このページでは、Google Kubernetes Engine(GKE)のクラスタラベルとノードプール ラベルの概要について説明します。
GKE クラスタ / ノードプールのラベルと Kubernetes のラベル
GKE クラスタとノードプールのラベルは、Kubernetes のラベルとは異なります。2 つのラベル付けシステムは独立して動作し、ラベルの継承や共有はされません。
GKE クラスタとノードプールのラベルは、リソースに関連付けられる任意のメタデータであり、使用状況や課金情報をトラックするために使用できます。
これとは別に、Kubernetes ではシステムが内部でラベルを使用して、クラスタのコンポーネントとリソース(Pod やノードなど)を相互に関連付け、リソースのライフサイクルを管理します。Kubernetes ラベルは Kubernetes API で編集できます。GKE API を使用して、クラスタの作成またはクラスタの更新を行い、ノードの Kubernetes ラベルを編集することもできます。
クラスタラベルとは何か
クラスタラベルは、Google Cloud クラスタに割り当てることができる Key-Value ペアです。ラベルはこれらのリソースを整理し、必要な粒度に基づいてコストを大規模に管理する場合に役立ちます。各リソースにラベルを設定し、そのラベルに基づいてリソースをフィルタできます。ラベルに関する情報は課金システムに転送され、請求料金をラベル別に分類できます。組み込みの請求レポートにより、リソースラベルで費用をフィルタしてグループ化できます。また、ラベルを使用して請求データ エクスポートをクエリすることもできます。
クラスタラベルの要件
リソースに適用するクラスタラベルは、次の要件を満たす必要があります。
- 各リソースには、最大 64 個のクラスタラベルを設定できます。
- クラスタラベルは、Key-Value ペアにする必要があります。
- キーは 1 文字以上、63 文字までにする必要があります。空にすることはできません。値は 63 文字以下にします。空にすることもできます。
- キーと値には、小文字、数字、アンダースコア、ダッシュのみを使用できます。すべての文字は UTF-8 でエンコードする必要があります。国際文字も使用できます。キーは、小文字または国際文字で始める必要があります。
- クラスタラベルのキー部分は、単一のリソース内では一意である必要があります。ただし、複数のリソースで同じキーを使用できます
これらの上限は、各クラスタラベルのキーと値、およびクラスタラベルのある個々の Google Cloud リソースに適用されます。1 つのプロジェクト内のすべてのリソースに適用できるクラスタラベルの数に制限はありません。
クラスタラベルの一般的な用途
次に、クラスタラベルの一般的なユースケースを示します。
チームまたはコストセンターのラベル: チームやコストセンターに基づいてラベルを追加し、各チームが所有するクラスタを区別します(例:
team:research
、team:analytics
)。この種類のラベルは、費用計算または予算作成に使用できます。コンポーネント クラスタラベル: たとえば、
component:redis
、component:frontend
、component:ingest
、component:dashboard
など。環境またはステージのクラスタラベル: たとえば、
environment:production
、environment:test
など。状態クラスタラベル: たとえば、
state:active
、state:readytodelete
、state:archive
など。オーナー クラスタラベル: 運用担当チームの識別に使用されます(例:
team:shopping-cart
)。
- 請求の内訳: ノードプールのラベルを使用して、ノードプールごとに請求額を分類します。詳細については、クラスタコストの内訳の表示をご覧ください。
すべての API 呼び出しにタイムスタンプや個別の値を設定するなど、一意のラベルを多数作成することはおすすめしません。このアプローチの問題は、値が頻繁に変更される場合やカタログを混乱させるキーを使用している場合に、リソースを効果的にフィルタして報告することが困難になることです。
ラベルとタグ
ラベルは、リソースに対するクエリ可能なアノテーションとして使用できますが、ポリシーの条件の設定には使用できません。タグを使用すると、ポリシーをきめ細かく制御することによって、リソースに特定のタグが付加されているかどうかに基づいて、条件付きでポリシーを許可または拒否することが可能になります。詳細については、タグの概要をご覧ください。
自動的に適用されるラベル
GKE は、クラスタ リソースに複数のラベルを自動的に適用します。
たとえば、Compute Engine インスタンス、永続ディスク、アクセラレータ(TPU)にラベルを適用します。
次の表に、GKE がリソースに自動的に適用するラベルを示します。
ラベル | 適用されるリソース |
---|---|
goog-gke-node |
GKE ノードの基盤となる Compute Engine VM インスタンス。 |
goog-gke-volume |
GKE ノードの基盤となる VM インスタンスにアタッチされた Compute Engine 永続ディスク。 |
goog-gke-tpu |
GKE の Cloud TPU。 |
goog-k8s-cluster-name |
GKE ノードの基盤となる Compute Engine VM インスタンスと、VM インスタンスにアタッチされている永続ディスク。 |
goog-k8s-cluster-location |
GKE ノードの基盤となる Compute Engine VM インスタンスと、VM インスタンスにアタッチされている永続ディスク。 |
goog-k8s-node-pool-name |
GKE ノードの基盤となる Compute Engine VM インスタンスとそのブートディスク。 |
goog-fleet-project |
クラスタがフリートに登録されている場合、GKE ノードの基盤となる Compute Engine VM インスタンスと、VM インスタンスにアタッチされている永続ディスク。 |
予約済みラベルの編集や削除は行わないでください。予約済みラベルに加えた変更は、自動的に調整されます。
ラベルの伝播
GKE では、クラスタと Standard モードのノードプールにラベルを適用できます。クラスタにラベルを付けると、そのラベルはノード、インスタンス、永続ディスクなど、クラスタの個々のリソースにすべて伝播されます。ノードプールにラベルを付けると、そのラベルはインスタンス、永続ディスクなど、ノードプールの個々のリソースにすべて伝播されます。Standard クラスタでは、クラスタラベルがノードプール ラベルと競合する場合(ラベルキーが同じで値が異なる場合など)、ノードプール ラベルがクラスタラベルをオーバーライドします。
クラスタまたはノードプールに適用したラベルは、1 時間ごとに実行されるバックグラウンド プロセスを介して伝播されます。特定のクラスタに関連付けられているすべてのリソースにラベルが表示されるまでに、最大で 1 時間かかることがあります。また、ラベルは、Compute Engine インスタンスと、Compute Engine インスタンスにアタッチされている Persistent Disk にのみ伝播されます。ワークロード、転送ルール、IP アドレス、アタッチされていない Persistent Disk などの他のリソースにはラベルは付けられません。
Standard クラスタの場合、クラスタラベルとノードプール ラベルを Compute Engine リソースに適用すると、それらの変更が GKE によって調整されることなく、リソースラベルを手動で変更できます。Autopilot クラスタでは、GKE がノードを管理するため、Compute Engine リソースのラベルを手動で変更することはできません。これらのラベルは GKE で管理することをおすすめします。これらの Compute Engine リソースの既存のラベルは、自動的に適用されるラベルと競合しない限り、GKE によって削除されません。
始める前に
始める前に、次の作業が完了していることを確認してください。
- Google Kubernetes Engine API を有効にする。 Google Kubernetes Engine API の有効化
- このタスクに Google Cloud CLI を使用する場合は、gcloud CLI をインストールして初期化する。すでに gcloud CLI をインストールしている場合は、
gcloud components update
を実行して最新のバージョンを取得する。
API リクエストに使用するラベルのフィンガープリントを取得する
Google Cloud コンソールまたは gcloud CLI を使用している場合は、この手順をスキップできます。
GKE API を使用してクラスタラベルを更新または追加する際は、リクエストに最新のクラスタラベルのフィンガープリントを入力して、他のリクエストとの競合を防ぐ必要があります。
最新のクラスタラベルのフィンガープリントを取得するには、該当するクラスタに対して GET
リクエストを実行します。次に例を示します。
GET https://container.googleapis.com/v1/projects/myproject/zones/us-central1-f/clusters/example-cluster
出力は次のようになります。
200 OK
{
"name": "mycluster",
"description": "production-cluster",
"initialNodeCount": 3,
...
"resourceLabels": {
"environment": "production",
...
},
"labelFingerprint": "p1ty_9HoBk0="
}
この出力で、labelFingerprint
プロパティはクラスタラベルのフィンガープリントです。
ラベル付きのクラスタを作成する
ラベル付きの Autopilot クラスタと Standard クラスタを作成するには、gcloud CLI、Google Cloud コンソール、GKE API、または Terraform を使用します。
gcloud
ラベル付きの Autopilot クラスタを作成するには、次のコマンドを実行します。
gcloud container clusters create-auto CLUSTER_NAME \
--labels=KEY=VALUE
ラベル付きの Standard クラスタを作成するには、次のコマンドを実行します。
gcloud container clusters create CLUSTER_NAME \
--labels=KEY=VALUE
次のように置き換えます。
CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。KEY
: ラベルの Key-Value ペアのキー。VALUE
: ラベルの Key-Value ペアの値。
コンソール
クラスタの作成時にラベルを追加する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
[add_box 作成] をクリックします。
クラスタを構成します。
ナビゲーション パネルの [クラスタ] の下の [メタデータ] をクリックします。
[addラベルを追加] をクリックします。
ラベルを追加します。
[作成] をクリックします。
API
クラスタの作成時にラベルを設定するには、projects.zones.clusters.create に指定する cluster
オブジェクト内に resourceLabels
オブジェクトを指定します。
Terraform
Terraform を使用してラベル付きの Autopilot クラスタを作成するには、次の例を参照してください。
Terraform を使用してラベル付きの Standard クラスタを作成するには、次の例を参照してください。
Terraform を使用する詳細については、GKE での Terraform のサポートをご覧ください。
既存のクラスタのラベルを追加または更新する
gcloud CLI、Google Cloud コンソール、または GKE API を使用して、既存の Autopilot クラスタと Standard クラスタのラベルを追加または更新できます。
gcloud
次のコマンドを実行します。
gcloud container clusters update CLUSTER_NAME \
--region=COMPUTE_REGION \
--update-labels=KEY=VALUE
次のように置き換えます。
CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。COMPUTE_REGION
: 新しいクラスタの Compute Engine のリージョン。ゾーン Standard クラスタの場合は、--zone=COMPUTE_ZONE
を使用します。KEY
: ラベルの Key-Value ペアのキー。VALUE
: ラベルの Key-Value ペアの値。
ラベルを更新すると、クラスタの既存のラベルが上書きされます。クラスタの既存のラベルを保持する場合は、追加する新しいラベルとともに既存のラベルを含める必要があります。
コンソール
ラベルを追加または更新する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
[クラスタの詳細] ページで、変更する 1 つ以上のクラスタのチェックボックスをオンにします。
[
ラベル] をクリックします。ラベルを追加または更新します。
[保存] をクリックします。
API
最新のフィンガープリントと適用するラベルの完全なリストを指定したクラスタの resourceLabels
メソッドに POST
リクエストを行います。
メタデータやタグの場合と同様に、クラスタの既存のラベルを残したい場合は、追加する新しいラベルとともに、既存のラベルをリクエストに含める必要があります。
たとえば、次のスニペットは、resourceLabels
メソッドにリクエストを行います。
POST https://container.googleapis.com/v1/projects/myproject/zones/us-central1-f/clusters/example-cluster/resourceLabels
{
"resourceLabels": {
"environment": "production",
"an-existing-tag": ""
},
"labelFingerprint": "42WmSpB8rSM="
}
クラスタラベルを削除する
gcloud CLI、Google Cloud コンソール、または GKE API を使用して、Autopilot クラスタと Standard クラスタからラベルを削除できます。
gcloud
--remove-labels
フラグを指定して update
コマンドを実行します。
gcloud container clusters update CLUSTER_NAME \
--remove-labels=KEYS
次のように置き換えます。
CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。KEYS
: 削除するラベルキーのカンマ区切りリスト。
コンソール
ラベルを削除する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
クラスタリストで、変更するクラスタ(1 つまたは複数)のチェックボックスをオンにします。
[
ラベル] をクリックします。削除するラベルの [値] フィールドの横にある [deleteアイテムの削除] をクリックします。
[保存] をクリックします。
API
該当するクラスタの resourceLabels
メソッドに POST
リクエストを行います。すべてのラベルを削除するには、現在の labelsFingerprint
とラベルの空のリストを指定します。あるいは、削除しないラベルのリストを指定します(削除するラベルは省略します)。次に例を示します。
Request
POST https://container.googleapis.com/v1/projects/myproject/zones/us-central1-f/clusters/example-cluster/resourceLabels
{
"resourceLabels": { },
"labelFingerprint": "42WmSpB8rSM="
}
ラベル付き Standard ノードプールを作成する
Standard クラスタにラベル付きノードプールを作成するには、gcloud CLI、Google Cloud コンソール、または GKE API を使用します。
gcloud
次のコマンドを実行します。
gcloud container node-pools create NODE_POOL_NAME \
--cluster=CLUSTER_NAME \
--region=COMPUTE_REGION \
--labels=KEY=VALUE
次のように置き換えます。
NODE_POOL_NAME
: ノードプールの名前。CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。COMPUTE_REGION
: クラスタの Compute Engine のリージョン。ゾーンクラスタの場合は、--zone=COMPUTE_ZONE
を使用します。KEY
: ラベルの Key-Value ペアのキー。VALUE
: ラベルの Key-Value ペアの値。
API
ノードプールの作成時にラベルを含めるには、projects.zones.clusters.nodePools.create
に指定するノードプール オブジェクト内の resourceLabels
オブジェクトを指定します。
コンソール
新しいノードプールにラベルを追加する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
[クラスタの詳細] ページで、変更するクラスタの名前をクリックします。
[add_box ノードプールを追加] をクリックします。
新しいノードプールを構成します。
ナビゲーション パネルで [メタデータ] をクリックします。
[addラベルを追加] をクリックします。
ラベルを追加します。
[作成] をクリックします。
既存のノードプールのラベルを追加または更新する
gcloud CLI、Google Cloud コンソール、または GKE API を使用して、既存ノードプールのラベルを追加または更新できます。
gcloud
次のコマンドを実行します。
gcloud container node-pools update NODE_POOL_NAME \
--cluster=CLUSTER_NAME \
--region=COMPUTE_REGION \
--labels=KEY=VALUE
次のように置き換えます。
NODE_POOL_NAME
: ノードプールの名前CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。COMPUTE_REGION
: クラスタの Compute Engine のリージョン。ゾーンクラスタの場合は、--zone=COMPUTE_ZONE
を使用します。KEY
: ラベルの Key-Value ペアのキー。VALUE
: ラベルの Key-Value ペアの値。
ラベルを更新すると、ノードプールの既存のラベルが上書きされます。ノードプールの既存のラベルを保持する場合は、追加する新しいラベルとともに既存のラベルを含める必要があります。
API
ノードプールの変更時にラベルを含めるには、projects.zones.clusters.nodePools.update
に指定するノードプール オブジェクト内の resourceLabels
オブジェクトを指定します。
コンソール
ラベルを追加または更新する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
クラスタのリストで、変更するノードプールを含むクラスタの名前をクリックします。
[ノードプール] セクションで、変更するノードプールの名前をクリックします。
[edit編集] をクリックします。
[ラベル] で、ラベルを追加または更新します。
[保存] をクリックします。
ノードプール ラベルを削除する
gcloud CLI、Google Cloud コンソール、または GKE API を使用して、ノードプールからラベルを削除できます。
gcloud
次のコマンドを実行します。
gcloud container node-pools update NODE_POOL_NAME \
--cluster=CLUSTER_NAME \
--region=COMPUTE_REGION \
--labels=KEY=VALUE
次のように置き換えます。
NODE_POOL_NAME
: ノードプールの名前。CLUSTER_NAME
: クラスタの名前。COMPUTE_REGION
: クラスタの Compute Engine のリージョン。ゾーンクラスタの場合は、--zone=COMPUTE_ZONE
を使用します。KEY
: ラベルの Key-Value ペアのキー。VALUE
: ラベルの Key-Value ペアの値。
ラベルを更新すると、ノードプールの既存のラベルが上書きされます。ノードプールにある既存のラベルを残す場合は、削除するラベルを除外する必要があります。すべてのラベルを削除するには、Key-Value ペアなしで --labels=
を使用します。
API
ノードプールの変更時にラベルを含めるには、projects.zones.clusters.nodePools.update
に指定するノードプール オブジェクト内の resourceLabels
オブジェクトを指定します。すべてのラベルを削除するには、ラベルの空のリストを指定します。あるいは、削除しないラベルのリストを指定します。削除するラベルは省略します。
コンソール
ノードプールからラベルを削除するには、次の操作を行います。
Google Cloud コンソールで Google Kubernetes Engine のページに移動します。
クラスタのリストで、変更するノードプールを含むクラスタの名前をクリックします。
[ノードプール] セクションで、変更するノードプールの名前をクリックします。
削除するラベルの [値] フィールドの横にある [deleteアイテムの削除] をクリックします。
[保存] をクリックします。