Python で Spanner を使ってみる


目標

このチュートリアルでは、Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用する以下の手順について説明します。

  • Spanner のインスタンスとデータベースを作成します。
  • データベースのデータに対し、書き込み、読み取り、SQL クエリの実行を行います。
  • データベース スキーマを更新します。
  • 読み取り / 書き込みトランザクションを使用してデータを更新します。
  • セカンダリ インデックスをデータベースに追加します。
  • インデックスを使用して、データの読み込みと SQL クエリの実行を行います。
  • 読み取り専用トランザクションを使用してデータを取得します。

費用

このチュートリアルで使用する Spanner は、Google Cloud の有料コンポーネントです。Spanner を使用する際の料金については、料金をご覧ください。

始める前に

設定に示されている手順を完了します。この手順では、デフォルトの Google Cloud プロジェクトの作成と設定、課金の有効化、Cloud Spanner API の有効化、Cloud Spanner API の使用に必要な認証情報を取得するための OAuth 2.0 の設定について説明しています。

特に、ローカルの開発環境に認証情報を設定するために、必ず gcloud auth application-default login を実行してください。

ローカルの Python 環境を準備する

  1. Python 開発環境のセットアップの手順に従います。

  2. ローカルマシンにサンプルアプリのリポジトリのクローンを作成します。

    git clone https://github.com/googleapis/python-spanner
    

    あるいは、zip 形式のサンプルをダウンロードして、ファイルを抽出することもできます。

  3. Spanner のサンプルコードが含まれるディレクトリに移動します。

    cd python-spanner/samples/samples
    
  4. 隔離された Python 環境を作成し、依存関係をインストールします。

    virtualenv env
    source env/bin/activate
    pip install -r requirements.txt
    

インスタンスを作成する

Spanner を最初に使用する場合は、インスタンスを作成する必要があります。インスタンスとは、Spanner データベースによって使用されるリソースの割り当てのことです。インスタンスを作成するときは、インスタンス構成を選択してデータの格納場所を指定し、さらに使用するノード数も選択して、インスタンスの配信リソースおよびストレージ リソースの量を決定します。

次のコマンドを実行して、1 ノードの us-central1 リージョンに Spanner インスタンスを作成します。

gcloud spanner instances create test-instance --config=regional-us-central1 \
    --description="Test Instance" --nodes=1

これにより、次の特性を持つインスタンスが作成されます。

  • インスタンス ID test-instance
  • 表示名 Test Instance
  • インスタンス構成 regional-us-central1(リージョン構成ではデータが単一のリージョンに保存され、マルチリージョン構成ではデータが複数のリージョンに分散されます。詳しくは、インスタンスについてをご覧ください)。
  • ノード数 1(node_count はインスタンスのデータベースで使用可能な配信リソースとストレージ リソースの量に対応します。詳しくは、ノードと処理ユニットをご覧ください)。

以下のように表示されます。

Creating instance...done.

サンプル ファイルの確認

サンプル リポジトリには、Python で Spanner を使用する方法を示すサンプルが含まれています。

snippets.py ファイルを見ると、Spanner の使用方法を確認できます。このファイルのコードでは、新しいデータベースを作成して使用する方法が示されています。データで使用しているサンプル スキーマは、スキーマとデータモデルのページにあります。

データベースの作成

コマンドラインで次のコマンドを実行して、test-instance というインスタンスに example-db というデータベースを作成します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db create_database

次のように表示されます。

Created database example-db on instance test-instance
次のコードでは、データベースとデータベース内の 2 つのテーブルを作成します。
def create_database(instance_id, database_id):
    """Creates a database and tables for sample data."""
    from google.cloud.spanner_admin_database_v1.types import \
        spanner_database_admin

    spanner_client = spanner.Client()
    database_admin_api = spanner_client.database_admin_api

    request = spanner_database_admin.CreateDatabaseRequest(
        parent=database_admin_api.instance_path(spanner_client.project, instance_id),
        create_statement=f"CREATE DATABASE `{database_id}`",
        extra_statements=[
            """CREATE TABLE Singers (
            SingerId     INT64 NOT NULL,
            FirstName    STRING(1024),
            LastName     STRING(1024),
            SingerInfo   BYTES(MAX),
            FullName   STRING(2048) AS (
                ARRAY_TO_STRING([FirstName, LastName], " ")
            ) STORED
        ) PRIMARY KEY (SingerId)""",
            """CREATE TABLE Albums (
            SingerId     INT64 NOT NULL,
            AlbumId      INT64 NOT NULL,
            AlbumTitle   STRING(MAX)
        ) PRIMARY KEY (SingerId, AlbumId),
        INTERLEAVE IN PARENT Singers ON DELETE CASCADE""",
        ],
    )

    operation = database_admin_api.create_database(request=request)

    print("Waiting for operation to complete...")
    database = operation.result(OPERATION_TIMEOUT_SECONDS)

    print(
        "Created database {} on instance {}".format(
            database.name,
            database_admin_api.instance_path(spanner_client.project, instance_id),
        )
    )

次のステップでは、データベースにデータを書き込みます。

データベース クライアントの作成

読み取りまたは書き込みを行うには、その前に Client を作成する必要があります。Client はデータベース接続と考えることができます。Spanner とのすべてのやり取りは Client を経由する必要があります。通常はアプリケーション開始時に Client を作成し、読み取り、書き込み、トランザクションの実行に Client を再利用します。次のコードではクライアントの作成方法を示します。

# Imports the Google Cloud Client Library.
from google.cloud import spanner

# Your Cloud Spanner instance ID.
# instance_id = "my-instance-id"
#
# Your Cloud Spanner database ID.
# database_id = "my-database-id"
# Instantiate a client.
spanner_client = spanner.Client()

# Get a Cloud Spanner instance by ID.
instance = spanner_client.instance(instance_id)

# Get a Cloud Spanner database by ID.
database = instance.database(database_id)

# Execute a simple SQL statement.
with database.snapshot() as snapshot:
    results = snapshot.execute_sql("SELECT 1")

    for row in results:
        print(row)

詳細については、Client のリファレンスをご覧ください。

DML でのデータの書き込み

読み取り / 書き込みトランザクションでデータ操作言語(DML)を使用してデータを挿入できます。

execute_update() メソッドを使用して DML ステートメントを実行します。

# instance_id = "your-spanner-instance"
# database_id = "your-spanner-db-id"
spanner_client = spanner.Client()
instance = spanner_client.instance(instance_id)
database = instance.database(database_id)

def insert_singers(transaction):
    row_ct = transaction.execute_update(
        "INSERT INTO Singers (SingerId, FirstName, LastName) VALUES "
        "(12, 'Melissa', 'Garcia'), "
        "(13, 'Russell', 'Morales'), "
        "(14, 'Jacqueline', 'Long'), "
        "(15, 'Dylan', 'Shaw')"
    )
    print("{} record(s) inserted.".format(row_ct))

database.run_in_transaction(insert_singers)

insert_with_dml 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db insert_with_dml

次のように表示されます。

4 record(s) inserted.

ミューテーションを使用してデータを書き込む

ミューテーションを使ってデータを挿入することもできます。

データの書き込みには Batch オブジェクトを使用します。Batch オブジェクトは、ミューテーション オペレーションのコンテナです。ミューテーションは、Spanner データベース内のさまざまな行やテーブルに対して、Spanner によってアトミックに適用される一連の操作(挿入、更新、削除)を表します。

Batch クラスの insert() メソッドで、バッチに 1 つ以上の挿入ミューテーションを追加します。1 つのバッチ内のすべてのミューテーションはアトミックに適用されます。

次のコードは、ミューテーションを使用してデータを書き込む方法を示しています。

def insert_data(instance_id, database_id):
    """Inserts sample data into the given database.

    The database and table must already exist and can be created using
    `create_database`.
    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.batch() as batch:
        batch.insert(
            table="Singers",
            columns=("SingerId", "FirstName", "LastName"),
            values=[
                (1, "Marc", "Richards"),
                (2, "Catalina", "Smith"),
                (3, "Alice", "Trentor"),
                (4, "Lea", "Martin"),
                (5, "David", "Lomond"),
            ],
        )

        batch.insert(
            table="Albums",
            columns=("SingerId", "AlbumId", "AlbumTitle"),
            values=[
                (1, 1, "Total Junk"),
                (1, 2, "Go, Go, Go"),
                (2, 1, "Green"),
                (2, 2, "Forever Hold Your Peace"),
                (2, 3, "Terrified"),
            ],
        )

    print("Inserted data.")

insert_data 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db insert_data

次のように表示されます。

Inserted data.

SQL を使用したデータのクエリ

Spanner では、データの読み取り用に SQL インターフェースがサポートされています。このインターフェースにアクセスするには、コマンドラインで Google Cloud CLI を使用するか、プログラムで Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用します。

コマンドラインから

Albums テーブルのすべての列から値を読み取るには、次の SQL ステートメントを実行します。

gcloud spanner databases execute-sql example-db --instance=test-instance \
    --sql='SELECT SingerId, AlbumId, AlbumTitle FROM Albums'

結果は次のようになります。

SingerId AlbumId AlbumTitle
1        1       Total Junk
1        2       Go, Go, Go
2        1       Green
2        2       Forever Hold Your Peace
2        3       Terrified

Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用する

コマンドラインで SQL ステートメントを実行するだけでなく、Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用してプログラマティックに同じ SQL ステートメントを発行することもできます。

SQL クエリを実行するには、Snapshot オブジェクトの execute_sql() メソッドを使用します。Snapshot オブジェクトを取得するには、with ステートメントで Database クラスの snapshot() メソッドを呼び出します。

クエリを発行してデータにアクセスする方法を次に示します。

def query_data(instance_id, database_id):
    """Queries sample data from the database using SQL."""
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot() as snapshot:
        results = snapshot.execute_sql(
            "SELECT SingerId, AlbumId, AlbumTitle FROM Albums"
        )

        for row in results:
            print("SingerId: {}, AlbumId: {}, AlbumTitle: {}".format(*row))

query_data 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db query_data

次のような結果が表示されます。

SingerId: 2, AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace
SingerId: 1, AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go
SingerId: 2, AlbumId: 1, AlbumTitle: Green
SingerId: 2, AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified
SingerId: 1, AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk

SQL パラメータを使用したクエリ

アプリケーションに頻繁に実行されるクエリがある場合は、対象のクエリをパラメータ化してパフォーマンスを改善できます。パラメータ クエリをキャッシュに保存して再利用できます。これにより、コンパイルのコストを削減できます。詳細については、クエリ パラメータを使用して、頻繁に実行するクエリを高速化するをご覧ください。

ここでは、WHERE 句のパラメータを使用して、LastName の特定の値を含むレコードをクエリします。

# instance_id = "your-spanner-instance"
# database_id = "your-spanner-db-id"
spanner_client = spanner.Client()
instance = spanner_client.instance(instance_id)
database = instance.database(database_id)

with database.snapshot() as snapshot:
    results = snapshot.execute_sql(
        "SELECT SingerId, FirstName, LastName FROM Singers "
        "WHERE LastName = @lastName",
        params={"lastName": "Garcia"},
        param_types={"lastName": spanner.param_types.STRING},
    )

    for row in results:
        print("SingerId: {}, FirstName: {}, LastName: {}".format(*row))

query_data_with_parameter 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db query_data_with_parameter

次のような結果が表示されます。

SingerId: 12, FirstName: Melissa, LastName: Garcia

読み取り API を使用したデータの読み込み

Spanner の SQL インターフェースに加えて、Spanner では読み取りインターフェースもサポートしています。

データベースから行を読み取るには、Snapshot オブジェクトの read() メソッドを使用します。Snapshot オブジェクトを取得するには、with ステートメントで Database クラスの snapshot() メソッドを呼び出します。読み取るキーおよびキー範囲のコレクションを定義するには、KeySet オブジェクトを使用します。

データを読み取る方法を次に示します。

def read_data(instance_id, database_id):
    """Reads sample data from the database."""
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot() as snapshot:
        keyset = spanner.KeySet(all_=True)
        results = snapshot.read(
            table="Albums", columns=("SingerId", "AlbumId", "AlbumTitle"), keyset=keyset
        )

        for row in results:
            print("SingerId: {}, AlbumId: {}, AlbumTitle: {}".format(*row))

read_data 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db read_data

次のような出力が表示されます。

SingerId: 1, AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk
SingerId: 1, AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go
SingerId: 2, AlbumId: 1, AlbumTitle: Green
SingerId: 2, AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace
SingerId: 2, AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified

データベース スキーマの更新

MarketingBudget という列を新たに Albums テーブルに追加する必要があるとします。既存のテーブルに新しい列を追加するには、データベース スキーマの更新が必要です。Spanner は、データベースがトラフィックの処理を継続している間にデータベースのスキーマを更新することをサポートしています。スキーマの更新では、データベースをオフラインにする必要がなく、テーブル全体または列全体をロックすることもありません。スキーマの更新中もデータベースへのデータの書き込みを続けることができます。サポートされるスキーマの更新とスキーマ変更のパフォーマンスの詳細については、スキーマの更新をご覧ください。

列の追加

列を追加するには、コマンドラインで Google Cloud CLI を使用するか、プログラムで Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用します。

コマンドラインから

テーブルに新しい列を追加するには、次の ALTER TABLE コマンドを使用します。

GoogleSQL

gcloud spanner databases ddl update example-db --instance=test-instance \
    --ddl='ALTER TABLE Albums ADD COLUMN MarketingBudget INT64'

PostgreSQL

gcloud spanner databases ddl update example-db --instance=test-instance \
    --ddl='ALTER TABLE Albums ADD COLUMN MarketingBudget BIGINT'

次のように表示されます。

Schema updating...done.

Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用する

スキーマを変更するには、Database クラスの update_ddl() メソッドを使用します。

def add_column(instance_id, database_id):
    """Adds a new column to the Albums table in the example database."""

    from google.cloud.spanner_admin_database_v1.types import \
        spanner_database_admin

    spanner_client = spanner.Client()
    database_admin_api = spanner_client.database_admin_api

    request = spanner_database_admin.UpdateDatabaseDdlRequest(
        database=database_admin_api.database_path(
            spanner_client.project, instance_id, database_id
        ),
        statements=[
            "ALTER TABLE Albums ADD COLUMN MarketingBudget INT64",
        ],
    )

    operation = database_admin_api.update_database_ddl(request)

    print("Waiting for operation to complete...")
    operation.result(OPERATION_TIMEOUT_SECONDS)
    print("Added the MarketingBudget column.")

add_column 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db add_column

以下のように表示されます。

Added the MarketingBudget column.

新しい列へのデータの書き込み

次のコードは、新しい列にデータを書き込みます。MarketingBudget の値を、キーが Albums(1, 1) の行は 100000 に、キーが Albums(2, 2) の行は 500000 に設定します。

def update_data(instance_id, database_id):
    """Updates sample data in the database.

    This updates the `MarketingBudget` column which must be created before
    running this sample. You can add the column by running the `add_column`
    sample or by running this DDL statement against your database:

        ALTER TABLE Albums ADD COLUMN MarketingBudget INT64

    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.batch() as batch:
        batch.update(
            table="Albums",
            columns=("SingerId", "AlbumId", "MarketingBudget"),
            values=[(1, 1, 100000), (2, 2, 500000)],
        )

    print("Updated data.")

update_data 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db update_data

SQL クエリまたは読み取り呼び出しを実行して、書き込んだばかりの値を取得することもできます。

クエリを実行するコードを次に示します。

def query_data_with_new_column(instance_id, database_id):
    """Queries sample data from the database using SQL.

    This sample uses the `MarketingBudget` column. You can add the column
    by running the `add_column` sample or by running this DDL statement against
    your database:

        ALTER TABLE Albums ADD COLUMN MarketingBudget INT64
    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot() as snapshot:
        results = snapshot.execute_sql(
            "SELECT SingerId, AlbumId, MarketingBudget FROM Albums"
        )

        for row in results:
            print("SingerId: {}, AlbumId: {}, MarketingBudget: {}".format(*row))

このクエリを実行するには、query_data_with_new_column 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db query_data_with_new_column

以下のように表示されます。

SingerId: 2, AlbumId: 2, MarketingBudget: 500000
SingerId: 1, AlbumId: 2, MarketingBudget: None
SingerId: 2, AlbumId: 1, MarketingBudget: None
SingerId: 2, AlbumId: 3, MarketingBudget: None
SingerId: 1, AlbumId: 1, MarketingBudget: 100000

データの更新

読み取り / 書き込みトランザクションで DML を使用してデータを更新できます。

execute_update() メソッドを使用して DML ステートメントを実行します。

# instance_id = "your-spanner-instance"
# database_id = "your-spanner-db-id"

spanner_client = spanner.Client()
instance = spanner_client.instance(instance_id)
database = instance.database(database_id)

def transfer_budget(transaction):
    # Transfer marketing budget from one album to another. Performed in a
    # single transaction to ensure that the transfer is atomic.
    second_album_result = transaction.execute_sql(
        "SELECT MarketingBudget from Albums " "WHERE SingerId = 2 and AlbumId = 2"
    )
    second_album_row = list(second_album_result)[0]
    second_album_budget = second_album_row[0]

    transfer_amount = 200000

    # Transaction will only be committed if this condition still holds at
    # the time of commit. Otherwise it will be aborted and the callable
    # will be rerun by the client library
    if second_album_budget >= transfer_amount:
        first_album_result = transaction.execute_sql(
            "SELECT MarketingBudget from Albums "
            "WHERE SingerId = 1 and AlbumId = 1"
        )
        first_album_row = list(first_album_result)[0]
        first_album_budget = first_album_row[0]

        second_album_budget -= transfer_amount
        first_album_budget += transfer_amount

        # Update first album
        transaction.execute_update(
            "UPDATE Albums "
            "SET MarketingBudget = @AlbumBudget "
            "WHERE SingerId = 1 and AlbumId = 1",
            params={"AlbumBudget": first_album_budget},
            param_types={"AlbumBudget": spanner.param_types.INT64},
        )

        # Update second album
        transaction.execute_update(
            "UPDATE Albums "
            "SET MarketingBudget = @AlbumBudget "
            "WHERE SingerId = 2 and AlbumId = 2",
            params={"AlbumBudget": second_album_budget},
            param_types={"AlbumBudget": spanner.param_types.INT64},
        )

        print(
            "Transferred {} from Album2's budget to Album1's".format(
                transfer_amount
            )
        )

database.run_in_transaction(transfer_budget)

write_with_dml_transaction 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db write_with_dml_transaction

次のように表示されます。

Transferred 200000 from Album2's budget to Album1's

セカンダリ インデックスの使用

Albums から AlbumTitle の値が特定の範囲内にある行すべてを取得すると仮定します。SQL ステートメントまたは読み取り呼び出しを使用して AlbumTitle 列からすべての値を読み取り、基準を満たしていない行を破棄することもできますが、このようなテーブル全体のスキャンは割高です(特に、行数が多いテーブルの場合)。代わりに、テーブルにセカンダリ インデックスを作成することにより、主キー以外の列を検索するときの行の取得速度を上げることができます。

既存のテーブルにセカンダリ インデックスを追加するには、スキーマの更新が必要です。他のスキーマの更新と同様に、Spanner ではデータベースがトラフィックの処理を継続している間にインデックスを追加できます。Spanner では、インデックスに既存のデータが自動的にバックフィルされます。バックフィルには数分かかることがありますが、このプロセスの間に、データベースをオフラインにしたり、インデックス化対象のテーブルへの書き込みを控えたりする必要はありません。詳しくは、セカンダリ インデックスを追加するをご覧ください。

セカンダリ インデックスを追加すると、インデックス効果で実行速度が上がりそうな SQL クエリに対して Spanner ではそのセカンダリ インデックスが自動的に使用されるようになります。読み取りインターフェースを使用する場合は、使用するインデックスを指定する必要があります。

セカンダリ インデックスの追加

インデックスを追加するには、コマンドラインで gcloud CLI を使用するか、Python 用の Spanner クライアント ライブラリを使用してプログラムによって行います。

コマンドラインから

データベースにインデックスを追加するには、次の CREATE INDEX コマンドを使用します。

gcloud spanner databases ddl update example-db --instance=test-instance \
    --ddl='CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle ON Albums(AlbumTitle)'

以下のように表示されます。

Schema updating...done.

Python 用の Spanner クライアント ライブラリの使用

インデックスを追加するには、Database クラスの update_ddl() メソッドを使用します。

def add_index(instance_id, database_id):
    """Adds a simple index to the example database."""

    from google.cloud.spanner_admin_database_v1.types import \
        spanner_database_admin

    spanner_client = spanner.Client()
    database_admin_api = spanner_client.database_admin_api

    request = spanner_database_admin.UpdateDatabaseDdlRequest(
        database=database_admin_api.database_path(
            spanner_client.project, instance_id, database_id
        ),
        statements=["CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle ON Albums(AlbumTitle)"],
    )

    operation = database_admin_api.update_database_ddl(request)

    print("Waiting for operation to complete...")
    operation.result(OPERATION_TIMEOUT_SECONDS)

    print("Added the AlbumsByAlbumTitle index.")

add_index 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db add_index

インデックスの追加には数分かかる場合があります。インデックスが追加されると、次のように表示されます。

Added the AlbumsByAlbumTitle index.

インデックスを使用して読み取りを行う

SQL クエリの場合は、Spanner により適切なインデックスが自動的に使用されます。読み取りインターフェースでは、リクエストでインデックスを指定する必要があります。

読み取りインターフェースでインデックスを使用するには、Snapshot オブジェクトの read() メソッドに Index 引数を渡します。Snapshot オブジェクトを取得するには、with ステートメントで Database クラスの snapshot() メソッドを呼び出します。

def read_data_with_index(instance_id, database_id):
    """Reads sample data from the database using an index.

    The index must exist before running this sample. You can add the index
    by running the `add_index` sample or by running this DDL statement against
    your database:

        CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle ON Albums(AlbumTitle)

    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot() as snapshot:
        keyset = spanner.KeySet(all_=True)
        results = snapshot.read(
            table="Albums",
            columns=("AlbumId", "AlbumTitle"),
            keyset=keyset,
            index="AlbumsByAlbumTitle",
        )

        for row in results:
            print("AlbumId: {}, AlbumTitle: {}".format(*row))

read_data_with_index 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db read_data_with_index

以下のように表示されます。

AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace
AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go
AlbumId: 1, AlbumTitle: Green
AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified
AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk

インデックス限定読み取り用のインデックスを追加する

上記の読み取り例には、MarketingBudget 列の読み取りが含まれていませんでした。これは、Spanner の読み取りインターフェースが、インデックスとデータテーブルを結合してインデックスに格納されていない値を検索する機能をサポートしていないためです。

MarketingBudget のコピーをインデックスに格納する AlbumsByAlbumTitle の代替定義を作成します。

コマンドラインから

GoogleSQL

gcloud spanner databases ddl update example-db --instance=test-instance \
    --ddl='CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle2 ON Albums(AlbumTitle) STORING (MarketingBudget)

PostgreSQL

gcloud spanner databases ddl update example-db --instance=test-instance \
    --ddl='CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle2 ON Albums(AlbumTitle) INCLUDE (MarketingBudget)

インデックスの追加には数分かかる場合があります。インデックスが追加されると、次のように表示されます。

Schema updating...done.

Python 用の Spanner クライアント ライブラリの使用

Database クラスの update_ddl() メソッドを使用し、STORING 句を指定してインデックスを追加します。

def add_storing_index(instance_id, database_id):
    """Adds an storing index to the example database."""

    from google.cloud.spanner_admin_database_v1.types import \
        spanner_database_admin

    spanner_client = spanner.Client()
    database_admin_api = spanner_client.database_admin_api

    request = spanner_database_admin.UpdateDatabaseDdlRequest(
        database=database_admin_api.database_path(
            spanner_client.project, instance_id, database_id
        ),
        statements=[
            "CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle2 ON Albums(AlbumTitle)"
            "STORING (MarketingBudget)"
        ],
    )

    operation = database_admin_api.update_database_ddl(request)

    print("Waiting for operation to complete...")
    operation.result(OPERATION_TIMEOUT_SECONDS)

    print("Added the AlbumsByAlbumTitle2 index.")

add_storing_index 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db add_storing_index

以下のように表示されます。

Added the AlbumsByAlbumTitle2 index.

これで、インデックス AlbumsByAlbumTitle2 から AlbumIdAlbumTitleMarketingBudget 列をすべて取得する読み取りを実行できるようになりました。

def read_data_with_storing_index(instance_id, database_id):
    """Reads sample data from the database using an index with a storing
    clause.

    The index must exist before running this sample. You can add the index
    by running the `add_scoring_index` sample or by running this DDL statement
    against your database:

        CREATE INDEX AlbumsByAlbumTitle2 ON Albums(AlbumTitle)
        STORING (MarketingBudget)

    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot() as snapshot:
        keyset = spanner.KeySet(all_=True)
        results = snapshot.read(
            table="Albums",
            columns=("AlbumId", "AlbumTitle", "MarketingBudget"),
            keyset=keyset,
            index="AlbumsByAlbumTitle2",
        )

        for row in results:
            print("AlbumId: {}, AlbumTitle: {}, " "MarketingBudget: {}".format(*row))

read_data_with_storing_index 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db read_data_with_storing_index

次のような出力が表示されます。

AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace, MarketingBudget: 300000
AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go, MarketingBudget: None
AlbumId: 1, AlbumTitle: Green, MarketingBudget: None
AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified, MarketingBudget: None
AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk, MarketingBudget: 300000

読み取り専用トランザクションを使用したデータの取得

同じタイムスタンプで複数の読み取りを実行する場合について考えます。読み取り専用トランザクションは、トランザクションの commit 履歴で整合性のあるプレフィックスを監視しているため、アプリケーションは常に整合性のあるデータを取得できます。 読み取り専用トランザクションを実行するには、Snapshot オブジェクトを使用します。Snapshot オブジェクトを取得するには、with ステートメントで Database クラスの snapshot() メソッドを呼び出します。

同じ読み取り専用トランザクションでクエリと読み取りを実行する方法を次に示します。

def read_only_transaction(instance_id, database_id):
    """Reads data inside of a read-only transaction.

    Within the read-only transaction, or "snapshot", the application sees
    consistent view of the database at a particular timestamp.
    """
    spanner_client = spanner.Client()
    instance = spanner_client.instance(instance_id)
    database = instance.database(database_id)

    with database.snapshot(multi_use=True) as snapshot:
        # Read using SQL.
        results = snapshot.execute_sql(
            "SELECT SingerId, AlbumId, AlbumTitle FROM Albums"
        )

        print("Results from first read:")
        for row in results:
            print("SingerId: {}, AlbumId: {}, AlbumTitle: {}".format(*row))

        # Perform another read using the `read` method. Even if the data
        # is updated in-between the reads, the snapshot ensures that both
        # return the same data.
        keyset = spanner.KeySet(all_=True)
        results = snapshot.read(
            table="Albums", columns=("SingerId", "AlbumId", "AlbumTitle"), keyset=keyset
        )

        print("Results from second read:")
        for row in results:
            print("SingerId: {}, AlbumId: {}, AlbumTitle: {}".format(*row))

read_only_transaction 引数を使用してサンプルを実行します。

python snippets.py test-instance --database-id example-db read_only_transaction

次のような出力が表示されます。

Results from first read:
SingerId: 2, AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace
SingerId: 1, AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go
SingerId: 2, AlbumId: 1, AlbumTitle: Green
SingerId: 2, AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified
SingerId: 1, AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk
Results from second read:
SingerId: 1, AlbumId: 1, AlbumTitle: Total Junk
SingerId: 1, AlbumId: 2, AlbumTitle: Go, Go, Go
SingerId: 2, AlbumId: 1, AlbumTitle: Green
SingerId: 2, AlbumId: 2, AlbumTitle: Forever Hold Your Peace
SingerId: 2, AlbumId: 3, AlbumTitle: Terrified

クリーンアップ

このチュートリアルで使用したリソースについて Cloud 請求先アカウントに課金されないようにするため、作成したデータベースとインスタンスを削除します。

データベースの削除

インスタンスを削除すると、それに含まれるすべてのデータベースが自動的に削除されます。このステップでは、インスタンスを削除しないでデータベースを削除する方法を示します(インスタンスの料金は引き続き発生します)。

コマンドラインから

gcloud spanner databases delete example-db --instance=test-instance

Google Cloud コンソールの使用

  1. Google Cloud コンソールで、[Spanner インスタンス] ページに移動します。

    インスタンス ページに移動

  2. インスタンスをクリックします。

  3. 削除するデータベースをクリックします。

  4. [データベースの詳細] ページで [削除] をクリックします。

  5. データベースを削除することを確認し、[削除] をクリックします。

インスタンスを削除する

インスタンスを削除すると、そのインスタンスで作成されたすべてのデータベースが自動的に削除されます。

コマンドラインから

gcloud spanner instances delete test-instance

Google Cloud コンソールの使用

  1. Google Cloud コンソールで、[Spanner インスタンス] ページに移動します。

    インスタンス ページに移動

  2. インスタンスをクリックします。

  3. [削除] をクリックします。

  4. インスタンスを削除することを確認し、[削除] をクリックします。

次のステップ