Hyperdisk ストレージ プールについて


Hyperdisk ストレージ プールは、Compute Engine で大規模なストレージとして使用できます。Hyperdisk ストレージ プールは、容量、スループット、IOPS のプリペイド コレクションです。必要に応じてアプリケーションにプロビジョニングできます。Hyperdisk ストレージ プールを使用すると、プール内にディスクを作成して管理し、複数のワークロードでディスクを使用できます。ディスクを集約して管理することで、想定される容量とパフォーマンスの向上を実現しながらコストを削減できます。Hyperdisk ストレージ プールで必要なストレージのみを使用することで容量予測の複雑さが軽減されます。また、数百のディスクではなく単一のストレージ プールを管理するので、管理作業の労力も軽減されます。

ストレージ プールには次の利点があります。

  • 総所有コスト(TCO)の削減 - Hyperdisk ストレージ プールは、シン プロビジョニングとデータの削減により、データを効率的に保存し、最高水準の TCO を実現します。
  • 効率性の向上 - Hyperdisk ストレージ プールは、シン プロビジョニングとデータの削減により、リソースの使用率を高め、TCO の削減を実現します。
  • 柔軟性の向上による管理オーバーヘッドの削減 - Hyperdisk ストレージ プールのディスクは、より大きなサイズでプロビジョニングし、必要な部分のみを使用できます。ワークロード オーナーは、容量とパフォーマンスの予測や、リスケーリングに伴うダウンタイムを気にする必要がなくなります。
  • ワークロードに対する透過性 - ストレージ プールを使用する際に、個々のワークロードが Hyperdisk ボリュームを使用する方法に変わりはありません。ダウンタイムの必要性もなく、ワークロードへの影響もありません。

ディスクがストレージ プールで作成されていない場合と同様に、ストレージ プール内の個々のディスクでもデータの分離が維持されます。

ストレージ プールが必要な場合

ストレージ プールを使用すると、次の問題を解決できます。

  • SAN を使用するオンプレミス ワークロードから Google Cloud にワークロードを移行する際のリソース要件の計画が難しい

    各アプリケーションのパフォーマンスと容量の要件の見積もりは、時間がかかり、間違いが起きやすい作業です。クラウド移行やアプリケーションのロールアウトに数週間かかることもあります。

    Hyperdisk ストレージ プールを使用すると、ストレージ プールに必要な容量よりも大きいディスクを作成し、データを書き込むディスク容量のみをストレージ プールから使用できます。

  • リソースの使用率が低い

    ボリュームを十分に活用することは、複雑で手間のかかる作業です。ブロック ストレージは、停止やパフォーマンスの低下を回避するため、ピーク容量とパフォーマンスのニーズに合わせてプロビジョニングされるため、低使用率が頻繁に発生します。しかし、多くのアプリケーションでは、このようなピークに達することはほとんどありません。

    Hyperdisk ストレージ プールを使用する場合は、予想されるワークロードの容量要件を処理するストレージ プールを作成します。ストレージ プールの使用容量が 80% に達すると、Hyperdisk ストレージ プールは、使用率が 80% 未満になるように自動的に容量を追加しようとします。

  • ワークロードで使用されるブロック ストレージの管理が複雑

    数百、数千ものディスク ボリュームを管理するのは容易なことではありません。新しいイノベーションの導入にも多くのリソースが必要になります。

    ストレージ プールに VM 用のディスクを作成する場合、ワークロードに予想されるサイズよりもはるかに大きいサイズを指定できます。ワークロードがディスクに書き込まれると、ストレージ プールの容量からスペースが使用されます。ストレージ プールの容量から差し引かれるのは、使用したブロック ストレージの容量のみです。ディスクの作成時にプロビジョニングされた容量は差し引かれません。指定したディスクサイズが容量の上限として機能します。この上限に達した場合にのみ、ディスクサイズの変更が必要になります。

    ストレージ プールにディスクを作成し、ワークロードが複数のディスクの容量計画を超過した場合は、ストレージ プールに容量を追加できます。追加の容量は、ストレージ プールで作成されたすべてのディスクで使用できます。

Hyperdisk ストレージ プールの機能

ストレージ プールには次の機能があります。

  • 容量のシン プロビジョニング: すべてのブロックを事前に割り当てるのではなく、必要に応じてブロックを割り当てます。これにより、大量のディスク容量が割り当てられているが使用されていないという、ストレージの低使用率を回避できます。
  • データの削減: ストレージ プールでは、ストレージの効率向上のため、さまざまなデータ削減技術が使用されます。データの削減は、保存されるデータの種類に大きく依存します。Hyperdisk ストレージ プールのディスクに保存される前に圧縮または暗号化されているデータに対しては、それ以上のサイズ削減は行われません。
  • 容量の自動増加: ストレージ プールの使用率がプロビジョニングされた容量の 80% に達すると、Hyperdisk ストレージ プールは、ストレージ プールに自動的に容量を追加し、容量不足に関連するエラーを回避します。

Hyperdisk ストレージ プールの仕組み

ワークロードに必要な合計容量とパフォーマンスに基づいてストレージ プールを作成し、ストレージ プール内にディスクを作成します。その後、ディスクを VM にアタッチできます。ディスクは、必要なサイズよりも大きいサイズで作成できます。これにより、ディスクのサイズ変更を行う必要がなくなり、後で拡張することもできます。

ディスクが大容量のストレージ プールに作成された場合は、データ削減後にワークロードが使用するディスク容量のみが、使用可能なストレージ プールの容量から差し引かれます。

ディスク容量が不足している場合は、ストレージ プールにプロビジョニング済みの容量を増やすことができます。個々のディスクで使用される容量は、ディスクの作成時に指定したサイズまで増やすことができます。最初に、大容量のストレージ プールにかなり大きなサイズでディスクを作成し、ストレージ プールを使用して追加容量を割り当てることで、ディスクのストレージ管理を簡素化し、コストを削減できます。

容量の管理は、ストレージ プール レベルで行われます。ストレージ プールのプロビジョニング容量を増減することで、ストレージ プール内のディスクで使用可能な容量を調整できます。大容量のストレージ プールでは、ストレージ プールの使用量またはプール内のすべてのディスクの合計使用量がストレージ プールにプロビジョニングされた容量の 80% を超えると、ストレージ プールの容量が自動的に追加されます。自動拡張オペレーションが失敗した場合、1 PiB の上限まで手動でストレージ プールに容量を追加できます。

ストレージ プールの使用率が 100% に達し、ストレージ プールに空き容量がなくなった場合、データまたはディスクを削除してストレージ プールの使用容量が減るまで、ストレージ プール内のすべてのディスクへの書き込みは失敗します。ほとんどの市販ソフトウェアでは、ディスクへの書き込みで返されるエラーはハードウェア障害と同様に解釈されます。

容量不足エラーを回避するには、ストレージ プールを積極的に管理し、モニタリングすることが重要です。また、ストレージ プール内のディスクで容量不足エラーが発生した場合のワークロードの動作も理解する必要があります。

Hyperdisk ストレージ プールのプロビジョニング タイプ

Hyperdisk ストレージ プールを作成するときに、標準または大容量のプロビジョニングを構成できます。

標準容量のストレージ プール

標準容量のプロビジョニングでは、ストレージ プールのすべてのディスクにプロビジョニングされた合計容量がストレージ プールのプロビジョニング容量に達するまで、ストレージ プールにディスクを作成します。標準容量のストレージ プールのディスクは、ストレージ プール以外のディスクと同様に容量を消費します。

大容量のストレージ プール

大容量のストレージ プールでは、シン プロビジョニングとデータ削減が行われるため、購入した容量を超えるディスクをプロビジョニングできます。大容量のストレージ プールは、データの削減後にディスクに書き込まれるバイト数に基づいて容量を消費するため、ストレージ プールで購入した容量よりも多くの容量をエンドユーザーやアプリケーションにプロビジョニングできます。

大容量の場合、すべてのディスクの累積サイズがストレージ プールのプロビジョニング容量を超えるディスクをストレージ プールに作成できます(プロビジョニング容量の最大 500% のディスクを作成可能)。ストレージ プールの使用容量は、プロビジョニングされたディスク容量ではなく、書き込まれたデータの量によって定義されます。大容量のストレージ プールのディスクは、標準容量のストレージ プールやストレージ プール以外のディスクとは異なる容量を使用します。

ストレージ プール内のすべてのディスクに書き込まれるデータがストレージ プールの容量を超えない限り、プロビジョニングされたサイズまで、大容量のストレージ プールのディスクを増やすことができます。ストレージ プールの使用率がプールにプロビジョニングされた容量の 80% に達すると、自動スケーリング機能がストレージ プールに容量を自動的に追加しようとします。ストレージ プールの容量がすべて消費された場合、データを削除するか、ディスクを削除してストレージ プールの使用容量を減らすまで、ストレージ プールのディスクへの書き込みはすべて失敗します。ほとんどのソフトウェア アプリケーションは、ディスクがいっぱいになったときに返されるエラーをハードウェア障害と同様に解釈します。このため、次の 2 つのことが重要になります。

  • ディスク容量が不足しないようにストレージ プールをモニタリングする
  • 問題が発生した場合のワークロードへの対応を把握する

ストレージ プールからはファイル システムを確認できません。削除されたデータは、オペレーティング システム(OS)が DISCARD または TRIM コマンドで未使用としてマークするまで、引き続き使用中と見なされます。Google 提供の OS イメージはすべて、デフォルトでこの処理を行うように構成されています。これは、一般的なサードパーティの OS イメージも同様です。ただし、Google 提供の OS イメージを使用していない場合は、この処理を行うように構成されていることを確認する必要があります。この機能の確認または構成の詳細については、遅延初期化を無効にして DISCARD コマンドを有効にするをご覧ください。

Hyperdisk ストレージ プールのタイプ

作成する Hyperdisk ストレージ プールのタイプによって、ストレージ プールに作成できるディスクのタイプが決まります。

  • Hyperdisk Throughput ストレージ プール: ストレージ プールを作成するときに、ストレージ プールにプロビジョニングする容量とスループットを指定します。ストレージ プールに作成する各 Hyperdisk Throughput ディスクは、プロビジョニングされた容量とスループットの一部を使用します。
  • Hyperdisk Balanced ストレージ プール: ストレージ プールを作成するときに、ストレージ プールにプロビジョニングする容量、スループット、IOPS を指定します。ベースライン値を超える容量とパフォーマンスがプロビジョニングされているストレージ プールに作成する Hyperdisk Balanced ディスクは、ストレージ プールにプロビジョニングされた容量とパフォーマンスの一部を使用します。

Hyperdisk Throughput ストレージ プール

Hyperdisk Throughput ストレージ プールを使用して、Hyperdisk Throughput ディスクの使用量を管理できます。

Hyperdisk Throughput ストレージ プールの上限

Hyperdisk Throughput ストレージ プールには次の上限が適用されます。

上限
ストレージ プールの最大プロビジョニング容量 1 PiB
ストレージ プールの最小プロビジョニング容量 10 TiB
ストレージ容量の増分: 最小 1 TiB
(TiB 単位のみ)
プロジェクトあたりの Hyperdisk ストレージ プールの最大数 10
最大スループット 18 Gbps
TiB あたりの最大スループット 容量 1 TiB あたり 18 MBps
TiB あたりの最小スループット 容量 1 TiB あたり 10 MBps
スループットの増分 10 MBps
ストレージ プール内の最大ディスク数 1,000

マシンタイプのサポート

Hyperdisk Throughput ストレージ プールは、Hyperdisk Throughput をサポートするマシンシリーズでサポートされています。サポートされているマシンシリーズのリストについては、Hyperdisk マシンタイプのサポートをご覧ください。

Hyperdisk Throughput ストレージ プールのリージョンの可用性

Hyperdisk Throughput ストレージ プールは次のゾーンで使用できます。

  • asia-southeast1-c
  • europe-west4-b
  • us-central1-a
  • us-east1-a
  • us-east4-aus-east4-bus-east4-c

使用可能なリージョンとゾーンの最新情報を確認するには、次のコマンドを使用します。

gcloud compute storage-pool-types list --filter="name=hyperdisk-throughput"

Hyperdisk Balanced ストレージ プール

Hyperdisk Balanced ストレージ プールを使用して、Hyperdisk Balanced ディスクの使用量を管理できます。

Hyperdisk Balanced ストレージ プールでは、Hyperdisk Balanced ディスクは、ディスクあたりのベースライン値(3,000 IOPS と 140 MBps のスループット)を超えた分の IOPS とスループットのみを消費します。例:

  • 3,000 IOPS と 140 MBps のスループットの Hyperdisk Balanced ディスクをストレージ プールにプロビジョニングした場合、ディスクはストレージ プールの IOPS やスループットを消費しません。
  • ストレージ プールに 4,000 IOPS と 180 MBps のスループットで Hyperdisk Balanced ディスクをプロビジョニングすると、ディスクはストレージ プールから 1,000 IOPS と 40 MBps のスループットを消費します。

Hyperdisk Balanced ストレージ プールの上限

Hyperdisk Balanced ストレージ プールには次の上限が適用されます。

上限
ストレージ プールの最大プロビジョニング容量 1 PiB
ストレージ プールの最小プロビジョニング容量 10 TiB
ストレージ容量の増分: 最小 1 TiB
(TiB 単位のみ)
プロジェクトあたりの Hyperdisk ストレージ プールの最大数 10
最大 IOPS 4,194,304(4 × 2^20)
1 GiB あたりの最大 IOPS 1 GiB あたり 4
1 GiB あたりの最小 IOPS 0
IOPS の増分 10,000
(10,000 IOPS の倍数のみ)
最大スループット 1 TBps
1 GiB あたりの最大スループット 容量 1 GiB あたり 1 MBps
1 GiB あたりの最小スループット 0 MBps
スループットの増分 1 GBps
Hyperdisk ストレージ プールの最大ディスク数 1,000

マシンタイプのサポート

Hyperdisk Balanced ストレージ プールは、Hyperdisk Balanced をサポートするマシンシリーズでサポートされます。サポートされているマシンシリーズのリストについては、Hyperdisk マシンタイプのサポートをご覧ください。

Hyperdisk Balanced ストレージ プールのリージョンの可用性

Hyperdisk Balanced ストレージ プールは、次のゾーンで使用できます。

  • asia-south1-b
  • asia-southeast1-c
  • europe-west1-b
  • europe-west4-b
  • us-central1-a
  • us-east4-aus-east4-bus-east4-c

使用可能なリージョンとゾーンの最新情報を確認するには、次のコマンドを使用します。

gcloud compute storage-pool-types list  --filter="name=hyperdisk-balanced"

パフォーマンス

ストレージ プール内のディスクのパフォーマンスは、ストレージ プールで作成されていないディスクと同じです。

ストレージ プールの制限事項

Hyperdisk ストレージ プールには次の制限があります。

リソースの上限:

  • 作成する Hyperdisk ストレージ プールにプロビジョニングされる容量は最大 1 PiB です。
  • 1 時間あたり最大 5 つのストレージ プールを作成できます。
  • 1 日に作成できるストレージ プールは 10 個までです。
  • プロジェクトごとに最大 10 個のストレージ プールを作成できます。
  • プールのプロビジョニング モデルは変更できません。標準容量のストレージ プールを大容量のストレージ プールに変更することはできません。
  • ストレージ プールはゾーンリソースです。
  • ストレージ プールには最大 1,000 個のディスクを作成できます。
  • Hyperdisk ストレージ プールは Compute Engine でのみ使用できます。Cloud SQL インスタンスは Hyperdisk ストレージ プールを使用できません。
  • ストレージ プールのプロビジョニング容量は 24 時間に 2 回まで変更できます。

ストレージ プールのディスクの上限:

  • ストレージ プールの新しいディスクは、同じプロジェクトとゾーン内にのみ作成できます。
  • ストレージ プール内外にディスクを移動することはできません。ストレージ プール内外にディスクを移動するには、スナップショットからディスクを再作成する必要があります。詳細については、ディスクタイプを変更するをご覧ください。
  • ストレージ プールにブートディスクを作成するには、Hyperdisk Balanced ストレージ プールを使用する必要があります。
  • ストレージ プールにリージョン ディスクを作成することはできません。
  • ストレージ プールにディスクのクローンは作成できません。また、ディスクのインスタント スナップショットを作成することや、Persistent Disk の非同期レプリケーションを構成することもできません。

料金

Hyperdisk ストレージ プールは、プロビジョニングされたストレージ プールの容量、スループット、IOPS に基づいて課金されます。

標準容量のストレージ プールの場合、容量は基盤となるディスクと同じレートで課金されます。たとえば、Hyperdisk Balanced ストレージ プールの標準容量の料金は、スタンドアロンの Hyperdisk Balanced の容量と同じ料金です。

大容量のストレージ プールには、シン プロビジョニングとデータ削減を提供する追加費用を反映して、より高い価格が設定されています。料金は高めですが、シン プロビジョニングとデータ削減で効率性と使用率が向上するため、ブロック ストレージの総コストは削減できます。

料金について詳しくは、ディスクの料金をご覧ください。

Hyperdisk ストレージ プールによる確約利用割引

Hyperdisk ストレージ プールは以下の割引に対応していません。

  • リソースベースの確約利用割引(CUD)
  • 継続利用割引(SUD)

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