データドリブンの文化を構築するための Google のガイド

編集者注:

データが主役の文化を作り上げるには、人々、プロセス、テクノロジーが関わります。このプロセスは、データ文化がなぜ重要なのかを理解することから始まり、その後、データドリブンな意思決定をすべてのビジネス上のチームとイニシアチブにまで広げていきます。

今日の組織は、さまざまなリスク、機会に直面しており、最良の決定を行う必要があります。 データ文化を築くと、組織のアジリティが向上し、顧客ニーズにより敏感になり、イノベーションを受け入れる素地ができます。このホワイトペーパーでは、ビジネスをデータドリブンな文化へ移行するとき考慮すべき点について解説し、データ文化に含まれる次の 4 つの主要なトピックについて探求します。

• 信頼を持って運用する

• 分析情報を組織内に広める

• ビジネスのアジリティを高める

• インテリジェンスを適用する

他の組織がどのように独自のデータ文化に移行したかを把握し、それらの洞察を自社のビジネスにどう取り入れられるかを見つけ出します。

中央に棒グラフが表示された巨大な虫メガネ。虫メガネの持ち手の上に座っている男性と、その右側に立っている男性と、全体の左端に立ってパソコンを使用している女性

データ文化が重要な理由

データが語るデータ文化の重要性

デジタル革命はあらゆる企業にかつてないチャンスをもたらしますが、同時にリスクも存在します。低料金で豊富なオンライン リソースは、新しい製品、新しい市場、より濃密な顧客関係を確立するための新しい機会を約束します。しかし同時に、競争の過熱やいつサービスの中断が起こるかというリスクもあります。

変化に悩まされるときは、変わることのない中核的な原則を思い出しましょう。つまり、「市場を知る」、「顧客を見据える」、「製品 / サービス / ソリューションを完璧なものとし、変化する状況にすぐに適応できるようにする」、「効率を追求する」です。

言い換えれば、データを収集してうまく活用することです。それを中心として作業場の文化を構築します。この文化は、関与する人々によって大きく異なったものになります。イノベーションを起こす、または難しい問題を解決するという目的で同じ技術とデータを 2 つのチームに与えると、2 通りのまったく違う結果が得られます。良好な文化を築き始めるには、目標とデータに関してすべてのチームの足並みを揃える必要があります。

文化はそれ自体が推進要素です。McKinsey and Company の「Why data culture matters」を引用すると、「文化は複合的な問題にも、複合的な解決策にもなり得ます。組織のデータ ミッションがビジネス戦略や中核事業から乖離している場合、分析イニシアチブの結果が期待に応えられなかったとしても驚くに値しません。しかし、データ分析に対する興奮が組織全体に吹き込まれた場合、それは活力や勢いの源となります。詰まるところ、この技術は驚異的です。文化がマッチすることで、どれだけ遠くまで行けるかを想像してください。」

そして、データの使用は新しいものではないことを思い出してください。商業活動の始まり以降、人々は事実を観察し、何が重要なのかを理解して、利用できそうなパターンを考えてきました。近代統計学の発祥は 1749 年まで遡り、データに基づく管理は洗練さを増しながら 1 世紀以上にわたって世界中の GDP を劇的に引き上げてきました。私たちは今、革命的なデータドリブン時代に生きています。この時代は、データがうまく活用されてきた結果もたらされたものです。

人々の仕事の形は、その当時に入手可能であったデータの量と質とともに変遷してきました。太古の農民は天候パターンを観察するという簡易的なデータを利用し、実業家は標準化された工作機械の特許を取得しました。コンピュータ時代が到来すると、数学やオペレーションズ リサーチが応用されました。今私たちに必要なのは、もっと強力な方法、企業の隅々まで行き渡らせることが可能な方法です。

データ文化の拡張が必要な理由

では、それは具体的にどのようなものでしょうか?まず、商機的な規模について考えてみます。2002 年、デジタル ストレージの容量はアナログの総容量を追い越しました。それ以来、一般的な企業が所有するデータの複合年間成長率は約 60% に達しています。単にデータ量が増えているだけでなく、データの取得元も多様になり、今ではコンピュータに加えてブラウザ、センサー、スマートフォン、モバイル デバイスなどの幅広いソースからデータが収集されています。変化の複合年間成長率は計り知れません。

Google は、こうした商機についていろいろと考えを巡らせています。その結論として、世界中のすべての情報を整理することを企業ミッションと定め、さまざまな種類の大量のデータから分析情報やアクションを引き出すという興味の尽きない問題を長年にわたって数多く解決してきました。今日では、きわめて迅速にデータから分析情報を引き出せるようになっています。

Google は、デジタル インサイトと行動を起こす力を消費者と企業の両方に提供するために力を尽くしています。これは、企業との広告活動に加えて、現在では Google Cloud のデータ管理および分析ツールやサービスを通じても提供されています。Google のプロダクトは、ANZMayo ClinicSanofiUPS など、世界中の企業でデジタル変革やイノベーションの加速に貢献しています。たとえば、AirAsia は「デジタル航空会社」になりつつあります。この変革によりすでに、新たな分析情報の抽出、アジリティの向上、よりパーソナライズされたエクスペリエンスを提供し、業界での存在感を高められるようになっています。AirAsia で最高プロダクト責任者を務める Nikunj Shanti 氏は次のように述べています。「当社は、お客様により多くのものを提供し、カスタマー エクスペリエンスを個別化して、予約やチケット処理を改善するため、デジタル航空会社への転換を必要としていたことにより、データ管理から、データドリブンな意思決定への転換を果たしました。」

Google でも、社内組織でデータの最適化に関するさまざまな教訓を学んでいます。これは、自社の業務活動のほか、お客様が抱える難題の解決を支援した経験にも基づいています。これらの教訓の一部は、データ文化がなぜ重要であるかを解説した、この電子書籍で取り上げています。これは、信頼を持って運用する、分析情報を組織内に広める、ビジネスのアジリティを高める、インテリジェンスを適用するという、4 つの主要な柱に集約されます。

データ オペレーションの大規模な組織化に関しては、注意すべきことがいくつかあります。データを取り巻く技術が進歩すると、アクセス性が向上し、管理が容易になります。大規模なデータの管理と処理は簡単ではなく、これまでのデータの処理と比較して新たな課題も発生します。これは多くの場合、収集されたデータを分析する今日の優れたプロセス自動化とツールによってバランスをとることができます。もちろん、アクセス性の向上はセキュリティ、品質、データの解釈に関する課題が増えることも意味します。

優れたビジネスが効果を上げることができる理由として、顧客への深い理解や、顧客への配慮を反映して、優れた製品を生み出す優れたプロセスがあります。つまり、優れたビジネスには常に、そのような結果をもたらす優れた社内文化があります。人は好奇心と創造力によって適応します。適切であれば、現状に挑戦し、新しい知見に基づいて現状を一新します。委ねられたデータの力を活用し、プロセスを適応および適用してデータから新たな価値を導き出します。

壮大なデジタルシフトの結果、大規模にデータを収集して活用する文化を実践する必要性がはっきりと認識されている現代ほど、これが当てはまる時代はありません。先例がないため、できるだけ早くこれを正しく理解することが重要です。新しい目標を目指している人は、それが有益である限り、より多くのデータを収集することを決してやめません。クラウド コンピューティング、データ管理、データ分析、人工知能の技術進歩のペースは落ちていません。企業もまた、世界を変えようという強い思いを減退させてはなりません。

文化の変革を引き起こすクラウド サービス

ビジネスがデータ文化を再発明、または新しい文化を作り上げようとするとき、次のようないくつかの Google Cloud プロダクトが有用だと言われています。

  • Cloud SQL により、オンプレミスのワークロードをフルマネージド Google Cloud へ簡単に移行できます
  • クラウドネイティブのデータベース サービスの Cloud SpannerCloud Bigtable により、膨大なスケーラビリティが得られます。
  • BigQuery により、ペタバイト規模の超高速なデータ ウェアハウジングを実現できます。
  • 最新の BI、組み込み分析機能、データ主導アプリケーションに Looker を使用できます。
  • Hadoop や Spark クラスタを使用するビッグデータ処理にDataprocを使用できます。
  • Dataflow でバッチとストリーミングの両方のデータを迅速に、サーバーレスで処理できます。
  • Pub/Sub で、独立アプリとの間でメッセージを送信できます。
  • Dataprep により、データを分析または機械学習用に高速かつ視覚的に準備できます。
  • AutoML により、多くの専門知識を必要とせず、カスタム ML モデルをトレーニングできます。
  • AI Platform により、ML モデルをオンプレミスまたは Google Cloud のデプロイで利用することができます

組織でアジリティを実現する

常時オンへの期待、進化のスピードの速いテクノロジー、利用可能な膨大な量のデータに企業が直面している今、ビジネスのアジリティが求められています。しかしアジリティとは何で、どのように実現すればいいのでしょうか。Google Cloud は、アジリティには、人々、プロセス、データに加えて、そのデータを精製するテクノロジーが関わってくると確信しています。これにより、組織の人々は日常化された業務に忙殺されず、各自の得意なことに集中できるようになります。重要なのは、使用するツールやサービスを選択でき、それらのツールやサービスを必要なときいつでも使用できることです。面倒な手順を実行することではなく、大きな考えや新しいアイデアを実行するのが肝心です。

私たちが今日技術者から聞くことが多いだけでなく、今日の世界から極めて明らかになっていることは、組織において必要なツールはデータツールだということです。企業はデータであふれかえっており、さらに多くのデータが日々増加しています。 アジリティを実現するには、他者より抜きんでて、専門的なツールをテストし、それを恐れずに大規模に使用することです。このようなツールとして、日常的な面倒な作業を不要にするマネージド データベースがあります。このようなツールとして、わずかな人々ではなく大勢がデータを使用できるように調整され、合理化されたビッグデータ分析があります。ビジネスの保有するすべての収集済みのデータで、繰り返し可能な方法で処理され、常に有用で、視覚的かつ実行可能な形式で提示されるものが含まれます。そのデータについて質問を投げかけてより良い決断を行ったり、さらにはデータに対して何を探しているのかを教え、そこから予測を引き出せるようなツールです。

アジリティの採用と実装

アジリティのようなコンセプトについて語るときは、企業としての体制だけでなく、企業がどのようなテクノロジーを使用するのかが重要になります。Google が創業したときは、既成のテクノロジーを使用しました。Google が成長するにつれ、その過程で多くの重要な教訓を学びました。その規模から、Google は状況への対処と調整(アジリティ)を要求されました。Google は、自社の開発者を各自のスタックで作業に従事させるのは効率的でないことを理解しました。Google でテクノロジーを開発するにあたり、単純性、自動化、オープン性を重視しましたユーザーがフルマネージドの統合されたテクノロジーにアクセスできれば、データは異なる役割を果たすことを学びました。今日、正しいデータを探す、必要なハードウェアやソフトウェアをいじり回してそのデータを見つけるまたは分析することに時間を費やすことは不要になりました。Google 社員はデータの運用、スケーリング、管理における技能やアジリティの不足を心配する必要はありません。Google は、このような考え方によりユーザーがより的確に共同作業でき、生じることの多いサイロやボトルネックを軽減または除去できると確信しています。Gmail などのプロダクト開発の経験から、これに効果があることは社内で実証されています。Gmail は創造時から進化し続けていますが、企業の規模が大きくなっても「シンプルであるということ」「ユーザー フレンドリーであるということ」は変化しませんでした。

Google はお客様から、新しいアジャイルな体制を生み出すために、自社のテクノロジーと文化をどのように適合させたかについてのお話を伺っております。たとえば、ある世界的なメディア企業は複数のデータセンターと 1,200 のサービスを Google Cloud に移行しました。アジリティの獲得は、同社が移行を行った大きな要因でした。より高レベルのサービスにより、より優れたプロダクトを迅速に提供でき、社内チームが最も得意とすること、つまりデータセンターの管理ではなく、音楽サービスの開発に専念できます。同社はチームが適切なデータを、必要なとき使用できるようにするための作業を行い、ストリーミング データの解析と処理のツールによってアジリティを付け加えました。

Twitter の分析インフラストラクチャはデータレイクとして構築されたもので、ペタバイト単位のデータを毎日収集し、ユーザーの要求に迅速に対応するため、複数の宛先に複製する必要があります。同社はデータセットを Cloud Storage に複製し、そこから BigQuery、Cloud Bigtable、Google Cloud の Dataproc などで使用可能にすることを決めました。ユーザーは、必要なデータにセルフサービスでアクセスできるので、ビジネス全体のアジリティが向上します。

国際的な金融機関の HSBC は、自社のオンプレミス データ ウェアハウスを Google Cloud に移行してよりアジリティを高め、ワークロードを縮小し、プロセスに自動化を組み入れました。同社は技術的負債を排除し、インフラストラクチャの管理ではなくイノベーションを重点としたデータ プラットフォームを構築することができました。移行以来、HSBC の開発とテストの手順が改善され、データ ウェアハウスの 1 か所ですべての情報が得られるようになり、承認済みビューによって安全なデータアクセスが可能になりました。ユーザーは制約なしにデータを探求でき、顧客は必要なものを迅速に得られるようになりました。

最終的に、アジャイルなビジネスは成功し、市場の需要、顧客ニーズの変化、および予期しない課題に対応できます。自社の人々が現在どのようにデータを使用しているでしょうか。また、データ使用を改善するためにできることはあるでしょうか。

より良いデータとスマートなビジネス

Google は調査から、データ文化の構築によって実際にビジネス上の結果を得られることを理解しています。作り上げる文化は、その組織のニーズと目標に固有のもので、理想的には人々、プロセス、データを結び合わせるものです。

とはいえ、データが果たす役割は不可欠です。これまでに、データによって必要な分析情報が得られ、ビジネスをよりアジャイルにできるように、テクノロジー インフラストラクチャを構築する方法について説明してきました。また、データにインテリジェンスを応用し、現在だけでなく将来も役に立つようにすることも重要です。10 年前には想像もできなかったような AI や ML のツールが、現在では学術機関や限られた大企業でなくとも利用可能です。Google は、このような種類の高度なアナリティクスを使用している企業から、より的確な意思決定を行えるようになり、競合他社に先んじることができるようになったという声を耳にしています。

データによる業務の円滑化

しかし、コラボレーション重視のデータ文化の精神に従い、高度な分析ツールと出力は誰もが簡単にアクセス可能である必要があります。どのチームがどの情報を必要としているかが明確になれば、ユーザーが作業を行うために必要な適切なデータを用意できます。作業は、運用とビジネス プロセスの最適化、研究や開発の実行、日常的な質問への回答などが考えられます。リアルタイムのデータに基づいて分析の質問を問いかけることで、新しいアイデアとイノベーションの扉を開くことができます。単に先月の売上の数値を知るだけでなく、データを応用し、個別の顧客がオンラインでショッピングを行っているときのマルチ チャネルの購入記録を把握して、その顧客の履歴と、現在カートにある商品の組み合わせに基づいて、リアルタイムで別の商品をおすすめできます。

高度な分析が使い慣れたツールやアプリケーションに組み込まれると、すでに日常的なワークフローの一部なので、ユーザーは必要な回答を簡単に得ることができます。また、これによってチーム間のサイロが打破され、たとえば販売やマーケティング部門のリーダーは、分析チームにレポートを要求する必要がなくなります。代わりに、すべての部門が単一のデータセットを使用して共同作業し、データドリブンな決定を迅速に行うことができます。そして、強固なデータ ウェアハウスの基盤があれば、十分な容量を使用でき、すべての人員が必要な分析情報やレポートを入手できます。

Google Cloud アナリティクスのお客様の 1 つである American Cancer Society は、AI Platform を使用してデジタル病理画像の新しいパターンを識別しています。この組織は癌を示す兆候を見つけられるよう AI 画像分析モデルをトレーニングし、研究員がそれらをより迅速に識別して、患者の治療結果を改善できるようにしました。組織は、従来よりも 12 倍も速く画像を分析できるようになりました。

LG CNS も、Google Cloud のデータ分析ツールを使用して、自社の製品製造ラインの製造不良を識別しています。同社は以前にも機械学習モデルをトレーニングしましたが、Google Cloud によってより速く、正確にトレーニングを行えることに気付きました。LG CNS は、この効率化されたプロセスにより、製造ラインごとに年間約 100 万ドルを削減しています。

Google Cloud は、自社の AI と ML のテクノロジーを BigQuery のようなシステムに組み入れることでデータ ウェアハウジングを実現したほか、Contact Center AI やドキュメントの理解のような場所でも使用しています。これらの種類の分析情報が組織内の限られたユーザーしか使用できない、またはアクセスが困難なのは望ましくありません。Google は BigQuery ML にすでにご利用可能となっている SQL インターフェースを組み入れました。これにより、クエリを作成するだけで機械学習を使用できます。また、高度な分析機能が搭載されているため、次世代のスマート テクノロジーにも対応できます。

Google は、インテリジェンスはプロセス、人々、データ間にわたって広く組み込まれるべきだというアイデアを強く確信しています。ユーザーが必要なデータを得られ、プロセスが簡単なら、優れたアイデアを推し進めることができます。

必要な分析情報の入手

今日の世界でアクセス可能な種類のデータは意識を拡大させるようなもので、驚異的であり、そして何よりも有用なものです。大量のデータを収集することによる最良の結果は、そのデータをグラフィック、レポート、または日常業務のワークフローに埋め込むなどの形で利用可能にすることです。データと人間の知識や理解をこのように組み合わせることで、ビジネスのプランとプロジェクトを新しい形で見直すことができ、新しい分析情報やアイデアを生み出すことができます。

今日では多くのテクノロジーを選択できますが、そのテクノロジーを使用する人々が簡単にアクセスできなければ、ビジネスの推進には結び付きません。今日では IoT センサー、ビジネスアプリ、マーケティング データなど多様なデータソースがあるため、組織全体でサイロ化したデータが重複しており、色々な人がそれぞれの別の情報セットや、重複したデータセットを使用しています。

組織のデータすべてが単一の場所から得られるようにし、全員が必要なとき、必要な方法でその場所にアクセス可能とするのが理想的です。そのためには、必要なデータをデータ ウェアハウスに取り込み、Looker のように 10 から 20 の SaaS アプリやパブリック クラウド全体からのデータを結合できるエンタープライズ BI システム内にデータモデルを作成します。その後、すべてのチームがその単一のデータモデルにアクセスして使用できるようにして、その過程でプロビジョニングの遅延やリクエストのボトルネックが起きないようにします。ふさわしいユーザーが必要とするデータにアクセスでき、データが使用中およびライフサイクルの全体を通して保護されるようにするには、データ ガバナンスは不可欠です。実践上は、データ アナリストがセルフサービス レポートを作成して販売量の内訳を作成する、または機械学習の専門家がモデルを作成して収益を予測したり、新しいツールを作成したりするようなものになります。またデータ文化は、タスクを完了する必要があるときだけチーム同士が交流を持つようなものではなく、チームの共同作業のような形になります。データ文化がテクノロジーに支えられてうまく機能していると、ユーザーがビジネスを推進する新しいプロジェクトを追求するために必要な時間とリソースを使えるようになります。

データを信頼して使用でき、データについて質問できるような環境を作り上げ、ビジネスの推進に結び付けるには、分析情報を得るための技術的な基盤が必要です。データ分析テクノロジーを選択するときには、次のような疑問が生じる可能性があります。

  • 組織全体のデータを統合されたビューで表示できますか?
  • 組織のビジネス ユーザーも、必要なデータを簡単に参照できますか?
  • プラットフォームは(予算を超過することなく)ストリーミング データをリアルタイムで取り込めますか?
  • プラットフォームは異なる複数のソースから送られてくるデータタイプを処理できますか?

ユーザー + テクノロジー = イノベーション

より影響のある成果物を生み出せるユーザーたちを結び付けるには、事前の計画が必要です。自社の AI プロジェクトの関係者がどういった人たちかを理解すれば、プロジェクトを成功させるための最初の手順は、それらの関係者を結び付け、互いの作業を理解させることだとおわかりになるでしょう。それらの関係者が使用するツールやサービスは、人々を結びつけるために役立つものである必要があります。

Google は多くのお客様から、よりデータドリブンな文化を構築すると同時に、テクノロジーの更新を行い、将来の計画を立てることを目指しているとお伺いしています。たとえば AirAsia は、ビジネス上の決定においてデータの果たす役割はますます大きなものになっていくと理解していました。同社のチームは毎月 6 PB を超えるデータを分析しており、従来はその分析結果をすべて入手するために、週次または月次の Excel レポートを待つ必要がありました。現在、同社は BigQuery とその ML 機能を使用しており、同社の 1,500 人のチームはいつでもデータにアクセスし、2 年分以上のデータに対してアドホックのクエリを数分で完了できます。チームのメンバーは明快なインターフェースを使用でき、必要に応じて詳細な部分にドリルダウンできます。これにより、運用コストは 5% から 10% 低減しました。これはこの業界では十分に大きなもので、さらにデータはそれぞれのパソコンにばらばらに保存されていた頃より安全になりました。

Google の BigQuery データ ウェアハウスでは、オブジェクト ストレージ、トランザクション データベース、スプレッドシートなどのデータを処理できるため、データを複製する必要はありません。パブリック データセットも含まれているので、社内データからさらに多くの価値を引き出すことができます。Google のプロダクトは使いやすく、ユーザーが簡単に共同作業でき、分析情報を共有できるように構築されています。また、明解な ML ツールや、他の高度な分析など、現在から将来にわたって使用できる機能が組み込まれています。

データとチームへの信頼の構築

データ文化の構築により、人々、プロセス、データを互いに結び付けることができます。 ここまでは、データが適切なもので、そのデータを簡単に使用できるようにすることについて説明してきました。合理化されたデータの収集と使用という考え方の一面には、そうしたデータは信頼できるということがあります。多くのオンプレミスやレガシー システムでは、データがサイロ化しユーザーによって繰り返しコピーされるため、最終的には多くの異なる場所に古いシステムが存在するようになります。さらに、データセットが大きくなっていくと、データ品質が問題になることがあります。

このため、データドリブンな文化を実現するための 1 つの大きな段階として、ユーザーがデータを信頼できるようにすること、つまり、データが最新かつ正確なものだと信頼できるようにすることがあります。その一環として、中央から離れたデータセットや、サイロ化したプロジェクトはなくしていきます。組織には信頼できる単一のデータソースが存在し、誰でもそのデータソースのことを知っているというのが理想的です。

信頼は人々とプロセスに関わる問題で、データ文化の目標を達成できるかどうかを左右します。これは、より大きなデータ テクノロジーの問題でもあります。収集と分析を行うデータが増えるほど、セキュリティとガバナンスも重要となります。自社のツールとプロセスへの信頼は、データドリブンな文化が成功するために大きく貢献します。

データへの信頼の実現

データは非常に多種多様なソースから送られてきますが、暗号化、データの引き出し、アクセス制御など同じベースライン レベルの保護を必要とすることはどれも同じです。それ以外に、各社にはほとんどの場合に独自の脅威モデルと、データ保護の重点エリアが存在します。業界によっては、特定のコンプライアンスや規制の規則を遵守するための作業を行うこともあります。クラウド プロバイダのテクノロジー スタックは、セキュリティ機能を提供できるだけでなく、メタデータ、データカタログ、データリネージを使用してデータのガバナンスとポリシーの設定を行える必要があります。また、チームの共同作業を可能にするには、アクセスルールの設定が簡単であるとともに、データを安全に共有できるようにする必要があります。

これらを実現することは、データ分析のロールアウトを成功させるために不可欠です。そのため、セキュリティ プラクティスとツールをどのように実装するかという全体像で考えてください。Google では、元のゼロトラスト ネットワーキング原則から発展したゼロトラストのセキュリティ モデルの実装として、BeyondCorp が使われています。この背後にあるのは、アクセス制御をネットワーク境界から個別のユーザーやデバイスに移行し、ユーザーが VPN なしであらゆる場所から安全に作業を行えるようにするというアイデアです。大きく分けて、シングル サインオン、アクセス プロキシ、アクセス制御エンジン、ユーザー インベントリ、デバイス インベントリ、セキュリティ ポリシー、信頼リポジトリが BeyondCorp に含まれます。BeyondCorp リモート アクセスはこの機能を提供し、ユーザーが内部のウェブアプリにリモートで安全にアクセスできるようにするクラウド ソリューションです。

Google のお客様のある国際金融機関は、自社が BigQuery への移行を準備するとき、いくつかの基本的な疑問をお持ちでした。それは、データは保護され、リネージをトレース可能なのか?インフラストラクチャには、ミッション クリティカルなアプリに使用できるだけの信頼性があるか?といったものです。同社はメタデータのタグ付けを使用し、Google Cloud への移行によって単一のソースからすべての情報を得られるようになりました。BigQuery に保存される同社のデータは常に暗号化され、Identity and Access Management(IAM)とネイティブで統合されているため、列レベルの粒度までの細かさで、データのアクセスレベルが保証されます。この組織はリスク シミュレーションを定期的に行い、BigQuery を使用することでセキュリティ、ガバナンス、規制に対する体制を改善できました。

信頼できるデータ分析プラットフォームは、攻撃やセキュリティ侵害からの安全な保護を達成するため役立つとともに、確固としたデータ文化の構築にも深く関係します。ユーザーが入手したデータを信用できれば、イノベーションや新しいアイデアに集中できます。

あらゆる分析情報と同様に、データ文化の構築は「問い」から始まる

データ文化は組織にとって問題を生み出すのでしょうか、それとも解決策となるのでしょうか?解決策になる場合、それはどのようなものですか?その成果はどのようにして測りますか?これらの質問は、文化を新たに築く、または既存の文化を改善する際の助けとなります。データ文化は、業界やビジネスの内容によって異なります。自分と他の関係者が、チームや組織にとって何がベストであるかを理解すれば、構築したデータ文化は自社のビジネスにとって最適に機能するでしょう。

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