オブジェクト ストレージ、ブロック ストレージ、ファイル ストレージの比較

組織のデータは最も重要な資産の一つですが、適切なストレージ ソリューションを選択する際には、どのタイプのストレージを選択すればよいでしょうか。

通常、オブジェクト ストレージブロック ストレージファイル ストレージの 3 つのストレージ オプションを使用できます。これらのストレージ タイプごとに、データを保存、整理、提示するための独自の形式があり、それぞれが特定の用途やビジネス要件により適している場合があります。

ただし、どのストレージ オプションを選択するかが、組織のデータへのアクセスと管理の容易さの最終的な決定要因となるため、主なデータ ストレージのタイプを理解しておくことが重要です。

ここでは、オブジェクト ストレージ、ブロック ストレージ、ファイル ストレージの基本的な違いについて説明します(保存対象のデータや保存方法など)。

オブジェクト ストレージとは

オブジェクト ストレージは、オブジェクトと呼ばれる分離されたコンテナにデータを保存するデータ ストレージ アーキテクチャです。オブジェクト ベースのストレージでは、データを個別の単位に分割します。この単位には、データを記述する固有識別子とメタデータが含まれます。これにより、他のタイプのストレージよりもアクセスや取得が簡単になります。

たとえば、ファイル ストレージとオブジェクト ストレージを比較する場合、フォルダやディレクトリの階層はありません。代わりにオブジェクトはフラットなデータ環境(ストレージ プール)に保存されます。オブジェクトはオンプレミスに保存できますが、通常はクラウドに保存されるため、組織やチームはどこからでもデータにアクセスできます。オブジェクトにアクセスする場合、システムは固有識別子とメタデータを使用してオブジェクトを取得します。

このフラットメモリ モデルは、ソーシャル メディア コンテンツ、動画、センサーデータなど、階層的な保存が難しいことが多い非構造化データの処理に最適です。

また、オブジェクト ストレージは単一のグローバル ストレージ プール内でデータが編成されるため、他のタイプのストレージよりもスケーリングが非常に簡単です。データが複数のハードウェア デバイスや地理的位置に保存されている場合でも、データに簡単にアクセスして管理できます。

オブジェクト ストレージの一般的なユースケースとしては、クラウドネイティブ アプリケーション、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、リッチメディアのストレージと配信、バックアップとアーカイブなどがあります。

オブジェクト ストレージの長所

  • 優れたスケーラビリティ。オブジェクト ストレージについては、スケーラビリティにほぼ制限はありません。デバイスを追加するだけで、必要に応じて保存容量を継続して追加できます。
  • ビッグデータ用に構築。オブジェクト ストレージは大量の非構造化データを簡単に保存および管理できるため、AI、機械学習、予測分析などのビッグデータのユースケースに適しています。
  • シンプルなストレージ。オブジェクト ストレージにはフォルダも経路もないため、正確な場所を把握する必要がなく、データを簡単に取得できます。
  • 手頃な価格のオンデマンド ストレージ。オブジェクト ストレージは使用量ベースです。必要なストレージに対してのみ料金が発生するほか、必要に応じてスケーリングできるため、あらゆるデータを保存するための費用を削減できます。
  • 検索可能性の向上。オブジェクト ストレージでは、より高度な検索機能を利用して、メタデータ、コンテンツ、その他の属性に基づいてオブジェクトを検索できます。

オブジェクト ストレージの短所

オブジェクト ストレージは、特にクラウド ストレージにおいてより一般的になっていますが、いくつかの欠点もあります。オブジェクト ベースのストレージは、ファイル ストレージやブロック ストレージに比べてデータの書き込み処理が若干遅いため、トランザクション データには適していません。

また、作成後にオブジェクトを変更することはできません。変更を加える必要がある場合は、再作成してアップロードする必要があります。

ブロック ストレージとは

ブロック ストレージは、データを取得して固定サイズのブロックに分割し、個別に読み書きできるようにするデータ ストレージ アーキテクチャです。各ブロックには固有識別子が割り当てられ、物理サーバーに保存されます。ストレージ システムは、効率的な場所にブロックを配置します。つまり、ブロックを異なるシステムや環境に分散させることができます。

ユーザーがデータをリクエストすると、ブロック ストレージ システムは、保存されている場所からデータブロックを再構成してユーザーに提示します。オブジェクト ストレージと同様に、ブロック ストレージはファイル ストレージのようにデータへの単一のパスに依存しません。

ただし、ブロック ストレージとオブジェクト ストレージの重要な違いの一つは、ブロック ストレージ内のメタデータがより制限されていることです。設定できるのは基本的なファイル属性のみですが、オブジェクト ストレージではメタデータをカスタマイズして、より詳細な情報を配置できます。

ブロック ストレージは、詳細な制御と最適化の機能により、低レイテンシと頻繁な変更を必要とするミッション クリティカルなワークロードに適しています。一般的なユースケースには、データベース、コンテナ、トランザクション ワークロード用のストレージ、メディア レンダリング、スケールアウト分析、キャッシュ保存、仮想マシンのバックエンド ストレージなどがあります。

ブロック ストレージの長所

  • 高速なパフォーマンス。ブロック ストレージは、データへの複数のパスを提供し、限られたメタデータを使用するため、データ転送を減らし、効率的にデータを取得できます。
  • 高度なスケーラビリティ。容量のニーズの拡大に応じて、必要に応じて新しいブロックを追加できます。パフォーマンスへの影響もありません。
  • 簡単な変更。ファイル ストレージやオブジェクト ストレージとは異なり、ブロック ストレージ内のファイルを変更するときに必要となるのは、影響を受ける特定のブロックを変更することのみです。

ブロック ストレージの短所

ブロック ストレージの主なデメリットは、高価なことです。ブロック ストレージはストレージ エリア ネットワーク(SAN)を必要とするため、管理と維持に多くの追加費用がかかります。また、最終的に使用しない場合でも、割り当てられたすべての保存容量に対して料金を支払う必要があります。

さらに、メタデータの使用が限定的であることは、特に、非構造化データの処理、またはメタデータに依存するオペレーション(検索やデータ取得など)の処理においてデメリットとなる可能性があります。

ファイル ストレージとは

ファイル ストレージは、ファイルとフォルダを使用してデータを整理するデータ ストレージ アーキテクチャです。データはファイルに保存され、フォルダに整理されます。その後、ディレクトリ内のサブディレクトリにフォルダが配置されます。ファイル ストレージでは、ファイル名、ファイル内のデータの種類(拡張子)、データの場所への特定のパスが固有識別子として使用されます。

このロジックは、階層内でドキュメントを配置する物理的なファイル システムでも同じです。また、ファイル・ストレージは最も確立され、広く使用されているストレージ・システムであり、おそらくパソコン上で今されているのもファイル・ストレージでしょう。

ファイル ストレージでは、個々のデータ項目を簡単に見つけて取得でき、ほぼあらゆる種類のデータの保存に使用できます。しかし、システムは、サブディレクトリやファイル名など、データを見つけるためにファイルの正確なパスを把握する必要があり、ファイル ストレージの管理に時間を要する状態になり、データ量が増えるにつれて効率的に使用するのが困難になる可能性があります。

ファイル ストレージは親しみやすいため、現在でも最もよく使用されているストレージ タイプの一つです。一般的なユースケースとしては、ウェブ コンテンツ管理、共有ファイルとドキュメントの共同編集ストレージ、小規模なローカル ファイル ストレージなどがあります。

ファイル ストレージの長所

  • シンプルで使いやすいストレージ。基本的なコンピュータ スキルを持つほとんどの人は、追加のトレーニングを必要とせずに、ファイル ストレージ システムを簡単に使用して情報を見つけることができます。
  • ユーザー フレンドリーな管理。ファイル ストレージを使用すると、ユーザーはサポートなしで自分のファイルを簡単に作成、管理、削除できます。ファイル ストレージではアクセス管理も簡単で、ファイルのアクセス権限や表示権限、変更権限を持つユーザーを簡単にカスタマイズできます。
  • 使い慣れたプロトコル。ファイル ストレージ システムは、ネットワーク ファイル システム(NFS)、共通インターネット ファイル システム(CIFS)、サーバー メッセージ ブロック(SMB)などの標準的なコンピューティング プロトコルに依存しています。

ファイル ストレージの短所

前述のように、ファイル ストレージ システムは、データへのアクセスと管理が困難になる時点まで十分に機能します。ファイル、フォルダ、ディレクトリの数が多ければ多いほど、情報を検索してアクセスすることが難しくなります。時間の経過とともに検索機能が苦労するようになり、要求された情報を見つけるのが遅くなり、従業員の生産性に影響を与える可能性があります。

ファイル ストレージは技術的には非構造化データを処理できますが、通常は大量の非構造化データ ストレージの処理には適していません。また、ストレージの上限に達したときにスケールアウトする唯一の方法が、新しいストレージ デバイスを購入することであるため、時間の経過とともに費用がかさみます。

オブジェクト、ブロック、ファイル ストレージの主な違い

データに使用するストレージのタイプ(オブジェクト、ファイル、ブロック ストレージ)を検討する際は、次の点を考慮してください。

オブジェクト ストレージ

ブロック ストレージ

ファイル ストレージ

ストレージの種類

スケーラブルなバケットに保存されるオブジェクト

厳格に配置された固定サイズのブロック

フォルダとディレクトリで階層的に整理されたファイル

データのボリューム

大量のデータに対応

大量のデータに対応

データ量が少ない場合に適している

データ マネジメント

カスタム メタデータで容易に検索可能

より制限された検索機能と分析機能

階層構造がよりシンプルで小規模なデータセットに対して機能

費用

従量課金制の料金、より優れた費用対効果

固定ストレージ ブロックとしてストレージを購入する場合の費用が高い

費用が高い、スケールアウトするには新しいストレージ デバイスを購入する必要がある

パフォーマンス

低パフォーマンス、長い処理時間

超低レイテンシと高パフォーマンス

データ量の増加によって影響を受けるパフォーマンス

スケーラビリティ

優れたスケーラビリティ

限定的なスケーラビリティ

限定的なスケーラビリティ

推奨用途

ビッグデータ ストレージ、静的非構造化データ、分析、リッチメディア ファイル、バックアップ

トランザクション データ、構造化データ、データベース用ストレージ、VM 用ディスク、キャッシュ保存

共有ファイル ストレージ、非構造化データ

オブジェクト ストレージ

ブロック ストレージ

ファイル ストレージ

ストレージの種類

スケーラブルなバケットに保存されるオブジェクト

厳格に配置された固定サイズのブロック

フォルダとディレクトリで階層的に整理されたファイル

データのボリューム

大量のデータに対応

大量のデータに対応

データ量が少ない場合に適している

データ マネジメント

カスタム メタデータで容易に検索可能

より制限された検索機能と分析機能

階層構造がよりシンプルで小規模なデータセットに対して機能

費用

従量課金制の料金、より優れた費用対効果

固定ストレージ ブロックとしてストレージを購入する場合の費用が高い

費用が高い、スケールアウトするには新しいストレージ デバイスを購入する必要がある

パフォーマンス

低パフォーマンス、長い処理時間

超低レイテンシと高パフォーマンス

データ量の増加によって影響を受けるパフォーマンス

スケーラビリティ

優れたスケーラビリティ

限定的なスケーラビリティ

限定的なスケーラビリティ

推奨用途

ビッグデータ ストレージ、静的非構造化データ、分析、リッチメディア ファイル、バックアップ

トランザクション データ、構造化データ、データベース用ストレージ、VM 用ディスク、キャッシュ保存

共有ファイル ストレージ、非構造化データ

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