このページでは、Spanner のエディションとその主な機能について説明します。
2024 年 9 月 24 日から、Spanner ではさまざまな価格で異なる機能を提供する新しい階層ベースの料金モデルが導入されます。
Standard エディションは、シングル リージョン構成で一般提供（GA）されている現在のすべての機能を含む、確立された包括的な機能スイートを提供します。
Enterprise エディションは、Standard エディションをベースとし、グラフ、全文検索、ベクトル検索などのマルチモデル機能を提供するティアです。また、管理された自動スケーリングと増分バックアップにより、運用の簡素化とデータ保護が強化されています。
Enterprise Plus エディション: マルチリージョン構成と地域パーティショニングのサポートにより、99.999% の可用性を必要とする、最も要求の厳しいワークロード向けに設計されています。Standard Edition と Enterprise Edition のすべての機能が含まれます。
エディションの機能
次の表に、各エディションで利用できる機能を示します。
| 標準 | Enterprise | Enterprise Plus | |
|---|---|---|---|
| 可用性 SLA | 99.99% の可用性 SLA | 99.99% の可用性 SLA | 最大 99.999% の可用性 SLA |
| 構成 | リージョン | リージョン オプションのカスタム読み取り専用レプリカ |
リージョン、デュアルリージョン、マルチリージョン オプションのカスタム読み取り専用レプリカ |
| マルチモデル機能 | リレーショナル（GoogleSQL、PostgreSQL） Key-Value |
リレーショナル（GoogleSQL、PostgreSQL） Key-value グラフ |
リレーショナル（GoogleSQL、PostgreSQL） Key-value グラフ |
| 検索機能 | 全文検索 ベクトル検索（KNN、ANN） |
全文検索 ベクトル検索（KNN、ANN） |
|
| リソース管理 | マネージド オートスケーラー 非対称の読み取り専用自動スケーリング（近日提供予定） |
マネージド オートスケーラー 非対称読み取り専用自動スケーリング（今後提供予定） 地域パーティショニング |
|
| アナリティクス | BigQuery 連携 Spanner Data Boost リバース ETL（BigQuery から Spanner） |
BigQuery 連携 Spanner Data Boost リバース ETL（BigQuery から Spanner） |
BigQuery 連携 Spanner Data Boost リバース ETL（BigQuery から Spanner） |
| データの保護 | 標準バックアップ 7 日間の PITR スケジュール バックアップ（近日提供予定） |
標準バックアップ 7 日間の PITR スケジュール バックアップ（近日提供予定） 増分バックアップ（近日提供予定） |
標準バックアップ 7 日間の PITR スケジュール バックアップ（近日提供予定） 増分バックアップ（近日提供予定） |
| CUD | 1 年間で 20%、3 年間で 40% | 1 年間で 20%、3 年間で 40% | 1 年間で 20%、3 年間で 40% |
ご対応のお願い
Google Cloud のコミットメントに加入していない場合は、次の操作を行う必要があります。
Spanner のエディションを確認する: Standard エディション、Enterprise エディション、Enterprise Plus エディション。
詳細については、Spanner エディションの機能の表をご覧ください。
エディションを選択する: 2024 年 9 月 24 日より、インスタンスのエディションを選択します。上位階層の機能を使用している場合は、その機能をサポートするエディションを選択してください。エディションを選択すると、新しい Spanner エディションの SKU で課金されます。詳しくは、料金の改定をご覧ください。
2024 年 11 月 1 日より、Spanner の現在の料金モデルは提供されなくなります。Spanner エディションの料金モデルは、すべての新しいインスタンスに適用されます。既存の SKU の割引が適用される Google Cloud コミットメントの対象となる Spanner のお客様を除き、この日以降、現在の Spanner 料金モデルで Spanner インスタンスを作成することはできません。
2025 年 1 月 13 日以降、エディションにセルフアップデートしなかった場合、ワークロードの中断を回避するために、インスタンスは使用パターンと一致する最下位のエディションに自動的に更新されます。全般:
- リージョン インスタンスは Standard エディションに更新されます。
- 追加の構成可能な読み取り専用レプリカを持つリージョン インスタンスや、Enterprise エディション機能を使用するリージョン インスタンスは、Enterprise エディションに更新されます。
- マルチリージョン インスタンスまたは Enterprise Plus エディション機能を使用するインスタンスは、Enterprise Plus エディションに更新されます。
既存の SKU に割引が適用されている Google Cloud コミットメントの Spanner をご利用の場合は、お客様側でのご対応は必要ありません。契約が終了するまで、以前の SKU を引き続き使用できます。また、Spanner エディションにアップグレードすることもできます。セールスチームに連絡を取り、既存の契約上の義務を把握し、新しいエディションの SKU を含むように契約を更新することをおすすめします。これにより、総所有コストを最適化し、エディションにのみ提供される新しい機能を利用できます。
料金の変更
Spanner エディションでは、ティアベースの従量制課金と、1 年間および 3 年間のオプションの確約利用割引（CUD）が用意されています。これらはこれまでと同じです。主な変更点は次のとおりです。
- レプリカごとの課金: コンピューティングとストレージはレプリカごとに課金され、前者のノードごとの料金モデルが置き換えられます。
- 従量制レプリケーション料金: 透明性を高めるため、データ レプリケーション費用は、新しい SKU のコンピューティング費用から除外されます。
- 読み取り専用レプリカの料金の削減: 読み取り専用レプリカは、定額料金ではなく、使用するエディションに基づいて読み書きレプリカと同じ料金が発生します。
- ウィットネス レプリカのストレージ費用はかかりません: ウィットネス レプリカのストレージ費用が排除されます。
コンピューティング容量の新しい料金
現在の料金モデルでは、ノード数に時間単位のレートを掛けた金額が課金されます。新しいエディションベースの料金モデルでは、ノードの物理的な表現であるサーバー数に時間単位のレートを掛けた金額が課金されます。
- ベース リージョン インスタンス構成の各ノードには 3 台のサーバーがあります。
- ベースのデュアルリージョン インスタンス構成の各ノードには 6 台のサーバーがあります。
- ベースのマルチリージョン インスタンス構成の各ノードには、少なくとも 5 台のサーバーがあります。
サンプル事例
1 つのノードを持つ us-central1 にベース リージョン インスタンスを作成する場合は、合計コンピューティング容量コストは次のようになります。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| 1 時間あたり $0.90 | Standard エディション: サーバー時間あたり $0.30 × 3 台のサーバー = 1 時間あたり $0.90 Enterprise エディション: サーバー時間あたり $0.41 × 3 台のサーバー = 1 時間あたり $1.23 Enterprise Plus エディション: サーバー時間あたり $0.57 × 3 台のサーバー = 1 時間あたり $1.71 |
1 つのノードを持つベースのデュアルリージョン インスタンス dual-region-australia1 を作成した場合、コンピューティング容量の合計費用は次のとおりです。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| 1 時間あたり $4.59 | Standard エディションと Enterprise エディション: 利用不可 Enterprise Plus エディション: $0.57/サーバー時間 × 6台の サーバー × 1.35 （リージョン乗数）= $4.62/時間 |
1 つのノードでベース マルチリージョン インスタンス nam13 を作成する場合、コンピューティング容量の合計費用は次のようになります。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| $3.00/時間 | Standard エディションと Enterprise エディション: 利用不可 Enterprise Plus エディション: $0.57 / サーバー時間 * 5.2 台のサーバー（リージョン乗数を含む）= 1 時間あたり $2.96 |
カスタム インスタンス構成を作成し、1 つの読み取り専用レプリカ us-central1 をベース リージョン インスタンス構成 us-west3 に追加し、このカスタム インスタンス構成に 1 つのノードをプロビジョニングする場合、合計コンピューティング容量の費用は次のとおりです。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
ベース インスタンス構成 us-central1: 1 時間あたり $0.90 追加の読み取り専用レプリカ us-west3: 1 時間あたり $1.00 合計: 1 時間あたり $1.90 |
Standard エディション: 利用不可 Enterprise エディション: 基本インスタンス構成 us-central1: $0.41/サーバー時間 × 3 台のサーバー = 1 時間あたり $1.23追加の読み取り専用レプリカ us-west3: $0.41 × 1.2（リージョン乗数を含む） = $0.49/時間 合計: $1.72/時間 Enterprise Plus エディション: 基本インスタンス構成 us-central1: $0.57/サーバー時間 × 3 台のサーバー = $1.71/時間追加の読み取り専用レプリカ us-west3: $0.57 × 1.2（リージョン乗数を含む）= $0.68/時間 合計: $2.39/時間 |
新しいストレージ料金
現在の料金モデルでは、Spanner データベースの平均データ量に月単位のレートを掛けた料金が課金されます。新しいエディションベースの料金モデルでは、読み取り / 書き込みレプリカと読み取り専用レプリカのデータ量に月額料金を乗算した金額が請求されます。読み書きレプリカと読み取り専用レプリカのストレージ費用は、リージョンごとに月額 1 GB あたり $0.10 です。ワートレス レプリカにはストレージ費用はかかりません。
サンプル事例
3 つの読み取り / 書き込みレプリカを持つベース リージョン インスタンス us-central1 を作成する場合、合計ストレージ費用は次のようになります。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| $0.30/GB 月 | $0.30/GB 月 |
4 つの読み取り / 書き込みレプリカがあるベース デュアルリージョン インスタンス dual-region-australia1 を作成する場合、合計ストレージ費用は次のようになります。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| 1GB/月あたり $0.54 | 1GB/月あたり $0.54（リージョン乗数を含む） |
読み取り / 書き込みレプリカが 4 つあるベース マルチリージョン インスタンス nam13 を作成した場合、ストレージの合計費用は次のとおりです。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| 1GB/月あたり $0.50 | 1GB/月あたり $0.40 |
カスタム インスタンス構成を作成し、1 つの読み取り専用レプリカ us-central1 をベース リージョン インスタンス構成 us-west3 に追加すると、合計ストレージ費用は次のようになります。
| 現在の料金 | 新しいエディションベースの料金 |
|---|---|
| 1GB/月あたり $0.46 | 1GB/月あたり $0.46（リージョン乗数を含む） |
新しいレプリケーションの料金
現在の料金モデルでは、レプリケーションはコンピューティング容量の費用にバンドルされています。新しいエディション ベースの料金モデルでは、レプリケーションは別途課金されます。
- リージョン内のレプリケーションは無料です。
デュアルリージョンまたはマルチリージョンのインスタンス構成では、Spanner はリージョン間でデータを自動的に複製します。たとえば、レプリカ A、B、C を含むインスタンス構成を選択すると、Spanner はレプリカ A のサーバーに書き込みを行い、そのデータはレプリカ B と C のサーバーに自動的に複製されます。新しいエディションベースの料金では、リージョン間で複製されたデータの量に対して課金されます。
詳細については、次の Spanner エディションのリージョン間データ レプリケーションの料金表をご覧ください。
リージョン間のデータ レプリケーションの料金
複製されたデータの量に応じてデータ転送料金が発生します。
| ソースの場所 | 宛先のロケーション | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北アメリカ | ヨーロッパ | アジア | インドネシア | オセアニア | 中東 | ラテンアメリカ | アフリカ | |
| 北アメリカ | $0.04/GiB | $0.07/GiB | $0.11/GiB | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB |
| ヨーロッパ | $0.07/GiB | $0.04/GiB | $0.11/GiB | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB |
| アジア | $0.11/GiB | $0.11/GiB | $0.11/GiB | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB |
| インドネシア | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.11/GiB | $0.11/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB |
| オセアニア | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.13/GiB | $0.11/GiB | $0.11/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB |
| 中東 | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.11/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB |
| ラテンアメリカ | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB |
| アフリカ | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB | $0.17/GiB | $0.14/GiB |
よくある質問
Enterprise エディションまたは Enterprise Plus エディションの機能をプレビューする場合、どのような変更がありますか？
Enterprise エディションまたは Enterprise Plus エディションの機能をプレビューしていて、これらの機能を引き続き使用する場合は、その機能を提供する適切なエディションを選択してください。
2025 年 1 月 13 日以降、エディションに自己アップデートしていない場合、インスタンスはワークロードの中断を避けるため、使用パターンに一致する最も低いエディションに自動的に更新されます。
Spanner Graph をプレビューする場合、どのような違いがありますか？
Spanner Graph をプレビューしていて、引き続き使用する場合は、2024 年 9 月 24 日以降にインスタンスを Enterprise エディションまたは Enterprise Plus エディションにアップグレードしてください。インスタンスをアップグレードしない場合、Spanner Graph が一般提供（GA）でリリースされた後に、インスタンスは自動的に Enterprise エディションにアップグレードされます。
Spanner の無料トライアル インスタンスを使用している場合、変更点は何ですか？
無料トライアル インスタンスをご利用の場合、有料インスタンスにアップグレードすると、デフォルトで Enterprise エディションになります。有料の Standard エディション インスタンスに変換するには、無料トライアル インスタンスを削除し、新しい有料の Standard エディション インスタンスを作成する必要があります。
インスタンスをアップグレードできますか？
はい。インスタンスを Enterprise エディションまたは Enterprise Plus エディションにアップグレードできます。インスタンスのエディションを変更しても、データの移行は発生しません。
インスタンスをダウングレードできますか？
セルフサービスのダウングレードは現在利用できません。インスタンスのエディションをダウングレードするには、サポート チケットを提出してください。アプリケーションが上位階層の機能を使用していないと仮定すると、このプロセスは完了するまでにしばらく時間がかかることがあります（数週間程度）。セルフサービス オプションを開発中です。