2020 年: Google Cloud のデータベースの 1 年
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年は、誰もがこれまでに経験したことがない年になりました。数々の予想外の出来事が発生し、企業の基礎をなすテクノロジーが大きく注目を浴びました。さまざまな企業が、自社のデータベースの信頼性、スケーラビリティ、安定したパフォーマンスを確保することを求めました。その結果、移行計画が前倒しされ、厳格なライセンスの人気がさらに低下し、革新的なアプリケーション開発が加速しました。この傾向は 2019 年の時点ですでに明確で、Gartner Predicts によれば、クラウド データベース管理システム(DBMS)の収益は 2018 年から 54% 増加して 170 億ドルとなりました。2020 年についての Gartner の報告が待たれますが、Google の考えでは、この成長は今年も大幅に促進されています。
「オープン性」と「柔軟性」という Google のデータに関するビジョンは、今年初めて登場した DBMS のマジック クアドラントに反映されていました。Gartner は Google Cloud を 2020 年の DBMS のリーダーに選出しました。
さまざまな業界のお客様から、今年からデータベースのモダナイゼーションを開始または強化したというお話を伺っています。こうしたお客様のミッション クリティカルな目標の達成を支援できるよう、Google Cloud は引き続き新製品や新機能をリリースしていきます。今年の新機能や注目機能を以下にご紹介します。
新たなオプション、新たな柔軟性がクラウド データベース環境に登場
Cloud SQL 向けの Database Migration Service をリリース
企業にとってデータベースの移行は困難を伴う場合があります。このため Google は最近、サーバーレスの Database Migration Service(DMS)をリリースし、簡単で安全、かつ信頼性の高い独自のエクスペリエンスをお客様に提供しています。これは、ダウンタイムを最小に抑えながら MySQL や PostgreSQL のワークロードを忠実に移行する、真にクラウドネイティブなサービスです。このリリースについては、こちらのブログで取り上げています。詳細な情報や導入手順については、そちらをご覧ください。
SQL Server をクラウドで管理
インフラストラクチャのモダナイゼーションとマルチクラウド戦略という大きな目標にとって、Cloud SQL for SQL Server に移行する能力が非常に重要であるという話を、大企業のお客様からよく伺います。SQL Server のワークロードを継続して実行することを可能にすべく、全世界で Cloud SQL for SQL Server が一般提供となりました。この点について取り上げたこちらのブログでは、移行を開始するための 5 つのステップ、完全移行ガイドへのリンク、詳細について説明する動画をご紹介しています。
Oracle データベース向け Bare Metal Solution が 5 つの新しい Google Cloud リージョンに登場
Bare Metal Solution により、Oracle データベースのような特殊なワークロードを Google Cloud のリージョン拡張で実行できるようになる一方で、全体的な費用と移行に伴うリスクを削減できます。2020 年の発表にあったように、Bare Metal Solution をさらに 5 つのリージョン(バージニア州アッシュバーン、フランクフルト、ロンドン、カリフォルニア州ロサンゼルス、シドニー)で利用できるようになりました。今年はさらに 4 つのサイト(アムステルダム、サンパウロ、シンガポール、東京)を追加しました。
2020 年のクラウド データベースのお客様事例
クラウド移行に関して、明確な傾向がいくつか見られました。お客様は、いわゆる 3 段階のプロセスを実践していました。つまり、移行(大規模な商用およびオープンソース データベースの移動)、モダナイゼーション(レガシーからオープンソース データベースへの移動)、変換(次世代アプリケーションの構築と新たな可能性の開拓)です。Google Cloud は、このプロセスのどの段階にあるお客様も、成功に導くサービス、ベスト プラクティス、ツール エコシステムを駆使して全力でサポートします。
調剤薬局向けテクノロジーの大手企業である McKesson のチームは Cloud SQL を利用してレガシー環境をモダナイズしました。3D プリントと設計を手掛ける Makerbot の事例では、Google Kubernetes Engine(GKE)、Pub/Sub、Cloud SQL を含む Google Cloud の緊密に統合されたツールを利用して革新的な自動スケーリング ソリューションを実現した手法をご紹介しています。
予測データモデルによってキャンペーンを配信する、大手小売業者向けのマーケティング プラットフォームの開発を手掛ける Bluecore からは、Cloud SQL を利用して、小売ブランドのウェブサイトを遅延させることなくキャンペーン作成機能を提供するフルマネージドのソリューションを開発した手法について伺いました。大学同士を結びつけるプラットフォームのプロバイダ、Handshake のようなお客様も Cloud SQL への移行を選択しました。金融ソリューションを提供する Freedom Financial Network は Rackspace から Cloud SQL に切り替え、拡大する需要を満たしました。
また、Google Cloud Next ‘20: OnAir では、ShareChat と The New York Times から、Google のクラウドネイティブ データベースの利用による成功談について伺いました。さらに Khan Academy からは Cloud Firestore を利用して高まるオンライン学習の需要に対応しているというお話しを伺いました。
エンタープライズ環境に対応したオープンソース データベース
Google Cloud のあるリージョンでサービスが停止した場合、稼働している別のリージョンで顧客にアプリケーションとデータベースの提供を開始したいと考えるのは当然のことです。Google は今年、Cloud SQL のクロスリージョン レプリケーションをリリースしました。これは、MySQL と PostgreSQL の両データベース エンジンを対象とした機能です。Google は、ビジネスの継続性を課題とする Cloud SQL のお客様と連携し、このエクスペリエンスをシンプルなものとすべく取り組んできました。こちらのブログでは、その利用方法と、メジャーリーグ ベースボールでのクロスリージョン レプリケーションの活用事例について取り上げています。
さらに、Cloud SQL のメリットとして、確約利用割引、強化されたメンテナンス管理機能、サーバーレス エクスポート、Postgres 向けのポイントインタイム リカバリが挙げられます。
2020 年の秋、Google は Cloud SQL の MySQL 8 への対応を発表しました。これにより、インスタント DDL ステートメント(ADD COLUMN など)、アトミック DDL、ロールを使用した特権のコレクション、ウィンドウ関数、JSON 拡張構文など、各種の強力な新機能を利用して生産性を強化できるようになりました。新機能の詳しい内容については、こちらをご覧ください。
Cloud SQL データベース サービスに PostgreSQL 13 を追加
新たに Cloud SQL for PostgreSQL 13 のサポートを開始しました。これにより、お客様は PostgreSQL の最新機能を利用すると同時に、Cloud SQL で手間のかかる運用上の作業を処理できるようになります。PostgreSQL 13 で最近実現された全体的なパフォーマンス改善には、パーティショニング機能の強化、インデックスとバキュームの効率向上、拡張モニタリング機能の改善が含まれます。詳細、その他の機能、使用方法については、最新のブログをご覧ください。
Memorystore for Redis のパフォーマンス測定ツール
Redis は人気の高いオープンソースのインメモリ データストアであり、データベース、キャッシュ、メッセージ ブローカーとして使用されています。Memorystore for Redis は Google Cloud のフルマネージド Redis サービスです。Memorystore には最近、Redis 5.0 のサポート、VPC Service Controls、Redis Auth、TLS 暗号化が追加されました。Google Cloud 公式ブログで、Memorystore for Redis のパフォーマンス測定方法と、メモリ管理やクエリの最適化などのためにパフォーマンスを調整する際のベスト プラクティスをご紹介しています。
クラウドネイティブ データベース: エンタープライズ ワークロードに最適な信頼性、デベロッパーに理想的
Google Cloud Spanner は無制限のスケーリング、強整合性、99.999% の可用性を備えた唯一のマネージド リレーショナル データベースです(詳しくは、Spanner の新機能をご覧ください)。2020 年、Google は Spanner の新しいエンタープライズ機能を発表しました。これには、マネージド バックアップ / 復元機能の一般提供と、99.999% の可用性を実現する 9 つの新しい Spanner のマルチリージョンが含まれます。また、クエリ オプティマイザーのバージョニング、外部キー、チェック制約、生成列などの新しい SQL 機能のサポートも Spanner に追加されました。さらに Spanner には C++ アプリケーション デベロッパー向けの C++ クライアント ライブラリとローカル エミュレータも導入されました。ローカル エミュレータを使用してアプリケーションの開発とテストを行うことで、アプリケーション開発費用を削減できます。
Bigtable は Google のフルマネージド NoSQL データベース サービスです。高いビジネス継続性を実現するためのマネージド バックアップが新たに提供され、最小限の管理オーバーヘッドでワークロードにデータ保護を追加できるようになりました。Bigtable は小さなワークロード向けにサポートを拡張し、従来クラスタあたり最低 3 つのノードが必要だったのに対し、1 つまたは 2 つのノードで本番環境インスタンスを作成できるようになりました。
Firestore はモバイル デベロッパーとウェブ デベロッパーがアプリを簡単に構築できるようにするデータベース サービスです。ルール プレイグラウンドなどの新機能が追加され、更新された Firebase Security ルールを迅速にテストできるようになりました。また今年追加された Firestore Unity SDK により、ゲーム デベロッパーが Firestore を採用しやすくなりました。さらに、Firestore に C++ クライアント ライブラリが導入され、豊富なクエリ言語が利用できるようになりました。一連の新しい演算子には、not-in、array-contains、not-equal、less than、greater than などが含まれます。
以上が、データベースの 1 年のまとめです。2021 年の最新のお知らせ、リリース、ベスト プラクティスについては、今後の Google Cloud 公式ブログにご注目ください。
Gartner、Magic Quadrant for Cloud Database Management Systems、2020 年 11 月 23 日、Donald Feinberg 氏、Adam Ronthal 氏、Merv Adrian 氏、Henry Cook 氏、Rick Greenwald 氏
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-Director of Product Management, Databases, Penny Avril