2024 年 3 月、Cloud Storage は既存のすべての Cloud Storage 機能と互換性のある新しい削除(復元可能)機能をリリースしました。これは、最近削除したデータを保持および復元する方法を提供することで、偶発的または悪意のあるデータ削除に対する保護を強化します。
リリース時点では、新規および既存のすべてのバケットで削除(復元可能)機能が有効化され、デフォルトで 7 日間の保護が適用されました。Google が、削除(復元可能)機能をデフォルトでオンにすることにしたのは、Google のお客様アンケートにおいて、偶発的および悪意のあるデータ削除の事象がデータ保護に関する懸念事項の上位に挙げられたからです。大部分のワークロードで、削除(復元可能)機能により高度な保護が実現でき、請求への影響はそれほどありません。
保護レベルをバケットごとに変更するには、削除(復元可能)機能をオフにするか、保護期間を最大 90 日間まで増やすことができます。削除済み(復元可能)オブジェクトはワークロードに表示されないため、削除(復元可能)は完全に透過的な変更で、本番環境のワークフローには影響しません。
このページでは、基本的な機能、プロモーション価格とプロモーション後の価格、削除(復元可能)設定を評価して変更する方法など、削除(復元可能)機能に関する情報を提供しています。
削除(復元可能)は、最近削除したオブジェクトを選択した保持期間(デフォルトでは 7 日間)にわたって保持することで、偶発的または不正な削除に対するバケットレベルの保護を提供します。この期間は、最大 90 日間まで延長することも、完全に無効にすることもできます。セルフサービスの復元機能を使用すると、このような不運な事象が発生した後でも復元できます。
通常、オブジェクトを削除すると、元に戻すことはできません。ただし、削除(復元可能)を有効にすると、削除されたオブジェクトは削除済み(復元可能)の状態になり、この状態からのオブジェクトの復元が可能になります。これは、削除の理由に関係なく発生します。削除 API によってオブジェクトが削除されたか、挿入 / コピー / 書き換え API によって上書きされたか、UIを通して削除されたか、またはオブジェクトのライフサイクル管理に関するポリシーによって削除されたかにかかわらず、同様の処理が行われます。
削除済み(復元可能)オブジェクトは、読み取り不可の特殊なオブジェクトで、特定のオプションが指定されていない限り、オブジェクトのリストに表示されません。削除済み(復元可能)オブジェクトは、指定した削除(復元可能)の保持期間が経過すると完全に削除されます。オブジェクトが削除済み(復元可能)状態になると、保持期間はオーバーライドできません(削除済み(復元可能)オブジェクトを保持期間終了前に完全に削除することはできません)。これにより、偶発的な削除や不正削除に対する相当レベルの保護を提供できます。
削除された(復元可能の) 1 つ以上のオブジェクトを削除前の同じバケットに復元して、ライブ オブジェクトとして再びアクセスできるようにします。特定のオブジェクト リストを指定して同期復元を実行するか、2 つのタイムスタンプ間に削除されたすべてのオブジェクトを復元する長時間実行の非同期オペレーションを実行できます。復元されたオブジェクトには、新しく作成されるオブジェクトとして新しい作成日が設定されます。Autoclass を使用している場合、復元されたすべてのオブジェクトは Standard ストレージ クラスで再開されます。それ以外の場合、復元されるオブジェクトは削除時と同じストレージ クラスに作成されます。
削除(復元可能)の保持期間は、削除イベントを検出して復元を完了できるように、十分な長さに設定することが重要です。1 時間あたり約 1,000 万オブジェクトの復元速度では、10 億個のオブジェクトを復元するのに 4 日かかるため、非常に大きなバケットでは保持期間を 7 日以上にするのが賢明です。
削除(復元可能)では、バケットレベルの削除イベントに対する保護も行われます。バケットレベルで削除する場合は、まず、削除したバケットの再作成について Google にお問い合わせください。その後、復元機能を使用してバケット内のオブジェクトを復元できます。
削除(復元可能)は、2024 年 3 月のリリースから 2024 年 8 月 31 日までのプロモーション期間であり,、削除済み(復元可能)データの最初の 7 日間は追加料金なしで保存できます。2024 年 9 月 1 日 より、オブジェクトが削除され、削除済み(復元可能)状態となるすべての期間について、既存のストレージ SKU に対して既存の料金での課金を開始します。削除(復元可能)では、デフォルトで 7 日間データが保持されるため、請求への影響を避けるには、2024 年 8 月 25 日までに削除(復元可能)を必ず無効にしてください。
2024 年 9 月 1 日までは、バケットで復元を実行するか、削除(復元可能)の保持期間を延長しない限り、削除(復元可能)による請求上の影響はありません。これは、削除(復元可能)機能の今後の請求への影響を評価し、予算とビジネスニーズに基づいてバケット全体で使用する削除(復元可能)設定を十分な情報に基づいて決定するための妥当な時間を確保するためです。
削除(復元可能)の使用はすべて既存の SKU に請求されるため、削除(復元可能)機能で発生する料金には既存の割引が引き続き適用されます。
2024 年 9 月 1 日より、削除(復元可能)機能が有効になっているバケットについては、オブジェクトのバージョニングと同様に、期間の条件のみを使用した削除に対するオブジェクトのライフサイクル管理の請求の例外が適用されなくなることにご注意ください。
削除(復元可能)機能による請求への主な影響は、削除済み(復元可能)データの使用に対する月額ストレージ料金の追加です。オブジェクトが削除済み(復元可能)になると、削除(復元可能)の保持期間が終了するまで、ロケーションとストレージ クラスに基づいて既存のストレージ SKU に対して引き続き使用量が請求されます。たとえば、us-east4 の Standard ストレージ クラス オブジェクトは、ライブ オブジェクトである間は us-east4 Standard ストレージ クラスの SKU が課金されます。その後、削除(復元可能)された場合、削除(復元可能)の保持期間(デフォルトでは 7 日間)が終了するまで、同じ SKU に対して同じレートで引き続き課金されます。
前述のとおり、リリースから 2024 年 8 月 31 日までのプロモーション期間中は、削除済み(復元可能)データの最初の 7 日間の保存に対する追加料金は発生しません。
オブジェクトが削除済み(復元可能)状態の時間は、ストレージ クラスと Autoclass のステータスに基づいて、該当する最小保存期間に対してカウントされます。これは、削除(復元可能)が有効になっている場合、最小保存期間を満たし、早期削除料金を回避することが容易になるという利点があります。たとえば、Nearline ストレージ クラスの場合、Autoclass を使用しないバケットでは、最小保存期間が 30 日となっています。削除(復元可能)機能を使用せずに 23 日後にオブジェクトを削除すると、7 日間の早期削除料金が発生します。デフォルトの 7 日間の保持期間で削除(復元可能)機能が有効になっていると、削除(復元可能)期間を含む 30 日間のストレージがオブジェクトに課金されるため、早期削除の料金は発生しません。
復元の実行に対して、GiB ごとの処理料金は発生しません。これには、Nearline、Coldline、Archive の各オブジェクトを復元する際に取得料金が発生しないことも含まれます。
復元に関連するアクションに対する主な料金は、バケットのロケーション タイプに関連付けられたクラス A オペレーションです。復元する特定のオブジェクトのリストを指定した同期復元では、復元されたオブジェクトごとに 1 つのクラス A オペレーションが測定されます。これは、オブジェクトの実際のストレージ クラスに関係なく、常に Standard クラス A オペレーションとして課金されます。これは、コールドなオブジェクトの復元にペナルティが課されないようにするためです。最初に復元するオブジェクトを決定する必要がある非同期復元の場合、復元開始前にスキャンされたオブジェクト 1,000 個あたり 1 回の Standard クラス A オペレーションも課金されます。
復元すると、バケット内に新しい作成日を持つ新しいライブ オブジェクトが作成されるため、その新しいオブジェクトは復元プロセスによって作成されると通常通り課金され、すべての通常の料金および保存期間の要件が適用されます。削除済み(復元可能)バージョンの復元されたオブジェクトについても引き続き課金されますが、デフォルトの 7 日間の削除(復元可能)保持期間に基づくと、重複が発生するのは数日間のみです。
Google では、削除(復元可能)機能をデフォルトで有効にすることにしました。これは、ほとんどのお客様にメリットがある価値の高い機能であり、ほとんどの場合、請求への影響はわずかであるためです。ただし、お客様によっては、7 日間の削除(復元可能)保持ポリシーが、一部またはすべての Cloud Storage バケットには適していないと判断される場合もあります。2024 年 8 月 25 日以前に、この保護が不要なバケット(たとえば、有効期間の短い一時データが大量に含まれるバケットなど)については、削除(復元可能)機能を無効にしてください。逆に、ビジネスに不可欠なデータの保護を強化する必要がある場合は、7 日間の保持期間を最長 90 日間に延長することもできます。
以下の情報に加え、ブログ投稿「Cloud Storage の削除(復元可能)を大規模に管理」で、バケットに対する削除(復元可能)機能の適合性を評価し、設定を自動化するためのベスト プラクティスとスクリプト例を確認することをおすすめします。このブログ投稿には、Terraform テンプレートで削除(復元可能)設定を変更する方法も含まれています。
Cloud Monitoring のストレージ指標が強化され、すべてのバケットで現在のバイト数、非現行バイト数、削除済み(復元可能)バイト数を検査できるようになります。
削除(復元可能)がすでに有効になっているバケットの場合、削除(復元可能)機能による請求への影響を調べる最も簡単な方法は、storage/v2/total_bytes 指標を調べることです。これにより、バケット内のすべてのオブジェクトの合計サイズが、ストレージ クラスおよびオブジェクトの種類(ライブ、非現行、削除済み(復元可能))ごとに、最後の使用日の終わりにグループ化して示めされます。削除済み(復元可能)バイト数の割合を合計と比較すると、削除(復元可能)が毎月のストレージ料金に及ぼす影響をかなり正確に見積もることができます(ただし、削除が比較的一定の頻度で実行され、この指標によってキャプチャされることが条件です)。
また、新しい指標 storage/v2/deleted_bytes も追加されます。この指標は、ストレージ クラス別にグループ化された、バケットごとの削除バイト数の差分数を提供します。削除(復元可能)が無効になっている場合でも、この指標と total_bytes 指標を使用して削除率を比較し、削除(復元可能)が特定のバケットに与える影響を見積もることができます。
例:
オブジェクトのバージョニングを使用している場合は、新しい指標の一部としてライブ バイト数と非現行バイト数、オブジェクト数を公開していることにご注意ください。これは、削除(復元可能)を無効にしている方にも有用な新しい可視性となる可能性があります。
新しい指標が利用可能になり次第、ストレージ指標のドキュメントで拡張指標の詳細をご確認いただけます。
削除(復元可能)の保持期間は、バケットごとに個別に調整できます。削除(復元可能)機能を無効にするには、保持期間をゼロに変更します。サンプル スクリプトを用意することで、すべてのバケットで削除(復元可能)機能が適しているかどうかを評価し、設定の更新を自動化できます(数百万のバケットであっても可能)。また、ビジネスニーズに合った設定で新しいバケットが作成されるよう、Terraform や KCC のスクリプト、その他のバケット作成ワークフローで削除(復元可能)設定をカスタマイズすることもご検討ください。
最後に、組織のポリシーの制約を作成して、新しく作成されたバケットに特定の削除(復元可能)設定を強制的に適用できます。