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The Prompt: ジェネレーティブ AI の導入をシンプルにすべき理由

2023年7月14日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

このところ、ビジネス リーダーたちの間では、ジェネレーティブ AI が話題の中心となっています。急速に進化を続け、変革をもたらすこの分野の話題をフォローできるよう、「The Prompt」と題したシリーズを通じ、Google がお客様やパートナーと接するなかでの気づきや、Google の AI の最新動向を紹介していきます。今回は、Google Cloud の AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP の Philip Moyer とストラテジック インダストリー担当 VP の Carrie Tharp が、ジェネレーティブ AI の導入をシンプルなユースケースから開始することが効果的である理由をご説明します。

Google I/OExecutive Forum、その他さまざまなイベントが開催されるなかで、Google のジェネレーティブ AI プロダクトのリリースが続き、お客様と継続的にコミュニケーションをとることができました。

お客様との多くの会話を通じて、この 1 か月間で、経営幹部の方々の意識に明らかな変化が生じていると感じています。今年のはじめ、ほとんどのお客様は、まだこのテクノロジーが秘める可能性とその進化のスピードに目を見張るばかりでした。しかし現在では、会話の多くが、迅速に本番環境に導入できるユースケースを特定することになっています。

注目すべきは、ML(機械学習) とデータ サイエンスに長期間携わってきた組織以外では、ほとんどの経営幹部が以下のようなシンプルなプロジェクトに取り組んでいるという点です: 

  • セルフサービス型のカスタマー サービスと商品検索のための chatbot およびデジタル エクスペリエンスの構築

  • マーケティング コンテンツの生成

  • 次世代のエンタープライズ検索から、RFI や RFP などの一般的なドキュメントの生成と確認のためのパイプラインまで、社内データ管理の改善

  • アカウントベースのマーケティングやその他の B2B のユースケース向けにパーソナライズされたコンテンツの作成

これらはほんの一例にすぎませんが、多くのリーダーが、世の中で話題になっている未来を見据えた「ムーンショット(困難だが、実現すれば大きな効果を期待できる計画)」に特化するようなことはせず、簡単に構築でき、本番環境にデプロイできる高価値かつ低リスクのソリューションを優先しているという傾向は明確です。

Google Cloud は、そうした戦略が優れたアプローチになると考えています。

ムーンショットが重要であることは、間違いありません。AI アプリケーションに関して、より高い目標を達成しようとする企業は増えてきています。大規模な組織では、そのロードマップ上にいくつかの大きな施策を計画しています。そして一部のスタートアップでは、ムーンショットがロードマップの中核をなしています。

とはいえ、ソーシャル メディアで AI のトレンドをフォローしていると、「ジェネレーティブ AI で生産性が 10 倍になります。取り残されないように!」などと唱えるインフルエンサーが次々と登場します。この種の誇張は、組織が現実的な目標を設定することを困難にします。大きな計画に取り組む場合であっても、すべてをゼロから作り直さずに明確な変化をもたらす実用的で達成可能なユースケースでバランスを取る必要はあるのです。

たとえば、短期的には、コード補完やテキストからコードへの変換などの一般的なジェネレーティブ AI の用途では、ほとんどの組織では 10 倍ではなく 10 パーセント程度の効率向上を目標とするとよいでしょう。このテクノロジーがまだ十分に成熟していないことを考えると、より大きな効率向上も可能かもしれませんが、他のテクノロジーの革新と同様、走り出す前の助走期間が必要になります。導入初期は学習することが大切です。自社の目標を世の中の大げさな宣伝に照らして評価しても意味がありません。

喜ばしいことに、お客様がシンプルさを重視しているというこの状況は、数か月前に本シリーズの第 2 弾でお伝えしたことにも一致します。組織が焦点を当てるべきなのは、お客様を支援する仕組み(セルフサービス型の chatbot など)、社内データを強化するアプリ(エンタープライズ検索テクノロジーとジェネレーティブ AI を組み合わせたアプリなど)、単調な作業を軽減するユースケース(同じマーケティング メッセージの複数回の繰り返しの生成や RFP の作成と処理の高速化など)であるというものでした。

また、このアドバイスに、顧客向けのユースケースではなく、社内のユースケースから始めることの方が生産的であることも付け加えられます。たとえば、組織がエンタープライズ検索のシナリオ向けジェネレーティブ AI 基盤モデルの管理に慣れれば、公開アプリやウェブサイトのためのモデルを活用するのに必要なスキルや自信を身につけることもできます。

さまざまな要件や成熟度が存在することを考慮すると、組織にはジェネレーティブ AI 導入のためのさまざまなエントリーポイントが必要です。Google Cloud はそれらを想定してプラットフォームを構築してきました。Google Workspace などのプロダクトでは一般的なワークフローに AI を組み込みます。Generative AI App Builder は、検索エンジンや chatbot などの一般的なジェネレーティブ AI アプリの構築にまつわる複雑性を抽象化するため、組織は迅速に作業を進めることができます。Vertex AI でのジェネレーティブ AI のサポートにより、カスタム ジェネレーティブ AI アプリにおける本番環境用の基盤モデルへのアクセス、カスタマイズ、管理のための高度なツールを利用できるようになりました。また、幅広いインフラストラクチャ オプションパートナーを利用することで、さまざまなニーズに応じて Google Cloud のプロダクトをさらにカスタマイズできます。以前、本シリーズでも説明したように、これらの機能が構成する枠組みを活用する組織は、初期のプロジェクトを促進するだけでなく、時間をかけて選択の幅を広げ、維持していくこともできます。

シンプルなユースケースにターゲットを絞ることは、導入手法として優れています。なぜならシンプルなユースケースでも、明快で測定できる価値をもたらすことができて、組織がその数か月後、あるいは数年後に、より革新的なアプリケーションを開発するための道が開かれるからです。Google Cloud のプロダクトの活用事例については、以下の新しい動画をご覧ください。

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- Google Cloud、産業部門バイス プレジデント Carrie Tharp
- Google Cloud、AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP Philip Moyer

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