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TIIS

豊田自動織機ITソリューションズ: Gemini Enterprise を一斉展開し、業務効率化とナレッジ集積、人材の育成・確保を実現

Google Cloud 導入の効果
  • Google ドライブと Gemini Enterprise を連携させ、社内データを効率的に活用できる基盤構築に成功

  • 全社一斉展開により 1,300 以上の AI エージェントが自発的に誕生し、多様な日常業務を劇的に効率化

  • Gemini Enterprise の迅速な現場浸透を含む全社的な変革により、平均残業時間が前年比約 10% 減少、退職者数も約 30% 減少という経営面での大きな成果を創出

豊田自動織機 IT ソリューションズは、Gemini Enterprise を全社に 一斉展開。先行して Google ドライブに統合していた 500 万ファイルにも及ぶ膨大な社内データを、すべての社員が安全かつシームレスに活用できるようにしました。

生成 AI の社内展開は、部署を限定して段階的に進めていくのが定石とされています。しかし、株式会社豊田自動織機ITソリューションズ(以下、TIIS)は、500 ライセンスの Gemini Enterprise を全社員に一斉提供するという方法を選択。情報の集積と活用による業務拡大、人材確保、新たな価値の創出などを図っています。その詳細を、同社代表取締役社長 鈴木 洋氏をはじめとする今回の取り組みのコアメンバーに伺いました。

激変する IT 業界の中でスタートした業務改革「TIIS-X プロジェクト」

TIIS は豊田自動織機グループ(従業員数約 8 万人 / 関連企業数約 300 社)における国内唯一のシステム インテグレーターです。社員約 450 名のうち、400 名ほどが IT 業務に従事しており、生産現場における設計業務からシステム開発、サーバー ネットワークなどのインフラ構築、セキュリティ管理、組込みソフトウェアの開発まで、幅広い領域でグループの課題と向き合い、解決してきました。そんな同社の優位性と現況について鈴木氏は、こう胸を張ります。

「弊社は豊田自動織機グループの一員として、IT 戦略立案から参画し、超上流の要件定義から開発、運用保守まで、IT に関する全ライフサイクルに携わっています。その幅の広さと奥行きの深さ、そしてグループ現場の業務知識と IT スキルの両方を備えていることが我々の強みです。特にこの 3 年間は、新型コロナ禍を経て豊田自動織機からの IT 需要が爆発的に増加し、売上規模が倍以上に拡大しています。」

しかし、これと同時に IT 業界全体を取り巻くビジネス環境が激変。人材の流動性が高まった結果、長期的に活躍できる環境の整備が喫緊の重要課題となってきました。一方、運用面では、既存システムの老朽更新がリソースを圧迫し、新たな価値創造を難しくしつつありました。

このような状況を受けて始まったのが、社内変革活動「TIIS-X プロジェクト」です。2022 年に始まった本プロジェクトは、「テクノロジー推進」「ワークスタイル・制度変革」「コミュニケーション活性化」の三本柱で構成され、多角的な問題解決を目指すものとなっていました。鈴木氏と共にこの取り組みを推進してきた、執行職の小形 健一氏は、その "伏線" が、すでに 10 年ほど前から張られていたと語ります。

「2017 年ごろに、散在していた社内ファイル サーバーを今後どのように運用していくかという議論が起きました。その際重視したのが、情報の検索性です。まず、弊社には過去に開発したアプリや業務システムの膨大なデータがありますので、これらを集約していかに活用するかは、将来の事業展開に向けた鍵となります。また、情報の整備は、人材の流出や業務の外注化などが進む中、個々人に蓄積した知見やノウハウを共有・活用していくという意味でも有効です。そこで 2018 年、社内ファイル サーバーを、優れた検索性を備える Google ドライブに統合しました。」

小形 健一 氏
小形 健一 氏

当時はまだ生成 AI が話題になる以前でしたが、Google ドライブを選んだ背景には、そう遠くない未来に AI 技術が劇的に進化するだろうという読みもあったといいます。

「例えば 2022 年末に対話型 LLM が大ブレイクした後、社内でさまざまな生成 AI サービスを検証しました。この際、焦点となったのが学習です。学習効果を最大限に得るには、500 万ファイルを超える社内データをすべて外部に送出して学習させる必要がありましたが、現実的ではありませんし、セキュリティの観点からも実施したくありません。しかし Google Cloud の生成 AI サービスであれば、Google ドライブに統合済みの社内データを安全かつシームレスに活用できます。2024 年末に、企業向け AI エージェント プラットフォームである Gemini Enterprise(当時の名称は Google Agentspace)が発表された時には、待ち望んでいたツールがついに登場したなと思いました。」(小形氏)

Gemini Enterprise が選ばれた理由は、データの連携性だけではありません。小形氏のもと、TIIS の技術戦略推進を担ってきた同社デジタル情報技術戦略部部長 丹羽 宏太氏は、グラウンディング(回答根拠の提示)によって情報の正確性を担保できることや、他社サービスと広く連携できることも大きな優位点だったと言います。

「Gemini Enterprise は、Google Cloud の各種サービスだけでなく、豊富に用意されたコネクタによって、多くの外部ソースとつなげることができます。弊社では業務にさまざまなサービスを日常的に利用しているので、このオープンさはとても魅力的でした。現在、TIIS では Outlook やSharePoint、OneDrive、GitHub などを含む合計 9 個のコネクタで社内サービスと接続しており、社内の知見を広く共有することに成功しています。」

丹羽 宏太 氏
丹羽 宏太 氏
Google Cloud の生成 AI サービスであれば、Google ドライブに統合済みの社内データを安全かつシームレスに活用できます。2024 年末に、企業向け AI エージェント プラットフォームである Gemini Enterprise が発表された時には、待ち望んでいたツールがついに登場したなと思いました。

小形 健一 氏

株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
執行職

PoV の成功を踏まえて、500 ライセンスを全社員に一斉に展開

こうして TIIS は、2025 年 4 月に Gemini Enterprise の導入を決定。8 月から開始された PoV(Proof of Value / 価値実証)では、間接部門も含めた各部署から選別された 12 名の「CHAMPION(活用の牽引役)」と協力するかたちで、Gemini Enterprise の活用方法と、運用における注意点などを集中的に検証・解決。その3か月後には、500 ライセンスを契約し、約 450 人の全社員に一斉展開することを決定しました。

「全社一斉展開を決意したのは、少しでも早く、より多くの社員に生成 AI の便利さを実感し、活用してもらいたかったからです。もちろん、そのコストは決して小さいものではありません。しかし TIIS なら誰でも最先端の生成 AI サービスを使えるという話が広まれば、就職活動を始める学生にも大きなアピールになります。そうした副次的効果を含めれば、十分にリターンのある投資だと考えました。」(鈴木氏)

Gemini Enterprise の現場への展開を担当したデジタル情報技術戦略部 デジタル戦略推進課 BX 推進 1 グループ グループリーダーの堀尾 一孝氏は、現場への展開に向けた取り組み、工夫について、次のように振り返ります。

「PoV に協力してくれた 12 名の CHAMPION をそのまま推進チームとし、ワークショップやハンズオン体験会を繰り返し開催しました。また、社内チャットツールを使った日常的な情報発信や見やすいドキュメントの整理、チャンピオンたちが作った便利な AI エージェントの紹介・共有など、さまざまなかたちで興味を促し、実際に使ってもらえるよう手を尽くしました。」

堀尾 一孝氏
堀尾 一孝氏

なお、導入に際する一連の取り組みにおいては、Google Cloud の コンサルティング サービスと技術支援を活用。専門家集団による手厚い支援を受けながら、Gemini Enterprise を業務プロセスに組み込んでいくことができました。

「導入に際しては、まず業務的にインパクトの大きなものを対象にする、そこから業務プロセスを細かく分解して、それぞれに適切に AI を活用していくアプローチなど、私たちが持っていなかった知見を惜しみなく共有いただけたことで、無駄なステップを踏まずに導入できました。困った時に Google Chat ですぐに相談できることも心強かったですね。」(丹羽氏)

「技術的な支援もたくさんしていただいています。例えば、社内の課題を解決する AI エージェントを作る際は、ADK(Agent Development Kit)やローコードの対話型エージェントなど、さまざまな選択肢があるのですが、課題ごとに、どのような構成を取れば効率的なのかもアドバイスいただきました。コンサルティング チーム の伴走は社内のナレッジ蓄積でも極めて有用でした。」(堀尾氏)

Gemini Enterprise は、Google Cloud の各種サービスだけでなく、豊富に用意されたコネクタによって、多くの外部ソースとつなげることができます。弊社では業務にさまざまなサービスを日常的に利用しているので、このオープンさはとても魅力的でした。

丹羽 宏太 氏

株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
デジタル情報技術戦略部 部長

Gemini Enterprise の活用は、新たなる価値創造に向けた切り札になる

導入後、Gemini Enterprise は驚くべき速度で TIIS の現場に浸透しています。社員によって作成された AI エージェントは 1,300 以上にもなり、契約条項の精査や誤字・脱字のチェック、請求書・領収書の確認、議事録の要約、スライド作成、過去のシステム問い合わせ台帳の検索など、これまでマニュアルで行われてきた作業が劇的に効率化されているとのことです。もちろん、経営面でも大きなインパクトが生まれています。

「Gemini Enterprise の導入後、会社全体の平均残業時間は、前年度比で約 10% 減少しました。退職者数も前年度比で約 30% 減少しています。Gemini Enterprise 以外のさまざまな取り組みの成果も含めた数字ではあるのですが、想定していた以上の成果を得られています。」(鈴木氏)

鈴木 洋 氏
鈴木 洋 氏

TIIS では、Gemini Enterprise を業務プロセスの中にシームレスに組み込む取り組みが加速しています。BigQuery とLooker を活用したデータ プラットフォームを整備し、コネクタで連携できない ERP や Excel データも含めたあらゆる社内資産を扱える環境を構築中です。

「中長期的な目標は、数年に一度、大型案件を受託・開発する『一括構築型モデル』から、長いライフサイクルの中で、小さな改善を速く回す『継続的な改善モデル』への転換を推進し、工数のすべてを価値向上に直結させていくことです。簡単なことではありませんが、まるで複雑な問題を一発で解決する "銀の弾丸" のように、想像以上の働きをしてくれるツールが登場したことで、その実現は夢物語ではなくなりつつあると強く感じています。また、我々が Gemini Enterprise で成果を出していけば、横展開もしやすくなります。弊社の取り組みをモデルケースに、豊田自動織機グループ全体で Gemini Enterprise を使っていこうという気運が高まると、さらなる業務効率化が実現できるのではないかと期待しているところです。」(鈴木氏)

Gemini Enterprise の導入後、会社全体の平均残業時間は、前年度比で約 10% 減少しました。退職者数も前年度比で約 30% 減少しています。Gemini Enterprise 以外のさまざまな取り組みの成果も含めた数字ではあるのですが、想定していた以上の成果を得られています。

鈴木 洋 氏

株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
代表取締役社長

(事例制作: 2026 年 06 月)

インタビュイー(写真左から)
インタビュイー(写真左から)
・デジタル情報技術戦略部 デジタル戦略推進課 BX 推進 1 グループ グループリーダー
 堀尾 一孝 氏
・代表取締役社長 鈴木 洋 氏
・執行職 小形 健一 氏
・デジタル情報技術戦略部 部長 丹羽 宏太 氏

株式会社豊田自動織機 IT ソリューションズ

1991 年に株式会社豊田自動織機の情報システム部門が独立して設立。国内唯一のシステム インテグレーター子会社として、グループ内の IT 課題解決を一手に担うほか、外部一般企業へのソリューション提供も拡大中。従業員数は 496 名(2026 年 4 月現在)。

業種: 自動車製造、販売, テクノロジー

地域: 日本

利用しているサービス: Gemini Enterprise, BigQuery, 生成 AI

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