このページでは、Google Kubernetes Engine(GKE)でのアルファ クラスタの動作の概要について説明します。アルファ クラスタでは、アルファ版機能と API へのアクセスの仕組みが他のタイプの GKE クラスタとは異なります。アルファ クラスタを作成するか、クラスタ構成の選択肢についての詳細をご覧ください。
Kubernetes のアルファ版機能をテストするには、アルファ クラスタを作成します。アルファ クラスタは、Kubernetes の安定版リリースを実行する有効期限の短いクラスタです。アルファ版 API を含むすべての Kubernetes API が有効になります。デフォルトでは、Kubernetes バージョンで使用可能なすべてのアルファ版フィーチャー ゲートがアルファ クラスタで有効です。Kubernetes のデフォルト設定に応じて、ベータ版フィーチャー ゲートの一部も有効です。クラスタを作成するときに、特定のアルファ版またはベータ版のフィーチャー ゲートを選択的に有効または無効にすることもできます。アルファ クラスタは、新機能がプロダクション レディになる前に、上級ユーザーや先行ユーザーがその新機能を利用したワークロードをテストできるように設計されています。
制限事項
アルファ クラスタには次のような制限があります。
- GKE SLA の対象外
- アップグレード不可
- アルファ クラスタでは、ノードの自動アップグレードと自動修復を無効にする必要があります。
- リリース チャンネルへの登録不可
- 30 日後に自動的に削除
- セキュリティ アップデートの対象外
- Windows Server のノードプールでサポート対象外
- アルファ クラスタでフィーチャー ゲートを有効にする際に追加の制限事項あり
アルファ クラスタとアルファ GKE バージョンの違い
アルファ クラスタでは、GKE の「アルファ」バージョンを実行しているとは限りません。アルファ クラスタとは、そのクラスタで実行する Kubernetes のバージョンに関係なく、アルファ版 API が有効であることを意味します。Google は、一般提供されていない GKE バージョンをお客様がテストして検証するための機能を定期的に提供しています。この早期アクセス バージョンは、アルファ クラスタとして実行できるほか、Kubernetes のアルファ版 API を有効にしないクラスタとして実行することもできます。
フィーチャー ゲートとアルファ クラスタ
フィーチャー ゲートは、Kubernetes 機能を切り替える一連の Key-Value ペアです。アルファ クラスタでは、GKE によって以下が有効になります。
- アルファ版フィーチャー ゲート: クラスタの Kubernetes バージョンで使用可能なすべてのアルファ段階のフィーチャー ゲート。
- ベータ版フィーチャー ゲート: クラスタの Kubernetes バージョンで使用可能なベータ段階のフィーチャー ゲート。オープンソースの Kubernetes ではデフォルトで有効になっています。
特定の Kubernetes バージョンで使用可能なフィーチャー ゲート、およびデフォルトで有効(true
)になっているベータ版機能について詳しくは、Kubernetes ドキュメントのアルファ版またはベータ版の機能のフィーチャー ゲートをご覧ください。なお、GKE で設定されたデフォルト値を変更することで、特定のフィーチャー ゲートを選択的に有効または無効にすることができます。
フィーチャー ゲートは、機能を有効にするうえで Kubernetes API とは別のメカニズムであり、GKE クラスタによって Kubernetes API とは異なる方法で管理されています。アルファ クラスタでは、Kubernetes のアルファ版 API がすべて有効になります。アルファ クラスタのフィーチャー ゲートを有効または無効にしても、Kubernetes API が有効な状態には影響しません。ただし、Kubernetes API と Kubernetes フィーチャー ゲートの中には互いに連携して動作するものがあります。フィーチャー ゲートを無効にすると、これらに関連する API で問題が発生する可能性があります。特定のフィーチャー ゲートと API との接続を検証します。
GKE とフィーチャー ゲートとの連携について詳しくは、フィーチャー ゲートをご覧ください。
特定のフィーチャー ゲート構成のクラスタを有効にするには、Google Cloud CLI を使用してクラスタを作成するときに --alpha-cluster-feature-gates
フラグを使用します。このフラグを指定すると、どのアルファ版とベータ版のフィーチャー ゲートを有効または無効にするかを変更できます。詳細についてはアルファ クラスタを作成するをご覧ください。
アルファ クラスタでフィーチャー ゲートを有効にする場合の制限事項
アルファ クラスタでフィーチャー ゲートを有効にする場合は、次の追加の制限事項に注意してください。
- 特定のフィーチャー ゲートを持つアルファ クラスタを作成するには、gcloud CLI を使用する必要があります。 Google Cloud コンソールや Terraform を使用して作成することはできません。
- フィーチャー ゲートの有効化以外の追加の構成が必要な Kubernetes のアルファ版機能はサポートされていません。
- アルファ版またはベータ版のフィーチャー ゲートは選択的に有効または無効にすることができますが、Kubernetes のアルファ版 API はすべて有効になります。
最新の Kubernetes のアルファ版機能
Kubernetes の大半のリリースには、アルファ クラスタでテストできる新しいアルファ版機能が含まれています。Kubernetes のリリースとそれに含まれる機能については、Kubernetes の変更履歴をご覧ください。
機能のステージについて
Kubernetes の新機能は、初期開発段階、アルファ段階、ベータ段階、安定段階の 4 段階を経て導入されます。
安定性と本番環境での品質を維持するため、アルファ クラスタ以外の GKE クラスタでは、ベータ版以降の機能のみが有効になります。アルファ版機能はプロダクション レディではなく、アップグレードにも対応していないことから、GKE では、アルファ クラスタ以外の GKE クラスタでアルファ版機能が有効になりません。
GKE では Kubernetes のコントロール プレーンを自動的にアップグレードし、デフォルトではワーカーノードも自動的にアップグレードします。したがって、本番環境でアルファ版機能を有効にした場合、新しいバージョンで互換性を破る変更があると、クラスタの信頼性が損なわれる可能性があります。
Kubernetes 機能の各段階について詳しくは、Kubernetes ドキュメントのアルファ版、ベータ版、安定版をご覧ください。
特定バージョンの GKE コントロール プレーンでどの機能が有効になるかを確認する方法については、フィーチャー ゲートをご覧ください。
次のステップ
- クラスタ構成の選択について詳細を確認する。
- アルファ クラスタを作成する。
- GKE の概要を読む。