独自のドローンとクラウド サービスによる産業用ソリューションの基盤を Google Cloud Platform で

少ない人員、限られた時間、予算。制限された状況下でスピーディに結果を出すことが求められるスタートアップ企業に求められるクラウドプラットフォームの条件とは? 

松本大佑さん、佐部浩太郎さん、小早川知昭さん

写真左から
エアロセンス株式会社
クラウドサービス部 シニアソフトウエアエンジニア 松本大佑さん
取締役 CTO 佐部浩太郎さん
クラウドサービス部 部長 小早川知昭さん

ドローンからクラウド サービスまでの全体を自ら設計

エアロセンス株式会社は、自律型無人航空機(UAV)いわゆる「ドローン」とクラウドサービスを組み合わせたソリューションを提案するスタートアップ企業。自動運転カーや各種ロボティクス事業で知られる株式会社ZMPとソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社が共同出資する形で 2015 年 8 月に設立されました。

「現在、我が社の中心的業務となっているのが、ドローンを使った測量事業。土木建設現場などの上空にドローンを飛ばして自動撮影した写真をクラウド上で計算し、従来だと一ヶ月かかっていたような測量を、数日で行っています。3D モデルの精度も数 cm 程度で、土量計測に関しては文字通り精度の桁が上がっています。

図1
復元した点群データ
図2
90haの工事現場全域を土量計測した結果。整地計画との高低差を色で表している

写真は、南三陸の嵩上げ工事現場。90 ヘクタールもの広さですが、三日間ですべて撮影し切りました。その後クラウド上で作成した点群データと土量モデルの一部です。ドローンからクラウドアプリまで全体システムを自ら設計しているので、ドローンの飛行に限らず様々な処理を自動化・最適化することができ、このように効率的かつ精度の高いオペレーションを実現することができます。(エアロセンス株式会社取締役 CTO 佐部浩太郎さん)

Google の先端テクノロジーがベンチャー企業の武器に

ほか、大規模工事の進捗管理や設備管理など、既に多くの実績を上げているエアロセンス。そのプラットフォームに Google Cloud Platform を選んだ理由について、実際の開発・運用を担当するエンジニア、松本大佑さんは以下のように語ってくださいました。

「何よりもまず、Google App Engine を使いたかったからです。我々は少人数のベンチャー企業なので、サーバーの運用に人員を割くことができません。GAE であればミドルウェアのアップデートを自身で行ったり、あるいはインフラの一時停止に伴うお客様へのご案内などに時間を割く必要がありません。GAE のおかげで、開発だけに集中することができています」

そうして Google Cloud Platform を使い始めたエアロセンスですが、使い続けていく中で、その先進性が同社業務に大いに役立つということに気がつき始めたそうです。

「Google って最先端のテクノロジーをどんどん使えるようにしてくれますよね。エンジニアとしてはそれがとても魅力的。特に我々のような B2B のベンチャーはそういった技術の差が大きな武器になります。先日も、Google Container Engine のローリング アップデートを初めて試して感動しました。何と言うか……かっこいい(笑)。失敗してもきれいに片付けてくれるので、気軽にデプロイしてみようという気分になります。例えば、コンテナの数を動的に増やして並列処理をするシステムを構築したのですが、実際運用するとなるとコンテナの管理に困るという現実があります。GKE を使えばこの問題も解決できます」(松本さん)

今までできなかったことができるプラットフォーム

「Google Cloud Platform は単なるオンプレミスの置き換えではないんですよね。今までできていたことを安くできるとか、便利にできるとかいうのではなく、“今までできなかったこと”をできるようにしてくれるのが素晴らしいです。例えば Google Cloud Vision APITensorFlow。これをサービスに組み込むことで、空撮写真のどこに何があるのかを自動検出することができるようになります。エアロセンスでは、広大な設備の管理をドローンを使って行うというサービスもすでにお客様に提供しています。広い敷地内で発生する異変を人間の目で漏らさずチェックすることには多大な労力が必要ですが、Googleのテクノロジーの力を借りることで、非常な効率化が可能です。」(同社クラウドサービス部部長・小早川知昭さん)

そんな同社のエンジニアチームが現在取り組んでいるのが、撮影・処理された空撮データをクラウド上で解析し Web アプリケーションとしてお客様に提供する仕組み。

「まず今はお客様が必要とするデータをドローンからの画像を元に作成し提供していますが、今後はお客様がエアロセンスのサービスを前提にワークフローを構築していく、ドローンがお客様の業務ワークフローの一部となるようにしていかなければなりません。その第一歩が、エアロセンスのクラウドサービスです」(小早川さん)

「バックエンドのデータ解析だけではなく、Web アプリケーションでも、Google Cloud Platform を使っています。ソフトウェア開発者の気持ちをよく理解して作られた開発環境とヘルプのおかげで非常に開発効率が高かったです。Google App Engine では Go 言語を使って開発したのですが、ローカル開発環境が充実しているのはもちろん、デプロイが高速で驚きました。おかげさまで、およそ 2~3 か月でほぼ商用レベルまで持っていくことができました。他のプラットフォームではこうは行かなかったと思います」(松本さん)

図3
開発中の Web アプリケーション。ドローンから得た様々なデータを地図上で参照することができる

ほか、さらなるビジネス拡大に向け、空撮地図や3次元モデルをクラウド上で自動生成する処理の高速化や、GIS 機能の強化を急ピッチで進めているという同社。Google Container Engine や Google Cloud Bigtable を積極的に利用する計画だそうです。この 4 月には開発中の垂直離着陸飛行機型のドローンを活用した医薬品配送事業への進出も発表しました。

「Google Cloud Platform を上手に使いこなして、我々にしかできないサービスを作りあげていきたいですね。個人的には、GPU インスタンスが使えるようにならないかと期待しています。もし実現していただけると、GPGPU を使うことで、解析にかかる時間を劇的に短縮させることができます。今後、さらに魅力的な機能が増えていくことに期待しています」(松本さん)