このページでは、Cloud Run のボリューム マウントを使用して、Cloud Storage バケットをストレージ ボリュームとしてマウントする方法について説明します。
Cloud Run でバケットをボリュームとしてマウントすると、バケットの内容がコンテナ ファイル システムのファイルとして提示されます。バケットをボリュームとしてマウントした後、Google API クライアント ライブラリではなく、プログラミング言語のファイル システム オペレーションとライブラリを使用して、バケットにローカル ファイル システムのディレクトリのようにアクセスします。
メモリ要件
Cloud Storage ボリューム マウントでは、次のアクティビティに Cloud Run のコンテナメモリが使用されます。すべての Cloud Storage FUSE キャッシュに対して、Cloud Run はデフォルトで統計キャッシュの設定を使用し、有効期間(TTL)を 60 秒に設定します。統計キャッシュのデフォルトの最大サイズは 32 MB、タイプ キャッシュのデフォルトの最大サイズは 4 MB です。
Cloud Storage FUSE は、読み取り時に、統計キャッシュとタイプ キャッシュ以外のメモリも消費します。たとえば、ファイルを読み取るたびに、および goroutines を実行するたびに、1 MiB の配列を消費します。
Cloud Storage に書き込む場合は、ファイル全体が Cloud Run のメモリにステージングされた後、Cloud Storage に書き込まれます。
制限事項
Cloud Run は、このボリューム マウントに Cloud Storage FUSE を使用するため、Cloud Storage バケットをボリュームとしてマウントする場合は、次の点に注意してください。
- Cloud Storage FUSE では、同じファイルへの複数書き込みの同時実行制御(ファイルのロック)は行いません。複数の書き込みによってファイルの置き換えが試みられた場合は、最後の書き込みが有効となり、それより前の書き込みはすべて失われます。
- Cloud Storage FUSE は POSIX を完全に遵守したファイル システムではありません。詳細については、Cloud Storage FUSE のドキュメントをご覧ください。
始める前に
ボリュームとしてマウントするには、Cloud Storage バケットが必要です。
読み取りと書き込みのパフォーマンスを向上させるには、ダイレクト VPC を使用して Cloud Run サービスを VPC ネットワークに接続し、すべての下り(外向き)トラフィックを VPC ネットワーク経由でルーティングすることをおすすめします。ネットワーキングのベスト プラクティス ページの例 2: Google API への内部トラフィックの手順をご覧ください。必要なロール
Cloud Storage ボリューム マウントの構成に必要な権限を取得するには、次の IAM ロールを付与するよう管理者に依頼してください。
-
Cloud Run サービスに対する Cloud Run デベロッパー(
roles/run.developer
) -
サービス ID に対するサービス アカウント ユーザー(
roles/iam.serviceAccountUser
)
ファイルと Cloud Storage バケットにアクセスするためにサービス ID に必要な権限を取得するには、サービス ID に次の IAM ロールを付与するよう管理者に依頼してください。
- Storage 管理者(
roles/storage.admin
)
Cloud Storage のロールと権限の詳細については、Cloud Storage の IAM をご覧ください。
Cloud Run に関連付けられている IAM ロールと権限のリストについては、Cloud Run IAM ロールと Cloud Run IAM 権限をご覧ください。Cloud Run サービスが Google Cloud APIs(Cloud クライアント ライブラリなど)と連携している場合は、サービス ID の構成ガイドをご覧ください。ロールの付与の詳細については、デプロイ権限とアクセスの管理をご覧ください。
使用できないパス
Cloud Run では、/dev
、/proc
、/sys
、またはそのサブディレクトリにボリュームをマウントすることはできません。
Cloud Storage ボリュームをマウントする
複数のバケットを異なるマウントパスにマウントできます。複数のコンテナで同じマウントパスまたは異なるマウントパスを使用して、ボリュームを複数のコンテナにマウントすることもできます。
コンテナを複数使用する場合は、まずボリュームを指定してから、各コンテナのボリューム マウントを指定します。
ボリュームのマウントには、第 2 世代の実行環境が必要です。 実行環境が明示的に構成されていない場合、Cloud Run はサービスの第 2 世代の実行環境を自動的に選択します。
コンソール
Google Cloud コンソールで、[Cloud Run] に移動します。
[コンテナをデプロイ] をクリックし、[サービス] を選択して、新しいサービスを構成します。既存のサービスを構成する場合は、サービスをクリックし、[新しいリビジョンの編集とデプロイ] をクリックします。
新しいサービスを構成する場合は、最初のサービス設定のページに入力してから、[コンテナ、ボリューム、ネットワーキング、セキュリティ] をクリックしてサービス構成ページを開きます。
[ボリューム] タブをクリックします。
- [ボリュームを追加] をクリックします。
- [ボリュームのタイプ] プルダウンで、ボリューム タイプとして Cloud Storage バケットを選択します。
- [ボリューム名] フィールドに、ボリュームに使用する名前を入力します。
- ボリュームに使用する Cloud Storage バケットを参照して選択するか、必要に応じて新しいバケットを作成します。
- バケットを読み取り専用にする場合は、[読み取り専用] チェックボックスをオンにします。
- [完了] をクリックします。
- [ボリュームのマウント] タブをクリックします。
- [ボリュームをマウント] をクリックします。
- メニューからストレージ ボリュームを選択します。
- ボリュームをマウントするパスを指定します。
- [完了] をクリックします
[作成] または [デプロイ] をクリックします。
gcloud
注: ここでは gcloud beta run services update
コマンドを使用していますが、ここに示されているパラメータを指定して gcloud beta run deploy
コマンドを使用することもできます。
ボリュームを追加してマウントするには:
gcloud beta run services update SERVICE \ --add-volume name=VOLUME_NAME,type=cloud-storage,bucket=BUCKET_NAME \ --add-volume-mount volume=VOLUME_NAME,mount-path=MOUNT_PATH
次のように置き換えます。
- SERVICE: 実際のサービスの名前。
- MOUNT_PATH は、ボリュームをマウントする相対パス(
/mnt/my-volume
など)に置き換えます。 - VOLUME_NAME は、ボリュームに付ける名前に置き換えます。VOLUME_NAME 値は、ボリュームをボリューム マウントにマッピングするために使用されます。
- BUCKET_NAME: Cloud Storage バケットの名前。
ボリュームを読み取り専用ボリュームとしてマウントするには:
--add-volume=name=VOLUME_NAME,type=cloud-storage,bucket=BUCKET_NAME,readonly=true
複数のコンテナを使用している場合は、まずボリュームを指定してから、各コンテナのボリューム マウントを指定します。
gcloud beta run services update SERVICE \ --add-volume name=VOLUME_NAME,type=cloud-storage,bucket=BUCKET_NAME \ --container CONTAINER_1 \ --add-volume-mount volume=VOLUME_NAME,mount-path=MOUNT_PATH \ --container CONTAINER_2 \ --add-volume-mount volume=VOLUME_NAME,mount-path=MOUNT_PATH2
YAML
新しいサービスを作成する場合は、この手順をスキップします。既存のサービスを更新する場合は、その YAML 構成をダウンロードします。
gcloud run services describe SERVICE --format export > service.yaml
必要に応じて更新します。
apiVersion: serving.knative.dev/v1 kind: Service metadata: name: SERVICE annotations: run.googleapis.com/launch-stage: BETA spec: template: metadata: annotations: run.googleapis.com/execution-environment: gen2 spec: containers: - image: IMAGE_URL volumeMounts: - name: VOLUME_NAME mountPath: MOUNT_PATH volumes: - name: VOLUME_NAME csi: driver: gcsfuse.run.googleapis.com readOnly: IS_READ_ONLY volumeAttributes: bucketName: BUCKET_NAME
次のように置き換えます。
- IMAGE_URL: コンテナ イメージへの参照(
us-docker.pkg.dev/cloudrun/container/hello:latest
など)。Artifact Registry を使用する場合は、リポジトリ REPO_NAME がすでに作成されている必要があります。URL の形式はLOCATION-docker.pkg.dev/PROJECT_ID/REPO_NAME/PATH:TAG
です。 - MOUNT_PATH は、ボリュームをマウントする相対パス(
/mnt/my-volume
など)に置き換えます。 - VOLUME_NAME は、ボリュームに付ける名前に置き換えます。VOLUME_NAME 値は、ボリュームをボリューム マウントにマッピングするために使用されます。
- ボリュームを読み取り専用にする場合は IS_READ_ONLY を
True
に置き換えます。書き込み可能にするにはFalse
に置き換えます。 - BUCKET_NAME は、Cloud Storage バケットの名前に置き換えます。
- IMAGE_URL: コンテナ イメージへの参照(
次のコマンドを使用して、サービスを新しい構成に置き換えます。
gcloud run services replace service.yaml
ボリュームの読み取りと書き込み
Cloud Run のボリューム マウント機能を使用する場合、ローカル ファイル システムでファイルの読み取りと書き込みに使用するプログラミング言語のライブラリを使用して、マウントされたボリュームにアクセスします。
これは、ローカル ファイル システムにデータが保存されることを想定し、通常のファイル システム オペレーションを使用してデータにアクセスする既存のコンテナを使用している場合に特に便利です。
次のスニペットは、mountPath
が /mnt/my-volume
に設定されたボリューム マウントを前提としています。
Node.js
ファイル システム モジュールを使用して、ボリューム /mnt/my-volume
に新しいファイルを作成するか、既存のファイルに追加します。
var fs = require('fs'); fs.appendFileSync('/mnt/my-volume/sample-logfile.txt', 'Hello logs!', { flag: 'a+' });
Python
ボリューム /mnt/my-volume
に保存されているファイルに書き込みます。
f = open("/mnt/my-volume/sample-logfile.txt", "a")
Go
os
パッケージを使用して、ボリューム /mnt/my-volume
に新しいファイルを作成します。
f, err := os.Create("/mnt/my-volume/sample-logfile.txt")
Java
Java.io.File
クラスを使用して、ボリューム /mnt/my-volume
にログファイルを作成します。
import java.io.File; File f = new File("/mnt/my-volume/sample-logfile.txt");
ボリューム マウント設定を表示する
Cloud Run サービスの現在のボリューム マウント設定を表示するには:
コンソール
Google Cloud コンソールで、[Cloud Run] に移動します。
目的のサービスをクリックして、[サービスの詳細] ページを開きます。
[リビジョン] タブをクリックします。
右側の詳細パネルで、[ボリューム] タブにボリューム マウントの設定が表示されます。
gcloud
次のコマンドを使用します。
gcloud run services describe SERVICE
返された構成で、ボリューム マウント設定を見つけます。
コンテナの起動時間と Cloud Storage FUSE のマウント
Cloud Storage FUSE を使用すると、コンテナの起動前にボリューム マウントが開始されるため、Cloud Run コンテナのコールド スタート時間がわずかに長くなる可能性があります。コンテナは、Cloud Storage FUSE が正常にマウントされた場合にのみ起動します。
Cloud Storage FUSE は、Cloud Storage への接続を確立した後にのみ、ボリュームを正常にマウントします。ネットワークの遅延は、コンテナの起動時間に影響する可能性があります。同様に、接続の試行が失敗すると、Cloud Storage FUSE はマウントされず、Cloud Run サービスは起動しません。また、Cloud Run のすべてのマウント処理の合計タイムアウトが 30 秒であるため、Cloud Storage FUSE のマウントに 30 秒以上かかると、Cloud Run サービスの開始に失敗します。
Cloud Storage FUSE のパフォーマンス特性
それぞれが異なるバケットを指す 2 つのボリュームを定義すると、2 つの Cloud Storage FUSE プロセスが開始されます。マウント処理とプロセスは並行して行われます。
Cloud Storage FUSE は Cloud Storage API を使用して Cloud Storage と通信するため、Cloud Storage FUSE を使用するオペレーションはネットワーク帯域幅の影響を受けます。ネットワーク帯域幅が少ない場合、バケットのコンテンツのリストの取得など、オペレーションが遅くなることがあります。同様に、サイズの大きなファイルの読み取りには時間がかかります。これは、ネットワーク帯域幅によって制限されるためです。
バケットに書き込むと、Cloud Storage FUSE はオブジェクトをメモリに完全にステージングします。つまり、大きなファイルの書き込みは、コンテナ インスタンスで使用可能なメモリ量によって制限されます(コンテナのメモリの最大上限は 32 GiB です)。
書き込みは、close
または fsync
を実行した場合にのみバケットにフラッシュされます。その後、完全なオブジェクトがバケットにアップロードまたは再アップロードされます。オブジェクトがバケットに完全に再アップロードされる唯一の例外は、ファイルが 2 MiB 以上で、コンテンツが追加されている場合です。
詳しくは、次のリソースをご覧ください。