな再分配が有効になっている場合、リソースの可用性に関係なく、リージョン MIG 内のマネージド インスタンスの数は 2 つのゾーン間で均等になります。ただし、ゾーンに実際の VM をプロビジョニングするリソースがない場合、マネージド インスタンスは実行されません。

EVEN 分配形態の MIG のサイズ変更

ターゲット分配形態が EVEN のグループは、ゾーン全体でマネージド インスタンスの数を均等にするため、インスタンスを追加または削除するゾーンを選択します。

たとえば、次の図はグループがマネージド インスタンスを追加または削除する方法を示しています。

「均等」ターゲット分配形態では、ゾーン全体でインスタンスの追加と削除が行われます。
EVEN 分配形態の MIG のサイズ変更

一時的に利用できないリソースの影響

グループを作成するか、インスタンス数を増やすときに、ゾーンでリソースが一時的に使用できない場合があります。たとえば、プリエンプティブル インスタンスや特殊なハードウェアを限定的にリクエストしたときに、こうしたリソースが利用できないことがあります。

ゾーン間でインスタンスの均等な分配を維持するため、リソースが一時的に利用できないゾーンで VM インスタンスの作成が試行されます。最終的に、リソースが使用可能になった後、このグループは実行中のすべての VM インスタンスを取得することになります。

次の図は、リソースを一時的に使用できないためにゾーンがリクエストに対応できない場合の動作を示しています。

ターゲット分配形態が「均等」に設定されているときに VM が使用できない場合、利用可能になるまで、自動修復により VM の作成が継続的に試行されます。
分配形態が EVEN の MIG でリソースが一時的に利用できない場合の影響

ゾーンレベルの障害の影響

ターゲット分配形態に EVEN(または BALANCED)を使用すると、追加のインスタンスをプロビジョニングして、ゾーンレベルの障害の影響を最小限に抑えることができます。

ターゲット分配形態に EVEN(または BALANCED)を使用して 3 つのゾーンにリージョン MIG をデプロイしている場合、ゾーンレベルの障害が発生すると、インスタンスの 1/3 が失われる可能性があります。より多くの VM をプロビジョニングして、その 2/3 で負荷が処理されるようにすると、ゾーンレベルの障害が発生した場合にも十分な容量を確保できます。

たとえば、3 つのゾーンでリクエストを処理するために 8 個のインスタンスが必要な場合、ゾーンレベルの障害からワークロードを保護するには、12 個のインスタンスを含むリージョン グループを作成する必要があります。次の図は、1 つのゾーンで障害が発生した場合の動作を示しています。

ターゲット分配形態が「均等」の場合、MIG をオーバープロビジョニングすると、ゾーンで障害が発生しても十分な数の VM が維持されます。
分配形態が EVEN の MIG に対するゾーン障害の影響

EVEN のターゲット分配形態では、このような状況でも自動スケーリングと負荷分散が機能します。ゾーンレベルで障害が発生した場合、ロードバランサは残りの 2 つのゾーンのインスタンスにトラフィックを送信し、これらのゾーンで障害が発生したゾーンからのトラフィックが処理されます。

リージョン MIG とオートスケーラーの連携の仕組みについては、リージョン MIG の自動スケーリングをご覧ください。

BALANCED 分配形態

ターゲット分配形態が BALANCED のリージョン MIG は、ゾーン間での均等な分配が行われない可能性があります。特に、リクエストされたリソースがゾーンで利用されない場合、このような状況が発生します。

MIG は、リソースが利用可能なゾーンで VM を作成し、リクエストされた VM のプロビジョニングを優先します。リソースが利用可能であれば、分配は EVEN と似ています。リソースの制約が最も厳しい場合、分配形態は「任意」になることがあります。

BALANCED 分配形態の MIG のサイズ変更

グループサイズを大きくする

BALANCED ターゲット分配形態の場合、MIG のインスタンス テンプレートで指定したリソースの現在の可用性に基づいて、新しいインスタンスが選択されます。

  • 選択したすべてのゾーンで十分なリソースがある場合、EVEN ターゲット分配形態と同じ方法でゾーン間で均等な分配が維持されます。
  • ゾーンの容量の制約で均等な分配が実現できない場合は、リソースを利用できるゾーンにインスタンスが作成され、可能な限り均等に分配されるように施行されます。

たとえば、すべてのゾーンで均一に利用できない専用の CPU プラットフォーム、GPU モデル、プリエンプティブル VM などをリクエストすると、容量の制約のため、不均等の分配が発生する可能性があります。

「バランス」ターゲット分配形態では、現在の容量に基づいてゾーン全体で可能な限り均等になるようにインスタンスの追加と削除が行われます。
BALANCED 分配形態の MIG のサイズ変更

グループサイズを小さくする

サイズを小さくすると、ターゲット分配形態が BALANCED のリージョン MIG は、ワークロードの中断を最小限にするため、次の順序でインスタンスを削除します。

  1. 実行されていないインスタンス。これは、なんらかの理由で作成できなかったか、作成または自動修復中のインスタンスを意味します。
  2. グループ内の VM の数が多く、最終的に均等な分配状態になるゾーン内のインスタンス。

一時的に利用できないリソースやゾーン障害の影響

BALANCED ターゲット分配形態の場合、容量が使用可能なゾーンにインスタンスがデプロイされます。一時的なゾーン容量の制約により、ゾーン間でインスタンスの割り当てが不均等になることがあります。

この場合、VM インスタンス数が最も多いゾーンで障害が発生すると、ワークロードの処理能力の大部分が失われる可能性があります。正常なゾーンに一時的な容量の制約がある場合、元のロケーション(障害が発生したゾーン)で障害の起きたインスタンスの再作成が施行されますが、この試行は失敗する可能性があります。

このような極端なケースでワークロードを保護するには:

  • リージョン MIG のサイズをオーバープロビジョニングします。これにより、ゾーン障害の発生時にワークロードで十分な処理能力を確保できます。
  • ピーク時の負荷に対応できる十分な容量のリソースを各ゾーンで予約し、オーバープロビジョニングを行い、ゾーン間で均等な分配を維持します。これにより、ゾーン間でインスタンスを均等に分配し、ゾーン障害発生時の容量消失を最小限に抑えることができます。

次の図に、一時的なゾーン容量の制約とそれに続いてゾーン障害が発生した場合の影響を示します。

「バランス」ターゲット分配形態で VM が使用できない場合、分配が不均衡になる可能性があります。その後、ゾーン障害が発生すると、利用可能になるまで、自動修復により障害の起きた VM の作成が継続的に試行されます。
リソースが一時的に使用できず、さらにゾーン障害が発生した場合の BALANCED 分配形態の MIG に対する影響

リージョン内のどのゾーンでもリクエストを処理できない場合、グループは、一時的にリソースを使用できないゾーンで VM の作成をスケジューリングします。グループは、最初に作成をスケジューリングしたゾーンでインスタンスの作成を継続的に試みます。VM がスケジュールされた元のゾーンより前に他のゾーンでリソースが使用可能になると、それ以外のゾーンでの作成は行いません。作成に失敗したマネージド インスタンスを削除し、グループを目的のサイズに変更すると、使用可能な容量のあるゾーンで新しいインスタンスを手動でスケジューリングできます。

VM の作成に失敗した場合は、マネージド インスタンスのリストを取得して、対応するマネージド VM インスタンスのエラー メッセージを確認するか、最近発生したエラーの一覧を取得できます。

ゾーン障害が発生した場合、BALANCED ターゲット分配形態で自動スケーリングとロード バランシングが適切に機能します。障害が発生したゾーンからのトラフィックに対応するため、ロードバランサは残りのゾーンのインスタンスにトラフィックを送信します。オートスケーラーは、ゾーンでの使用率の増加に対応し、正常なゾーンに容量を自動的に作成します。詳細については、リージョン MIG の自動スケーリングをご覧ください。

ANY 分配形態

ターゲット分配形態が ANY に設定されている場合、リージョン MIG はリソースが使用可能なゾーンにマネージド インスタンスを作成して、リソースの取得を優先します。この場合、すべてのインスタンスが 1 つのゾーンに作成されている可能性も、すべてのゾーンに均等に分散されている可能性もあります。また、その中間の状態になっていることもあります。

ANY 分配形態の MIG のサイズ変更

グループサイズを大きくする

グループサイズを大きくすると、グループは利用可能な容量があるゾーンを選択します。

1 つ以上のゾーンに一致する予約がある場合、その予約の使用が優先されます。ただし、グループサイズを小さくすると、使用された予約が再び使用可能になるまでに数分を要する場合があります。この間に、以前使用した予約が現段階で使用できない場合は、グループサイズを拡大した際に一致する予約がないと、リソースを利用できるゾーンに VM インスタンスが作成されます。

グループサイズを小さくする

グループサイズを小さくすると、次の順序で VM インスタンスが削除されます。

  1. なんらかの理由で実行されていない VM
  2. 目的のバージョンにまだ更新されていない VM
  3. 決定論的に選択された VM

特定のゾーンでグループサイズを削減する場合や、特定の VM インスタンス(ジョブを終了したワーカーなど)を削除する場合は、グループから特定のインスタンスを削除できます。

一時的に利用できないリソースの影響

ターゲット分配形態を ANY に設定すると、リクエストされたリソースが利用可能なゾーンで VM インスタンスの作成がスケジューリングされ、一時的にリソースを使用できないゾーンが回避されます。

リージョン内のどのゾーンでもリクエストを処理できない場合、グループは、一時的にリソースを使用できないゾーンで VM の作成をスケジューリングします。グループは、最初に作成をスケジューリングしたゾーンでインスタンスの作成を継続的に試みます。VM がスケジュールされた元のゾーンより前に他のゾーンでリソースが使用可能になると、それ以外のゾーンでの作成は行いません。実行されていないマネージド インスタンスを削除し、グループを目的のサイズに変更すると、使用可能な容量のあるゾーンで新しいインスタンスを手動でスケジューリングできます。

VM の作成に失敗した場合は、マネージド インスタンスのリストを取得して、対応する VM インスタンスのエラー メッセージを確認するか、最近発生したエラーの一覧を取得できます。

たとえば、次の図は、ゾーンがリクエストを処理できないときにリージョン グループがインスタンスをスケジューリングする方法を示しています。

ターゲット分配形態を「任意」に設定した場合、リクエストされたリソースを利用できるゾーンに VM が作成され、一時的にリソースを使用できないゾーンが回避されます。
分配形態が ANY の MIG でリソースが一時的に利用できない場合の影響

ゾーンレベルの障害の影響

ターゲット分配形態を ANY に設定すると、インスタンスの大半またはすべてが単一ゾーンにデプロイされる場合があります。ゾーンで障害が発生すると、その間、グループのほとんどのインスタンスが使用不能になる可能性があります。

ゾーンレベルの障害が発生した場合やリソースが一時的に使用できなくなった場合、また、なんらかの理由で VM インスタンスが実行されていない場合は、実行されていない個々のインスタンスを削除してグループを必要なサイズに変更し、使用可能な容量があるゾーンで代替インスタンスの取得を試みることができます。

ターゲット分配形態が「任意」に設定されている場合、リクエストされたリソースを利用できるゾーンに VM が作成されます。なんらかの理由でリソースが利用できない場合は、グループのサイズを縮小し、その後、グループのサイズを大きくして別のゾーンで VM の取得を試みることができます。
リソースが一時的に使用できない場合に ANY 分配形態の MIG でインスタンスの削除と再作成を行う

ANY_SINGLE_ZONE 分配形態

ターゲット分配形態が ANY_SINGLE_ZONE のリージョン MIG は、グループの最初の VM の作成時に最適なゾーンを自動的に選択します。最初の VM が作成されると、他のすべての VM も同じゾーンに作成されます。

MIG が別のゾーンを選択できるのは、VM が 0 にスケールダウンされ、最初の VM が再び作成される場合のみです。

最適なゾーンの選択

選択したゾーンのいずれか 1 つのみがグループのハードウェア要件をサポートしている場合、Compute Engine はこのゾーンを選択します。

選択した複数のゾーンがグループのハードウェア要件をサポートしている場合、Compute Engine は、すべてのリージョン MIG の VM に対応できる十分なリソースを持つゾーンを選択します。このとき、一致する予約が最も多いゾーンが優先されます。

選択したゾーンのいずれにも、すべての VM を収容するのに十分な利用可能なリソースまたは一致する予約がない場合、Compute Engine はできる限り多くの VM を作成するために、使用可能なリソースと一致する予約があるゾーンを選択します。このとき、一致する予約が最も多いゾーンが優先されます。グループは、別のゾーンでリソースが早期に利用可能になっても、引き続き同じゾーンに VM の残りを作成しようとします。

ANY_SINGLE_ZONE 分配形態の MIG のサイズ変更

グループサイズを大きくする

MIG に VM がすでに存在し、ターゲット分配形態が ANY_SINGLE_ZONE に設定されている場合、すべてのスケールアウト オペレーションで MIG は新しい VM を既存の VM と同じゾーンに配置します。追加の VM に対応できる十分なリソースや予約がない場合、MIG は可能な限り多くのリソースを作成します。

MIG に VM がない場合、スケールアウト時に、グループのハードウェア要件をサポートし、一致する予約を使用する最適なゾーンが選択されます。

グループサイズを小さくする

スケールイン時に ANY_SINGLE_ZONE 分配形態のリージョン MIG は次の順序で VM を削除します。

  • ワークロードの中断を制限するため、RUNNING 状態でない VM が最初に削除されます。実行されていない VM は、なんらかの理由で作成できなかった VM、現在作成または修復中の VM です。
  • グループの最新構成を使用しない VM。
  • 決定論的に選択された VM

一時的に利用できないリソースの影響

ターゲット分配形態が ANY_SINGLE_ZONE に設定されているリージョン MIG は、選択したゾーンでリソース不足の影響を受ける可能性があります。

MIG が選択したゾーンでリソースが一時的に使用できなくなっても、MIG はゾーンを自動的に切り替えません。つまり、十分なリソースが使用可能になるまで、スケールアウト プロセスと更新プロセスが中断される可能性があります。

ゾーンレベルの障害の影響

ターゲット分配形態が ANY_SINGLE_ZONE に設定されているリージョン MIG は、ゾーン障害の影響を受けやすくなります。

万一、リージョン MIG の VM をホストするゾーンでゾーン障害が発生した場合、MIG のすべての VM がワークロードを処理できなくなる可能性があります。

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