ロボティック プロセス オートメーション(RPA)とは

ロボティック プロセス オートメーション(RPA)は、通常は人間が行う反復的なタスクを自動化できるテクノロジーです。これらは多くの場合、定義された一連のルールに従うタスクであり、データ入力、トランザクションの処理、メールの管理などが含まれます。RPA は、ソフトウェア ロボット(bot)を使用して、デジタル システムやアプリケーションに対する人間の操作を再現します。これらの bot は、幅広いタスクを実行するように構成でき、従業員がより戦略的な作業に集中する時間を確保できるようになります。

ロボティック プロセス オートメーションの例

RPA は、今日のビジネスで活用できる実践的な応用例が数多くあります。現在、実用化されている例をいくつかご紹介します。

  • 請求書処理: 特定の受信トレイを監視して新しい請求書があるかどうかをチェックするように RPA bot を構成できます。請求書が届くと、bot は添付の PDF ファイルを開き、光学式文字認識(OCR)を使用して、請求書番号、ベンダー名、支払額、注文書番号などの重要なデータを抽出します。その後、会社の会計ソフトウェア(SAP や NetSuite など)にログインし、データを適切なフィールドに入力して、例外事項があればフラグを立てて人間が確認できるようにします。
  • 顧客のオンボーディング: 新規顧客のオンボーディング プロセス(情報収集やアカウント作成など)を RPA で自動化できます。
  • 注文処理: 顧客からの注文処理のデジタルタスク(注文入力、在庫システム更新、配送プロセスの開始など)を RPA で自動化できます。RPA ソフトウェア bot がこれらのデジタルタスクを処理し、物理的な倉庫自動化システムと統合して、非デジタルのタスクも完了できます。

ロボティック プロセス オートメーションの仕組み

RPA の機能を理解することは、その可能性を最大限に活用するための鍵となります。RPA は、事前に定義された一連の指示とトリガーに基づいてデジタルシステムと対話する際に、ソフトウェア ロボットを使用して人間の行動を模倣することで機能します。これらのロボットは、自律的に実行できる特定の指示に従って設計されています。たとえば、特定のイベントが発生したときにアプリケーションにログインし、構造化されたスプレッドシートからデータを抽出し、そのデータを別のアプリケーションにコピーして貼り付けるように bot を構成できます。

自動化プロセスは通常、以下のステップで行われます。

  1. 自動化に適したタスクを従業員が特定する
  2. RPA ソフトウェアを使用して、人間がタスクを完了するために行う手順を記録して bot を作成する
  3. 作成した bot をテストして、正しく実行されることを確認する
  4. bot を組織にデプロイする

標準的な RPA は通常、事前に定義されたルールに基づいて動作しますが、ML や AI などのテクノロジーと組み合わせることで、より複雑なタスクを自動化する能力を高めることができます。この組み合わせは、インテリジェント プロセス オートメーション(IPA)と呼ばれ、一部のソフトウェア ソリューションでは、過去のインタラクションから学習し、時間の経過とともに精度と効率を向上させることを可能にしています。

ロボティック プロセス オートメーションの種類

RPA を実装する際には、主に次の 3 種類の自動化から選択できます。

機能

有人自動化

無人自動化

ハイブリッド自動化

トリガー

人間の従業員がオンデマンドで開始する。

スケジュールまたはシステム トリガーに基づいて自動的に実行される。

人間またはシステムによってトリガー可能。

インタラクション

「デジタル アシスタント」として人間の作業をサポートし、常に人間参加型とする。

バックグラウンドで独立して動作する。人間の介入は不要。

必要に応じて、独立したタスクと有人タスクを切り替える。

最適な用途

カスタマー サービス、ヘルプデスク、人間による監視が必要なタスク。

バッチデータ処理やレポート生成など、大量のバックオフィス プロセス。

自動化されたステップと人間の判断の両方が必要なエンドツーエンドのプロセス。

コールセンター エージェントがボタンをクリックすると、bot が 3 つの異なるシステムから顧客の全履歴を取得する。

毎晩午前 2 時に bot が実行され、前日のすべてのオンライン注文を処理して販売レポートを生成する。

ローン申請は bot が処理するが、最終的な承認の判断はローン担当者が行うようにフラグを立てる。

機能

有人自動化

無人自動化

ハイブリッド自動化

トリガー

人間の従業員がオンデマンドで開始する。

スケジュールまたはシステム トリガーに基づいて自動的に実行される。

人間またはシステムによってトリガー可能。

インタラクション

「デジタル アシスタント」として人間の作業をサポートし、常に人間参加型とする。

バックグラウンドで独立して動作する。人間の介入は不要。

必要に応じて、独立したタスクと有人タスクを切り替える。

最適な用途

カスタマー サービス、ヘルプデスク、人間による監視が必要なタスク。

バッチデータ処理やレポート生成など、大量のバックオフィス プロセス。

自動化されたステップと人間の判断の両方が必要なエンドツーエンドのプロセス。

コールセンター エージェントがボタンをクリックすると、bot が 3 つの異なるシステムから顧客の全履歴を取得する。

毎晩午前 2 時に bot が実行され、前日のすべてのオンライン注文を処理して販売レポートを生成する。

ローン申請は bot が処理するが、最終的な承認の判断はローン担当者が行うようにフラグを立てる。

RPA と AI の違い

RPA と AI は混同されることもありますが、それぞれ異なる概念です。RPA は AI テクノロジーを活用できますが、それぞれの中核的な焦点は大きく異なります。

ロボティック プロセス オートメーションは主に、構造化データを使用するルールベースのタスクとプロセスの自動化に焦点を当てています。一方、AI は、テキストや画像などの非構造化データの処理を含め、人間が介入しなくてもシステムが学習して意思決定できるようにすることに重点を置いています。

RPA は、反復的で予測可能なタスクの自動化に特に効果的ですが、AI は、複雑で、ある程度の理解と意思決定を必要とするタスクにより適しています。たとえば、RPA を使用して請求書の作成プロセスを自動化し、AI を使用して顧客とやり取りして質問に答える chatbot を開発できます。

RPA bot と AI エージェントの比較

RPA と AI の一般的な違いを把握することは有益ですが、RPA bot と「AI エージェント」の特徴を活かすことを検討しておくとよいでしょう。AI エージェントは、情報を処理するだけでなく、環境を認識し、自律的に意思決定を行い、特定の目標を達成するためにインタラクションから学習する、より高度なエンティティと考えることができます。

それぞれの特徴は次のとおりです。

特性

RPA bot

AI エージェント

業務の性質

あらかじめ定義された手順を実行するようにプログラムされている。明示的な指示に従う。変更するには再プログラミングが必要。

人間の認知機能をシミュレートする。データを分析してパターンを特定し、自律的な意思決定を行い、新しい情報に基づいて適応する。

インテリジェンスと学習

固有のインテリジェンスがなく、与えられたルールに基づいて動作し、独自に進化しない。

ML やその他の AI 手法を取り入れることが多く、データから学習し、時間の経過とともにパフォーマンスを向上させ、状況の変化に対応する。

意思決定

決定論的な事前定義ルール(X の場合は Y を実行)に基づく。

曖昧な状況において、選択肢を推論、予測、評価することで、より複雑な確率的判断を下すことができる。

データの取り扱い

主に構造化データ(スプレッドシート、データベース)を扱う。

NLP やコンピュータ ビジョンを使用して、構造化データと非構造化データ(テキスト、メール、画像、音声)を処理できる。

類推

チェックリストやスクリプトに従うデジタル アシスタント。タスクを実行するための「手足」のような役割を果たす。

コンテキストを理解し、判断を下し、学習できる「デジタル ブレイン」または認知パートナー。

特性

RPA bot

AI エージェント

業務の性質

あらかじめ定義された手順を実行するようにプログラムされている。明示的な指示に従う。変更するには再プログラミングが必要。

人間の認知機能をシミュレートする。データを分析してパターンを特定し、自律的な意思決定を行い、新しい情報に基づいて適応する。

インテリジェンスと学習

固有のインテリジェンスがなく、与えられたルールに基づいて動作し、独自に進化しない。

ML やその他の AI 手法を取り入れることが多く、データから学習し、時間の経過とともにパフォーマンスを向上させ、状況の変化に対応する。

意思決定

決定論的な事前定義ルール(X の場合は Y を実行)に基づく。

曖昧な状況において、選択肢を推論、予測、評価することで、より複雑な確率的判断を下すことができる。

データの取り扱い

主に構造化データ(スプレッドシート、データベース)を扱う。

NLP やコンピュータ ビジョンを使用して、構造化データと非構造化データ(テキスト、メール、画像、音声)を処理できる。

類推

チェックリストやスクリプトに従うデジタル アシスタント。タスクを実行するための「手足」のような役割を果たす。

コンテキストを理解し、判断を下し、学習できる「デジタル ブレイン」または認知パートナー。

基本的に、RPA bot は明確に定義された反復的なプロセスの自動化に役立ちますが、AI エージェントはより複雑で動的な判断に基づくタスクの自動化に適しています。これらの機能を組み合わせ、RPA が実行を担当して AI が認知能力を提供する「ンテリジェントな自動化」が主流になりつつあります。

ロボティック プロセス オートメーションを使用するメリット

RPA ソリューションを導入する企業は、幅広いメリットを享受できます。特に注目すべき潜在的なメリットとしては、以下のようなものがあります。

効率性の改善

RPA は、反復的なタスクを自動化することで、業務効率を大幅に向上させます。これにより、従業員は、人間による慎重な入力が必要な、より戦略的で複雑な業務に集中できるようになります。

精度の向上

bot は通常、人間よりもエラーを起こしにくいため、データ入力などのタスクの精度向上に役立ちます。

コンプライアンスの強化

RPA は、規制要件に関連するタスクを自動化することで、企業のコンプライアンスの向上を支援します。たとえば、bot を使用して、すべての請求書が期日通りに適切に処理され、必要な情報がすべて含まれていることを確認できます。

スケーラビリティ

企業は RPA を活用して、より簡単に業務を拡大できます。bot は簡単に複製してさまざまなシステムにデプロイできるため、従業員数を増やすことなく容易に業務を拡大できます。

従業員満足度の向上

RPA は、よりポジティブな職場環境の醸成に役立ちます。従業員がよりやりがいのある難しいタスクに集中できるようになることで、従業員の退屈感や不満を軽減し、士気を高め、やりたい仕事をより多くできるようになります。

早期の投資回収

RPA は、多くの場合で、迅速な投資収益率(ROI)を実現します。RPA プロジェクトの多くは比較的短期間で実装でき、短期間でメリットを生み出すことができます。現在、人間が行っているより単調なタスクを自動化することで、長期的には大幅な費用削減につながる可能性もあります。

ロボティック プロセス オートメーションの課題

RPA には多くのメリットがありますが、企業は導入に伴う潜在的な課題を認識しておく必要があります。たとえば、次のようなシナリオです。

  • 既存のシステムとの統合: RPA を既存のシステムと統合することは、特に、システムが自動化に対応するように設計されていない場合、困難なことがあります。
  • セキュリティに関する懸念: RPA システムはセキュリティ上の脅威に対して脆弱である可能性があるため、強力なセキュリティ対策を講じることが重要です。
  • メンテナンスと更新: RPA システムには継続的なメンテナンスと更新が必要であり、時間と手間がかかる場合があります。
  • チェンジ マネジメント: RPA の導入にはビジネス プロセスの大幅な変更が必要となる場合があり、管理が困難になる可能性があります。

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