タイトル:機械学習を学習する PANEL 1 (Title Panel) 説明:ロゴをフィーチャしたタイトルパネルと、メインキャラのマーサ、フリップ、ビット、そしてマーサの上司メルの顔。 タイトル:機械学習を学習する キャプション(矢印の形):主演、マーサ 働きすぎのエンジニア! マーサ:これってお手当て付くの? ナレーター:そしてフリップと… ナレーター:…ビット! キャプション(矢印の形):…それに、史上最悪の上司、メル。 メル:私、なんにもわからない! ナレーター:Google AI のオンラインコミック

シーン 2:30代なかばのエンジニア、マーサがオフィスで仕事していたら、上司のメルがパーティションごしに話してきた。 ナレーター:エンジニア部門のどこかで…… メル:マーサ! ちょっとお願いがあるのだけど。 マーサ:サラマンダーのエサやりはラヒームの順番でしょ。

シーン 3:いやな予感がしつつもマーサが振り返る。 メル:部長がさ、機械学習について聞きかじって、「それを全部に入れろ」って言うんだ。引き受けてくれないかな? マーサ:機械学習? 私、よくわかりませんよ……。

シーン 4:マーサが何か言う前に、メルはスマホを片手にさっといなくなる。 メル:あ、電話に出なきゃ。じゃあがんばってね! マーサ:えーっ……。

シーン 5:困り果てて頭を抱えるマーサは、どうすればいいか必死に考えていた。背の高い男性の同僚は彼女を見てどうしたのだろうという顔。女性の同僚はスマホを見ながらマーサの問いに皮肉っぽく答える。 マーサ:困った。機械学習に詳しい人なんてここにいるのかしら。 誰かはいるはず……。 同僚:この会社に?(笑)

シーン 6:これも運命とあきらめボーッとした頭でドアの前を通り過ぎると、そこには大きな文字が。 マーサ:10冊くらい資料を読まなきゃ……。 ドアの文字:今朝はなかった謎のドア

シーン 7:マーサは急に立ち止まり、ドアの文字を見た。 マーサ:えっ、ちょっと待って!?

シーン 8:暗い部屋の中に入っていくマーサ。その奥には、何かの物影が。 マーサ:すみません、誰かいますかー?

シーン 9:暗闇から機械音のような拍手が二回聴こえ、マーサは驚いた。 擬音:パチパチ!

シーン 10:明かりがつき、ふたりが現れた。一方は、ふわふわ浮いている球形ロボットの「ビット」。つめの付いた手にくねくね曲がる腕、頭にアンテナが付いている。もう一方はタキシード柄のネコの「フリップ」で、キャットタワーに座っている。手前のマーサは混乱したようす。 ビット:驚かせてごめんね! フリップ:人間は暗がりでは何も見えないんだったね。 マーサ:私、頭でも打ったのかしら……?

シーン 11:ビットはマーサの頭のまわりを回り、フリップは肩に飛び乗った。マーサはとまどいながらも答えようとする。 ビット:これは現実だよ! いまの君は機械学習についていろいろ知りたいって、僕らのモデルが予測したんだ。ところで僕はビット。 フリップ:僕はフリップ。 ねえ、君ってかわいそうなくらい能力が低そうだけど、ML(機械学習)ってなんだと思う? マーサ:わ、わたしはマーサ……。

シーン 12:マーサとビットは会話を始めた。機械学習について考えるマーサの頭の中には、人工知能の用途を表すいろいろな絵が浮かんだ。 マーサ:機械学習って、人工知能の一分野でしょ? 画像認識とか、言語処理とか、リコメンドとか、自律運転とか……。 それと、シュワルツネッガーのタイムワープとか、キアヌリーブスみたいな?? ビット:そうそう、半分当たってる。

シーン 13:フリップは人工知能の各分野を描いた円形の図のまわりを歩き出した。図には「人工知能」というラベルが付いており、その中心にビットは「機械学習」と書いた。 ラベル:人工知能 機械学習 画像認識 言語処理 リコメンシステム ロボティクス 医療診断 自律運転 フリップ:機械学習は人工知能の一分野とも言えるけど……。 でも、

シーン 14:ビットは図の中の各分野にまたがる大きな円を描き、機械学習はほぼすべての分野とオーバラップすることを表した。 ラベル:人工知能 機械学習 ビット:人工知能の各分野に含まれる重要な要素でもあるんだ!

シーン 15:説明:マーサの考え込む顔。ビットとフリップは説明を続ける。 フリップ:機械学習とは、ある問題を解く計算機が、プログラミングの代わりに経験から学ぶ仕組みのこと。 ビット:つまり、計算機がついに新しい領域に足を踏み入れたんだ。 マーサ:はあ。

シーン 16:1950年代終わりから2020年代まで続く年代表(少し未来も見えている)。そこには計算機のさまざまな歴史が記されている。 ビット:アラン チューリングが「人工知能」について語りだした 2〜3 年後の 1959 年、IBMのアーサー サミュエルが「機械学習」という言葉を生み出した。 マーサ:待って。機械学習がそんな前からあるなら、なぜいま流行っているの? 年代表のラベル:サミュエルが機械学習と命名 ARPANET TCP/IP マイクロソフト アップル Web ブラウザ グーグル フェースブック ツイッター コールミーメイビー シャークナド 月が爆発 テイラースイフトが大統領に(ラベルがほとんど隠れている)

シーン 17:ビットがぐるっと円を描き、その周りに電球(アイディア)と GPU (ハードウェア)、そしてゼロイチの並び(データ)が浮かぶ。マーサはその図を見る。 ビット:新しい計算の方法と、たくさん集められたデータ、そしてハードウェアの進化が組み合わされて、機械学習がいま劇的に発展したんだ! フリップ:つまり、宇宙の終わりが来る前にはなんとか役に立ったってことさ。

シーン 18:マーサはまだ疑わしいようすで、プログラムが書かれた紙が左手に浮かぶ。 マーサ:それはいいけど、「プログラミングの代わりに」ってところが怪しいわ。計算機ってプログラムで動くものでしょう。 私の書くプログラムと機械学習はどう違うの? フリップ:機械学習は、プログラムの代わりにデータで動くんだ。見てて。 ビット、ML メタファーモードだ! ビット:オーケー!

シーン 19:いつのまにかフォークをくわえているフリップがマーサから飛び降り、手前に現れた台に乗る。ビットはくるくると浮き上がり、白目の「メタファーモード」に変化した。 フリップ:分類の問題をやってみよう。まずはこの……、 フォークだ! マーサ(小声で):それどこに持ってたの……?

シーン 20:台に座ったフリップが普通のテーブルフォークを前足で掲げた。ビットが答える。 フリップ:ねえビット、これはフォークだ。 わかった? ビット:わかった! フォークだね。

シーン 21:つぎにフリップはミニカーを取り出した。ビットは自信たっぷりに答える。 フリップ:じゃあこれは何? ビット:さっき教えてもらったから、これは絶対、 フォークだ!

シーン 22:マーサは後ろで疑い深そうに腕組みをして見ている。ビットはニコニコ、フリップはマーサをちらっと見る。 マーサ:……大したことないわね。

シーン 23:フリップはビットに向き直り、ビットの答えを訂正し、ビットも了解する。 フリップ:ごめん、これはフォークじゃないんだ。 ビット:オーケー! これはフォークじゃない!

シーン 24:フリップは今度は木でできたフォークを掲げ、ビットが答える。マーサはいぜん懐疑的。 フリップ:じゃあこれは? ビット:うーん、フォークかな。80% くらいの確かさで。 マーサ:まあそれは簡単よね。機械学習がなくても完璧に動くプログラムを書けるわ。

シーン 25:マーサは自信たっぷりにプログラムを読み上げる。フリップはからかうような表情。ビットは聞いておらず、フォークとスプーンで遊んでいる。 マーサ(吹き出しにプログラム):if ((thing.isStainlessSteel() OR Thing.isWood()) AND (thing.hasFourTines() OR Thing.hasThreeTines()) {isFork(); }else {isNotFork(); } フリップ:オーケー、わかった。

シーン 26:マーサとフリップの間に巨大なフォークが突き刺さる。マーサはフォークを動かそうともがく。ビットはまだ食器で遊んでいる。 フリップ:じゃあ、世界中のあらゆるフォークを分類するプログラムを書いてみて。 プラスティック フォーク、アンティークのフォーク、2 本歯のフォーク、5 本歯のフォーク、巨大なフォーク、ガラスのフォーク……。 マーサ:だめ! フォークかどうかを決めるルールをすべて書かないと。 「フォーク」っていったい何なの!?

シーン 27:巨大なフォークは上に戻り、ロープの端が降りてきた。 フリップ:そのとおり! でも、きちんと選んだデータと機械学習を使って―― ――そして十分な学習とテストを行えば……。

シーン 28:看板のついたロープをフリップが自信たっぷりに引くと、何十もの食器や家電が空から落ちてきた。ヘラやボウル、ミキサー、コップ、コショウ入れ、マグカップ、レモン絞り、泡立て器、トースター、スプーン、フォークなどなど。それぞれに「フォーク」か「フォーク以外」というラベルが付いている。ビットは落ちてきた食器たちに囲まれ喜び、マーサは驚いて見ている。 看板:引くとラベル付きデータが出ます ビット:イェーイ!

シーン 29:マーサの見ている前で、フリップがプラスティックの先割れスプーンをビットに見せた。ビットはしっかりと答える。 フリップ:これは何だい? 93.4% の確率でフォークです。

シーン 30:話し合う三人。フリップは台から降りる。 マーサ:なるほどね、意味が分かってきたわ。 ビット:もちろん現実にはもっといろいろなモノがあるし、機械学習にできることは分類だけじゃない。 フリップ:でもひとつ言えるのは、機械学習はデータ中心のアプローチ。実施の例から学び、データからパターンを見つけ、結果を推測できるんだ。

シーン 31:マーサは腕組みをして、まだ納得いかないようす。ビットはマーサに答え、フリップもビットに問いただす。 マーサ:面白いけど、計算機が「学ぶ」って具体的にどういうこと? ビット:じゃあ、例えばオレゴン州ポートランドの住宅価格を予測したいとして……。 マーサ:待って。なぜポートランドに限定するの? いっつもポートランドの例ばかり。 フリップ:ポートランドの全部の家じゃなくて?

シーン 32:マーサの腕にミニチュアの家が 10 個落ちてきた。家から誰かが振り落とされている。フリップはこぼれ落ちた小人の家族にじゃれつく。 マーサ:うわ! ビット:じゃあ、とにかく 10 件の家の大きさと価格だけわかってるとしよう。 そのデータを使って他の家の価格を予測するにはどうすればいい?

シーン 33:気を取り戻したマーサは、家のマークを表に張っていく。広さと価格をそれぞれ X 軸と Y 軸にあてはめたグラフが現れる。それぞれ家を表す 10 個の点を通る直線が引かれる。 マーサ:私だったら、家の広さと価格を表計算に入れて、それぞれ X 軸と Y 軸とした点を打ち、そこを通る直線を引くわ。高校の数学でやったみたいに。 ビット:その通り! ごく簡単な線形回帰だね。 フリップ:じゃあ、家をもう 10 軒足してみよう!

シーン 34:グラフに 10 個の新しい点が現れた。マーサは直線がすこしずれていることに気づく。ビットとブリップはそれを楽しげに見守る。 マーサ:あれ。

シーン 35:マーサは新しいデータに沿うように直線を引き直し―― マーサ:ここをこうして……。 ちょっと角度を変えて……。

シーン 36:――それを満足げに見た。 マーサ:うん、よくなった。 ビットとフリップ(声を合わせて):それだ!

シーン 37:フリップはマーサの胸にジャンプし、ビットも飛んできた。マーサはちょっと引き気味。 ビット:ほら見て! データから仮説を作って、新しいデータから分かった仮説の誤りの大きさをざっと測って、データに沿うように仮説を直したよ! フリップ:人間も学べるんだね! 奇跡だ!

シーン 38:大げさなビットとフリップを、マーサはたしなめるように振り払う。ふたりは気にしていない。 マーサ:やめてよ! 私はただ、間違ってるところを直しただけ。誰でもやることよ。 ビット:人間には簡単だけど、機械にはそうじゃない。人間みたいに「直感」でフォークとスプーンを見分けたり家賃を当てたりできないからね。 フリップ:機械学習では、間違いを一歩ずつ直していくんだ。

シーン 39:8 個のグラフが並び、それぞれに構成や精度の異なる回帰直線や決定境界が描かれている。それらのエラーの大小を表す棒グラフがその下にあり、フリップはその上を歩いている。 フリップ:分類にせよ回帰にせよ、機械学習はまず仮説を決めることから始まる。 エラーの小さな仮説もあれば、大きい仮説もある。

シーン 40:今度は巨大な棒グラフが現れ、大小さまざまな大きさのエラー率がまるで高層ビル群のよう。おぼつかない足取りでその上に立つマーサは、高くて怖がっている様子。ビットとフリップは何でもないように説明を続ける。 ビット:機械学習が仮説をちょっと修正すると、エラー率は上がったり下がったり、もしくはそのままだったりする。普通のエンジニアなら、もちろんエラーは……。 マーサ:ええ、ここを降りて行くの?! フリップ:そう!

シーン 41:棒グラフが全部消えて、降りる先が見えなくなったマーサはパニックになった。 ビット:機械学習モデルのエラー率がいちばん低い場所をめざして降りて行くんだ。そうすればーー。 マーサ:いやいや、私はもう本当に降りたいんだけど。 あ! なんで何も見えなくなったの?

シーン 42:ビットとフリップはいたずらっぽく説明を続ける。 ビット:ふふ。 フリップ:これで降りやすくなったでしょ?

シーン 43:マーサがひざまづくと、足元に短い点線が現れた。フリップがその上を左から右へ歩くと、すこし下りになっている。目には見えないけど、なだらかな地形が 3 人を取り囲んでいて、ビットはそれを身ぶりで表している。 マーサ:さっきのビルみたいなエラーのかたち……、どこに行ったの? ビット:僕たちの周りにまだあるよ! フリップ:でも、このエラーのかたちって、

シーン 44:フリップがゆっくり歩くと、左から右へと点線がゆるやかに下っている。 フリップ:機械学習ではエラー関数とか損失関数とか呼ばれていて、 そのかたちを調べるには、

シーン 45:フリップがさらに歩くと、点線の下り坂がはっきり見えてきた。マーサとビットはそれを目で追う。 フリップ:そこをゆっくり降りてくしかない! このやり方を、勾配降下法って言うんだ。

シーン 46:ビットは大工が使う水平器を点線の上に置いて、楽しそうに下りの傾きを測っている。マーサはスマートフォンを取り出した。 ビット:大工さんがこれまで四世紀にわたって使ってきた古き良き「水平器」のように、機械学習のモデルはいちばん急な傾きの角度を測るんだ。 マーサ:ねえ、私のスマートフォンにも傾きを測れるアプリがあった!

シーン 47:ビットはお気に入りの水平器がマーサのアプリで置き換えられて、少ししょんぼり。マーサは先に下ったフリップを追って右へ向かう。 ビット(しょんぼりしながら):まあ、それでもいいね。アプリね……。 マーサ:待って!

シーン 48:フリップは、この点線の谷の底らしい場所で立っていた。マーサは点線につかまりながらそろそろと降りていった。ビットもマーサについてきた。 マーサ:つまり、勾配降下法って、エラーの坂を下って、正解の谷底に向かうハイキングみたいなものね? フリップ:そう! というか「かなり正解に近い谷底」かな。 機械学習はデータサイエンスと統計の一分野だから、確率的な側面が色濃くあるんだ。

シーン 49:パネルの上半分に横座りするフリップ。下半分には、底に向かってボールが転がるアニメで勾配降下法の動きを再現している。それに合わせて、「回帰」ラベルの付いたグラフでは、回帰直線がもっとも正確な場所に移動する。するとパネルが反転し、今度は「分類」のラベルが付いた分類境界のグラフが現れる。このアニメは 2 つのグラフを繰り返し表示している。 フリップ:つまり、この坂を下ることが問題を解くことになるんだ。勾配降下法は、機械学習モデルの空間の中で、問題の解き方を学習で得るプロセスと言える。

シーン 50:マーサとフリップを遠くから俯瞰した図。ふたりは谷の底に着いたと思っていたが、ビットが点線をさらに伸ばすと、もっと低い場所が見つかった。 フリップ:機械学習は新しい分野。みんながそれを研究中で、難しい部分もまだまだあるんだ。 ……例えばこういうふうに、降下の途中で「局所解」と呼ばれるニセの谷底に捕まることもある。 ビット:気をつけて!

シーン 51:3 人が議論している。 ビット:機械学習は動く標的とも言える。いまは定番になってるツールや手法も、将来もそうだとは限らない。 フリップ:そのとおり! 例えば、エラーを最小にするにも、勾配降下法がいつまでもベストとは限らない。 エラーを最小化するオプティマイザは他にもいろいろある。 マーサ:ふーむ。そういえば……。

シーン 52:マーサはさきほどの家賃予測の回帰グラフを見せる。 マーサ:水を差してわるいけど、属性(列)がひとつで、合計 20 件の住宅データで家賃予測するのに、死ぬほどがっつり計算しなきゃならないの? ビット:いや。 フリップ:まさか!

シーン 53:突然、3 人は宙に浮き、無限に広がる巨大な表計算シートの前に。 ビット:でも、200 属性ある住宅データが 2000 万件の場合はどう? マーサ:うひゃー! フリップ:にゃー!

シーン 54:マーサは巨大なシートを見ている。フリップはマーサのシャツにぶらさがる。 マーサ:うん、たしかに。でも、これよく見ると、あんまり意味のない変数も多いじゃない。「庭にある妖精の人形数」って何よ。 ビット:そう! つまり、属性によっては重要さが低いってことだよね?

シーン 55:それぞれの属性の列にツマミが現れた。マーサはよろこんでそれをいじる。フリップはマーサの肩につかまりそれを見て、ビッツもそばで浮いている。 マーサ:よし、じゃあ――おっと! すべての属性にツマミが付いた! よし、完璧! じゃあこの属性の重要度を低くして―― ――で、こっちを高くして、そして……?

シーン 56:マーサが気づくと、たくさん並ぶツマミが勝手に動き出した。ビットもそれを見ている。 マーサ:ねえ……。 ツマミが勝手に動いているように見えるのは―― ――何かの幻かしら?? ビット:うーん、動いてるね!

シーン 57:驚いているマーサのクローズアップ。そばにいるビットとフリップはふむふむと満足げ。 フリップ:どうも我々のアルゴリズムは「エラーの坂」の下り方を自ら見つけたようだね。 ビット:「かなり正しい谷底」に向けてね。 マーサ:おお〜〜。

シーン 58:パネル上部には、左側に仮説(H)があり、そこから右にあるクエスチョン マークに向けて矢印が 3 本ある。個々の矢印にはパラメータを表すツマミが付いている。パネル下部には矢印はなく、クエスチョン マークの代わりに勾配降下法のマークがある。 ビット:機械学習では、仮説に基づいて推論を行い、学習データを使ってパラメータを調節していくんだ。 推論の結果が現れて―― ――それがどんなふうに、どのくらい間違っているのかを知る。 勾配降下法のマーク:ねえ、これくらい間違ってるよ。

シーン 59:パネル上部では、右から左へと、ツマミに向かって矢印が戻っている。パネル下部では、新しい設定に基づいて左から右へと矢印が向かう。勾配降下法のマークが進み具合を表している(坂を下る)。 フリップ:その結果を逆向きに戻して、パラメータを再調整すると―― ――次はもっとよい推論ができるはず。 勾配降下法マーク:おお……近づいてるね……。

シーン 60:パネル上部には、左に H 、真ん中にツマミ、右に勾配降下法マークがあり、それらを行ったり来たりする矢印。パネル下部では、それが戻りの矢印だけになり、その上のフリップが右から左へと歩いている。 ビット:この行ったり来たりが、ほとんどの機械学習のかなめになるリズムを作るんだ。 フリップ:ニューラル ネットワークでは、戻りの矢印で再調整する「学習」の部分をバックプロパゲーションと言うんだ。

シーン 61:パネル上部には、戻りの矢印とツマミだけがある。パネル下部には、ひとつ前のパネル上部と同じ行き帰りの矢印。ただし、ツマミ部分が黒塗りの箱で隠されている。 ビット:このバックプロパゲーションがどのようにしてパラメータを調整するかは完璧にわかってるんだけど―― フリップ:――でも、今どきの複雑なデータセットで学習すると、結果で得られるパラメータの意味の解釈は難しいんだ。

シーン 62:マーサはなるほどと頭を指さす。ビットとフリップは答える。 マーサ:なるほど。この機械の中でなにか起きてるか知るのは難しいのね。 ビット:まあ、何かが動いてることは確かだけど。 フリップ:うん。きみの会社にいる人間たちより理解しやすいよ。 マーサ:あ、はい。

シーン 63:3 人がいて、マーサは値札の付いた小さな家を左側に持ち、フォークを右側に持っている。それぞれの上には、線形回帰のグラフと分類グラフが描かれている。 マーサ:つまり、フォークと家賃の例みたいな分類と回帰が機械学習のおもな用途なの? ビット:それだけじゃないよ。分類と回帰は機械学習のレシピでよく使われる材料ではあるけれど……。 フリップ:でも結局、いちばん重要なのはどの学習方法を選ぶかなんだ。

シーン 64:3 人は 3 種類の学習方法について考える。それぞれの名前と図式が並ぶ。 ビット:いまの機械学習では 3 種類の学習方法がよく使われるんだ。 フリップ:データから何を取り出したいかによって、どれを使うかが決まるよ。

シーン 65:ビットは、パネル中央に浮かんでいる温度計や家、野球ボール、フォーク、バナナ、スプーン、フォークリフトといったいろいろなモノを指し示す。それぞれに、✕マークもしくはチェックマークが付いている。マーサとフリップはそれらを見ている。 ビット:教師あり学習では、学習する対象それぞれの違いを示すラベルが付いた学習データを使う。これが正しい答えになるんだ。 マーサ:なるほど! じゃあ、これまで私たちが話してたのは……? フリップ:そう、どれも教師あり学習。いまの機械学習ではいちばんポピュラーなやり方だ。

シーン 66:パネル上部では、片側にハリネズミの絵が 4 つ、もう片側にハリネズミじゃない絵が 4 つ並び、ビットはそれぞれを示している。パネル下部では、通りを歩く人がスマートフォンでハリネズミの絵を見ながら笑っていて、マーサとフリップはその後ろを歩いている。 ビット:教師あり学習では、ラベル付きの学習データで機械学習のモデルの学習をして、別に分けておいたテストデータでラベルを当ててみる、ってことを繰り返す。 フリップ:それが終わったら、実際の世の中のデータで試すんだ。 スマートフォンを見てる人:ははは! これがハリネズミね!

シーン 67:たくさんの映画のシーンがモザイクのようにならんだ背景があり、3 人はそれを眺めている。シーンのいくつかにはネコが映っている。 ビット:教師なし学習では正しい答えが用意されていなくて、意味がありそうなグループに分けたり外れ値を探したりする。 似たような映画が好きなユーザーのグループとか。 マーサとフリップ:わ! あれ好き。 あれ見たの? いいよね!

シーン 68:世界中のあらゆる映画のモザイクとそれを見る大勢の人ごみ。その中から、ビットはフリップとマーサを宙に引っ張り上げる。 ビット:機械学習って、膨大なデータや、ものすごく複雑なデータでも扱えるから、こういう作業にぴったりなんだ。 人ごみからの声:おー、あれ好き!

シーン 69:古いアーケードゲームのような 8 ビット調になったビットが迷路ゲームの中を動き回る。 ビット:そして、強化学習は―― ――目標に向けていちばん効率的な近道を探すプログラム。 うまい進み方を見つけたら、ごほうびがもらえる。 失敗したら、やり直し。

シーン 70:ビットが迷路から抜け出て、マーサが優勝トロフィーで出迎える。フリップはそれを見る。 ビット:やった! フリップ:ある強化学習システムは昔のアーケードゲームのプレイが得意で―― ――人な何もコードを追加しなくても、知らないゲームをうまくプレイできるんだ。 マーサ:それすごいね!

シーン 71:3 人は 3 つの学習方法の図式に戻り、さらに議論。 ビット:この 3 つの方法がすべてってわけじゃないけど、だいたいはこれらでカバーできるんだ。 マーサ:アーケードゲームをうまくプレイしたりするのはかっこいいけど―― ――もっと現実的な応用例ってないの? 実際の世界ではどんなふうに役立つの?

シーン 72:音の波形、警報、脳のスキャン画像、グラフなどが並ぶ。 フリップ(矢印付きのふきだしで):教師あり学習は画像認識とか、 音声認識と言語処理、 医療診断、 不正検知などなど、いろんな用途に使われてる。

シーン 73:ネットワーク構成図、個人のプロフィール、DNA構造、ブラックホールの影などが並ぶ。 ビット(矢印付きの吹き出しで):教師なし学習は、ネットワークの可視化に使われたり、 人と人のつながりを作ったり、 自然現象からパターンを見つけたりするのに応用されているよ。

シーン 74:ルート地図や株価チャート、ロボットなど。 ビット(矢印付きの吹き出しで):そして強化学習は、交通情報の管理や、 市場分析、 そしてロボットの制御(YouTube で見ばえがよさそうなやつ)に使われている。

シーン 75:マーサの肩に乗るフリップがつづけて説明する。 フリップ:どんなやり方であれ、機械学習は品質の高いデータから始まるんだ。 例えば、教師あり学習で写真の分類をするとして、そうだな……、 ……ネコとか! まずはその対象を含むデータを集める。

シーン 76:同じ構図、でも背景にネコの画像が並ぶ。 マーサ:つまり、大きさとか、解像度とか、縦横比とか、 クローズアップなのか引きの図なのか、 どんな角度から撮ったのか、 そのネコだけが映ってるか、なにか背景があるのか、 小ネコは含まれるのか、 トラはどうなのか……? フリップ:そのとおり。「ネコらしさ」を表すさまざまな画像が必要になる。

シーン 77:2 つに分身したビットがフリップを描いた絵を虫めがねで調べている。マーサとフリップはそれを見る。 フリップ:人の手でひとつずつデータを選んで、ラベルを付けたりする。 すでにラベルが付いてるデータでも、それが本当に正しいのか、予期しない偏りがないか、チェックするんだ。

シーン 78:フリップとビットが持ってくるたくさんのカードをマーサがひとつずつ調べ、3 つのぶ厚いバインダーに分けている。 フリップ:データの中身をきちんと整理して準備ができたら、それを学習データと検証データ、テストデータの 3 つに分けるんだ。 これだけの量のデータを集めてラベルを付けるのは骨が折れるけど、これが機械学習の価値を生むんだ。 キャプション(検証データを指す矢印):パート 2 でより詳しく説明

シーン 79:まちがったラベルの付いた画像が並んでおり、マーサとフリップがそれを見ている。フリップの画像には「フォーク」、毛糸の玉の画像には「ネコ」、ビットの画像には「グレープフルーツ」。そしてマグリットのパイプの絵には「パイプ」というラベル。 ラベル:フォーク ネコ グレープフルーツ パイプ フリップ:もしデータに間違いが多かったり、似たようなデータばっかり並んでたり、ある種類のデータの件数がすごく少なかったりすると、実際に使うときにひどい結果になる。

シーン 80:ネコのシルエットを形どる緑の点線があり、「√ネコ」というラベルが付いている。一方、同じシルエットを形どる赤い点線があり、そこには前足を舐めるネコのシルエットと「✕ネコ以外」というラベル。 ビット:それに、過学習にも気をつけないと。機械学習のモデルが学習データに固有のクセを学んでしまい、実世界では融通が利かなくなってしまう現象だよ。

シーン 81:いろいろな物体を載せたトレイを持って、誰ともなく話すビット。フリップが振り向くと、マーサはいなくなっていた。 ビット:でも、十分な量の正しいデータを用意できれば―― フリップ:待って! マーサはどこ?

シーン 82:マーサはすでに空中に浮かぶドアに向けて階段を登っていて、フリップとビットはそれを急いで追う。ドアにはネットワークのような形のマークが付いている。 マーサ:お〜、あのドアってもしかして、あそこにつながっている? フリップ:待って! 気をつけて。

シーン 83:ドアを指すマーサにビットとフリップが追いついた。 マーサ:ねえ、これって機械学習でいま一番流行っているニューラルネットワークにつながるんでしょ! ビット:うん、そうだよ。これまで話した例も、多くがニューラルネットで実現できるんだ……。 フリップ:でも、そこに入るのは簡単じゃないよ!

シーン 84:ドアを開けようとするマーサを 2 人がひきとめる。ドアはロックされている。 ビット:人工ニューラルネットワークは強力な道具になるけど、時間とお金もかかるんだ。 マーサ:うーん、カギがかかってる。 フリップ:何をやるかによってはニューラルネットなんていらないこともあるよ! 効果音:カチャカチャ

シーン 85:マーサの視点から見えるフリップとビットは、他の方法も勧める。フリップの後ろには、何本か矢印が出ている封筒。ビットの後ろには、簡単な決定木の図。 フリップ:例えばメールを分類したいなら、ニューラルネットよりも断然速くて計算も簡単なナイーブベイズがおすすめ。 ビット:採用の決定をしたいなら、決定木を使っている人も多いよ。 中の動きが理解しやすいんだ!

シーン 86:マーサは階段の上で不満そうに座り込み、そこにフリップが登ってくる。ビットはサポートベクターマシンを描いた図を持っている。 ビット:サポートベクターマシンも強力な分類器だよ! フリップ:みんな余裕(マージン)のある方が好きでしょ? マーサ:でも……でも……。

シーン 87:フリップとビットは同情するようにマーサに話しかける。 マーサ:やっぱりニューラルネットを勉強したい。だって……。 ビット:かっこいいから? マーサ(小声で):うん……かっこいいから。 フリップ:かっこいいよね!

シーン 88:マーサは気を取り直し、元気に立ち上がる。 マーサ:あのね、ニューラルネットが必要になるかどうかは分からないけど、ひとつ確かなことはある。 私はこのドアを開けて未来を見てみたい。 さあ、カギを開けよう!

シーン 89:ビットがマーサにカギを渡す。マーサは読者をちらりと見る。フリップは次のパネルを呼び出す。 ビット:結局カギを渡すって思ってたでしょ? マーサ:まあね……。そうじゃなかったら、話としておかしいでしょ! フリップ:次のパネルへ!

シーン 90:パネル上部にはフリップの顔と大きなふきだし。下には、ドアのカギを開けるマーサの手のクローズアップ。 フリップ:次回は、ニューラルネットワーク! ナレーター:めまぐるしく変化する機械学習の世界については、ここでさらに学べます。パート 2:ディープラーニングにディープダイブをお楽しみに。

  • Script by Dylan Meconis, Scott McCloud, Syne Mitchell
  • Art by Dylan Meconis
  • Color by Jenn Manley Lee
  • Japanese localization by Kaz Sato, Mariko Ogawa
  • Produced by the Google Comics Factory (Allen Tsai, Alison Lentz, Michael Richardson)