API 開発: スケーラブルなウェブサービスの構築

相互接続されているデジタル世界では、アプリケーションが単独で動作することはほとんどありません。こうしたサービスは、安全かつ標準化された方法で相互に通信し、データを共有し、機能を公開する必要があります。そこで、API 開発が役に立ちます。

API 開発とは

API 開発は、アプリケーション プログラミング インターフェースの作成、公開、管理を行うエンドツーエンドのプロセスです。

これは単なるバックエンド コードの記述にとどまらない、包括的な分野です。このプロセスは、戦略的な計画の立案と慎重な設計から始まり、実装と厳格なテストを経て、安全なデプロイ、継続的なメンテナンス、バージョン管理へと続く、API のライフサイクル全体を網羅します。

API とは

API(アプリケーション プログラミング インターフェース)とは、さまざまなソフトウェア アプリケーションが相互に通信し、サービスをリクエストできるようにするための一連のルールと定義です。API は仲介役として機能し、アプリケーションが他のシステムの複雑な内部動作を知らなくても、データや機能を共有できるようにします。API は、ユーザーがリクエストを行う適切な方法と、それに対してどのような応答が返されるかを定義します。

API 開発が重要である理由

適切に設計された API は、最新のデジタル サービスの構成要素として広く認識され、イノベーションとアジリティの基盤となります。

  • 接続性と統合の実現: API は、異なるシステム、サービス、アプリケーションがデータと機能をシームレスに共有できるようにする仲介役を担います。
  • 最新のアーキテクチャのサポート: API の開発は、マイクロサービス アーキテクチャの基本です。マイクロサービス アーキテクチャでは、アプリケーションは、API を介して相互に通信する、より小さな独立したサービスに分割されます。
  • イノベーションとパートナーシップの促進: 公開 API を通じて機能を公開することで、サードパーティのデベロッパーが自社のプラットフォーム上に新しいアプリケーションやサービスを構築することを可能にし、活気のあるエコシステムを創出できます。
  • 新しいビジネス チャネルの創出: API は、それ自体がプロダクトになり得ます。価値あるデータやサービスを他の企業に提供することで、新たな収益源を生み出すことができます。

API 開発の重要なコンセプト

API を効果的に構築および利用するには、いくつかの基本的なコンセプトを理解しておくことが重要です。

API エンドポイントは、クライアント アプリケーションが API にアクセスするために使用する特定の URL です。各エンドポイントは、アプリケーション内の個別の関数またはリソースに関連付けられています。

たとえば、ユーザー管理 API では、ユーザーのリストを取得する https://api.example.com/users や、特定のユーザーのデータを取得する https://api.example.com/users/123 などのエンドポイントがあります。

API、特に RESTful API は、標準の HTTP 動詞を使用して、リソースに対して実行するアクションを示します。最も一般的な方法は次のとおりです。

GET: 指定したリソースからデータを取得します。

POST: リソースに新しいデータを送信します。

PUT: 既存のリソースを新しいデータで更新します。

DELETE: 指定したリソースを削除します。

これらは2 つの重要なセキュリティ コンセプトです。

  • 認証は、ユーザーまたはクライアントが誰であるかを確認するプロセスで、通常は API キーまたは OAuth トークンを使用します。
  • 認可とは、認証されたユーザーが何を実行できるかを決定するプロセスであり、ユーザーが権限を持つデータにのみアクセスし、権限を持つアクションのみを実行できるようにします。

明確で包括的かつインタラクティブなドキュメントは、API の成功に不可欠です。こうしたドキュメントには、API の機能、エンドポイントの使用方法、必要なデータ形式、リクエストの認証方法などを記述し、他のユーザー向けのユーザー マニュアルとして活用します。

API アーキテクチャ スタイル

API の設計方法にはいくつかの種類がありますが、業界で最も広く使用されているアーキテクチャ スタイルは以下の 3 つです。スタイルの選択は、柔軟性、パフォーマンス、厳格なセキュリティ基準の必要性など、アプリケーションの具体的な要件に大きく依存します。

アーキテクチャ スタイル

主な強み

一般的なユースケース

RESTful API

  • シンプルさとスケーラビリティ: 標準の HTTP メソッドを使用し、ステートレスであるため、理解、実装、水平方向のスケーリングが容易
  • 柔軟性: 複数のデータ形式をサポートしており、その中で最も一般的な JSON は軽量でウェブ クライアントが解析しやすい
  • 幅広く採用: ウェブ API で最も広く採用されているスタイルであり、ツールやデベロッパーの知識で構成される広大なエコシステムがある
  • 一般公開されているウェブ API
  • モバイルアプリのバックエンド
  • 内部マイクロサービス通信

SOAP API


  • 高いセキュリティ: 多くの企業や政府機関の環境で必要とされる WS-Security などの組み込み標準が含まれている
  • 標準化され、信頼性が高い: 厳格なコントラクト(WSDL)を備えた正式なプロトコルとして動作し、信頼性とトランザクションのサポート(ACID 準拠)を確保
  • 言語に依存しない: 厳格な XML ベースの形式は高度に標準化されており、プラットフォームに依存しない
  • 高度なセキュリティとトランザクションの整合性が求められるエンタープライズ アプリケーション
  • 金融および決済ゲートウェイの統合
  • レガシー システムの統合

GraphQL

  • データの効率性: クライアントは必要なデータのみをリクエストできるため、REST API でよくある過剰なフェッチを防ぐことができる
  • ネットワーク呼び出しの削減: クライアントは 1 回のリクエストで複数のリソースからデータを取得できるため、ネットワーク帯域幅が限られているモバイル アプリケーションで特にメリットがある
  • 厳密に型指定されたスキーマ: API は厳密な型システムを中心に構築されているため、強力なデベロッパー ツールが利用でき、API の自己文書化を実現する
  • データ使用量とネットワーク効率が重要なモバイルアプリ
  • 複雑なデータモデルと相互に関連するリソースを持つアプリケーション
  • 複数のマイクロサービスからデータを集計するフロントエンド

アーキテクチャ スタイル

主な強み

一般的なユースケース

RESTful API

  • シンプルさとスケーラビリティ: 標準の HTTP メソッドを使用し、ステートレスであるため、理解、実装、水平方向のスケーリングが容易
  • 柔軟性: 複数のデータ形式をサポートしており、その中で最も一般的な JSON は軽量でウェブ クライアントが解析しやすい
  • 幅広く採用: ウェブ API で最も広く採用されているスタイルであり、ツールやデベロッパーの知識で構成される広大なエコシステムがある
  • 一般公開されているウェブ API
  • モバイルアプリのバックエンド
  • 内部マイクロサービス通信

SOAP API


  • 高いセキュリティ: 多くの企業や政府機関の環境で必要とされる WS-Security などの組み込み標準が含まれている
  • 標準化され、信頼性が高い: 厳格なコントラクト(WSDL)を備えた正式なプロトコルとして動作し、信頼性とトランザクションのサポート(ACID 準拠)を確保
  • 言語に依存しない: 厳格な XML ベースの形式は高度に標準化されており、プラットフォームに依存しない
  • 高度なセキュリティとトランザクションの整合性が求められるエンタープライズ アプリケーション
  • 金融および決済ゲートウェイの統合
  • レガシー システムの統合

GraphQL

  • データの効率性: クライアントは必要なデータのみをリクエストできるため、REST API でよくある過剰なフェッチを防ぐことができる
  • ネットワーク呼び出しの削減: クライアントは 1 回のリクエストで複数のリソースからデータを取得できるため、ネットワーク帯域幅が限られているモバイル アプリケーションで特にメリットがある
  • 厳密に型指定されたスキーマ: API は厳密な型システムを中心に構築されているため、強力なデベロッパー ツールが利用でき、API の自己文書化を実現する
  • データ使用量とネットワーク効率が重要なモバイルアプリ
  • 複雑なデータモデルと相互に関連するリソースを持つアプリケーション
  • 複数のマイクロサービスからデータを集計するフロントエンド

API 開発のライフサイクル

本番環境グレードの API の構築は、いくつかの異なるフェーズを含む構造化されたプロセスです。

1. 計画と設計

この最初のフェーズでは、API の目標を定義し、ターゲット オーディエンスを理解して、API のコントラクトを設計します。この「設計ファースト」のアプローチでは、OpenAPI 仕様などの仕様言語を使用して、コードを記述する前にエンドポイント、データモデル、認証方法のブループリントを作成することが一般的です。

2. 開発と実装

このフェーズでは、ユーザーは設計フェーズで定義されたロジックを実装するためのバックエンド コードを記述します。プログラミング言語とフレームワーク(Python と Flask、Node.js と Express など)を選択し、受信した API リクエストを処理する関数を構築します。

3. テスト

API の信頼性、セキュリティ、パフォーマンスを確保するには、厳格なテストが不可欠です。これには、個々の関数の単体テスト、システムのさまざまな部分の連携動作を確認する統合テスト、トラフィックが多い状況で API の動作を確認する負荷テストが含まれます。

4. デプロイ

API が構築され、テストされると、クライアント アプリケーションからアクセスできるホスティング環境にデプロイされます。これは、従来のサーバー、仮想マシン、またはクラウド内の最新のサーバーレス プラットフォームなどが考えられます。

5. モニタリングとメンテナンス

デプロイ後、API のエラー、レイテンシ、使用パターンについて継続的にモニタリングする必要があります。このオブザーバビリティにより、チームは問題をプロアクティブに特定し、問題をトラブルシューティングして、API の使用方法を把握できるようになります。

6. バージョニング

ビジネスニーズが進化するにつれて、API も変化していく必要があります。明確なバージョン管理戦略(たとえば、/v2/users のように URL にバージョン番号を含める)は、ユーザーが変更や新機能を導入する際に、古いバージョンに依存する既存のアプリケーションに支障をきたさないようにするうえできわめて重要です。

API 開発のベスト プラクティス

  • 設計ファースト アプローチに従う: コードを記述する前に、OpenAPI などの仕様を使用して API を設計する
  • 一貫した命名規則を使用する: エンドポイント パスとデータ フィールドを予測可能でわかりやすいものにする
  • 明確かつ詳細なドキュメントを提供する: 他のユーザーが API を簡単に学習して使用できるようにする
  • 堅牢なセキュリティを実装する: 認証と認可を実施してデータとサービスを保護する
  • 最初からバージョニングを計画する: 将来的にクライアント アプリケーションに支障が出ないように、変更への対応方法を決定する
  • 意味のあるエラー メッセージを提供する: 問題が発生した場合は、ユーザーがトラブルシューティングを行えるように、明確なエラー メッセージと適切な HTTP ステータス コードを返す

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API 開発を始める

このプロセスを初めて行う方でも、最初の API を構築するのは比較的簡単な作業です。いくつかの重要なステップに分解することで、プロセスをわかりやすくできます。

言語とフレームワークを選択する

使い慣れたプログラミング言語とウェブ フレームワークを選択します。Flask や FastAPI などのフレームワークを使用した Python、または Express を使用した Node.js がよく選ばれます。これらはサポートが充実しており、大規模なコミュニティがあるためです。

開発環境を設定する

ローカルマシンに必要なツールをインストールします。通常、これには言語ランタイム(Python など)、コードエディタ(VS Code など)、バージョン管理システム Git が含まれます。

最初の API エンドポイントを作成する

まずはシンプルな「Hello, World!」エンドポイントから始めます。GET リクエストに応答して単純な JSON メッセージを返すルートを作成します。これにより、より複雑なロジックに進む前に、基本的な設定、フレームワーク、サーバーがすべて正しく動作していることを確認できます。

API 開発のメリット

スケーラビリティ

クラウド プラットフォームでは、トラフィックに基づいて API のコンピューティング リソースを自動的にスケールアップまたはスケールダウンできるため、過剰なプロビジョニングを行わずにパフォーマンスを確保できます。

マネージド サービス

クラウド プロバイダが基盤となるインフラストラクチャ、サーバーのメンテナンス、セキュリティ パッチ適用を処理するため、チームは API のロジックに集中できます。

世界中を網羅

API を世界中のデータセンターに簡単にデプロイできるため、グローバルなユーザーベースのレイテンシを低減できます。

統合されたツール

クラウド プラットフォームは、データベース、モニタリング、ロギング、CI/CD 向けの統合サービスの豊富なエコシステムを提供しており、開発ライフサイクル全体を簡素化します。

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