FinOps ハブを使用すると、現在の費用の削減状況をモニタリングして報告できます。また、提案された新しい費用最適化の機会に基づいて、最適化の目標を設定できます。FinOps ハブでは、現在の費用削減と最適化の機会がすべて 1 つのダッシュボードに表示されます。FinOps ハブでは、Cloud Billing と Recommender によって収集された過去の使用状況の指標(最近の使用量や現在のコミットメントなど)に基づいてダッシュボードが自動的に生成されます。
FinOps ハブは、アイドル状態のリソースの無効化、インスタンスのサイズ適正化、確約利用割引(CUD)の購入、という最適化の 3 つのプラクティスを検討することで、費用削減の機会を提案します。ハブ全体の指標はこうした最適化の達成状況を反映しています。これにより、費用の削減や FinOps の改善につながる新たな機会を特定できます。
FinOps ハブにアクセスするために必要な権限
FinOps ハブにアクセスして、利用可能な推奨事項、FinOps スコア、CUD 最適化指標を表示するには、Cloud 請求先アカウントの請求先アカウント管理者または請求先アカウント閲覧者のロールが必要です。
推奨事項の詳細パネルを表示するには、推奨事項を表示する各プロジェクトのプロジェクト閲覧者のロールと Recommender 固有の権限が必要です。ハブの指標に影響する Recommender については、FinOps ハブの費用 Recommender のリストをご覧ください。最新の推奨事項を表示する権限を付与する方法については、Recommender の概要をご覧ください。
カスタムロールを使用して FinOps ハブにアクセスするには、Cloud 請求先アカウントに対する次の権限が必要です。
billing.accounts.get
billing.accounts.getSpendingInformation
billing.finOpsBenchmarkInformation.get
billing.finOpsHealthInformation.get
recommender.costRecommendations.summarizeAll
recommender.costRecommendations.listAll
FinOps ハブについて
FinOps ハブを表示するには:
Google Cloud コンソールで、FinOps ハブに移動します。
プロンプトで、FinOps ハブを表示する Cloud 請求先アカウントを選択します。
FinOps ハブのダッシュボード
FinOps ハブのダッシュボードには、現在の費用の最適化の概要と、Google Cloud が推奨する最適化の概要が表示されます。FinOps ハブの情報には、収集された過去のデータが反映されています。
最適化のサマリー
最適化のサマリーは、最適化によって現在どれくらい節約できているか、Google Cloud からの現在の推奨事項、追加の最適化を採用することでさらにどれくらい節約が可能かを示すスナップショットです。最適化のサマリーには、次の情報が表示されます。
先月の実際の費用削減 - CUD、インスタンスの適正化、アイドル状態のリソースの削除に関する毎月の合計削減金額。
アクティブな推奨事項 - 使用できる Google Cloud 推奨の最適化の合計数。推奨事項には、アイドル状態のリソースの無効化、インスタンス サイズの適正化、CUD の購入などの提案が含まれます。
削減見込み/月 - 提案されている最適化案をすべて実施することで削減される費用の見積もり額。リソースベースの CUD やフレキシブル CUD など、同じ Compute Engine リソースで節約できる機会が複数ある場合は、節約額が最も大きい最適化案が表示されます。
FinOps スコア
FinOps スコアは、Google Cloud ツールを使用してどの程度適切に費用をモニタリングして節約できているか、また費用の最適化を継続して実施する方法を判断する際に活用できます。このスコアは、次のような最適化のベスト プラクティスにどのように従うかに基づいて計算されます。
- 積極的にログインして、Cloud Billing ツールに使用することで、費用をモニタリングする。
- タグやラベルなどのツールを使用して、リソースに費用を割り当てる。
- アイドル状態のリソースを無効にしてリソースを適正化し、インスタンスのサイズを最適化する。
- CUD を購入する(Google Cloud が推奨する CUD の購入機会を含む)。
- 予算を頻繁に作成してモニタリングする。
- BigQuery への課金データのエクスポートや Budgets API などのツールを使用して、費用管理を自動化する。
[スコアの改善] を選択して、Google Cloud が Cloud FinOps の 3 つのステージ(通知、運用、最適化)を通じて推奨する費用削減のアクションを確認します。
FinOps スコアは、集計された使用状況データに基づき、業界内での最適化パフォーマンスのビューとしてピア ベンチマーク スコアも提示します。どのユーザーもピア ベンチマークの集計に自動的にオプトインされますが、オプトアウトはいつでも可能です。オプトアウトすると、CUD の推奨事項、FinOps スコア、ピア ベンチマーク スコアが FinOps ハブに表示されなくなります。
FinOps とピア ベンチマークのスコアは、2 日前に収集されたデータに基づいて毎日更新されます。スコアは、ピア ベンチマーク スコアに新しい顧客が加わるなどの要因によって変化することがあります。
ピア ベンチマーク スコアへの参加をオプトインまたはオプトアウトする
ピア ベンチマークへの参加をオプトインまたはオプトアウトするには、Cloud 請求先アカウントに対する請求先アカウント管理者のロールと、Cloud 請求先アカウントに対する dataprocessing.groupcontrols.update
権限(データ処理制御リソース管理者のロールの一部)が必要です。
Google Cloud コンソールで、Cloud 請求先アカウントの Identity and Access Management(IAM)の透明性とコントロール センターを開きます。
メニューからご利用の Cloud 請求先アカウントを選択します。
ピア ベンチマークへの参加をオプトアウトするには、[データ処理グループ] テーブルで [請求] グループの [無効にする] をクリックします。
オプトインするには、[有効にする] を選択します。
上位の推奨事項
上位の推奨事項ウィジェットには、費用削減額の上位 10 件の推奨事項が表示されます。各推奨事項には、1 か月の削減見込み、関連するサービス、推奨事項の概要が表示されます。
推奨事項の詳細情報を取得するには、Cloud 請求先アカウントに対する Recommender 閲覧者ロールが必要です。
推奨事項を選択して詳細情報を取得し、推奨事項を適用します。
削減可能な費用(サービス別)
削減可能な費用(サービス別)では、サービスごとの節約に重点を置くことができます。このグラフは、費用最適化の機会をすべて実施した場合に削減可能な総額を、関連するサービスごとに示しています。
[すべての推奨事項を表示] を選択して詳細を表示すると、すべての最適化案を確認できます。
CUD の最適化
確約利用割引(CUD)最適化ウィジェットには、先月のコスト削減額、CUD 最適化率、ピアの最適化率が表示されます。CUD 最適化率は、すべてのプロダクトにおける過去 30 日間の使用量を CUD に変換した場合の金額と比較して決定されます。たとえば、過去 30 日間に CUD の対象となる Google Cloud プロダクトに $10,000 を支払い、$8,000 相当の CUD を受け取ったとします。この例では、CUD の購入機会で $10,000 のうち $8,000 を使用しているため、CUD の最適化率は 80% です。
ピア ベンチマーク スコアは、FinOps スコアのピア ベンチマークと同様に集計データを使用して計算される指標で、業界の同業他社と比較して組織が CUD をどのように使用しているかを検討する機会を提供します。
先月の実際の費用削減
コミットメントによる節約額を概観的に確認する場合は、[先月達成した費用の節約額] ウィジェットを使用すると、節約額がコミットメントを購入したサービスごとに分類されます。
Carbon Footprint ダッシュボード
Carbon Footprint ダッシュボードには、Google Cloud の使用による温室効果ガス排出量の推定値が表示されます。ダッシュボードでは、二酸化炭素排出量が最も少ないロケーションの横に「 低 CO2」と表示されます。詳細については、Carbon Footprint のドキュメントをご覧ください。
推奨事項を適用する
Google 推奨の費用削減策を活用することで、引き続き最適化を進めることができます。推奨策にアクセスして適用するには、FinOps スコア ウィジェットの [スコアを増やす] を確認するか、[上位の推奨事項] ウィジェットの推奨事項のいずれかをクリックするか、確約利用割引の Recommender にアクセスします。
FinOps ハブの費用 Recommender
FinOps ハブのダッシュボードは、Google Cloud の費用に関するさまざまな Recommender から指標を受け取ります。次の表に、各 Recommender の詳細を示します。
名前 | Recommender ID | 簡単な説明 |
---|---|---|
Cloud Run の CPU 割り当て Recommender | google.run.service.CostRecommender |
常時割り当て CPU に切り替えます |
Cloud SQL アイドル状態インスタンス Recommender | google.cloudsql.instance.IdleRecommender |
未使用の SQL インスタンスを削除します |
Cloud SQL オーバープロビジョニング インスタンス Recommender | google.cloudsql.instance.OverprovisionedRecommender |
オーバープロビジョニングした SQL インスタンスのサイズを適正化します |
確約利用割引の Recommender |
google.compute.commitment.UsageCommitmentRecommender
google.cloudbilling.commitment.SpendBasedCommitmentRecommender |
コミットメントを通じてコストを削減します |
アイドル状態のカスタム イメージ Recommender | google.compute.image.IdleResourceRecommender |
未使用のイメージを削除します |
アイドル状態の IP アドレス Recommender | google.compute.address.IdleResourceRecommender |
未使用の IP を削除します |
アイドル状態の永続ディスク Recommender | google.compute.disk.IdleResourceRecommender |
未使用のディスクをバックアップして削除します |
アイドル状態の VM Recommender | google.compute.instance.IdleResourceRecommender |
未使用の VM を削除します |
アイドル状態の予約 Recommender | google.compute.IdleResourceRecommender |
未使用の予約を削除します |
マネージド インスタンス グループのマシンタイプ Recommender | google.compute.instanceGroupManager.MachineTypeRecommender |
MIG マシンタイプのサイズを適正化します |
VM マシンタイプ Recommender | google.compute.instance.MachineTypeRecommender |
VM マシンタイプのサイズを適正化します |
放置されたプロジェクト Recommender | google.resourcemanager.projectUtilization.Recommender |
未使用のプロジェクトを再利用または削除します |