脅威の検出、調査、対応(TDIR)とは

脅威の検出、調査、対応(TDIR)は、組織がセキュリティの脅威を特定、分析、軽減するためのサイバーセキュリティ フレームワークです。TDIR は、継続的なモニタリングと体系的な分析、調整された対応アクションを組み合わせ、脅威が重大な損害を引き起こす前に対処します。このアプローチにより、セキュリティ チームはインシデントを初期検出から最終的な修復まで体系的な方法で処理できるようになります。

TDIR のライフサイクル

TDIR ライフサイクルは、潜在的な脅威を特定し、脅威の性質と重大度を把握したうえで、脅威を封じ込めるか排除するための行動を起こすという反復的なプロセスです。継続的な改善を通じて、チームは包括的なインシデント対応計画を策定します。ライフサイクルの各段階は、脅威に対する体系的な防御を確立するうえで重要な役割を果たします。

脅威の検出

脅威検出は、TDIR の第一段階です。環境を継続的にモニタリングして、潜在的なセキュリティ インシデントを特定します。この段階では、インフラストラクチャ全体からデータを収集して分析し、不審なアクティビティ、異常、既知の攻撃パターンを特定します。脅威によって深刻な被害が出る前に、調査と対応を促す早期警告を生成することが目標です。

セキュリティ チームは、脅威の検出時にいくつかのプロセスとテクノロジーを利用します。

  • モニタリングアラート: システムによってエンドポイント、ネットワーク、アプリケーションからログとイベントが収集され、事前定義された条件やしきい値が満たされるとアラートが生成されます。Google Security Operations - 検出は、環境全体でこうしたモニタリングを一元化する SIEM 機能を提供します。
  • 脅威インテリジェンスの統合: 外部の脅威フィードと脆弱性データベースにより、新たな脅威、既知の悪意のあるインジケーター、攻撃者の戦術に関するコンテキストが提供されます。このインテリジェンスにより、既知の攻撃パターンに一致する脅威を特定できます。
  • 行動分析: ML モデルにより、ユーザーの行動やシステムの動作に関する正常性のベースラインが確立され、侵害を示す可能性のある逸脱が報告されます。この手法では、シグネチャベースの検出ルールに一致しない脅威を捕捉します。
  • 異常検出: 統計分析により、ネットワーク トラフィック、システム アクセス、データ移動において、さらなる調査を必要とする異常なパターンを特定します。こうした異常は、従来の検出方法を回避する攻撃を明らかにすることが多々あります。

調査

調査は、検出された脅威を分析して、その性質、範囲、組織への潜在的な影響を把握する段階です。何が起こったのかを完全に把握し、効果的な対応に役立てることが目標です。組織は、脅威を調査する際に、以下の主要な手順を踏む必要があります。

  • 脅威の検証と範囲の特定: 証拠とコンテキストを精査して、アラートが実際のセキュリティ インシデントを表しているのか、それとも偽陽性なのかを確認します。
  • 影響と根本原因の評価: 脅威が環境に侵入した方法、悪用された脆弱性や構成ミス、攻撃者が取った行動を分析します。Google Cloud Threat Intelligence は、攻撃者の戦術とキャンペーン情報に関するコンテキストを提供し、脅威の発生源と予想される目的の把握を支援します。
  • 修復の決定と対応の推進: 調査結果に基づいて、脅威を封じ込めて排除するために必要なアクションを決定します。Google Security Operations - 調査は、イベントと証拠を関連付けてタイムラインを作成し、対応戦略を策定するのに役立ちます。

対応

対応は、特定された脅威を封じ込め、根絶し、復元するための行動を起こす段階です。この段階では、インシデント対応計画を実行して、脅威の拡散の阻止、悪意のあるアーティファクトの除去を行い、影響を受けたシステムを通常の運用状態に戻します。組織への損害を最小限に抑え、できるだけ早く業務を再開することが目標です。

セキュリティ チームは、対応段階で以下のようなさまざまなアクションを実行します。

  • 封じ込め戦略: 侵害されたシステムをネットワークから隔離してラテラル ムーブメントを防止します。盗まれた可能性のある認証情報を無効にし、境界で悪意のある IP アドレスやドメインをブロックします。
  • 修復手順: 影響を受けたシステムからマルウェアやその他の悪意のあるアーティファクトを除去します。悪用された脆弱性にパッチを適用し、初期侵害を許したセキュリティ ギャップを解消します。
  • 復元手順: クリーンなバックアップからシステムとデータを復元し、侵害された認証情報をリセットして、すべての悪意のあるアクセスが終了したことを確認します。Google Security Operations - 対応は、こうした復元タスクの多くを自動化し、通常の運用への復帰を迅速化します。

TDIR を実装する手順

TDIR を実装するには、現在の能力を評価し、組織のニーズに合ったフレームワークを策定して、ライフサイクルの各段階をサポートする適切なテクノロジーをデプロイする必要があります。

通常、実装プロセスは以下のような手順になります。

  1. 現在のセキュリティ ポスチャーを評価する: 既存の検出機能、調査プロセス、対応手順を評価し、ギャップや弱点を特定します。現在モニタリングしているデータソース、チームが使用しているツール、インシデントの検出と対応にかかる時間を文書化します。
  2. TDIR 戦略とフレームワークを策定する: リスク プロファイルとコンプライアンス要件に基づいて、TDIR ライフサイクルの各段階の目標を定義します。チームがさまざまな種類のセキュリティ インシデントへの対処方法を文書化したハンドブックを作成し、パフォーマンスを測定するための指標を確立します。
  3. 適切なテクノロジーとツールを選定して実装する: 既存のセキュリティ インフラストラクチャと統合し、検出、調査、対応の各機能を提供するソリューションを選定します。これらのツールをデプロイする場合は、セキュリティ チームが脅威を特定した際に、一元的に可視化して迅速に対応できるようにします。

TDIR を実装するメリット

TDIR を実装すると、セキュリティ運用を強化するいくつかのメリットが得られます。

セキュリティ ポスチャーの強化

TDIR は、環境全体にわたる継続的な可視性と、脅威に対処するための体系的なプロセスを提供することで、全体的なリスク エクスポージャーを低減します。

インシデント対応の迅速化

構造化されたワークフローと自動化されたプロセスにより、検出から修復までの時間が短縮され、環境内で脅威が活動し続ける時間が制限されます。

脅威の可視性の向上

TDIR はインフラストラクチャ全体からデータを統合し、高度な分析を適用して、従来のツールでは見逃されるおそれのある脅威を明らかにします。組織に対して攻撃者が使用する戦術をより深く理解できます。

セキュリティ運用の効率化

自動化により、検出と対応における反復的なタスクが処理されるため、セキュリティ チームは複雑な調査や戦略的な改善に集中できます。このように効率性が向上するため、同じリソースでより多くの成果を挙げることができます。

ビジネスへの影響を軽減

検出と対応が早ければ、ダウンタイムが短縮し、復旧費用が削減され、評判を損なう可能性のあるデータ侵害が減少します。

TDIR の実装における課題

組織が TDIR を実装する際には、いくつかの障害に直面する可能性があります。

  • データ過負荷: セキュリティ ツールは大量のログとアラートを生成するため、チームに負担がかかり、それらを効果的に分析できなくなるおそれがあります。フィルタリングと優先順位付けが適切に行われなければ、重要な脅威がノイズに埋もれてしまいます。
  • スキルギャップ: TDIR には、脅威分析、デジタル フォレンジック、インシデント対応に関する専門知識が必要ですが、多くの組織が人材の確保と維持に苦労しています。サイバーセキュリティ人材の不足により、セキュリティ運用に十分な人員を配置することが困難になっています。
  • ツールの統合: 多くの組織が、複数のベンダーのセキュリティ ツールを運用しています。これらのツールはデータを共有せず、アクションの連携もないため、サイロが生じて調査の遅延を招きます。こうした異種システムを連携させるには、多大な労力が必要です。
  • アラート疲れ: 偽陽性率が高いと、アナリストがアラートに鈍感になり、真の脅威が無視または軽視されるリスクが高まります。感度を維持しながらノイズを低減するように検出ルールを調整することは、継続的な課題です。

TDIR のベスト プラクティス

組織は、以下の手法に従うことで TDIR の取り組みを最適化できます。

  • 明確なプロセスとハンドブックの策定: 一般的なインシデント タイプに対する標準運用手順を文書化し、チームが一貫性と効率性を保ちながら対応できるようにします。
  • 適切なテクノロジーへの投資: データサイロを生むポイント ソリューションを組み合わせるのではなく、検出、調査、対応の各機能を提供する統合プラットフォームを選択します。反復的なタスクを自動化し、迅速な意思決定に必要なコンテキストをチームに提供するツールを探しましょう。
  • セキュリティ チームのトレーニング: 新たな脅威、最新の攻撃手法、組織の TDIR プロセスに関する継続的な教育を提供します。管理された環境でインシデント対応を練習できる机上演習とシミュレーションを実施します。
  • TDIR 戦略の定期的な見直しと改善: 平均検出時間や平均対応時間などの指標を使用してパフォーマンスを測定し、改善の機会を特定します。重大なセキュリティ イベントが発生するたびにインシデント後のレビューを実施し、効果的だった点と調整が必要な点を把握します。

Google Cloud Security の TDIR ツール

Google Cloud Security は、TDIR ライフサイクルの各段階をサポートする包括的なソリューションを提供します。

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