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The Prompt: 2023 年 4 月〜 6 月期における生成 AI の主要テーマ

2023年9月7日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 7 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

このところ、ビジネス リーダーたちの間では、ジェネレーティブ AI が話題の中心となっています。急速に進化を続け、変革をもたらすこの分野の話題をフォローできるよう、「The Prompt」と題したシリーズを通じ、Google がお客様やパートナーと接するなかでの気づきや、Google の AI の最新動向を紹介していきます。今回は、Google Cloud の AI & ビジネス ソリューション担当グローバル VP の Philip Moyer が、ここ数か月の主要テーマについて振り返ります。

ここ数か月はめまぐるしい変化の連続でした。生成 AI はもはや、単に魅力的で革新的な可能性ある技術ではありません。今では、世界中の組織が利用できるテクノロジーとなりつつあります。AI カスタマー サービス アシスタントコーディング コラボレーター、より良いドライブスルー体験を促進するアプリなど、Google Cloud のお客様はあらゆる種類の革新的な方法でこのテクノロジーを活用し始めています。

その進化のスピードには目を見張るものがありますが、読者の皆様の多くが夏休みでリラックスしている今こそ、4 月に開始した本シリーズ「The Prompt」を通して私たちが学び、議論してきたことを復習する良いタイミングになるのではないでしょうか。

初めに取り組むべきこと

生成 AI を初めて活用する場合、まず主要なコンセプトと、それがビジネスにどのような影響を与えるかを把握することから始めましょう。

この課題を考えることは複雑であるため、明快な答えはなかなか見つからないかもしれません。勾配降下法や活性化関数の細かい点はデータ サイエンティストに任せれば問題ないのですが、経営幹部は、基盤モデル(Google の PaLM 2 など)、モデルのカスタマイズ手法(ファインチューニングなど)、独自のデータと生成機能を組み合わせるアプローチ(エンべディングなど)のようなコア技術のコンセプトに精通する必要があります。

核となるコンセプトを理解すれば、生成 AI の実用性あるポテンシャルと市場に出回る誇大広告やノイズを見分けることできるようになります。たとえば、特定のユースケースでは、より大きなモデルが必ずしも優れているわけではありません。また、単一の基盤モデルが多くの注目を集めてはいるものの、Google Cloud は、企業が「1 つのモデルですべてを統制する」のではなく、多くのモデルを使用することを想定しています。

詳細については、以下をご覧ください。

生成 AI の導入を成功させるためのベスト プラクティスや重要なユースケース

生成 AI は新しいテクノロジーであるため、ML(機械学習) に精通した組織であっても、最適な用途と実装アプローチについてはまだ評価をしきれていません。生成 AI の可能性は非常に広範囲にわたるため、IT やマーケティングなど、企業のどの部門が最も影響を受けるかに関する明確なコンセンサスさえありません。それでも、多くの指針となる原則は明らかになりつつあります。

導入にはさまざまな形があります。組織の一部の従業員は、さまざまなタスクで生成 AI アシスタントをすでに試している可能性があります。彼らの中には、おそらく IT 部門の承認や認識なしに試した人もいるはずです。AI を活用した生産性向上プラットフォーム、アプリ、アシスタントによって、ユーザーは生産性と創造性を高めることができますが、企業は AI アプリの無許可使用によって企業データが漏洩するなどの「シャドー IT」シナリオに注意する必要があります。

企業の生成 AI の取り組みには、おそらくサードパーティ製アプリ以外にカスタム アプリケーションも含まれるでしょう。ここでは、ムーンショットと呼ばれるような壮大な計画への意欲が役立ちます。数年以内に、生成 AI は現在では想像も予測もできないような驚くべき方法で応用されているはずです。しかし、将来の目標は、今すぐに価値を付加できる実用的な使用例によってバランスを取る必要があります。

多くの組織にとって、AI  chatbot とエンタープライズ検索アプリは出発点として優れています。

最新の基盤モデルを活用した chatbot は、すでにコールセンターのエージェントの生産性向上に役立っており、組織はより豊かでパーソナルなカスタマー エクスペリエンスを実現する生成型カスタマー サービス chatbot への投資を増やしています。エンタープライズ検索と情報管理においては、生成 AI により、情報を検索して活用する新しい方法を利用すること、そして何千もの社内文書を合成するという不可能なタスクを単純な指示と生成された答えに変えることが可能になります。

これらのユースケースには 3 つの共通要素があります。まず、価値を迅速に生み出す明快な機会を提供すること。また、データ サイエンスや ML に関する高度な専門知識がなくても実装できること。そして、組織が継続的に生成 AI の専門知識を蓄積し、より革新的な作業に移行していくにつれて、社内プロジェクトまたは限定的な公開プロジェクトを通じて基盤モデルを快適に使用できるようになることです。この 3 つの要素が、情報管理アシスタントと AI チャット アシスタントが生成 AI の利用を始める入り口となりやすい大きな理由となっています。これらのコンセプトが実際にどのように適用されているかは、以下の動画からご確認いただけます。

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詳細については、以下をご覧ください。

基盤モデル以外に必要なもの

生成 AI を支えているのは基盤モデルですが、それらを活用してデプロイに値するカスタム アプリを作成するには他のさまざまな要素も必要です。

まず、AI ワークロードを大きな規模で確実に実行できるインフラストラクチャ、モデルを調整したり特定のデータソースに特化させたりするためのメカニズム、こうしたモデルに基づいてアプリを構築するためのツールなどが必要になります。エンタープライズ検索やチャットなどの一般的なユースケースの場合、テクノロジー プロバイダはここ数か月間、複雑さを合理化するために多くのプロダクトを導入しました。ほとんどの企業にとって、クラウド プラットフォームは、生成 AI の手法を拡大していくのに必要な機能を構築するための最もスムーズな方法を提供すると言っていいでしょう。

たとえば、Google Cloud の Generative AI App Builder を使用すると、エンタープライズ検索エンジンと chatbot をわずか数分で作成できます。また、一般的なユースケースからさらに洗練されたプロジェクトに取り組むお客様は、PaLM 2 を含むさまざまな基盤モデルや、モデル開発、調整、管理、デプロイ用の堅牢なプラットフォームへのアクセスを提供する Vertex AI での生成 AI サポートを活用しています。

生成 AI の導入を実現するには、プラットフォームの機能が基盤モデルと同じくらい重要となります。

Google Cloud、AI & ビジネス ソリューション担当グローバル VP、, Philip Moyer

生成 AI の導入を実現するには、プラットフォームの機能が基盤モデルと同じくらい重要となります。ニーズは企業によって異なります。上述したことは例示にすぎず、プラットフォームに関する配慮すべき事項を網羅してはいません。この記事では、データ プライバシー、セキュリティ、責任ある AI などの重要なトピックについては、軽く触れているだけです。しかしながら、モデルだけでなくプラットフォーム機能の観点から考えることは、生成 AI 機能の構築と拡張において不可欠であるということは述べておきます。

詳細については、以下をご覧ください。

生成 AI が従業員に与える影響

生成 AI は、ほとんどの仕事に影響を与える可能性を秘めた革新的なテクノロジーです。コメンテーターは、自動化による雇用喪失についてもっともな疑問を投げかけています。ただし、前述したようなユースケースでは、自動化によって仕事が奪われるのではなく、人々を支援することも示されています。私たちは、生成 AI の用途を思い描くうえで、それこそが最も有用な見方であると考えています。

生成 AI の導入を検討する際の目標は、単調な作業を減らし、新しいインサイトを発見し、お客様を喜ばせることです。今は簡単にできないことをできるよう支援するために、AI を活用するのです。

Google Cloud、AI & ビジネス ソリューション担当グローバル VP 、, Philip Moyer

生成 AI の導入を検討する際の目標は、単調な作業を減らし、新しいインサイトを発見し、お客様を喜ばせることです。今は簡単にできないことをできるよう支援するために、AI を活用するのです。

たとえば、多くの組織が、反復的なビジネス文書の作成を自動化する方法や、ブレインストーミングを可能にする方法を模索しています。しかし、私たちがお客様と対話したなかから感じたのは、経営陣は、こうしたプロジェクトによって労力が軽減され、従業員がより満足のいく、創造的で人間らしい仕事に集中できるようになると気づいているということです。生成 AI には文字どおり無数の用途があり、それがこのテクノロジーを非常に魅力的なものにしています。しかしその最良の用途においては、人間が単に「参加」するだけでなく、中心に据えられる傾向が見られます。

詳細については、以下をご覧ください。

探求を始めましょう

この記事では、数か月にわたって「The Prompt」で取り上げてきた主なテーマを要約しました。ただ、生成 AI は広大なトピックであり、それがビジネスに何をもたらすのかを見つける最善の方法は、探索を続けるしかありません。

さまざまな業界のトレンドについては、最近のいくつかの主要な展示会での話題に関する解説をご覧ください。誕生する可能性のある驚くべき用途の一部をご紹介した、人間による動物の理解を促進する可能性のある生成 AI を特集したこちらの記事もご参照ください。さらに実践的に学ぶには、無料の生成 AI トレーニングと各種教材をご利用ください。


- Google Cloud、AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP Philip Moyer

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