Compute Engine での Microsoft SharePoint Server のデプロイ


このチュートリアルでは、Compute Engine に Microsoft SharePoint Server をデプロイする方法について説明します。このガイドは Microsoft SharePoint Server 2016 と Microsoft SharePoint Server 2019 を対象としています。

SharePoint のデプロイには、2 つのゾーン、6 つのサーバーを使用します。このセットアップは、中高可用性(検索最適化)MinRole ファーム トポロジに対応しています。

この環境を次の図に示します。

Microsoft Exchange のデプロイ

この記事は、Active Directory と SQL Server がすでに Google Cloud にデプロイされていること、SharePoint Server、Active Directory、Compute Engine の基本的な知識があることを前提としています。

目標

  • SharePoint Server をデプロイするために、プロジェクトを準備します。
  • 6 台のサーバーを使用する MinRole SharePoint ファームをデプロイします。

    • フロントエンド サーバー 2 台(分散キャッシュを使用)
    • アプリケーション サーバー 2 台
    • 検索サーバー 2 台
  • 負荷分散ルールとファイアウォール ルールを構成する

費用

このチュートリアルでは、Google Cloud の課金対象となる以下のコンポーネントを使用します。

料金計算ツールを使うと、予想使用量に基づいて費用の見積もりを作成できます。

始める前に

このガイドを完了するには、次の準備が必要です。

  • ドメイン コントローラが 1 つ以上配置された Active Directory ドメイン。Managed Service for Microsoft Active Directory またはセルフマネージド Active Directory ドメインを使用できます。
  • コンピュータの参加、ユーザー アカウントの作成、DNS レコードの追加権限が適用された管理用の Active Directory。
  • Active Directory ドメイン コントローラと Google Cloud プロジェクトおよび VPC の接続。
  • Active Directory ドメインに参加し、SharePoint に使用できる SQL Server インスタンス。Google Cloud で高可用性 SQL Server のデプロイを設定する方法については、マルチサブネットの SQL Server Always On 可用性グループをデプロイをご覧ください。
  • SharePoint VM インスタンスのサブネット。サブネットは 2 つ以上のゾーンにまたがる必要があります。

デプロイを開始する前に、SharePoint Server 2016 および 2019 のシステム要件を確認してください。

  1. In the Google Cloud console, on the project selector page, select or create a Google Cloud project.

    Go to project selector

  2. Make sure that billing is enabled for your Google Cloud project.

このドキュメントに記載されているタスクの完了後、作成したリソースを削除すると、それ以上の請求は発生しません。詳細については、クリーンアップをご覧ください。

プロジェクトとネットワークの準備

SharePoint Server をデプロイするために Google Cloud プロジェクトと VPC を準備するには、次の操作を行います。

  1. Google Cloud コンソールでプロジェクトに切り替え、Cloud Shell を開きます。

    Cloud Shell を開く

  2. 次の変数を初期化します。

    VPC_NAME=VPC_NAME
    SUBNET_NAME=SUBNET_NAME
    SUBNET_REGION=SUBNET_REGION
    SUBNET_ZONE_1=$SUBNET_REGION-a
    SUBNET_ZONE_2=$SUBNET_REGION-b
    

    ここで

    • VPC_NAME は VPC の名前です。
    • SUBNET_NAME は、サブネットの名前です。
    • SUBNET_REGION は、サブネットのリージョンです。
  3. デフォルトのプロジェクト ID を設定します。

    gcloud config set project PROJECT_ID
    

    PROJECT_ID は、Google Cloud プロジェクトの ID に置き換えます。

ファイアウォール ルールの作成

SharePoint ファームのサーバー間で通信を行えるようにするには、いくつかのファイアウォール ルールを作成する必要があります。ネットワーク タグを使用すると、こうしたファイアウォール ルールを簡単に作成できます。

  • フロントエンド サーバーには sharepoint-frontend タグを付けておきます。
  • アプリケーション サーバーには sharepoint-application タグを付けておきます。
  • 検索サーバーには sharepoint-search タグを付けておきます。
  • すべてのサーバーに sharepoint タグも付けておきます。

これらのネットワーク タグを使用するファイアウォール ルールを作成し、SharePoint で必要なポートを介した通信を許可します。

  1. 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
  2. SharePoint サーバーのファイアウォール ルールを作成します。

    gcloud compute firewall-rules create allow-http-between-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:80,tcp:443,tcp:32843,tcp:32844 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sharepoint \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    
    gcloud compute firewall-rules create allow-search-between-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:16500-16519 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sharepoint \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    
    gcloud compute firewall-rules create allow-rpc-between-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:135,tcp:49152-65535 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sharepoint \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    
    gcloud compute firewall-rules create allow-wcf-between-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:808 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sharepoint \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    
    gcloud compute firewall-rules create allow-appfabric-from-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:22233-22236 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sharepoint-frontend \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    
  3. すべてのサーバーから SQL Server インスタンスへの接続を許可するファイアウォール ルールを作成します。SQL Server インスタンスがネットワーク タグ sql-server を使用している場合は、次のコマンドを使用してファイアウォール ルールを作成できます。

    gcloud compute firewall-rules create allow-sql-from-sharepoint-servers \
      --direction=INGRESS \
      --action=allow \
      --rules=tcp:1433 \
      --enable-logging \
      --source-tags=sharepoint \
      --target-tags=sql-server \
      --network=$VPC_NAME \
      --priority=10000
    

    SQL Server インスタンスでネットワーク タグを使用しない場合にファイアウォール ルールを作成する代替方法については、ファイアウォール ルールの作成をご覧ください。

これで、SharePoint のデプロイに必要なプロジェクトと VPC の準備が整いました。

インストール ディスクの作成

次のステップでは、SharePoint Server インストール メディアを含むディスクを作成します。複数の VM インスタンスにアタッチできるディスクを作成しておくと、各 VM インスタンスで個別にインストール メディアをダウンロードする必要がなくなります。

  1. ISO ファイルからのイメージの作成の手順を行います。ダウンロード URL として次の URL を使用します。

    SharePoint Server 2016

    https://download.microsoft.com/download/0/0/4/004EE264-7043-45BF-99E3-3F74ECAE13E5/officeserver.img
    

    SharePoint Server 2019

    https://download.microsoft.com/download/C/B/A/CBA01793-1C8A-4671-BE0D-38C9E5BBD0E9/officeserver.img
    
  2. 新しいイメージを使用して、最初のゾーンのディスクを作成します。

    gcloud compute disks create sharepoint-media-1 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT \
      --image=IMAGE
    

    IMAGE は、前の手順で作成したイメージの名前に置き換えます。

  3. 2 番目のゾーンにディスクを作成します。

    gcloud compute disks create sharepoint-media-2 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_2 \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT \
      --image=IMAGE
    

    IMAGE は、最初の手順で作成したイメージの名前に置き換えます。

SharePoint イメージの作成

SharePoint コンポーネントをすべてのサーバーに個別にインストールする反復的なタスクを回避するために、カスタム VM イメージを作成します。この VM イメージは、後で SharePoint サーバーをデプロイするための仮想マシン テンプレートとして使用します。

  1. 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
  2. VM インスタンス用の specialize スクリプトを作成します。このスクリプトは VM の初期化中に実行され、SharePoint の前提条件をインストールします。

    cat << "EOF" > specialize.ps1
    $ErrorActionPreference = "stop"
    
    # Allow HTTP/HTTPS redirects so that the prerequisite installer can run
    Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name WarnonZoneCrossing -Value 0 -Type DWord
    
    # Install prerequisites
    & d:\prerequisiteinstaller.exe /unattended | Out-Default
    
    # Install logging agent
    (New-Object Net.WebClient).DownloadFile(
        "https://dl.google.com/cloudagents/windows/StackdriverLogging-v1-10.exe",
        "$env:Temp\StackdriverLogging-v1-10.exe")
    & $env:Temp\StackdriverLogging-v1-10.exe /S | Out-Default
    
    # Disable Windows firewall (because VPC firewall rules are used instead)
    & netsh advfirewall set allprofiles state off | Out-Default
    EOF
    
  3. VM インスタンスを作成し、specialize スクリプトの値として specialize.ps1 を割り当てます。SharePoint インストール ディスクを読み取り専用モードでアタッチし、このディスクから SharePoint インストーラを起動できるようにします。

    gcloud compute instances create sp-template \
      --image-family=windows-2019 \
      --image-project=windows-cloud \
      --machine-type=n1-standard-2 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --tags=sharepoint \
      --disk=name=sharepoint-media-1,auto-delete=no,mode=ro \
      --metadata-from-file=sysprep-specialize-script-ps1=specialize.ps1
     
  4. シリアルポートの出力を表示して、VM の初期化プロセスをモニタリングします。

    gcloud compute instances tail-serial-port-output sp-template --zone=$SUBNET_ZONE_1
    

    Instance setup finished という出力が表示されるまで 10 分ほど待ちます。表示されたら Ctrl + C キーを押します。この時点で、前提要件のインストールは完了し、VM インスタンスを使用できるようになります。

  5. VM インスタンスにユーザー名とパスワードを作成します。

  6. リモート デスクトップを使用して VM に接続し、前のステップで作成したユーザー名とパスワードを使用してログインします。

  7. [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。

  8. 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。

  9. SharePoint インストーラを起動します。

    & d:\setup.exe
    
  10. ウィザードの指示に従います。プロダクトキーの入力を求められたら、Sharepoint のダウンロード ページのインストール手順の下にリストされている Enterprise 試用版プロダクトキーを使用するか、すでに所有しているキーを使用します。

  11. インストールが完了したら、[閉じる] をクリックします。

  12. PowerShell で、Chrome をダウンロードしてインストールします。

    Start-BitsTransfer `
        -Source 'https://dl.google.com/chrome/install/latest/chrome_installer.exe' `
        -Destination "$env:Temp\chrome_installer.exe"
    & $env:Temp\chrome_installer.exe
    
  13. Chrome で、次の更新をダウンロードしてインストールします。

    SharePoint Server 2016

    1. Microsoft SharePoint Enterprise Server 2016 のセキュリティ更新プログラム(KB4011127)
    2. Microsoft SharePoint Enterprise Server 2016 の更新プログラム(KB4011053)

    3. 必要に応じて、追加の更新プログラムを確認してインストールします。

    SharePoint Server 2019

    1. 必要に応じて、更新プログラムを確認してインストールします。
  14. PowerShell コンソールに戻り、イメージを一般化します。

    & gcesysprep
    

    コマンドによって、VM が自動的にシャットダウンします。このプロセスが完了するまで、約 5 分間待ちます。

  15. Cloud Shell で、VM のブートディスクから VM イメージを作成します。

    gcloud compute images create sharepoint \
      --source-disk=sp-template \
      --source-disk-zone=$SUBNET_ZONE_1
    
  16. VM インスタンスを削除します。

    gcloud compute instances delete sp-template --zone=$SUBNET_ZONE_1
    

VM を作成して Active Directory に参加させる

次の手順に従って、SharePoint ファームの VM インスタンスを作成し、既存の Active Directory ドメインにそれらを参加させます。

  1. 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
  2. フロントエンド サーバー用に 2 つの VM インスタンスを作成します。

    gcloud compute instances create sp-frontend-1 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-frontend \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT
    
    gcloud compute instances create sp-frontend-2 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_2 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-frontend \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT
    
  3. アプリケーション サーバー用に 2 つの VM インスタンスを作成します。

    gcloud compute instances create sp-app-1 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-application \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT \
      "--metadata=sysprep-specialize-script-ps1=Add-WindowsFeature RSAT-AD-PowerShell;Add-WindowsFeature RSAT-DNS-Server"
    
    gcloud compute instances create sp-app-2 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_2 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-application \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT \
      "--metadata=sysprep-specialize-script-ps1=Add-WindowsFeature RSAT-AD-PowerShell;Add-WindowsFeature RSAT-DNS-Server"
    
  4. 検索サーバー用に 2 つの VM インスタンスを作成します。

    gcloud compute instances create sp-search-1 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-search \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT
    
    gcloud compute instances create sp-search-2 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_2 \
      --machine-type=n1-standard-8 \
      --boot-disk-size=200 \
      --boot-disk-type=pd-ssd \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --tags=sharepoint,sharepoint-search \
      --image=sharepoint \
      --image-project=$GOOGLE_CLOUD_PROJECT
    
  5. シリアルポートの出力を表示して、最後の VM の初期化プロセスをモニタリングします。

    gcloud compute instances tail-serial-port-output sp-search-2 --zone=$SUBNET_ZONE_2
    

    Instance setup finished という出力が表示されるまで 2 分ほど待ちます。表示されたら Ctrl + C キーを押します。この時点で、VM インスタンスが使用できるようになります。

  6. 6 つの各 VM インスタンスに対して次の操作を行います。

    1. VM インスタンスにユーザー名とパスワードを作成します。
    2. リモート デスクトップを使用して VM に接続し、前のステップで作成したユーザー名とパスワードを使用してログインします。
    3. [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。
    4. 特権昇格を確認するプロンプトが表示されたら [はい] をクリックします。
    5. コンピュータを Active Directory ドメインに追加します。

      Add-Computer -Domain DOMAIN
      

      DOMAIN は、Active Directory ドメインの DNS 名に置き換えます。

    6. コンピュータを再起動します。

      Restart-Computer
      

      再起動が完了するまで 1 分ほど待ちます。

SharePoint サーバーを作成する

次に、カスタム イメージを使用して SharePoint ファームの VM インスタンスを作成します。

VM インスタンスは n1-standard-8 マシンタイプを使用します。SharePoint ファームの使用方法によっては、より大きいマシンタイプを使用する必要があります。ニーズとシステム要件についてより詳細な分析を行う場合は、ハードウェア要件をご覧ください。

負荷分散の設定

クライアントが単一の仮想 IP アドレスを使用して SharePoint にアクセスできるようにするには、内部ロードバランサを使用します。ロードバランサは、2 つのフロントエンド サーバー(sp-frontend-1sp-frontend-2)にリクエストを分散します。

2 つのフロントエンド サーバーをロードバランサに関連付けるには、まず 2 つのインスタンス グループを作成してから、それらのインスタンス グループをロードバランサに割り当てます。

  1. 既存の Cloud Shell セッションに戻ります。
  2. ゾーンごとに 1 つの非マネージド インスタンス グループを作成します。

    gcloud compute instance-groups unmanaged create sp-frontend-1 --zone=$SUBNET_ZONE_1
    
    gcloud compute instance-groups unmanaged create sp-frontend-2 --zone=$SUBNET_ZONE_2
    
  3. フロントエンド サーバーを実行している VM インスタンスをインスタンス グループに追加します。

    gcloud compute instance-groups unmanaged add-instances sp-frontend-1 \
      --instances sp-frontend-1 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_1
    
    gcloud compute instance-groups unmanaged add-instances sp-frontend-2 \
      --instances sp-frontend-2 \
      --zone=$SUBNET_ZONE_2
    
  4. Sharepoint の HTTP パスを調査するヘルスチェックを作成します。

    gcloud compute health-checks create tcp sp-health-check --port 80
    
  5. ロードバランサのバックエンドを作成し、2 つのインスタンス グループを追加します。

    gcloud compute backend-services create sp-backend \
      --load-balancing-scheme internal \
      --region=$SUBNET_REGION \
      --health-checks sp-health-check \
      --protocol=tcp
    
    gcloud compute backend-services add-backend sp-backend \
      --instance-group=sp-frontend-1 \
      --instance-group-zone=$SUBNET_ZONE_1 \
      --region=$SUBNET_REGION
    
    gcloud compute backend-services add-backend sp-backend \
      --instance-group=sp-frontend-2 \
      --instance-group-zone=$SUBNET_ZONE_2 \
      --region=$SUBNET_REGION
    
  6. ロードバランサに静的 IP アドレスを予約します。

    gcloud compute addresses create sp-frontend \
      --region=$SUBNET_REGION \
      --subnet=$SUBNET_NAME
    
  7. ロードバランサの転送ルールを作成します。

    gcloud compute forwarding-rules create sp-frontend \
      --load-balancing-scheme=internal \
      --ports=80 \
      --network=$VPC_NAME \
      --subnet=$SUBNET_NAME \
      --region=$SUBNET_REGION \
      --address=sp-frontend \
      --backend-service=sp-backend
    
  8. ロードバランサからバックエンド サービスへのトラフィックを許可するファイアウォール ルールを作成します。

    gcloud compute firewall-rules create allow-http-health-checks \
      --network=$VPC_NAME --allow tcp:80 \
      --source-ranges=130.211.0.0/22,35.191.0.0/16 \
      --target-tags="sharepoint-frontend"
    

    ソース範囲は、内部ロードバランサの IP 範囲です。詳細については、内部負荷分散を許可するファイアウォール ルールの構成をご覧ください。

  9. ロードバランサの IP アドレスを調べます。

    gcloud compute addresses describe sp-frontend \
      --region=$SUBNET_REGION \
      --format=value\(address\)
    

    この IP アドレスは、SharePoint ファームをデプロイした後、必要になります。

DNS にロードバランサを登録する

クライアントが人が読める形式の URL を使用して SharePoint にアクセスできるようにするには、DNS にロードバランサの名前を登録します。

  1. リモート デスクトップを使用して sp-app-1 に接続し、DnsAdmins グループのメンバーであるユーザーとしてログインします。
  2. [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell] をクリックします。
  3. ロードバランサの IP アドレスに名前 sharepoint をマッピングするレコードを作成します。

    Add-DnsServerResourceRecordA `
      -ComputerName (Get-ADDomainController).Hostname `
      -Name "sharepoint" `
      -ZoneName "DOMAIN" `
      -IPv4Address LOADBALANCER-IP
    

    ここで

    • LOADBALANCER-IP は、ロードバランサの IP アドレスです。
    • DOMAIN は、Active Directory ドメインの DNS ドメインです。

SharePoint ファームを作成する

6 台のサーバーには必要なソフトウェア パッケージがすべてインストールされていますが、これらはまだ SharePoint ファームに含まれていません。ここで、ファームを作成し、ロールを割り当てて、ファームにサーバーを追加します。

ファームのサービス アカウントを作成する

SharePoint ファームを作成するには、ファームのサービス アカウントを作成する必要があります。ファームのサービス アカウントは、SharePoint サービスの実行と SQL Server へのアクセスに使用される Active Directory ユーザー アカウントです。

ファームのサービス アカウントの詳細については、SharePoint Server のアカウント権限とセキュリティ設定をご覧ください。

Active Directory でファームのサービス アカウントを作成するには、次の操作を行います。

  1. sp-app-1 の PowerShell プロンプトに戻ります。
  2. ファームのサービス アカウントのパスワードを定義します。

    $FarmServicePassword = Read-Host -Prompt "Enter password for Farm service account" -AsSecureString
    
  3. Active Directory でファームのサービス アカウントを作成します。

    New-ADUser `
      -Name "SharePoint Service" `
      -SamAccountName sp-farm  `
      -UserPrincipalName "sp-farm@$((Get-ADDomain).DNSRoot)" `
      -AccountPassword $FarmServicePassword `
      -PassThru | Enable-ADAccount
    
  4. sp-farmログインを作成することで、SQL Server へのアクセス権をファームのサービス アカウントに付与します。新しいパスワードを割り当てなくても済むように、Windows 認証を使用するようにログインを設定します。

最初のサーバーを構成する

最初のサーバーを構成して、SharePoint ファームを作成します。最初のサーバーは、中央管理ウェブサイトをホストする特別なサーバーです。後でこのサイトを使用して、ファームを構成します。

  1. sp-app-1 の RDP セッションに戻ります。
  2. [スタート] > [Microsoft SharePoint Products] > [SharePoint Products Configuration Wizard] をクリックします。
  3. ファームの作成と構成の手順を行います。
    1. [Specify Configuration Database Settings] ページで、以前に作成した sp-farm ユーザーの名前とパスワードを指定します。
    2. [Specify Server Role] ページで [Application] を選択します。
    3. [Configure SharePoint Central Administration Web Application] ページで、ポート 8000 を指定します。
    4. 構成が完了すると、ブラウザのウィンドウが開きます。ウィンドウを閉じて、残りの手順をスキップします。
  4. [スタート] > [Microsoft SharePoint Products] > [SharePoint Management Shell] をクリックします。
  5. 保留中の SharePoint の更新を適用:

    PSConfig.exe -cmd upgrade -inplace b2b -force -cmd applicationcontent -install -cmd installfeatures
    

残りのサーバーを構成する

これで、残りのサーバーを SharePoint ファームに追加できるようになりました。

VM インスタンス ロール
sp-app-2 アプリケーション
sp-frontend-1 分散キャッシュを使用するフロントエンド
sp-frontend-2 分散キャッシュを使用するフロントエンド
sp-search-1 検索
sp-search-2 検索

VM ごとに、以下を行います。

  1. リモート デスクトップを使用して VM に接続し、ドメイン管理ユーザーとしてログインします。
  2. [スタート] > [Microsoft SharePoint Products] > [SharePoint Products Configuration Wizard] をクリックします。
  3. [Welcome to SharePoint Products] ページで、[Next] をクリックします。
  4. 構成中に一部のサービスを再起動する必要があることを通知するダイアログ ボックスで、[Yes] をクリックします。
  5. [Connect to a server farm] ページで、[Connect to an existing server farm] を選択します。
  6. [Specify configuration database settings] ページで、最初のサーバーに使用したものと同じデータベース サーバーとデータベース名を指定します。
  7. 次のページで、前に定義したパスフレーズを入力します。
  8. [Specify server role] ページで、VM に対応するロールを選択し、[Next] をクリックします。
  9. [Completing the SharePoint products configuration wizard] ページで構成を確認し、[Next] をクリックします。
  10. [Configuration Successful] ページで [Finish] をクリックします。

  11. ブラウザ ウィンドウを閉じます。

  12. [スタート] > [Microsoft SharePoint Products] > [SharePoint Management Shell] をクリックします。

  13. 保留中の SharePoint の更新を適用:

    PSConfig.exe -cmd upgrade -inplace b2b -force -cmd applicationcontent -install -cmd installfeatures
    

ファームを構成する

次に、SharePoint 構成ウィザードを使用して、ファームの構成を完成させます。

  1. リモート デスクトップを使用して、sp-app-1 に接続します。
  2. [スタート] > [Google Chrome] をクリックして、Chrome ブラウザを開きます。
  3. http://sp-app-1:8000/configurationwizards.aspx に移動します。
  4. ドメイン管理者ユーザーを使用してログインします。
  5. [Launch the Farm Configuration Wizard] を選択します。
  6. [Welcome] ページで [Start the Wizard] を選択します。
  7. [Service Applications and Services] ページで [Use existing managed account] をクリックし、sp-farm ユーザーを選択します。
  8. インストールするサービスのリストを確認し、要件に応じて選択項目をカスタマイズします。
  9. [Next] を選択して、構成プロセスを開始します。

    プロセスが完了するまでに約 10~15 分かかります。

  10. [Create Site Collection] ページでタイトルを指定し、テンプレートを選択して、[OK] をクリックします。サイトの作成の詳細については、Create a site collection by using Central Administration を参照してください。

  11. [This completes the Farm Configuration Wizard] ページで [Finish] を選択します。

  12. Central Administration ホームページで、[System Settings] > [Manage servers in farm] を選択します。

  13. すべてのサーバーが [Compliant] とマークされており、ステータスが [No Action Required] とマークされていることを確認します。

SharePoint ファームの管理の詳細については、Managing a MinRole Server Farm in SharePoint Servers 2016 and 2019 をご覧ください。

代替アクセス マッピングを構成する

ユーザーがロードバランサの DNS 名を使用して SharePoint サイトにアクセスできるようにするために、代替アクセス マッピングを構成します。

  1. Central Administration ホームページで、[System Settings] > [Configure alternate access mappings] を選択します。
  2. [Alternate Access Mapping Collection] の横にある [Show All] > [Change alternate access mapping collection] を選択します。
  3. [Select alternate access mapping collection] ダイアログで、[SharePoint - 80] を選択します。
  4. [Edit public URLs] を選択します。
  5. 次のマッピングを構成します。

    1. デフォルト:

      http://sharepoint.DOMAIN
      

      ここで、DOMAIN は、Active Directory ドメインの DNS ドメインです。

    2. その他のフィールドはすべてクリアします。

  6. [保存] をクリックします。

  7. [スタート] ボタンを右クリックするか Win + X を押して、[Windows PowerShell(管理者)] をクリックします。

  8. 代替アクセス マッピングを有効にするには、すべてのサーバーで IIS を再起動します。

    "sp-app-1", "sp-app-2", "sp-frontend-1", "sp-frontend-2", "sp-search-1", "sp-search-2" | %  { & iisreset $_ }
    

これで、SharePoint ファームを使用できるようになります。

SharePoint サイトをテストする

ロードバランサの DNS 名を使用して SharePoint サイトにアクセスできることを確認するには、次の手順に従います。

  1. Chrome で、次のアドレスに移動します。

    http://sharepoint.DOMAIN
    

    DOMAIN を、Active Directory ドメインの DNS ドメインに置き換えます。

  2. 管理ドメイン ユーザーを使用してログインします。

    このサイトを開くのは初めてであるため、サイトが初期化されるまでに数分かかります。

  3. SharePoint サイトのホームページが表示されていることを確認します。

  4. [Documents] で [Upload] を選択します。

  5. サイトにアップロードするテスト ドキュメントを選択します。テストに使用できるドキュメントがない場合は、空のリッチテキスト ドキュメント(.rtf)を使用できます。

  6. [OK] をクリックしてドキュメントをアップロードします。

SharePoint は定期的にドキュメントをクロールして、その検索インデックスを更新します。次のクロールまで待ちたくなければ、手動でクロールを開始します。

  1. sp-app-1 で、[スタート] > [Microsoft SharePoint Products] > [SharePoint Management Shell] をクリックします。
  2. 完全なクロールを開始します。

    $Crawler = (Get-SPEnterpriseSearchServiceApplication |Get-SPEnterpriseSearchCrawlContentSource)
    $Crawler.StartFullCrawl()
    

バックグラウンドでクロールのプロセスが完了するまで 5 分ほど待ちます。

これで、以前にアップロードしたドキュメントを検索して SharePoint 検索が機能することを確認できるようになりました。

  1. Chrome と SharePoint サイトに戻ります。
  2. 検索ボックスを使用して、アップロードしたファイルのファイル名を検索します。
  3. ファイルが検索結果に表示されることを確認します。

クリーンアップ

このチュートリアルの完了後に請求が発生しないようにするには、作成したエンティティを削除してください。

Google Cloud プロジェクトの削除

  1. In the Google Cloud console, go to the Manage resources page.

    Go to Manage resources

  2. In the project list, select the project that you want to delete, and then click Delete.
  3. In the dialog, type the project ID, and then click Shut down to delete the project.

次のステップ