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The Prompt: ジェネレーティブ AI の業界動向

2023年5月29日
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Google Cloud Japan Team

製造業者が抱える大量のデータを価値に変えるサポートをするクラウド

※この投稿は米国時間 2023 年 4 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

このところ、ビジネス リーダーたちの間では、ジェネレーティブ AI が話題の中心となっています。急速に変化を続け変革をもたらしているこの分野の話題をフォローできるよう、このたび「The Prompt」と題したシリーズを開始し、Google がお客様やパートナーと接するなかでの気づきや、Google における AI の最新動向を紹介します。今回は、Google Cloud の AI & ビジネス ソリューション担当グローバル VP の Philip Moyer とストラテジック インダストリー担当 VP の Carrie Tharp が、最近開催されたいくつかのトレードショーで得た情報を基に、業界の動向を紹介します。

昨今、ビジネス リーダーの大半はジェネレーティブ AI に多様な可能性を認めています。私たちがお話した企業の経営幹部の皆様からも、各業界や組織に特化した活用機会を理解したいという熱意の高まりが感じられました。

これは、最近開催された 3 つの世界最大級のトレード カンファレンスに参加し、多くのリーダーに会った Google の代表者の心に強く刻まれたことでした。Google が参加したのは、メディア向けの NAB Show、製造業と工業の発展のためのハノーバー メッセ、そして、医療業界の HIMSS です。ここでは、業界リーダーとの意見交換で得られた重要な知見をいくつかご紹介します。

メディアのリーダーたちは、AI をコンテンツの生成のみならず、オーディエンスとの新しい関係を形作るものと捉えています。

NAB で最も反響の大きかったセッションの中には、ジェネレーティブ AI がメディア制作や管理ワークフローにどのような影響を与え得るかに焦点を当てたものがいくつかありました。この話題はその後、コンベンション会場にとどまらず、幅広い分野に波及し、アベンジャーズ シリーズの最新 2 作で共同監督を務めたジョー ルッソ氏は、早ければ2 年以内に AI が映画制作を劇的に変革すると予想しています。

しかし、AI が生成するコンテンツや AI を活用したワークフローは、メディアにおける議論のごく一部にすぎません。TIME 誌のデータ、プロダクト、エンジニアリング担当シニア バイス プレジデント Burhan Hamid 氏は、Google との最近のインタビューで、メディア企業による消費者との関係構築やコミュニティ形成の方法をジェネレーティブ AI がいかに変貌させるかについて語っています。詳しい内容はこちらをご覧ください。

メディア リーダーたちと交わした議論は、ジェネレーティブ AI のコンテンツ制作への活用にとどまりません。話題は、パーソナライズされたエクスペリエンスをさらに豊かにすること、コンテンツ収益化の機会を拡大することにも及んでいます。詳細は、こちらのブログ投稿をご覧ください。

ジェネレーティブ AI の可能性に大きな期待を寄せながらも、安全性と規制対応に不安を膨らませる医療およびライフ サイエンス業界

ジェネレーティブ AI の医療業界における可能性は明白です。たとえば、タンパク質の構造を予測する DeepMind の革新的なシステム AlphaFold は、Bard などのサービスで今注目を集めているジェネレーティブ AI モデル同様に、Transformer アーキテクチャに依存しています。AlphaFold は創薬の新しい可能性を切り拓いており、医療業界のリーダーたちはその将来性に大きな期待を寄せています。HIMSS では、米国医師国家試験(USMLE)形式の問題に基づく MedQA データセットで「エキスパート」レベルの成績を収めた初の大規模モデルである、Google の Med-PaLM 2 モデルにも多くの関心と質問が寄せられました。

その一方で、厳格に規制され、機密なデータを取り扱う業界のリーダーとして、多くの経営幹部は慎重な姿勢をとっています。、そして、クラウド プロバイダが、業界リーダーとの密な連携によるコンプライアンスの簡素化とデータの安全確保することに期待しています。

工場の現場から e コマースまで、幅広い可能性を見い出す製造業界

ハノーバー メッセでは、Google のブースを訪れてくださる参加者が後を絶たず、製造現場で今すぐ AI を活用するための実現可能な戦略について、議論を深めました。ジェネレーティブ AI が製造業界に何をもたらすのかについて、多くの方が深い関心を示していました。

AI の活用はまだ初期段階なので、HIMSS で会った多くの経営幹部たち同様、ハノーバー メッセのリーダーたちも規制の問題を懸念していました。また、Google Cloud がエンタープライズ グレードのジェネレーティブ AI サービスをロールアウトする過程で、データ主権、監査、アクセス制御、その他の重要な機能を重視していることについて、強い関心を示し、耳を傾けていました。

話題の中心の一つは、機械生成モニタリングでした。製造業者は機械を接続してデータを収集することには成功していますが、そこから意味を引き出すうえで、より高い壁に直面しています。そこで、AI が大いに役立つはずです。たとえば、将来的には、数千行にわたる数週間分の測定値をスクロールしたり、測定値から許容値や誤差の複雑な計算をする代わりに、現場の従業員が単に AI に質問するだけで事足りる可能性があります。「ラインの機械の健全度を教えてください」や「48 時間以内に調整または交換が必要な部品はありますか」といった質問で、AI から答えを引き出せる可能性があります。

ドキュメント検索、要約補助、e コマース エクスペリエンスの改善、カスタマー サービスの効率化など、より広範に強い関心を引き立てるジェネレーティブ AI のユースケースにも、大勢の参加者が大いに興味を刺激された様子でした。

技術面だけでなく、その実行性とコンプライアンスが重要

このブログシリーズでは以前、企業の経営陣がジェネレーティブ AI に大きな期待を寄せつつも、データとセキュリティについて懸念を示すリーダーも多いことに言及しました。従業員による特定サービスの使用方法、あるいは使用そのものをすでに制限している組織もあります。Google は、規制遵守、安全性、信頼性について各展示会で話し合う中で、このことをしっかり再確認しました。

たしかに、政府や規制機関の対応も厳格化の傾向が見られます。たとえば、スペインのデータ保護機関は OpenAI を GDPR 違反の疑いで調査しています。また、米国では、上院議員の Chuck Schumer 氏が、国家安全保障のための AI ガイドラインの枠組みを起草中です。この重要なトピックについては「The Prompt」で今後もさらに詳しく取り上げますが、端的に言えば、企業が AI 利用の原則を形成し、それに沿った戦略を立て、テクノロジー プロバイダにもこれらの措置を確実に講じさせることが、かつてないほど重要になっています。

Google における AI に関する最新の話題

ブレインとマインドの一体化により、どのような相乗効果が生まれるか?Google では、多くのチームが長年 AI の発展に貢献してきましたが、中でも Google Brain と DeepMind の実績が、Google 内だけでなく世界全体で、最も影響力のあるものとして広く認知されています。AI イノベーションの加速に伴い、Google はこの 2 チームを Google DeepMind として一体化させました。この変更が、大胆かつ責任を持って AI をお客様に提供する Google の取り組みをいかに後押しするかについて、こちらのブログ投稿をご覧ください。

詩作にふけるもよし、アプリ開発するもよし:Bard のリリース以来、ユーザーは詩、ブログ、質問の回答、その他あらゆるコンテンツを生成してきました。そして、最新のアップデートでは、コーディング支援も可能になりました。こちらのブログ投稿では、Bard によって C++、Go、Java、JavaScript、Python、TypeScript を含む 20 を超える言語を使用したプログラミングやソフトウェア開発タスクを支援できることが、Google の Paige Bailey によって検証されています。

- Google Cloud、ストラテジック インダストリー担当 VP Carrie Tharp
- Google Cloud、AI & ビジネス ソリューション担当グローバル VP Philip Moyer

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