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AI & 機械学習

Google I/O でジェネレーティブ AI が始動

2023年5月22日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

過去 10 年で、人工知能は実験的なプロトタイプや初期の成功から、企業で主流に使用されるまでに進化してきました。そして、ジェネレーティブ AI の最近の進歩によって、創造、接続、コラボレーションの方法が変わり始めています。Google CEO の Sundar Pichai が基調講演で述べたように、あらゆる企業や組織がどうすれば変革を推進できるかを考えています。そのため Google では、企業や組織が AI でイノベーションを簡単かつスケーラブルに行えるようにすることに重点を置いています。

3 月に、Google ではジェネレーティブ AI を Google Cloud サービスに組み込む魅力的な新製品を発表しました。これによりデベロッパーは、エンタープライズ レベルの安全性、セキュリティ、プライバシーを備えた構築を責任をもって行えるようになります。これには、デベロッパーがジェネレーティブ チャットやエンタープライズ検索アプリケーションを迅速かつ簡単に作成できる Gen App Builder や、Google や他社の基盤モデルにアクセスして機械学習開発プラットフォームを拡張し、モデルを迅速に構築、カスタマイズ、デプロイできる、Vertex AI のジェネレーティブ AI などが含まれます。また、Google Workspace のビジョンも紹介し、Gmail と Google ドキュメントの Trusted Tester に、文章作成に役立つジェネレーティブ AI 機能を提供しました。

先月、Google は Security AI Workbench を導入しました。これは、新しい LLM セキュリティ モデル Sec-PaLM を活用した業界初の拡張可能なプラットフォームで、変化し続ける脅威の状況に Google 独自の可視性を組み込み、サイバーセキュリティ運用向けに微調整されています。

本日の Google I/O では、AI の取り組みにおける Google の次のステップだけでなく、お客様やパートナーの次のステップについてもご紹介します。すでに数多くの組織が Google のジェネレーティブ AI 製品を使用した開発やデプロイを開始しています。こうした組織は、それぞれのアイデアをテストすることで、顧客に革新的なエクスペリエンスを提供するために必要なトレーニング モデル、セキュリティ、コンピューティング インフラストラクチャ、コスト管理を備えたエンタープライズ対応のアプリケーションへと変換できています。あらゆる種類のパートナーに機会を提供する Google のオープンなエコシステムも拡大し続けています。また、Google CloudWorkspace 全体で、AI 搭載のコラボレーター Duet AI など、AI が組織に与える影響をより多くのユーザーやデベロッパーが実感できるようになる新しいサービスと機能を共有します。

ジェネレーティブ AI を使用してアイデアを実現したお客様

eDreams ODIGEOGitLabOxbotica など、さまざまな業界の大手企業が、Google のジェネレーティブ AI テクノロジーを使用して、魅力的なコンテンツの作成、情報の合成と整理、ビジネス プロセスの自動化、素晴らしいカスタマー エクスペリエンスの構築を行っています。本日は以下のような例を紹介しました。

  • Adore Me: ニューヨークを拠点とするプライベートなアパレル ブランド。ドキュメントと Gmail でジェネレーティブ AI 機能を使用して、製品に使用できるコピーを作成しています。これにより、同社も驚くような方法で、プロジェクトとプロセスが加速しています。

  • Canva: ビジュアル コミュニケーション プラットフォーム。Google Cloud の豊富なジェネレーティブ AI 機能を言語翻訳に使用して、英語以外の言語を話すユーザーのサポートを強化しています。これによりユーザーは、プレゼンテーション、ポスター、ソーシャル メディアの投稿などを 100 以上の言語に簡単に翻訳できるようになりました。同社はまた、Google の PaLM テクノロジーを使用して、短い動画クリップを長くて説得力のあるストーリーに変える方法もテストしています。その結果、デザイン体験がよりシームレスなものになり、同時に Canva ブランドも成長します。

  • Character.AI: 最先端の会話型 AI プラットフォーム。急速に成長するクリエイター コミュニティのニーズを満たすために必要なスピード、セキュリティ、柔軟性を提供するという理由で、Google Cloud を優先クラウド インフラストラクチャ プロバイダーとして選択しました。これにより、Character.AI は LLM をより迅速かつ効率的にトレーニング、推論できるようになり、想像力、発見、理解が促進されることで、カスタマー エクスペリエンスが向上しています。

  • ドイツ銀行: Google のジェネレーティブ AI と大規模言語モデル(LLM)を大規模にテストすることで、金融アナリストに新たな分析情報を提供し、業務効率と実行速度を向上させています。銀行業務や財務アナリストのタスクの処理にかかる時間を大幅に短縮する機会があり、従業員は、顧客データのプライバシー、データの整合性、システムのセキュリティを保護しながら生産性を向上できるようになります。

  • Instacart: 常に最新の技術革新を導入する機会を探しています。Workspace Labs プログラムに参加することで、新機能にアクセスでき、ジェネレーティブ AI がチームにどのような影響を与えるかを把握できます。

  • Orange: Google Cloud を使用した次世代コンタクト センターを検討しています。26 か国に顧客を持つこの世界的な通信会社は、通話の文字起こしや、顧客とサービス担当者のやりとりの要約、会話の内容に基づいて考えうるフォローアップ アクションをエージェントへ提案するといったジェネレーティブ AI をテストしています。このテストは、顧客対応の効率と質の両方を劇的に向上させる可能性を秘めています。Orange は Google と緊密に連携してデータ保護を確保し、ジェネレーティブ AI の出力と透明性を従業員が体系的にレビューできるようにしています。

  • Replit: AI を活用した共同ソフトウェア開発プラットフォームを開発しています。Replit の Ghostwriter コーディング AI を使用しているデベロッパーは、現在、コードの 30% をジェネレーティブ AI によって作成しています。デベロッパーは、Ghostwriter のコード出力のリアルタイム デバッグとプログラム ファイルのコンテキスト認識により時間が解放されるため、プログラミングのよりやりがいのある創造的な側面に費やすことができます。

  • Uber: カスタマー サービスのチャットボットとエージェント支援機能のためのジェネレーティブ AI を開発しています。これらは、顧客満足度の向上とコスト効率の改善を目的として、人間に近い対応によって、さまざまな一般的なサービスの問題に対処します。さらに Uber では、製品開発、不正行為の検出、従業員の生産性などの分野で、合成データシステム(LLM の品質を向上させるための技術)の使用に取り組んでいます。

Wendy’s: Google Cloud と協力して Wendy’s FreshAI を開発しています。これは、クイック サービス レストラン業界に革命を起こすために設計された画期的な AI ソリューションです。このテクノロジーは、Google Cloud のジェネレーティブ AI と LLM を使用して、Wendy’s のメニューで考えられる数十億の注文の組み合わせを識別することにより、Wendy’s のドライブスルーでの注文エクスペリエンスを変革しています。Wendy’s は 6 月に、オハイオ州コロンバス地域のレストランでこの技術の最初の試験運用を開始し、その後さらにドライブスルー店舗に拡大する予定です。

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連携により、顧客向けの実世界のオプションによる強力なエコシステムが構築される

Google Cloud は、最もオープンなハイパースケール クラウド プロバイダーとなることに尽力しており、これには AI エコシステムも含まれます。このたび、AI スタックのすべての層に対して今年初めに発表したパートナーシップを拡大することになりました。これには、チップメーカー、基礎モデルと AI プラットフォームを構築する企業、企業が機械学習(ML)モデルを開発およびデプロイできるようにするテクノロジー パートナー、ジェネレーティブ AI で顧客のユースケースを解決するアプリビルダー、企業顧客がこれらすべてのテクノロジーを大規模に実装できるよう支援するグローバル サービスやコンサルティング会社が含まれます。

Google では、Box、Dialpad、Jasper、Salesforce、UKG などの Saas 企業や、Accenture、BCGCognizantDeloitteKPMG などのコンサルティング会社との新規提携または提携拡大を発表しました。AI21 LabsAibleAnthropicAnyscaleBending SpoonsCohereFaradayGleanGretelLabelboxMidjourneyOsmoReplitSnorkel AITabnineWeights & Biases などの企業とのこれまでの発表と合わせて、ジェネレーティブ AI を組織に導入しようとしている企業や行政機関に幅広いオプションを提供します。

Google Cloud の新しいジェネレーティブ AI 機能の紹介

あらゆるスキルレベルのクラウド ユーザーが日々の仕事の課題を解決できるよう、ジェネレーティブ AI を活用した新しいコラボレーター Duet AI for Google Cloud を発表します。Duet AI は、エキスパート ペア プログラマーとして機能し、コンテキストに応じたコード補完でクラウド ユーザーを支援します。具体的には、コードベースに合わせた提案を行い、リアルタイムで関数全体を生成し、コードレビューと検査を支援します。Duet AI は、あらゆるスキルセットのクラウド ユーザーが新しいエクスペリエンスを構築する方法を根本的に変えることができ、統合開発環境(IDE)、Google Cloud コンソール、チャットなど、Google Cloud インターフェース全体に組み込まれています。

ジェネレーティブ AI アプリケーションをより簡単かつ効率的に作成したいと考えているデベロッパーのために、Google Cloud AI プロダクト全体に新しい基盤モデルと機能も導入しています。また、より多くの顧客とパートナーに可能性と刺激を与え続けるために、Vertex AI でジェネレーティブ AI サポートを開放し、これらの新しいイノベーションにアクセスできる組織を拡大します。

  • 新しい基礎モデルが Vertex AI で利用できるようになりました。コード生成基盤モデル Codey は、コード生成、コード補完、コードチャットを利用することで、ソフトウェア開発を加速するのに役立ちます。Google の text-to-image 基礎モデル Imagen を使用すると、お客様は高品質の画像を生成、カスタマイズできます。また、Google の最先端の音声モデル Chirp を使用すると、お客様は字幕と音声アシスタントを利用して、母国語で包括的に顧客や有権者との関係を深めることができます。これらはそれぞれ API 経由でアクセスでき、直感的な Generative AI Studio を通じて調整できます。また、暗号化、アクセス制御、コンテンツの管理、組織がモデル出力の背後にあるソースを確認できる列挙機能など、エンタープライズ グレードのセキュリティと信頼度を備えています。

  • Text Embeddings API は、デベロッパーがテキストや画像のセマンティックな理解に基づいて、レコメンデーション エンジン、分類器、質問応答システム、類似性マッチングなどの高度なアプリケーションを構築できるようにする新しい API エンドポイントです。

  • RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)を使用すると、組織は人間によるフィードバックを組み込んで、モデルのパフォーマンスを細かくカスタマイズして改善できます。

これらすべてのイノベーションを支えているのは、AI で最適化したインフラストラクチャです。Google は、主要なクラウド プロバイダの中で最も幅広いコンピューティング オプションを提供していますが、今後も NVIDIA の H100 GPU をベースとした新しいA3 仮想マシンの導入によってオプションを増加させていきます。これらの VM は、最近発表された G2 VM と合わせて、AI モデルのトレーニングと提供のための包括的な GPU パワーを提供します。

ジェネレーティブ AI を Google Workspace 全体に拡張

今年の初めに、Google ではジェネレーティブ AI を Workspace に導入するというビジョンを紹介し、多くのユーザーに Gmail や Google ドキュメントでの文書作成に役立つ機能への早期アクセスを提供しました。本日は、Duet AI for Google Workspace を発表いたします。これにより、強力なジェネレーティブ AI 機能が統合され、ユーザーは AI と連携して、毎日より多くの作業を行えるようになります。Workspace Labs を通じて、次の機能を Trusted Tester に提供しています。

  • Gmail では、既存のメールスレッドのコンテキストを考慮した返信の下書きを作成する機能を追加し、そのエクスペリエンスをモバイルでも利用できるようにします。

  • Google スライドと Meet では、テキストの説明から画像を簡単に生成できるようにしています。スライド内のカスタム画像はストーリーに命を吹き込むのに役立ち、Meet ではカスタム画像を使用してカスタム背景を作成できます。

  • Google スプレッドシートでは、データの分類とカスタム計画の作成が自動化されており、これまでよりも迅速にデータを分析して整理できるようになります。

責任を持って業界を前進させる

お客様のアイデアと創造性には常に驚かされており、ジェネレーティブ AI を使用してお客様が独自の進むべき道を発見できるよう支援し続けていきます。ビジネスに影響を与える可能性は大きいものの、Google は AI 原則に基づいて責任あるアプローチをとることに引き続き取り組んでいます。お客様やユーザーからより多くのフィードバックを収集しながら、あらゆる規模や業界の組織が効率を向上させ、新しい方法で顧客とつながり、まったく新しい収益源を獲得できるようにすることを目標に、新しいイノベーションを市場に投入し続けます。


- Google Cloud、CEO Thomas Kurian
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