オートバックスセブン: カーライフ総合情報サイト「MOBILA」の構築に Discovery AI を採用し、開発期間を大幅に短縮

株式会社オートバックスセブン について

1947 年 2 月創業。国内オートバックス事業を主力事業とし、カー用品の卸売および小売や取付・交換サービス、車検・整備などを提供する小売店舗のフランチャイズ チェーン本部を運営。また、オートバックス事業で獲得したノウハウや人材を強みとして、ディーラーや BtoB、オンライン アライアンスなどの事業や、グローバル展開なども推し進めている。カーライフを広くサポートし、自動車業界を盛り上げることを目指して、2023 年 4 月にさまざまなカーライフ企業と連携してカーライフ総合情報サイト「MOBILA」を立ち上げた。

業種: 小売業、卸売業, 自動車
地域: 日本

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車検・整備などを手がけるオートバックスセブンは、カーライフ総合情報サイト「MOBILA」のシステムに Google Cloud を採用。検索機能に Retail Search、レコメンデーション機能に Recommendations AI、不正画像検知やマスキング機能に Vision API を活用しています。

Google Cloud 導入の効果

  • 自前での開発から Retail API 利用への路線変更で開発期間の短縮に成功
  • Recommendations AI の採用により、運用負荷が軽減し、ユーザビリティが向上
  • Retail Search によって大量のコンテンツに対する正確かつ高速な全文検索を実現

Google の検索品質が利用できるというのは大きな魅力

オートバックスグループ店舗のフランチャイズ本部として、カー用品の卸売および小売や取付・交換サービス、車検・整備などを手がける株式会社オートバックスセブン(以下、オートバックスセブン)。同社がさまざまなカーライフ企業と連携して立ち上げたカーライフ総合情報サイト「MOBILA」では、Google Cloud の Retail API や Vision API を採用することで、開発期間の大幅な短縮に成功しました。MOBILA のシステム開発を担当したお 2 人にその経緯を伺いました。

欲しい機能がすでにサービスとして稼働している、その信頼感が Retail API の採用を後押し

オートバックスセブンでは、経営理念として「常にお客様に最適なカーライフを提案し、豊かで健全なクルマ社会を創造すること」を使命に掲げており、カー用品の卸売・小売事業にとどまらない、お客様のカーライフ全体をトータルにサポートすることを目指しています。

MOBILA はオートバックス ブランドから独立したサービスとして、クルマに関わるさまざまな企業と連携して構築されています。そのコンテンツはクルマやカー用品の情報だけではなく、旅行やドライブ、アウトドアなどといった趣味に役立つものや、写真や商品レビューを投稿してシェアできる SNS としての役割も備えています。

MOBILA の立ち上げには 2 つの大きな狙いがあったと、オートバックスセブン オンラインアライアンス事業開発部長の小畑康弘氏は語ります。

「ひとつは、皆さんがもっとクルマで出かけたくなるような仕組みを提供し、今の自動車業界全体を元気にしたいということ。もうひとつは、オートバックスとしてもっと多様なお客様とつながり、カーライフの安全・安心と楽しさを提供したいということです。」

MOBILA ユーザーの体験を向上させるための重要な要素が、記事や SNS 投稿、商品などのレコメンデーション機能です。オートバックスセブンでは、このレコメンデーション機能や、サイト全体のコンテンツの全文検索機能の実装に、Google Cloud の Retail API を採用しました。また、投稿された写真に対する不正画像の検知や、自動車のナンバーを検出してマスキングする機能の実装には Vision API を採用しています。

Google Cloud を採用した経緯について、小畑氏は次のように説明します。

「Retail API であれば検索とレコメンデーションの両方の機能を備えており、大規模な構成や複雑なロジックについて考えることなく利用でき、開発期間を大幅に短縮できるという期待がありました。さらに、すでにサービスとして存在している信頼が前提にあり、カットオーバーに間に合う算段も付いたことで、採用を決定しました。」

株式会社オートバックスセブン オンラインアライアンス事業開発部長 小畑 康弘 氏

「画像検出には機械学習の力が必要ということで Vision API は最初から採用を決めていました。一方で、検索機能については他社の全文検索サービスを利用し、レコメンデーション機能は独自で実装するというのが当初の計画でした。しかし対象となる記事や投稿の量が膨大であったことから、検索に関しては当初の想定よりも大規模な構成と開発が必要になることがわかりました。またレコメンデーションは、ロジックが非常に複雑で、自力開発ではプロジェクトが遅延してしまい、サイトのカットオーバーに間に合わない可能性が出てきました。そこで代替として候補に上がったのが Google Cloud の Retail API です。Retail API であれば検索とレコメンデーションの両方の機能を備えており、大規模な構成や複雑なロジックについて考えることなく利用でき、開発期間を大幅に短縮できるという期待がありました。さらに、すでにサービスとして存在している信頼が前提にあり、カットオーバーに間に合う算段も付いたことで、採用を決定しました。」

限られた期間内でのレコメンデーション機能の開発に Recommendations AI が大きく貢献

MOBILA では、検索機能に Retail API の Retail Search を、レコメンデーション機能に Recommendations AI を利用しています。いずれも MOBILA のシステム構築には不可欠でしたが、採用に当たって決め手となったのは Recommendations AI でした。オートバックスグループにおいて基幹システムの構築・運用を行う株式会社オートバックスデジタルイニシアチブのグループデジタル推進部吉田晋氏は次のように説明します。

「Recommendations AI は、データを流し込めば、モデルの作成やトレーニングといった処理は Google Cloud 側にお任せでき、AI で作成したレコメンド結果を返してくれます。開発期間が限られているプロジェクトで、開発を行うのではなく、既存のサービスを利用できる安心感は、プロジェクトのリスク管理を行う観点で、非常に有用でした。」

株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ グループデジタル推進部 吉田 晋 氏

「自前でのレコメンデーション機能実装に際し、2 点不安がありました。 1 点目は、開発が期間中に間に合うかどうか。2 点目は、レコメンドデータ生成バッチ処理で、想定時間内に処理が終わるか。その点 Recommendations AI は、データを流し込めば、モデルの作成やトレーニングといった処理は Google Cloud 側にお任せでき、AI で作成したレコメンド結果を返してくれます。開発期間が限られているプロジェクトで、開発を行うのではなく、既存のサービスを利用できる安心感は、プロジェクトのリスク管理を行う観点で、非常に有用でした。」

Recommendations AI の採用は、結果的に運用負荷の軽減やユーザビリティの向上に大きく影響したと吉田氏は続けます。

「自前で実装する場合、それぞれの記事にタグを埋め込み、ユーザーがお気に入りとして登録したタグとマッチングするというような方式を考えていました。従来方式の場合、記事を登録するたびにタグを設定する必要があり、運用負荷がかかります。ユーザーにとっても、お気に入りタグを設定するという負担があります。Recommendation AI であればそのような作業の必要はなく、我々とユーザー双方にメリットがありました。」

MOBILA には、サービス開始時点ですでに記事や SNS 投稿が 1 万件ほど蓄積されていたため、この情報をテキストで全文検索できる必要がありました。Retail Search の採用について、吉田氏は次のように語ります。

「全文検索機能に Google の検索品質を利用できるというのは大きな魅力だと感じました。実際に使ってみて、検索結果は当然ながら精度が高く、レスポンスも非常に高速です。結果的に期待どおりの成果が出ており、Google Cloud を採用して成功だったと実感しています。」

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コンテンツが増加し、マネージド サービスを採用したことによる運用負荷の軽減を実感

オートバックスセブンでは、MOBILA のサービスの拡充を続けており、連携する企業数とともに、記事などのコンテンツも大幅に増加しています。しかし、コンテンツの増加に伴う検索やレコメンドのパフォーマンスへの影響は、ほとんど心配していないと小畑氏は言います。

「検索にしてもレコメンデーションにしても、内部の動作については完全に API に任せている状態なので、今後データ量が大幅に増えるようなことになっても、Google Cloud であれば大丈夫だろうという安心感があります。マネージド サービスを採用したことでその辺りは一切気にする必要がなくなり、運用の負担はかなり軽減されたと実感しています。」

「検索にしてもレコメンデーションにしても、内部の動作については完全に API に任せている状態なので、今後データ量が大幅に増えるようなことになっても、Google Cloud であれば大丈夫だろうという安心感があります。マネージド サービスを採用したことでその辺りは一切気にする必要がなくなり、運用の負担はかなり軽減されたと実感しています。」

株式会社オートバックスセブン オンラインアライアンス事業開発部長 小畑 康弘 氏

サービス強化の一環として、モバイルアプリのリリースも計画しています。モバイルアプリでは、SNS へ投稿する写真の編集機能など、モバイルならではの UX の強化にチャレンジしています。また、アプリ開発プラットフォームとして Firebase を採用していることから、プッシュ通知などの Firebase で提供される機能を活用し、より良い体験の実現を目指しています。

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吉田氏は、MOBILA の構築で培った Google Cloud 活用のノウハウを今後も活かしていきたいと語ります。

「今回の Google Cloud の採用では、Google Cloud チームに設計の段階から構築、テストに至るまで、ずっと親身になって手厚くサポートしていただいたので、非常に助かりました。今後も Google Cloud のサービスを活用し、多くのユーザーに満足してご利用いただけるように取り組んでいきたいと考えています。」

インタビュイー

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(写真 左/右 から)
・株式会社オートバックスセブン オンラインアライアンス事業開発部長 小畑 康弘 氏
・株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ グループデジタル推進部 吉田 晋 氏

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事例制作:2023

利用しているソリューション:
小売業向け Discovery AI

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株式会社オートバックスセブン について

1947 年 2 月創業。国内オートバックス事業を主力事業とし、カー用品の卸売および小売や取付・交換サービス、車検・整備などを提供する小売店舗のフランチャイズ チェーン本部を運営。また、オートバックス事業で獲得したノウハウや人材を強みとして、ディーラーや BtoB、オンライン アライアンスなどの事業や、グローバル展開なども推し進めている。カーライフを広くサポートし、自動車業界を盛り上げることを目指して、2023 年 4 月にさまざまなカーライフ企業と連携してカーライフ総合情報サイト「MOBILA」を立ち上げた。

業種: 小売業、卸売業, 自動車
地域: 日本