このページでは、Artifact Registry Docker リポジトリで認証するように Docker を構成する方法について説明します。
Cloud Build または Google Cloud ランタイム環境(Google Kubernetes Engine 、Cloud Runなど)に対する認証を構成する必要はありませんが、必要な権限が構成されていることを確認する必要があります。
始める前に
-
Install the Google Cloud CLI, then initialize it by running the following command:
gcloud init
- (省略可)gcloud CLI コマンドのデフォルトを構成します。
- 認証に使用しているアカウントに Artifact Registry にアクセスするための権限があることを確認します。ユーザー アカウントではなく、サービス アカウントを使用することをおすすめします。
- Docker をインストールします(まだインストールしていない場合)。 Docker は Cloud Shell に含まれています。
Docker がレジストリを操作するには特権アクセスが必要です。Linux や Windows では、Docker コマンドを実行するユーザーを Docker セキュリティ グループに追加します。Docker Desktop は、root ユーザーとして仮想マシンで実行されるため、この手順は MacOS では不要です。
Linux
Docker セキュリティ グループは
docker
と呼ばれます。ユーザー名を追加するには、次のコマンドを実行します。sudo usermod -a -G docker ${USER}
Windows
Docker セキュリティ グループは
docker-users
と呼ばれます。管理者のコマンド プロンプトからユーザーを追加するには、次のコマンドを実行します。net localgroup docker-users DOMAIN\USERNAME /add
ここで
- DOMAIN は Windows ドメインです。
- USERNAME は、ユーザー名です。
ログアウトして再度ログインすると、グループ メンバーシップの変更が反映されます。仮想マシンを使用している場合、メンバーシップの変更を有効にするために、仮想マシンの再起動が必要になることがあります。
認証方法の選択
使用できる認証方法は、次のとおりです。
- gcloud CLI 認証ヘルパー
- Docker で使用するための Artifact Registry 認証情報を gcloud で直接構成します。これは最も簡単な認証方法ですが、スタンドアロンの認証ヘルパーよりも処理が遅い可能性があります。
- スタンドアロン Docker 認証ヘルパー
- このオプションは、主に Google Cloud CLI がない場合に Docker で使用する認証情報を構成するためのものです。これは gcloud 認証ヘルパーよりも明らかに速く、アプリケーションのデフォルト認証情報(ADC)を使用して環境内の認証情報を自動的に探索します。
- アクセス トークン
- サービス アカウント用に有効期間が短いアクセス トークンを生成してから、それをパスワード認証に使用します。トークンは 60 分間のみ有効であるため、サービス アカウント キーよりも安全なオプションです。
- サービス アカウント キー
- サービス アカウントの認証情報として使用できるユーザー管理の鍵ペア。認証情報は有効期間が長いため、使用できるすべての認証方式の中で最も安全性の低い認証方式です。
可能であれば、アクセス トークンまたは認証ヘルパーを使用して、コンテナ イメージへの不正アクセスのリスクを軽減します。サービス アカウント キーを使用する必要がある場合は、認証情報管理のおすすめの方法に従ってください。
Docker 構成ファイル内の認証設定
Docker では、認証設定が構成ファイル config.json に保存されます。
- Linux:
~/.docker/config.json
- Windows:
%USERPROFILE%\.docker\config.json
ファイルには、さまざまな認証方法に対応する別々のセクションがあります。
credHelpers
- 認証に Docker 認証ヘルパーを使用する場合、Artifact Registry では、認証ヘルパー設定がファイルの
credHelpers
セクションに保存されます。 auths
- Docker を使用し、パスワードとしてトークンやサービス アカウント キーでサインインする場合、Docker では、認証情報の Base64 でエンコードされたバージョンが、ファイルの
auths
セクションに保存されます。 credStore
- 認証情報ストアを構成して認証情報を管理する場合、認証情報ストアの設定は、ファイルの
credStore
セクションに記述されます。
Docker がレジストリに接続すると、まず、ホストに関連付けられている認証情報ヘルパーが確認されます。したがって、config.json
の credHelpers
セクションと auths
セクションの両方に Artifact Registry の設定が含まれている場合、auths
セクションの設定は無視されます。
gcloud CLI 認証ヘルパー
gcloud CLI 認証情報ヘルパーは、プロジェクト リソースに安全で短期間のアクセス権を付与します。Google Cloud CLI がインストールされている環境で Artifact Registry ホストに対して認証するように Docker を構成します。 Cloud Shell には、Google Cloud CLI と Docker の現在のバージョンが含まれています。
gcloud CLI 認証ヘルパーは、設定が最も簡単な認証方法です。gcloud CLI セッションのアクティブ ユーザーまたはサービス アカウントの認証情報を使用して Docker が構成されます。この認証ヘルパーは gcloud CLI に依存するため、スタンドアロン認証ヘルパーよりも明らかに処理が遅い可能性があります。サードパーティのツールを使用した自動ビルドや、多数のレジストリ ホストが構成された Docker クライアントの場合は、代わりにスタンドアロンの認証ヘルパーを使用してください。
Artifact Registry を認証するには、次の手順を行います。
Docker コマンドを実行するユーザーとして gcloud CLI にログインします。
ユーザー認証情報により認証を構成するには、次のコマンドを実行します。
gcloud auth login
サービス アカウントの認証情報で認証を構成するには、次のコマンドを実行します。
gcloud auth activate-service-account ACCOUNT --key-file=KEY-FILE
ここで
- ACCOUNT は、Artifact Registry で使用するサービス アカウント(
USERNAME@PROJECT-ID.iam.gserviceaccount.com
形式)です。既存のアカウントを使用する場合は、Google Cloud Console のサービス アカウントページに、またはコマンドgcloud iam service-accounts list
で、サービス アカウントのリストを表示できます。 - KEY-FILE はサービス アカウント鍵ファイルです。鍵の作成については、Identity and Access Management(IAM)のドキュメントをご覧ください。
- ACCOUNT は、Artifact Registry で使用するサービス アカウント(
次のコマンドを実行します。
gcloud auth configure-docker HOSTNAME-LIST
HOSTNAME-LIST は、認証ヘルパー構成に追加するリポジトリ ホスト名のカンマ区切りのリストです。
たとえば、リージョン
us-west1
とasia-northeast1
を追加する場合には、次のコマンドを実行します。gcloud auth configure-docker us-west1-docker.pkg.dev,asia-northeast1-docker.pkg.dev
指定されたホスト名が、認証情報ヘルパーの構成に追加されます。その他のホスト名は、後でコマンドを再度実行して構成に追加できます。
サポートされているリポジトリのロケーションの一覧を表示するには、次のコマンドを実行します。
gcloud artifacts locations list
このコマンドを実行すると、現在の Docker 構成の
credHelpers
セクションと、指定したホスト名を追加した後の更新された構成が表示されます。構成変更を承認するには、「
y
」と入力します。認証情報はユーザーのホーム ディレクトリに保存されます。
- Linux:
$HOME/.docker/config.json
- Windows:
%USERPROFILE%/.docker/config.json
- Linux:
Docker が使用する認証ヘルパーはシステム
PATH
内に存在する必要があります。gcloud
コマンドがシステムPATH
にあることを確認します。
スタンドアロン認証情報ヘルパー
スタンドアロンの Docker 認証情報ヘルパーは、gcloud CLI が利用できないシステムで Artifact Registry で認証されるように Docker を構成します。これは gcloud 認証ヘルパーよりも明らかに速く、アプリケーションのデフォルト認証情報(ADC)を使用して環境内の認証情報を自動的に探索します。イメージの push と pull 以外の操作(イメージのタグ付けや一覧表示など)の場合。サードパーティのツールを使用した自動ビルドや、多数のレジストリ ホストが構成された Docker クライアントの場合は、この認証方法の使用をおすすめします。
スタンドアロンの Docker 認証ヘルパーでは、Artifact Registry の認証情報を取得し、Docker 構成ファイルに書き込みます。この方法で、Docker のコマンドライン ツール docker
を使用して、Artifact Registry を直接操作できます。
Docker 認証ヘルパーを使用するには:
Docker コマンドを実行するユーザーとしてマシンにログインします。
GitHub からスタンドアロン Docker 認証ヘルパーをダウンロードします。
必要に応じて、
curl
コマンドライン ユーティリティを使用できます。例:VERSION=2.1.23 OS=linux # or "darwin" for OSX, "windows" for Windows. ARCH=amd64 # or "386" for 32-bit OSs curl -fsSL "https://github.com/GoogleCloudPlatform/docker-credential-gcr/releases/download/v${VERSION}/docker-credential-gcr_${OS}_${ARCH}-${VERSION}.tar.gz" \ | tar xz docker-credential-gcr \ && chmod +x docker-credential-gcr && sudo mv docker-credential-gcr /usr/bin/
Artifact Registry を操作するときに Artifact Registry 認証情報を使用するように Docker を構成します(これが必要になるのは一度だけです)。
docker-credential-gcr configure-docker --registries=HOSTNAME-LIST
HOSTNAME-LIST は、認証ヘルパー構成に追加するリポジトリ ホスト名のカンマ区切りのリストです。
たとえば、リージョン
us-west1
とasia-northeast1
を追加する場合には、次のコマンドを実行します。docker-credential-gcr configure-docker --registries=us-west1-docker.pkg.dev,asia-northeast1-docker.pkg.dev
指定されたホスト名が、認証情報ヘルパーの構成に追加されます。その他のホスト名は、後でコマンドを再度実行して構成に追加できます。
サポートされているリポジトリのロケーションの一覧を表示するには、次のコマンドを実行します。
gcloud artifacts locations list
詳細については、GitHub のスタンドアロン Docker 認証情報ヘルパー ドキュメントをご覧ください。
認証情報はユーザーのホーム ディレクトリに保存されます。
- Linux:
$HOME/.docker/config.json
- Windows:
%USERPROFILE%/.docker/config.json
- Linux:
Docker が使用する認証ヘルパーはシステム
PATH
内に存在する必要があります。docker-credential-gcr
コマンドがシステムPATH
にあることを確認します。認証情ヘルパーが認証情報を正常に取得できることを確認するには、次のコマンドを実行します。
echo "https://HOSTNAME" | docker-credential-gcr get
HOSTNAME は、構成に追加したホスト名に置き換えます。例:
echo "https://us-west1-docker.pkg.dev" | docker-credential-gcr get
コマンドが正常に実行されると、返された JSON 出力の
Secret
フィールドにトークンが含まれます。例:{"ServerURL":"https://us-west1-docker.pkg.dev","Username":"_dcgcr_2_0_0_token","Secret":"ya29..."}
Docker が Artifact Registry で認証するように構成されました。イメージの push と pull を行う場合は、権限が正しく構成されていることを確認してください。
アクセス トークン
有効時間の短い OAuth アクセス トークンを生成して、Artifact Registry で認証できます。トークンは 60 分間有効であるため、リクエストしてから 1 時間以内に Artifact Registry との接続に使用してください。
アクセス トークンをサービス アカウントの認証情報で使用するには:
アプリケーションに代わって動作するサービス アカウントを作成するか、自動化に使用する既存のサービス アカウントを選択します。
適切な Artifact Registry のロールをサービス アカウントに付与して、リポジトリへのアクセスを許可します。
サービス アカウントのアクセス トークンを生成し、認証します。
サービス アカウントの権限を借用して、サービス アカウントとして認証するには、サービス アカウント トークン作成者のロール(
roles/iam.serviceAccountTokenCreator
)に対する権限が必要です。次のコマンドを実行します。ACCOUNT は、サービス アカウントのメールアドレスに置き換え、LOCATION はリポジトリのリージョンまたはマルチリージョンのロケーションに置き換えます。
Linux
gcloud auth print-access-token \ --impersonate-service-account ACCOUNT | docker login \ -u oauth2accesstoken \ --password-stdin https://LOCATION-docker.pkg.dev
Windows
gcloud auth print-access-token --impersonate-service-account ACCOUNT | docker login -u oauth2accesstoken --password-stdin https://LOCATION-docker.pkg.dev
これで Docker が Artifact Registry で認証されるようになりました。
サービス アカウント キー
サービス アカウントの有効な秘密鍵にアクセスできるユーザーは、サービス アカウントを介してリソースにアクセスできます。サービス アカウントに対するキーのアクセスのライフサイクル、つまりサービス アカウントがアクセスできるデータは、ダウンロードしたユーザーのライフサイクルとは無関係です。
次のガイドラインを使用して、リポジトリへのアクセスを制限してください。
- リポジトリの操作のみ使用される専用のサービス アカウントを作成します。
- サービス アカウントに必要なアクセスに特定の Artifact Registry ロールを付与します。たとえば、アーティファクトのみをダウンロードするサービス アカウントには、Artifact Registry 読み取りのロールのみが必要です。
- プロジェクト レベルではなく、各リポジトリ内で専用のサービス アカウントの権限を構成します。その後、リポジトリ コンテキストに基づいてアクセスを指定できます。たとえば、開発ビルド用のサービス アカウントには、本番環境リポジトリに対する Artifact Registry 読み取りのロールと、ステージング リポジトリに対する Artifact Registry 書き込みのロールがある場合があります。
- 認証情報管理のおすすめの方法に従います。
Artifact Registry リポジトリでのみ使用する新しいサービス アカウントとサービス アカウント鍵を作成する手順は、次のとおりです。
アプリケーションに代わって動作するサービス アカウントを作成するか、自動化に使用する既存のサービス アカウントを選択します。
Artifact Registry で認証を設定するには、サービス アカウントのキーファイルの場所が必要です。既存のアカウントの場合は、[サービス アカウント] ページで鍵を表示し、新しい鍵を作成できます。
必要に応じて、キーファイルの内容をすべて base64 でエンコードできます。
Linux
base64 FILE-NAME > NEW-FILE-NAME
macOS
base64 -i FILE-NAME -o NEW-FILE-NAME
Windows
Base64.exe -e FILE-NAME > NEW-FILE-NAME
ここで、FILE-NAME は元のキーファイルの名前、NEW-FILE-NAME は base64 でエンコードされたキーファイルです。
サービス アカウントの権限が正しく構成されていることを確認します。Compute Engine サービス アカウントを使用している場合は、権限とアクセススコープの両方を正しく構成する必要があります。
サービス アカウント鍵を使用して、Docker との統合を構成します。
次のコマンドを実行します。
Linux / macOS
cat KEY-FILE | docker login -u KEY-TYPE --password-stdin \ https://LOCATION-docker.pkg.dev
Windows
Get-Content KEY-FILE | docker login -u KEY-TYPE --password-stdin https://LOCATION-docker.pkg.dev
次のように置き換えます。
- KEY-TYPE は次のいずれかです。
- ファイルの作成時に提供された JSON 形式のサービス アカウント鍵を使用している場合は、
_json_key
。 _json_key_base64
を使用する場合、ファイルの内容のすべてを base64 でエンコードします。
- ファイルの作成時に提供された JSON 形式のサービス アカウント鍵を使用している場合は、
- KEY-FILE は、JSON 形式のサービス アカウント鍵ファイルの名前です。
- LOCATION は、イメージが保存されているリポジトリのリージョンまたはマルチリージョンのロケーションです。
- KEY-TYPE は次のいずれかです。
これで Docker が Artifact Registry で認証されるようになりました。