Azure プロフェッショナルのための Google Cloud Platform

更新日: 2019 年 8 月 16 日

この記事は、Microsoft Azure に精通するプロフェッショナルが Google Cloud Platform(GCP)の利用を始める際に必要となる主要なコンセプトを把握できるようにすることを目的としています。GCP と Azure を比較し、両者の類似点と相違点を明確にします。また、Azure のサービス、コンセプト、用語と GCP のサービス、コンセプト、用語の対応がすぐにわかるよう簡潔にまとめています。

このドキュメントは、Azure と GCP で提供されている SDK、API、コマンドライン ツールの構文やセマンティクスを比較するものではありません。

GCP を選ぶ理由

Google は 15 年以上にわたり、速度、機能、品質において世界最高レベルのクラウド インフラストラクチャを構築してきました。Google 内部では、このインフラストラクチャを GmailマップYouTube検索といったトラフィック量の多いグローバル規模のサービスで使用しています。このような規模のサービスを支えるため、Google では、インフラストラクチャを最適化し、効率的に管理するためのツールやサービスの作成に力を入れてきました。GCP を利用することで、このようなインフラストラクチャと管理リソースをすぐに入手できます。

リージョンとゾーン

Azure と同じく、GCP プロダクトは世界中のリージョンにデプロイされています。各リージョンは、地理的に近接した 1 つ以上のデータセンターで構成されており、Azure も GCP も、リージョンをそれぞれに独立したロケーションであるゾーンにさらに分割して利用できるようになっています。

また、App Engine や Cloud Storage Multi-Regional Storage など一部の GCP サービスでは、リージョンやゾーンという細かいレベルではなく、マルチリージョンのレベルでデータを複製、提供しています。さらに、GCP では Cloud Storage と Compute Engine を対象に、デュアルリージョン レプリケーション モデルも提供しています。なお、この機能は 2019 年 4 月の時点ではベータ版です。

ゾーンサービス、リージョン サービス、マルチリージョン サービスの詳細については、地域とリージョンをご覧ください。

分離と可用性

Azure では、同じ大陸内、かつ物理的に 300 マイル以上離れたリージョンが「可用性セット」としてペアになるよう設計されています。Azure では、このペアに基づいてシステムやアプリケーションを構築し、アクティブ / アクティブのリカバリ セットアップを作成して、可用性の確保と分離を行うことを推奨しています。さらに、Blob Storage など一部の Azure サービスでは、ペア設定されたリージョン間でデータを自動的に複製するレプリケーション オプションが使用できます。

GCP でも分離と可用性に関してこれと類似した方法を採用しており、可用性を考慮したうえで、各リージョンを分離しています。GCP では特定の地域の組み合わせは規定していませんが、高可用性を実現するには Azure と同様、アプリケーションの設計に複数のリージョンをまたぐアーキテクチャを取り入れる必要があります。また、これも Azure と同様に、Cloud Storage Multi-Regional Storage や Cloud Storage デュアルリージョン ストレージクラスなどの一部の GCP サービスには、マルチリージョン同期機能が組み込まれています。

アカウントと割り当て

Azure サービスを使用するには、Azure アカウントにサインアップするか、Azure を既存の Microsoft アカウントに追加する必要があります。Azure アカウントをセットアップすると、そのアカウント内でサブスクリプションを作成し、そのサブスクリプション内でサービスを開始できるようになります。各 Azure アカウントは複数のサブスクリプションをサポートできます。また、それぞれのサブスクリプションで必要に応じて独自の課金アカウントを使用できます。

GCP のモデルは Azure のモデルと類似しています。Google アカウントを設定して GCP サービスにアクセスし、Azure のサブスクリプションと類似した働きをするプロジェクト内でサービスを起動します。プロジェクトは組織単位でグループ化することもでき、プロジェクトの上位にはフォルダというグループ化メカニズムも用意されています。フォルダを使用する際には、組織リソースが必須となっており、フォルダとプロジェクトはすべて組織リソースにマッピングされます。詳細については、Cloud Platform のリソース階層をご覧ください。

Azure と GCP のいずれにおいても、新規アカウントに対するサービスのソフト制限がデフォルトで定められています。これらのソフト制限は、該当するサービスの技術的な制限とは無関係ですが、不正なアカウントがリソースを過剰に使用するのを防ぐのに役立ちます。また、新しいユーザーがプラットフォームを操作する際に、意図せず予想外のリソースを消費してしまうリスクの軽減にも役立ちます。Azure と GCP では、アプリケーションがこれらの制限を超えた場合、サービスに課せられた上限を引き上げるために、適切なチームに連絡が取れるように設定されています。

料金

料金はコア機能やサービスに比べて頻繁に変更される傾向があるため、このシリーズ記事では料金体系については触れません。ただし、各サービスの料金モデルについて、説明が必要な箇所はそれぞれの項目で取り上げています。ソリューションの最新の料金について比較するには、Azure 料金計算ツールと GCP 料金計算ツールを使用して、柔軟性、スケーラビリティ、費用などの面で最適な構成を確認してください。

割引料金

Azure と GCP はそれぞれ、各サービスのサブセットに対する割引を提供していますが、その仕組みは異なります。

Azure サービスの中には、Microsoft Enterprise Agreement で 1 つ以上の Microsoft サーバーかクラウド コンポーネントについて全面的なソフトウェア アシュアランスも含めたインストール ベースの全体契約を行うことで、割引を受けられるものがあります。Microsoft Enterprise Agreement がない場合でも、販売パートナーを通じて割引を受けられる場合があります。

GCP では、毎月の使用量に基づいて、サービスごとの継続使用割引が提供されます。たとえば、Google Compute Engine では、対象となる仮想マシンの特定の月の累積実行時間数に基づいて、継続利用割引が提供されます。リソース使用量が安定していて予測可能な場合には、確約利用割引により大幅な割引を得ることもできます。確約利用割引では、確約する期間に応じて、特定数の仮想 CPU(vCPU)と特定量のメモリの正規購入価格に対し割引が適用されます。

サポートプラン

Azure と GCP では、提供されるサポートプランが異なります。Azure では、サポートレベルを 5 つの異なるサブスクリプション層に分割しています。利用可能な Azure のサポートプランの詳細については、Azure のサポートプランをご覧ください。Azure と同様に、GCP でも基本的なアカウント サポートとオンライン ヘルプリソースを無料で提供しています。さらに、GCP では有料サポート サービスも購入できます。利用可能なサポートプランの詳細については、GCP のサポートプランをご覧ください。

リソース管理インターフェース

Azure と GCP ではそれぞれ、サービスやリソースを操作するためのコマンドライン インターフェース(CLI)が提供されています。Azure では、クロス プラットフォーム ツールである Azure CLI と、Windows PowerShell を通じてインストールおよび使用する Azure PowerShell コマンドレットが提供されています。GCP では、クロスプラットフォーム ツールキットである Cloud SDK を介して、コマンドライン ツールと PowerShell コマンドレットのセットが提供されます。

Azure と GCP では、ウェブベースのコンソールも提供されています。ユーザーは、コンソールを使用してリソースの作成、管理、監視を行えます。GCP のコンソールは https://console.cloud.google.com/ にあります。Google Cloud Shell を使用してウェブブラウザで Cloud SDK を使用することもできます。

コアサービス

それぞれのクラウド プラットフォームでは、コンピューティング、ストレージ、ネットワーキング、データベース サービスなどの各種のコアサービスが提供されています。Azure のコアサービスには、次のものが含まれます。

  • コンピューティング: Azure Virtual Machines、Azure App Service、Azure Kubernetes Service
  • ストレージ: Azure Blob Storage、Azure Managed Disks
  • ネットワーキング: Azure Virtual Network(VNet)
  • データベース: Azure Cloud SQL Database、Azure SQL Data Warehouse、Azure Table Storage、Cosmos DB

GCP のコアサービスには、次のものが含まれます。

  • コンピューティング: Compute Engine、App Engine、Google Kubernetes Engine
  • ストレージ: Cloud Storage、Compute Engine 永続ディスク
  • ネットワーキング: Virtual Private Cloud(VPC)
  • データベース: Cloud SQL、Cloud Firestore、Cloud Bigtable、Cloud Spanner

各プラットフォームには、これらのサービスに加え、さらに他のソリューションを組み込むことが可能です。通常、上位レベルのサービスは次のいずれかのタイプに分類できます。

  • アプリケーション サービス: Cloud 内のアプリケーションを最適化するために設計されたサービスです。たとえば、Azure Service Bus や Google Cloud Pub/Sub などがあります。
  • ビッグデータと分析サービス、AI サービス、IoT サービス: Azure HDInsight や Google Cloud Dataflow など、大量のデータの処理と解釈を行い、価値ある情報を抽出するように設計されています。
  • 管理サービス: アプリケーションを管理し、そのパフォーマンスを追跡するように設計されたサービスです。Azure Application Insights や Google Stackdriver Monitoring などがあります。

サービスの比較

次の表は、Azure と GCP で利用可能なサービスを並べて比較したものです。

GCP プロダクトの詳細なリストについては、プロダクトとサービスをご覧ください。

コンピューティング

カテゴリ Azure GCP
IaaS 仮想マシン Compute Engine
PaaS App Service、Cloud Services App Engine
コンテナ Azure Kubernetes Service、Azure Service Fabric Google Kubernetes Engine
サーバーレス機能 Azure Functions Cloud Functions

ネットワーキング

カテゴリ Azure GCP
仮想ネットワーク Azure VNet VPC
ロードバランサ Azure Load Balancer、Application Gateway Cloud Load Balancing
専用の相互接続 ExpressRoute Cloud Interconnect
DNS Azure DNS Cloud DNS
CDN Azure CDN Cloud CDN

ストレージ

カテゴリ Azure GCP
オブジェクト ストレージ Azure Blob Storage Cloud Storage
ブロック ストレージ Disk Storage Persistent Disk
ファイル ストレージ Azure File Storage Cloud Filestore
低可用性ストレージ Azure Cool Blob Storage Cloud Storage Nearline
アーカイブ ストレージ Azure Archive Blob Storage Cloud Storage Coldline

データベース

カテゴリ Azure GCP
RDBMS SQL Database Cloud SQLCloud Spanner
NoSQL: Key-Value Table Storage Cloud FirestoreCloud Bigtable
NoSQL: インデックス Cosmos DB Cloud Firestore

ビッグデータと分析

カテゴリ Azure GCP
バッチデータ処理 HDInsight、Batch Cloud DataprocCloud Dataflow
ストリーム データ処理 Stream Analytics Cloud Dataflow
ストリーム データの取り込み Event Hubs、Service Bus Cloud Pub/Sub
アナリティクス Data Lake Analytics、Data Lake Store BigQuery

アプリケーション サービス

カテゴリ Azure GCP
メッセージ Service Bus、Queue Storage Cloud Pub/Sub
API 管理 API 管理 ApigeeCloud Endpoints
ウェブ ファイアウォール Azure WAF Google Cloud Armor
DDoS 対策 Azure DDoS Protection Google Cloud Armor
キャッシュ Azure Cache for Redis Cloud Memorystore

管理サービス

カテゴリ Azure GCP
モニタリング Application Insights モニタリング
ロギング Log Analytics Stackdriver Logging
デプロイ Azure Resource Manager Cloud Deployment Manager

人工知能

カテゴリ Azure GCP
自動生成モデル 自動機械学習 Cloud AutoML
音声 Cognitive Services - 音声 Cloud Speech-to-Text
Vision Cognitive Services - 視覚 AutoML Vision
自然言語処理 Cognitive Services - 言語 Cloud Natural Language API
Video Intelligence Video Indexer Cloud Video Intelligence API
フルマネージド ML Cognitive Services、自動機械学習 AI Platform Prediction

IoT

カテゴリ Azure GCP
マネージド IoT Azure IoT Hub Cloud IoT Core
エッジ上の IoT Azure IoT Edge Cloud IoT Edge TPU(ベータ)

次のステップ

次の各サービスについての、Azure プロフェッショナルのための GCP の記事もご覧ください。