AlloyDB のマネージド接続プーリングのご紹介 - 規模の拡大と接続の高速化
Emir Okan
Senior Product Manager
Haoli Du
Software Engineer
※この投稿は米国時間 2026 年 1 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
AlloyDB for PostgreSQL は、要求の厳しいエンタープライズ ワークロード向けに設計されたフルマネージド データベース サービスです。PostgreSQL の使いやすさと堅牢性を Google Cloud の高度なテクノロジーと組み合わせることで、卓越したパフォーマンス、スケーラビリティ、高可用性を実現します。
しかし、アプリケーションが増加し、ユーザー負荷が強まると、「データベース接続の効率的な管理」という、また別の要素の重要性が高まります。非効率的な接続処理がボトルネックになり、AlloyDB が本来発揮すべきパフォーマンスとスケーラビリティが損なわれる可能性があるからです。この状況を踏まえ、この課題に正面から取り組むための新機能、マネージド接続プーリングを発表いたしました。
表面化しないデータベース接続費用
多くのアプリケーション アーキテクチャ、特にウェブ アプリケーションやサーバーレス関数のような短時間での頻繁なやり取りが発生するアプリケーション アーキテクチャでは、リクエストごとに新しいデータベース接続を開き、後で閉じるというパターンが一般的です。このアプローチはわかりやすいように思えますが、特に大規模な運用では、表面化しない多額の費用が発生します。
新しいデータベース接続を頻繁に確立する場合(ウェブアプリやサーバーレス関数では一般的)、リソースを大量に消費します。新しい接続を確立するたびに、ネットワーク ハンドシェイク、Transport Layer Security(TLS)ネゴシエーション(状況に応じて)、認証、セッションの初期化、リソース割り当てが行われるため、レイテンシが増加し、サーバーの CPU とメモリが消費されます。数百または数千の同時リクエストでこうした処理が増え続けると、この接続オーバーヘッドの累積的な影響は相当なものになります。
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パフォーマンスの低下: 接続の設定と切断に費やされる時間が、アプリケーションの応答時間の増加に直結します。アプリケーションが新しい接続を待ってからクエリを実行するため、ユーザーのインタラクションに遅延が生じます。
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リソースの枯渇とスケーラビリティのボトルネック: データベースは、クライアント接続ごとにリソースを割り当てます。アイドル状態の接続でもメモリと CPU を消費します。これは接続の数だけの問題ではありません。作成と破棄が絶えず繰り返されることで非効率が生じ、貴重なリソースが消費されて、データベースのスケーリングが制限されてしまいます。
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信頼性に関する懸念: トラフィックが急増すると接続も急増し、結果的にサーバーが過負荷になり、パフォーマンスの低下、接続のタイムアウト、さらにはサーバーの停止につながりかねません。
アプリケーション フレームワーク内にはクライアントサイドの接続プーリング ライブラリが存在しますが、分散システムやマイクロサービス アーキテクチャ全体でこれらを効果的に管理しようとすると、複雑性が増大する可能性があります。多数の独立したクライアント プール全体で一貫した構成、動作、効率的なリソース利用を確保することは、簡単なことではありません。このような環境では、一元的なサーバー マネージド アプローチが、より堅牢かつシンプルなソリューションとなります。
AlloyDB マネージド接続プーリングの概要
これらの課題にマネージド環境内で直接対処するのが、AlloyDB for PostgreSQL のマネージド接続プーリングです。これは、データベース接続の管理と、アプリケーションのパフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性の向上を目的として最適化された統合ソリューションです。このたび、AlloyDB for PostgreSQL のマネージド接続プーリングの一般提供が開始されました。
接続プーリングの仕組み
リクエストごとに新しい接続を作成するのではなく、すぐに使用できるアクティブなデータベース接続のキャッシュをプーラーが維持します。アプリケーションが接続をリクエストすると(プーラーの専用ポート 6432 を経由)、プーラーは費用のかかる設定プロセスを行わずに、プールから利用可能な接続を割り当てます。アプリケーションが終了すると、接続は閉じられるのではなく、プールに戻されて再利用されます。
「マネージド」の利点
重要な点は、これが単なる接続プーリング ソリューションではなく、AlloyDB によって管理されるマネージド ソリューションであることです。こうしたソリューションには、次のような利点があります。
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緊密な統合: プーリング メカニズムは AlloyDB サービスに直接組み込まれており、データベース インスタンスと並行して効率的に実行されます。
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運用の簡素化: AlloyDB が接続プーラーの設定、構成、パッチ適用、メンテナンスを処理します。PgBouncer などの外部ツールを使用する場合に必要な、個別のプーリング インフラストラクチャのデプロイ、管理、スケーリングという運用負担を負わずに、さまざまなメリットを得られます。この点は、AlloyDB の管理タスクを自動化し、データベース管理を簡素化するという Google Cloud の基本理念と完全に一致しています。
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最適化されたパフォーマンスとセキュリティ: プーラーは AlloyDB 環境と Google Cloud のネットワークに統合されているため、プーラーとバックエンド データベース プロセスの間の通信が高度に最適化され、レイテンシを最小限に抑えられます。接続は、Google Cloud のインフラストラクチャの堅牢なセキュリティ ポスチャーによって保護されます。
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信頼性の向上: マネージド プーラーは、高可用性(HA)構成など、自身が実行される AlloyDB インスタンスの基盤となる信頼性機能を引き継ぎます。
つまり、Google は、接続プーリングを AlloyDB のマネージド機能として統合することで、従来の PostgreSQL 接続モデルの基本的なスケーリングの課題に直接対処し、スケーラビリティと復元力の高いアプリケーションをこれまで以上に簡単に構築できるようにしています。
規模、信頼性、パフォーマンスの向上
AlloyDB でマネージド接続プーリングを有効にすると、アプリケーションにも次のような具体的なメリットがもたらされます。
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規模とパフォーマンスの向上: 接続を効率的に再利用することで、インスタンスの能力をさらに引き出すことができます。AlloyDB は、新しいマネージド接続プーリング機能により、標準的な接続と比較して 3 倍以上のクライアントを処理し、トランザクション スループットを最大 5 倍向上させます。
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接続急増時の信頼性の向上: プールは、トラフィックの急増時に既存の接続でリクエストを迅速に処理してバックエンドの過負荷を防ぐ、緩衝器の役割を果たします。これにより、ピーク負荷時にも安定性が維持され、接続エラーを防止できます。プールが一時的に枯渇した場合も、プーラーは受信リクエストを適切にキューに入れることができるため、アプリケーションの復元力が向上します。
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一時的な接続のレイテンシの短縮: 短時間での頻繁な接続(ウェブ、マイクロサービス、サーバーレスでは一般的)の接続設定のオーバーヘッドを排除し、クエリの実行を高速化して、エンドユーザーの応答時間を大幅に改善します。
さまざまなアプリケーションのニーズと動作に対応するため、AlloyDB のマネージド接続プーリングでは、構成可能なプーリング モードを通じて柔軟性を高めています。
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トランザクション モード(デフォルト): トランザクションごとに接続を割り当て、可能な限りの再利用とスケーラビリティの最大化を実現します。短時間のトランザクションが大量にある場合に最適です。トランザクション スコープ外の
SET、セッション アドバイザリ ロック、LISTEN、WITH HOLDカーソル、プロトコル レベルの準備済みステートメント(max_prepared_statementsを介して、名前の付いた準備済みステートメントを使用)などのセッション固有の機能との互換性はありません。 -
セッション モード: クライアントのセッション全体に接続を割り当て、PostgreSQL のすべての機能との完全な互換性を確保します。セッション状態の永続性を必要とする長期セッションやアプリケーションに適していますが、接続の多重化は控えめになります。
どちらのモードを選択しても、トレードオフが伴います。トランザクション モードでは最大のスケーラビリティとリソース効率が優先される一方、セッション モードではすべてのセッション機能との完全な互換性が優先されます。AlloyDB では、構成時にアプリケーションの要件に最適なモードを簡単に選択できます。
次の表は、マネージド接続プーリングを有効にすることで得られる主な改善点をまとめたものです。
お客様事例: UKG
人事、給与、従業員管理ソリューションの大手プロバイダである UKG は、AlloyDB のマネージド接続プーリングを先行して導入しました。UKG は、数百万人ものユーザーが日々使用するミッション クリティカルな People Fabric アプリケーションをサポートするために、大規模な環境、大量のトランザクション、変動する需要に対応できるデータベースを必要としていました。
「AlloyDB を選んだ理由は、そのパフォーマンス、信頼性、管理しやすさにあります。AlloyDB 独自のアーキテクチャでは、クラスタごとにパックできるデータベースの数が、他の Postgres マネージド サービスに比べてはるかに多くなります。しかし、容量が大きくなったことで、ユーザーやアプリケーションからのデータベース接続が増加し、Postgres の通常の接続上限について不安がありました。マネージド接続プーリングの先行導入で Google と連携できたことを嬉しく思います。この重要な機能のおかげで、世界中のお客様に最高のパフォーマンスと低レイテンシを保証できるようになりました。また、使用量がピークに達したときでも、接続の制約を心配することなく、同じサーバーで自由に規模を拡大できます。」- UKG、シニア プリンシパル アーキテクト兼 People Fabric チーフ アーキテクト、Jeff Bogenschneider 氏
UKG の事例は、最先端の要求の厳しいワークロードをサポートするうえで、効率的な接続管理が果たす役割の重要性を浮き彫りにしています。UKG は、マネージド接続プーリングを活用することで、動的かつ予測不可能な負荷パターンでも、AlloyDB インフラストラクチャの堅牢性と応答性を維持しています。HR テクノロジー分野の主要プロバイダでこれだけの効果を発揮していることから、次世代のインテリジェントな大規模アプリケーションの強化に AlloyDB が適していることがわかります。
マネージド接続プーリングを使ってみる
マネージド接続プーリングの大きな利点の一つは、そのシンプルさであり、有効にする手順も簡単です。
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Google Cloud コンソールでマネージド接続プーリングを有効にします。新しい AlloyDB 読み取りプール インスタンスを作成するとき、または既存のプライマリ インスタンスや読み取りプール インスタンスを編集するときに、チェックボックスを探してください。
gcloudコマンドライン ツールのフラグまたは AlloyDB API を使用して有効にすることもできます。 -
標準の PostgreSQL ドライバとデータベース認証情報を使用してアプリケーションを接続します。アプリケーションのターゲットを、デフォルトの PostgreSQL ポート 5432 ではなく、接続プーラーの専用ポート 6432 に設定するだけです。AlloyDB Auth Proxy または言語コネクタを使用している場合は、変更は必要ありません。
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最後に、インスタンスの作成時に、目的のプーリング モード(トランザクションまたはセッション)やプールサイズの上限などのオプションを簡単に構成できます。これらのオプションは、Google Cloud コンソール、
gcloud、または API を使用して変更できます。
詳細な手順、高度な構成パラメータ、モニタリングのガイダンス、ベスト プラクティスについては、公式のドキュメントをご覧ください。
さらに進化した AlloyDB
AlloyDB のマネージド接続プーリングは単なる新機能ではなく、AlloyDB をより幅広いアプリケーションで利用しやすく、効果的にする基本的な機能です。データベース接続をインテリジェントに管理することで、一般的なパフォーマンスとスケーラビリティのボトルネックに直接対処し、アプリケーションが AlloyDB のパフォーマンスと堅牢なアーキテクチャを最大限に活用できるようにします。
この機能のメリットを体験してみたいとお考えなら、今すぐ AlloyDB インスタンスでマネージド接続プーリングを有効にしましょう。
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詳細: https://cloud.google.com/alloydb/docs/configure-managed-connection-pooling
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AlloyDB を初めてご利用の場合: 無料トライアルはこちら
- シニア プロダクト マネージャー、Emir Okan
- ソフトウェア エンジニア、Haoli Du


