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生成 AI 活用の基盤づくり: 経営幹部向けのアンケートからAI 構築のヒントを読み解く

2024年4月19日
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Google Cloud Japan Team

より多くのビジネス分析情報の取得、データ リテラシーの向上、データアセットの保護、能力の強化に役立つ 5 つの生成 AI データトレンド

※この投稿は米国時間 2024 年 3 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

あなたの組織では、すでに生成 AI 導入の準備が整っているかもしれません。しかし、データの準備はどうでしょうか?

生成 AI は確実に私たちの生活に浸透してきています。この画期的なテクノロジーが業界に革新をもたらし、日常生活を変革していくのを、私たちはこれまで目の当たりにしてきました。ただし、生成 AI を活かすためには必要な条件が 1 つあります。その条件とは、適切なデータが存在することです。生成 AI を具体的なビジネス成果に変えるためには、適切なデータが必要不可欠なのです。

すべての AI テクノロジーと同様に、生成 AI モデルが学習、推論、予測を行い、時間の経過に伴って出力品質を改善していくために重要なのは、データなのです。Google Cloud が新たに実施したアンケートによると、最終的に生成 AI が大きな成果につながるかどうかは、組織のシステム全体のデータにアクセスして管理、有効化する能力を高められるか否かにかかっていると言えます。

このアンケートでは、数百人のデータリーダー、ビジネス リーダー、IT リーダーを対象に生成 AI の活用についての目標や戦略についての調査を実施し、今後数年間に生成 AI が最も効果を発揮しそうな領域を明らかにしています。これらのリーダーは、AI 時代に企業のデータスタック全体で生じる可能性のある変化について、貴重なインサイトも提供しています。

2024 年、人々の注目は AI の試験運用からその広範な実装へと移っています。こうした流れのなか、組織にとって特に重要な 5 つの最新トレンドを紹介します。また、これらのトレンドが組織のデータにとってどのような意味があるのかも説明しましょう。

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アンケート回答者の大半が、生成 AI によって組織データや必要な情報にアクセスするスピード、そして重要な点として、そうしたデータにアクセス可能な「ユーザー」が変わると予想しています。回答者の約 84% が、生成 AI によって組織が分析情報にアクセスするスピードが加速すると考え、データに関する意思決定者の 3 分の 2 近くが、分析情報へのアクセスが民主化されると考えています。

生成 AI は、専門家だけでなく、あらゆるユーザーがデータを操作、分析できるようにします。これにより、組織全体のデータ リテラシーが高まり、生産性が向上します。また、より多くのチームメンバーが、特別なスキルセットがなくても新しい分析情報を生成できるようになります。実際、非技術系ユーザーの 52% はすでに生成 AI を活用して分析情報を取得しており、多くの組織が生成 AI をすべての事業部門に導入する予定だと回答しています。生成 AI を活用して分析情報を取得しているビジネス ユーザーが特に多いのは、マーケティング、広告、PR(62%)、営業(47%)、運用(42%)、プロダクト管理(41%)の分野です。

データスタックに関する重要なポイント: 大規模言語モデル(LLM)をビジネスデータに接続することで、データと AI のスキルギャップを埋め、従業員は自然言語でデータと「会話」できるようになります。こうした「会話」は、検索ベースまたはチャットベースのインターフェースで行うことができ、情報の検索や、ダッシュボード、レポート、可視化に役立ちます。

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生成 AI により、データや AI プラットフォームとの新たな関わり方が可能になりました。そうしたなか、回答者の 80% が、データと AI の役割分担の境界線が曖昧になりつつあると述べています。以前はサイロ化していたデータ分析チーム、エンジニアリング チーム、AI チームがこれまで以上に緊密に連携できるようになり、これらのチームの多くのメンバーは、生産性を高めてデータから AI への移行を加速できる機能を一様に求めています。

生成 AI を活用して既存のチームが変化のペースについていけるように支援し、人材不足を解消することもできます。マルチモーダル モデルテキスト エンベディングなどの高度な AI / ML テクノロジーを活用すると、データから AI への移行という特に時間のかかるプロセスの多くを簡素化し、責務を再分散して、ワークフローを再定義できるようになるため、組織はイノベーションを加速できます。

データスタックに関する重要なポイント: AI を直接データに組み込むことで、その可能性を最大限に発揮して、元データから AI へと移行するスピードを上げることができます。特に、マルチモーダル モデルを使用すると、構造化データ、半構造化データ、非構造化データにかかわらず、あらゆるデータを活用できる機会が生まれます。組織全体で AI の導入が増えるにつれて、データと AI ツールの相互連携をさらに進めてデータと AI ワークフローを効率化し、チームがコラボレーションするための共用ワークスペースを提供する必要があります。

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今回実施したアンケートでは、生成 AI の特定のセキュリティ リスク(ハルシネーション、データ ポイズニング、データ漏洩など)を回避するために解消する必要がある、データの新たな脆弱性と弱点に関する懸念も浮き彫りになりました。アンケート結果によると、組織は依然として、データが生成 AI のユースケースに完全に対応しているかどうかを明確に把握しておらず、データ品質に十分な自信を持っていると述べた回答者は半数未満(44%)でした。

多くの場合、この自信の欠如はデータ ガバナンスの成熟度と関連しています。ほとんどのリーダーは組織がデータ ガバナンスに関してやや成熟しているのみであると考えており(54%)、非常に成熟していると回答したのはわずか 4 分の 1 超でした。

データスタックに関する重要なポイント: LLM をデータに適用するだけでは不十分です。生成 AI のユースケースをサポートするには、LLM を質の高いエンタープライズ データに関連付ける必要があります。最初からデータ ガバナンスとコンプライアンスの強固な基盤を確立した組織は、ビジネス価値を実現してより良い結果を生み出すための確固たる足場を築くようになります。これを実現する最善の方法は、データと AI アセットのガバナンスを監督し、統合するための自動化とインテリジェンスが組み込まれた、安全性を重視した設計のプラットフォームを探すことです。

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エンタープライズ向け生成 AI アプリは、さまざまな課題に直面しています。たとえば、正確なリアルタイムのデータへのアクセス、状況に応じた関連性の高いユーザー エクスペリエンスの提供といった機能を、大きなコストや複雑さを伴うことなく開発する必要があります。アンケート回答者の 71% は、生成 AI 機能と統合されたデータベースを使用する予定であると述べています。これは、LLM を企業のユースケースに確実に役立てるために、LLM と重要なビジネスデータをより緊密に連携させる方法を模索していることを示しています。

組織が具体的に求めているのは、AI モデルへのシームレスな接続(45%)、検索拡張生成(RAG)などの手法による信頼できるデータへのモデルの根拠づけ(40%)、自然言語を使用したデータベースの管理(40%)、コード生成(38%)が可能なオペレーショナル データベースです。生成 AI 対応のオペレーショナル データベースに移行することで、デベロッパーは最新データを使ってエンタープライズ向け生成 AI アプリを構築し、迅速に反復処理を行えるようになります。

データスタックに関する重要なポイント: ネイティブの生成 AI 機能は、既存の使い慣れたオペレーショナル データベースですぐに必要不可欠なものとなるでしょう。これらの機能により、関連する既存のビジネスデータに生成 AI を簡単に適用できるようになります。今後、利便性の高いデータベースは、AI ファーストへと進化し、ベクトル検索、AI モデルへの接続性、SQL に対する自然言語などのテクノロジーを深く統合し、 AI ツールやオープンソース フレームワークとの緊密なインテグレーションをしていきます。この移行に乗り遅れたデータベースは、時代遅れになっていくでしょう。

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生成 AI の導入を求める組織は増えているものの、その多くは現行のデータ プラットフォームの限界に頭を抱えています。たとえば、テクノロジーが最新でない、ユーザー エクスペリエンスの質が低い、数百万ドルという不要な費用が発生するといった問題です。意思決定者は、生成 AI がもたらす新たな機会の活用を妨げる主な課題として、扱いにくいライセンス(23%)、クラウド ファーストのアーキテクチャの欠如(19%)、クラウド サービスとのインテグレーションの欠如(17%)、ベンダー ロックイン(13%)を挙げています。

実際、3 社中 2 社が(62%)が、以前のデータベースの AI サポートに「不満」または「どちらでもない」と感じています。この結果は、データベースのモダナイゼーションが依然として、将来のイノベーションを阻む大きなハードルであることを示しています。

データスタックに関する重要なポイント: 今こそ、データ プラットフォームをモダナイズすべきです。生成 AI ブームを最大限に活用するには、最新の AI ツールと最先端のモデルが存在し、実行される場所にデータを配置することが不可欠です。その場所というのは、クラウドです。生成 AI の活用によってツールが改良されたおかげで、以前のデータベースを移行する作業はとても簡単になりました。たとえば、AI を活用したコード変換やコード補完によって移行を簡素化でき、簡単にデータを変換して新しいデータベースに適合させることができるのです。

今後の展望

数十年にわたり、データ マネジメントは企業に難しい課題でした。今は、確かなデータ基盤を整えなければならないという新たな課題に直面しています。生成 AI の力を活用するには、データを統合し、そのデータに誰もがアクセスできるようにして、データを組織の価値に変換するために最新の AI 機能とテクノロジーを使用する必要があります。

生成 AI を探究していくと、さらにさまざまな要素を分析する必要があります。データと AI のトレンドに関するレポートの全文を一読し、その他の詳細情報、お客様の成功事例、導入の実践的なステップを確認してください。


冒頭の画像は、Google Cloud で Midjourney を使用して、「ロケットが発射している様子を示す、楽しい雰囲気のフラットな雑誌風のイラスト。ただし、エンジンから炎が出ているのではなく、排気部分をバイナリコードで表すこと」というプロンプトで作成しました。

-AI およびデータクラウド担当マーケティング ディレクターDain Hansen

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