概要
Cloud Billing の予算を作成して、Google Cloud のすべての料金を 1 か所でモニタリングすることで、想定外の請求が発生する事態を回避します。予算により、実際の Google Cloud の費用を予定費用と照らし合わせて追跡できます。 予算額を設定したら、メール通知のトリガーに使用する予算アラートしきい値のルールを設定します。予算アラートのメールにより、費用と予算の状況を常に追跡し、把握できます。 また、予算を使用して費用管理レスポンスを自動化することもできます。

Cloud Billing の予算の場合:
- 予算の範囲を定義できます。たとえば、Cloud 請求先アカウント全体の費用に適用する予算を割り当てたり、範囲を 1 つ以上のプロジェクト、1 つ以上のプロダクト、Cloud 請求先アカウントに適用されるその他の予算フィルタに絞り込んだりできます。
- 予算額は、指定した合計額に設定する、または前月の利用額に基づいて設定することができます。
- メール通知アラートをトリガーするしきい値ルールを設定できます。費用(実際の費用または予測費用)が、設定したルールに基づいた予算の一定の割合を超えると、指定した受信者にアラートメールが送信されます。
- メール通知アラートの受信者は次の方法で指定できます。
- ロールベースのオプション(デフォルト)を使用すると、Cloud 請求先アカウントの課金管理者とユーザーにメール通知アラートを送信できます。
- Cloud Monitoring を使用して、組織内の他のユーザー(プロジェクト マネージャーなど)を指定して、予算アラート メールを送信できます。
- また、Pub/Sub を使用してプログラムによる通知もできます(例: 予算メッセージを他のメディアに転送する、コスト管理タスクを自動化する)。
このドキュメントでは、以下の方法について確認できます。
- 予算の作成
- 予算とそのステータスのリストを表示する
- 予算を変更または削除する
- API を使用して予算を作成し管理する
- 予算アラートのメール受信者のカスタマイズ
- プログラムによる通知を使用して費用管理のレスポンスを自動化する
- 自動による費用管理レスポンスの例を表示する
予算の管理に必要な権限
Cloud 請求先アカウントの予算を管理するために必要な権限は作業内容によって異なり、各トピックの冒頭に記載されています。
Google Cloud の権限の詳細については、以下をご覧ください。
- Cloud Billing のアクセス制御の概要
- Cloud Billing に関するカスタム ロールの作成
- Cloud Billing に対して事前定義されている Identity and Access Management のロールについて
予算の作成
このタスクに必要な権限
Cloud 請求先アカウントの予算を作成するには、Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者であることが必要です。
具体的には、このタスクを実行するには、Cloud 請求先アカウントに次の権限が必要です。
billing.budgets.create
: 新規に予算を作成します。billing.budgets.get
とbilling.budgets.list
: Cloud 請求先アカウントのすべての予算を表示します。
新しい予算を作成する手順は次のとおりです。
1. 予算を作成して名前を付ける
Google Cloud Console にログインします。
Console のナビゲーション メニュー(
)を開き、[お支払い] を選択します。複数の Cloud 請求先アカウントがある場合は、次のいずれかを行います。
- 現在のプロジェクトの Cloud Billing を管理するには、[リンクされた請求先アカウントに移動] を選択します。
- 別の Cloud 請求先アカウントを確認するには、[請求先アカウントを管理] を選択し、予算を設定する対象のアカウントを選択します。
[お支払い] ナビゲーション メニューから [予算とアラート] を選択します。
[
予算を作成] をクリックします。[名前] フィールドに、予算の名前を入力します。
2. 予算の範囲を設定する
予算の [範囲] を設定し、[次へ] をクリックします。
予算の範囲について
予算は、Cloud 請求先アカウント全体に適用することも、特定のリソースセットに焦点を絞るように範囲を設定することもできます。
- サブアカウント: 販売パートナーで、Cloud 請求先アカウントにサブアカウントがある場合は、[サブアカウント] で、予算アラートを適用するサブアカウントを 1 つ以上選択します。Cloud 請求先アカウントのすべてのサブアカウントに予算アラートを適用するには、[すべて選択] を選択します。
- プロジェクト: [プロジェクト] で、予算アラートを適用するプロジェクトを 1 つ以上選択します。Cloud 請求先アカウントのすべてのプロジェクトに予算アラートを適用するには、[すべて選択] を選択します。
- プロダクト/サービス: [プロダクト] で、予算アラートを適用するプロダクトまたはサービスを 1 つ以上選択します。Cloud 請求先アカウントのすべてのプロダクトとサービスに予算アラートを適用するには、[すべて選択] を選択します。
- ラベル: [ラベル] で、予算アラートを適用するラベルのキーと値を選択します。
- 予算ごとに適用できるラベルは 1 つのみです。
- 未使用のユーザーラベルは選択できません。
- ここにはプロジェクト ラベルは含まれません。
- 詳しくは、リソースラベルの作成と管理をご覧ください。
クレジット: クレジットは、Google Cloud の使用に関する費用を削減するために使用します。ここでは使用可能なすべてのクレジット タイプを選択できますが、すべてのクレジット タイプを Cloud 請求先アカウントに適用できるわけではありません。
- 最初に予算を作成するときに、すべてのクレジット タイプがデフォルトで選択されています。クレジットを追加した場合、実際の費用は、合計費用から該当するクレジットを差し引いて算出されます。クレジットは、Google Cloud の各種利用割引、プロモーション、資金援助などです。
- クレジットを含めると、利用可能なクレジットが使用料金を超えた場合、予算期間の計算費用を表示したときに残高がマイナスになっている可能性があります。
- 予算の目的上、クレジットを適用する前に実際の費用を計算してモニタリングする場合は、クレジット オプションを選択しないでください。
クレジットの種類について
割引は繰り返し発生し、最終的な使用料金に組み込まれます。割引により、Google Cloud の使用の費用を削減できます。 Cloud 請求先アカウントで該当する場合、以下のようなさまざまな種類の割引クレジットを得ることができます。
- 無料枠: 一部のサービスでは、所定の上限に達するまでリソースを無料で利用できます。これらのサービスでは、無料枠の使用の実現にクレジットが適用されます。
- 継続利用割引: 継続利用割引は、請求月の特定の Compute Engine リソースの実行時間が一定の割合を超えた場合に自動的に適用される割引です。
- 確約利用割引(リソースベース): Compute Engine では、確約利用契約を購入することによって、VM 使用量に大幅な割引価格が適用されます。
- 確約利用割引(費用ベース): 費用ベースの確約利用割引では、特定のリージョンでサービスに最小限の使用量分の費用を支払うことのコミットメントと引き換えに、割引料金が適用されます。
- 費用に基づく割引(契約に基づく): 契約上の基準費用額を満たしたことで適用される割引。
- サブスクリプション: 割引の代わりに購入するサービスの長期サブスクリプション。
プロモーションとその他のクレジットは通常 1 回限りの使用で、Google Cloud の使用の費用を削減します。
- プロモーション: プロモーションには、Google Cloud の無料トライアル、マーケティング キャンペーン クレジット、Google Cloud を使用するためのその他の資金援助が含まれます。プロモーション クレジットは支払い方法とみなされます。プロモーション クレジットが利用可能な場合は、合計請求額の削減に自動的に適用されます。
- その他: 割引クレジットとプロモーション クレジットのカテゴリに該当しないクレジット。
ヒント: 現在使用中の Google Cloud の費用を把握するには、Google Cloud 無料トライアルの有効期限が終了した後に、[プロモーション] チェックボックスをオフにします。
3. 予算額を設定する
1 か月の予算の [金額] を設定し、[次へ] をクリックします。
予算タイプを選択します。
- 1 か月の費用を比較する固定額を設定するには、[指定額] を選択し、[目標額] フィールドに金額を入力します。
- 前月の利用額に基づいて毎月金額を更新する場合は、[先月の利用額] を選択します。このオプションを選択すると、[目標額] が自動的に更新されます。
4.予算しきい値のルールとアクションを設定する
予算の [アクション] を設定し、[完了] をクリックします。
アラートしきい値のルール
しきい値のルールでは、予算通知メールの生成に使用されるトリガー イベントを定義します。メール通知にはしきい値ルールが必要です。しきい値ルールは特にメール通知をトリガーするために使用されます。プログラムによる通知には、しきい値ルールは不要です。ただし、設定したしきい値に関するデータをプログラムによる通知に含める場合を除きます。
しきい値は、予算の対象期間中に発生した実際の費用*、または予測費用(現在の予算の対象期間の終了時点までの推定費用)に設定できます。
図 2: 予算の作成時に表示されるデフォルトのしきい値ルールを示しています。 デフォルトのアラートしきい値ルールが用意されています。 最初に予算を作成すると、デフォルトのアラートしきい値が 50%、90%、100% に設定されます。これは予算額に対する実際の利用額の割合です。
この割合や指定額、利用額の種類は変更できます。また、アラートしきい値ルールの追加や削除を行うこともできます。
予算のメールによるアラートの送信を希望しない場合は、しきい値ルールを削除します。
- アラートを発生させる予算の割合を [予算の割合] に入力します。対応する利用額が [金額] に自動的に入力されます。(または、[金額] に値を入力すると、[予算の割合] が自動的に計算されます)。
- [トリガー対象] で、利用額の [実値] または [予測] を選択します。
- [実値] 費用のしきい値ルールでは、予算期間中に発生した累積費用がしきい値の金額を超えると通知が送信されます。たとえば、$100 の予算額に対して実際の利用額のアラートを 50% に設定した場合、予算期間内に $50 費やすとアラート通知が届きます。
- [予測] 費用のしきい値ルールでは、予測費用(現在の予算期間の終了時点までで計算される)がしきい値の金額を超えると通知が送信されます。たとえば、$100 の予算額に対して予測費用のアラートを 110% に設定した場合、予算期間の終了までに利用額が $110 を超えると予測された時点でアラート通知が届きます。
- 他のアラートしきい値ルールを追加するには、現在のアラートしきい値ルールのリストの近くにある しきい値を追加をクリックします。
- しきい値ルールを削除するには、削除する行の [削除]( )をクリックします。
通知の管理
通知の管理オプションを設定し、次のいずれかを行います。
- 予算アラート通知のデフォルトのメール動作を制御し、Cloud Monitoring 通知を使用してアラートメールの受信者をカスタマイズします。
- Pub/Sub 通知を使用してプログラムによるアクションをトリガーするには、予算アラート通知を使用します。
メール通知
メール通知設定を使用して、予算アラートメールの受信者を指定します。メールの受信者オプションには、ロールベースの設定(デフォルト)と、Cloud Monitoring を使用してメールアラートを受け取るメールアドレスを指定する設定があります。
しきい値アラートルールを設定するときは、少なくとも 1 つのメール通知オプションを選択する必要もあります。メール通知が送信されるように予算を設定するのではなく、プログラムによる通知の生成のみの設定を希望する場合は、その予算で設定されたすべてのしきい値アラートルールを削除します。しきい値を削除すると、メール設定が無効になり、以前のメール構成がオーバーライドされます。
ロールベースのメール通知
予算のデフォルトの動作では、対象の Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者と請求先アカウント ユーザーにアラートメールが送信されます(つまり、
roles/billing.admin
またはroles/billing.user
のいずれかの課金の役割が割り当てられたすべてユーザーです)。- 役割ベースのメール通知を無効にするには、[課金管理者とユーザーへのメール通知] をオフにします。
メール通知用の Cloud Monitoring 通知チャンネル
対象の Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者と請求先アカウント ユーザーにアラートメールを送信するだけでなく、Cloud Monitoring 通知を使用してメール受信者をカスタマイズして、選択したメールアドレスにアラートを送信することもできます。
- Cloud Monitoring 通知を使用するには、Monitoring 通知チャンネルをこの予算にリンクします。
モニタリング ベースのメール通知の詳細については、Monitoring 通知の管理をご覧ください。
プログラムによる通知
予算を使用してアラートメールを送信するだけでなく、予算通知を使用してプログラムによるアクションをトリガーすることができます。たとえば、予算のメッセージを他のメディア(Slack など)に転送したり、コスト管理タスク(予算額を超えたプロジェクトの課金の無効化など)を自動化できます。この予算に関する費用の更新情報をプログラムで受け取るには、Pub/Sub 通知を使用します。
- 通知の管理をプログラムで行う場合は、この予算に Pub/Sub トピックを接続します。
Pub/Sub JSON オブジェクトに
alertThresholdExceeded
またはforecastThresholdExceeded
(あるいはその両方)のデータを含めるには、少なくとも 1 つのアラートしきい値ルールが必要です。しきい値ルールを設定する場合は、少なくとも 1 つのメール通知オプションを有効にする必要もあります。Pub/Sub のプログラム通知の詳細については、プログラムで通知を管理するをご覧ください。
5. [完了] をクリックして予算を保存する
予算の構成が完了したら、[完了] をクリックします。
予算を作成してから最初のメールまたは Pub/Sub 通知を受信するまでには、数時間かかることがあります。また、Google Cloud サービスによっては、Cloud Billing に使用状況レポートが表示されるまでに若干の遅延(最大で数日間)が生じる場合もあります。このレポートの遅延は、予算の対象期間に対して算出された費用に影響を与え、予算アラート通知の生成に遅延が生じる場合があります。
予算のしきい値ルールを設定すると、しきい値を超えたときにメール通知を管理するの設定で指定したメールの受信者に予算アラートメールが送信されます。以下にメールの受信者を示します。
- デフォルトの役割ベースのメール オプションを選択すると、対象の Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者と請求先アカウント ユーザー(つまり、課金の役割(
roles/billing.admin
またはroles/billing.user
)のいずれかが割り当てられたすべてのユーザー)に、しきい値ルールによってトリガーされたときに、予算アラート メールを送信します。 - オプションのMonitoringメール通知チャネルを設定してメールアラート受信者を指定する場合、予算しきい値に達したときに予算アラートが発生します。メールは、予算にリンクされている Cloud Monitoring 通知チャネルに送信されます。
- デフォルトの役割ベースのメール オプションを選択すると、対象の Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者と請求先アカウント ユーザー(つまり、課金の役割(
オプションのプログラムによる通知を設定してプログラムによるアクションをトリガーすると、接続された Pub/Sub トピックに予算通知が 1 日に複数回、予算の現在のステータスとともに送信されます。これは、予算しきい値に達したときにのみ送信される予算アラートメールの頻度とは異なります。
予算のリストを表示する(過去 1 か月の費用を含む)
このタスクに必要な権限
Cloud 請求先アカウントの予算のリストを表示するには、Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者または請求先アカウント閲覧者であることが必要です。
具体的には、このタスクを実行するには、Cloud 請求先アカウントに対する billing.budgets.get
と billing.budgets.list
の権限が必要です。
Cloud 請求先アカウントの予算のリストを表示するには、次の手順に従います。
Google Cloud Console にログインします。
Console のナビゲーション メニュー(
)を開き、[お支払い] を選択します。複数の Cloud 請求先アカウントがある場合は、次のいずれかを行います。
- 現在のプロジェクトの Cloud Billing を管理するには、[リンクされた請求先アカウントに移動] を選択します。
- 別の Cloud 請求先アカウントを見つけるには、[請求先アカウントを管理] を選択し、予算を表示する対象アカウントを選択します。
[お支払い]ナビゲーションメニューで、[予算とアラート]を選択して、選択した Cloud 請求先アカウントに対して作成されたすべての予算のリストを表示します。
予算ごとに、次の情報が表示されます。
- 予算名は、予算の作成時に予算に対して割り当てる名前です。
- 予算タイプは予算額の基準を示します。つまり、予算額が指定額であるか、金額が先月の利用額に基づいているかを示します。
- 適用先は、予算の範囲を示します。予算は、Cloud 請求先アカウント全体に適用することも、選択したプロジェクト、プロダクト/サービス、ラベル、クレジット タイプに焦点を絞るように範囲を設定することもできます。
- アラートを送信するしきい値。アラートしきい値ルールを作成した予算に対してアラート対象となる各割合が表示されます。
- 利用額と予算額は、実際の費用を予定費用と照らし合わせて追跡する視覚的なゲージです。
予算を変更または削除する
このタスクに必要な権限
Cloud 請求先アカウントの予算を変更または削除するには、Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者であることが必要です。
このような操作を行うには、Cloud 請求先アカウントで次の権限が必要になります。
billing.budgets.get
とbilling.budgets.list
: Cloud 請求先アカウントのすべての予算を表示します。billing.budgets.update
: 既存の予算の変更billing.budgets.delete
: 予算の削除
予算を変更または削除するには、次のようにします。
Google Cloud Console にログインします。
Console のナビゲーション メニュー(
)を開き、[お支払い] を選択します。複数の Cloud 請求先アカウントがある場合は、次のいずれかを行います。
- 現在のプロジェクトの Cloud Billing を管理するには、[リンクされた請求先アカウントに移動] を選択します。
- 別の Cloud 請求先アカウントを確認するには、[請求先アカウントを管理] を選択し、予算を管理するアカウントを選択します。
[お支払い]ナビゲーションメニューで、[予算とアラート]を選択して、選択した Cloud 請求先アカウントに対して作成された予算のリストを表示します。
予算を変更する:
- 予算と予算のアラートしきい値ルールを変更するには、[予算名] をクリックし、目的の項目を変更します。
変更が完了したら、[保存] をクリックします。
予算設定の詳細については、以下をご覧ください。
予算を削除する:
- 予算を削除するには、[予算名] の横にあるチェックボックスをオンにして、 [削除] をクリックします。
- この操作を確認するよう求めるメッセージが表示されます。
API を使用して予算を作成し管理する
提供開始: Cloud Billing Budget API では、予算の表示、作成、管理をプログラムで行うことができます。これは、組織全体で作成する予算の数が多い場合に特に便利です。