The Prompt: ビジネスリーダーは、ジェネレーティブ AI に何を期待する?
Google Cloud Japan Team
変革をもたらすジェネレーティブ AI の最新トレンド
※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
このところ、ビジネス リーダーたちの間では、ジェネレーティブ AI が話題の中心となっています。急速に進化を続け、変革をもたらすこの分野の話題をフォローできるよう、「The Prompt」と題したシリーズを通じ、Google がお客様やパートナーと接するなかでの気づきや、Google の AI の最新動向を紹介していきます。今回は、Google Cloud の AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP の Philip Moyer が、ビジネスリーダーへのアンケートから彼らがジェネレーティブ AI に期待していることについて説明します。
昨今の企業や取締役会では、ジェネレーティブ AI が話題に上らない日はほとんどなく、しばしば話題の中心になっています。これは、主要なお客様の経営幹部数百名を対象に Google が開催した、ジェネレーティブ AI の可能性を紹介する最近のイベントでも明らかになりました。
イベントでは、セッションの合間に、ジェネレーティブ AI に関するトピックのうち、ビジネス リーダーやテクノロジー リーダーが何に最も関心を持っているのかについて、簡単なアンケートを実施しました。そこでご協力いただいた 50 名を超える皆さんの回答を、今回の「The Prompt」で紹介します。
組織はジェネレーティブ AI を導入すべきだと考えているが、重要な AI スキルがまだない
比較的新しいテクノロジーであるにもかかわらず、ジェネレーティブ AI にはすでに単なる流行りや期待以上のものがあります。ジェネレーティブ AI ツールの導入競争は本格的に始まっています。
話を伺った経営幹部の約 5 分の 2 が、組織として準備が整っているかどうかにかかわらず、ジェネレーティブ AI の導入を急ぐ必要があると感じていると回答しました。そして、組織には AI 戦略を実行するために重要とされるスキルがないと回答した人が 62% に上ったのに対して、AI の目標達成に必要なスキルをすべて備えていると答えた人はわずか 4% でした。
これはある意味、このテクノロジーの新しさを反映しているのかもしれません。実際に重要となるスキルが何なのかを、リーダーが必ずしも理解しているとは限らないからです。経営幹部の中には、導入準備としてまずはデータ サイエンスの専門家を増やすことを課題にあげる人もいました。これについては、以前のシリーズ「The Prompt」も触れましたが、多くの場合、必須とは限りません。また、プロンプト エンジニアリングといった新たなタスクに注目している人や、組織に在籍する開発者たちがジェネレーティブ AI に対応できるよう、容易にスキルアップさせることに注目している人もいました。
新しさはともかくとして、AI に対するこのような意見は、Google I/O でデベロッパーを対象に実施した別のアンケートでも明らかでした。64% ほどがジェネレーティブ AI の導入を急ぐ必要があると感じている一方で、最も重要なスキルが組織に足りていないという回答は 50% 強もありました。
組織の AI 導入を拡大していくための最初のステップは、AI ツールを増やすことだけではなく、AI スキルの増強、特に AI スキルを持った従業員の拡充であるのは明らかです。
経営幹部とデベロッパーの双方が、ジェネレーティブ AI ツールが出力する情報の質に懸念を抱いている
多くの経営幹部が、ジェネレーティブ AI を改革とイノベーションの好機だと捉えている一方で、リスクについてもしばしば話題に上がります。
繰り返し耳にすることが、ジェネレーティブ AI ツールの出力に対する不信感です。「AI が出力する不正確な情報からお客様と従業員を保護できるのか?」「固有バイアスが含まれるリスクをどう低減できるのか?」「操作ミスやうまく使いこなせないことで、マイナスの結果を生じることはないか?」といった懸念の声が聞こえています。
回答者の 70% が示した最大の懸念事項は、AI が人々に間違った情報を与えるのではないかということでした。次がバイアスがかかった結果が出ることへの懸念(68%)、その次がエラーやもっともらしい嘘に対する懸念(41%)でした。
驚いたことに、ほとんどの回答者が、データのセキュリティや AI により雇用が失われる可能性といった一般的に優先度の高いとされるトピックよりも、これらの懸念事項を多く挙げていました。たとえば、主要リスクとしてビジネスデータの漏えいを挙げた回答者は 4 分の 1 未満でした。
ジェネレーティブ AI を最大限に活用できる分野は IT 以外かもしれない
もう一つの興味深い知見は、ジェネレーティブ AI が IT 以外の分野をサポートするテクノロジーとして勢いを増していることです。たとえば、アンケート回答者の 70% 近くが、ジェネレーティブ AI を最大限に利用できるようになるのはマーケティング組織だと答え、事業運営、物流がこれに続きました。
これは、Harris Poll が 4 月 4 日~10 日に、従業員が 1,000 人を超える米国企業の経営幹部 201 名に実施したアンケートの結果とは大きく異なっています。このアンケートでは、回答者の 90% 超が、ジェネレーティブ AI のツールとテクノロジーを最大限に活用できる分野は IT であると答えていました。今回の略式のアンケートではほとんどの回答者が、エンジニアリング部門でジェネレーティブ AI のユースケースが多くなる可能性を挙げており、IT 組織全般を挙げた回答者を上回っていました。
Google I/O でのアンケートでも同じような傾向があり、デベロッパーはカスタマー サービス、ソフトウェア開発、コンテンツ作成をジェネレーティブ AI のユースケースの上位に挙げていました。
このような結果は、このテクノロジーの多大な可能性と、その用途をテストして追跡していくことの必要性を改めて示しています喚起しています。最適なユースケースがどのようなもので、それが最終的にどのような形に落ち着くかは、今後も探索と共同作業を続けて学んでいくべき課題です。
Google の AI に関する最新の話題(※ 英語のコンテンツを含みます)
広告がジェネレーティブに: Google は、企業がジェネレーティブ AI を広告に組み込むための新しいプロダクトを発表しました。
Google Cloud の新しい AI プロダクトのご紹介: Google I/O で行った AI に関するさまざまな発表に続き、Google Cloud は、新しい音声モデル Chirp と Embeddings API の詳細情報をブログで公開しました。
デベロッパーによるイノベーションを AI で支援: Google は、2023 年 Gartner® Magic Quadrant™ for Cloud AI Developer Services レポートでリーダーに選出されました。
最新の研究成果 Google の AI 研究者は新たな分野を留まることなく切り開いています。今週も進展があり、グラフや記号、四足歩行ロボットの新たなアジリティ ベンチマークである「Barkour」を使用してジェネレーティブ AI の推論を向上させる新しい方法を紹介しました。
早期テストプログラムの公開: Search Labs を公開いたしました。これは、Google 検索におけるジェネレーティブ AI の早期テストにご参加いただける新しいプログラムです。
- Google Cloud、AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP、Philip Moyer