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サステナビリティ

2021 年が常時カーボンフリー エネルギーの「電撃的」な年になった理由

2021年12月27日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 12 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

気候変動の大規模な解決策に取り組んでいる私たちにとって、2021 年は特筆すべき年となりました。Google が、2030 年までに世界中のすべてのデータセンター、クラウド リージョン、キャンパスにおいて 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギー(CFE)で運用するという目標を発表してから、まる 1 年が経ちました。

喜ばしいことに状況は進展しており、現在、世界のデータセンターのうち 5 つがカーボンフリー エネルギー利用率約 90% で運営されています。すでに 2020 年には、Google はすべてのデータセンターでカーボンフリー エネルギーの常時利用率 67% を達成しています(2019 年の 61% から上昇)。また、年間消費電力を 100% 再生可能エネルギーで補うという目標も 4 年連続で達成しています。

Google は、常時カーボンフリー エネルギーで運用するという目標を設定することで、電力システム全体を脱炭素化させるために必要な課題と戦略を明確にしたいと考えています。さらに、常時クリーン エネルギー アプローチの原則を採用する企業や政府の数も増加しています。主要研究者による研究でも、常時カーボンフリー エネルギーの取り組みは、電力システムに革新的なインパクトをもたらし、二酸化炭素排出を削減して、先進のクリーン エネルギー技術の商用化を加速させることが実証されています。

全般的な CFE の未来を実現する

Google は 2022 年に向けて、カーボンフリー エネルギーの購入、新技術の促進、そして、より優れた公共政策の提唱という 3 つの課題に沿って目標を推し進めることに引き続き注力していきます。Google Cloud のお客様を含むエコシステムの拡大をソリューションとツールで支援して目標を達成するとともに、より幅広いマーケットプレイスで革新的な変化を主導します。

クリーン エネルギーの購入

2021 年、Google は、全世界で 1 ギガワットに達するカーボンフリー エネルギーを新たに購入する契約を結びました。中でも注目すべきは、より幅広いポートフォリオのカーボンフリー リソースを購入する新しいアプローチを開発したことです。これにより、1 時間単位でクリーン エネルギーの需要と供給のバランスを向上させることが可能になります。

5 月には、エネルギー サプライヤーである AES と前例のない提携を締結しました。この提携は、風力、太陽光、水力、電力貯蔵といったプロジェクトのポートフォリオから最大 500 メガワット を調達するというもので、バージニアを拠点とするデータセンターを 90% カーボンフリー(1 時間単位)にすることができます。そして数か月後には、ドイツでのカーボンフリー エネルギー ポートフォリオを開発するために、ENGIE と同様の連携を締結しました。このポートフォリオにより、ドイツでの運用はカーボンフリー エネルギー利用率が80% 近くまで改善されます(2022 年開始)。このような連携が常時カーボンフリー エネルギー目標を追求する企業にとって参考となることを願うと同時に、この目標を採用する企業が増加していることを嬉しく思います。

1 時間単位のクリーン エネルギーの購入にシフトする組織が増えると、その進捗を追跡して確認する方法が必要となります。Google は、米国におけるエネルギー認証レジストリの M-RETS と連携し、Time-based Energy Attribute Certificates(T-EAC、時間ベースのエネルギー属性証明)を試験運用しています。T-EAC は、電力がいつ、どこで、どのように生産されたかを追跡するもので、クリーン電力の精度の高い生産データと消費者の申請に透明性をもたらします。これにより、組織によるエネルギー利用の把握と最適化を促進するソフトウェア ソリューションが次々に誕生すると思われます。Google は、このようなソリューションを世界レベルで拡大するための重要な取り組みを支援しています。たとえば、Google.org は、T-EAC 国際標準開発の主要組織である EnergyTag に 53 万ユーロの資金援助を行っています。

新しいクリーン エネルギー技術の促進

常時目標を達成し、電力網の脱炭素化を実現するには、風が吹いていないときや、太陽が出ていないときに電力を供給する技術の迅速な開発が必要です。

Google は 5 月に、次世代地熱発電プロジェクトを発表しました。このプロジェクトでは、ラスベガスの Cloud リージョンを含むネバダ州全体のデータセンターとインフラストラクチャに電力を供給するグリッドに、カーボンフリー エネルギーが追加されます。このプロジェクトは、クリーン エネルギーのスタートアップである Fervo とのパートナーシップのもと、最先端の掘削技術、機械学習、およびその他の技術を駆使して地熱発電の新しい時代を築くものです。地熱発電は重要な「常時供給」のカーボンフリー エネルギー リソースです。

また、Google はカーボン インテリジェント コンピューティングにより、クリーン エネルギーの需要管理方法を引き続き最適化しています。これにより、地域のカーボンフリー エネルギーの相対的利用可能性に基づいて、移動可能なコンピューティング タスクを異なるデータセンター間でシフトできるようになりました。

有意義な政策変更の提唱

Google は、カーボンフリー エネルギーの常時利用に注力することで、完全なカーボンフリーの電力網への移行を加速したいと考えています。この将来像を現実のものとするには、政策の革新が欠かせません。そのため、Google は、電力網の脱炭素化を加速し、エネルギー消費者を支援する政策を長くにわたって強く提唱しています。

今年は Clean Air Task Force や Environmental Defense Fund などの主要組織に参加し、米国連邦政府に、カーボンフリー エネルギーの常時購入の目標を採用するよう訴えました。米国連邦政府は、世界最大の電力消費者として、1 年を通じたクリーン エネルギーの利用に重要な役割を果たすことができます。新しい大統領命令により、連邦施設の半分でカーボンフリー エネルギーの常時利用を 2030 年までに達成することが政府に対して示されたことに期待しています。電力網を完全に脱炭素化するには、さらに強力な政策が必要です。そのため、Google は、米国議会がインフラストラクチャと予算調整の法案に気候とクリーン エネルギーの条項を盛り込むことを支持してきました。また、Google は、クリーン エネルギーへのアクセス改善とグリッド規模での脱炭素化の促進に取り組んでいる米国の Clean Energy Buyers Association(CEBA)や欧州の Re-Source のような組織に引き続き資金援助を行い、目標達成のためのサポートを提供します。

Sustainable Energy for All と国連がとりまとめている新しい取り組み、24/7 カーボン・フリー・エネルギー コンパクトの一端として、企業や政府の間でも電力の脱炭素化を推進する動きが拡大しています。Google はこの CEF コンパクトと連携して、他のエネルギー消費者による常時カーボンフリー エネルギー目標の採用、および世界中のグリッドにおける脱炭素化促進を可能にする、グローバルなエコシステムの構築を支援しています。その一部として、全世界で電力データへのアクセス拡大の取り組みも支援しています。今年、Google.org は、電力と炭素強度に関する高精度データの主要提供者である electricityMap に、100 万ユーロの資金援助を行いました。electricityMap は、プラットフォームに新しいデータをもたらし、電力データへのアクセス性を向上させることに加え、Google の資金援助を活用して、政策立案者、学術研究者、民間部門が持続可能な電力消費の主要因を把握できるようサポートし、カーボンフリーのソリューションへの需要促進に貢献することになります。

脱炭素化の取り組みに参加しよう

Google は、2030 年のカーボンフリー エネルギーの目標に向けて前進しています。そして、業界で最もクリーンなクラウド、すなわち Google Cloud で運営しているお客様などと、これまでに得た知見とメリットを引き続き共有していきます。

今年、Google は低炭素バッジリージョン選択ツールを導入しました。このツールでは、利用する Google Cloud リージョンを選択して、カーボンフリー エネルギー データを活用して、料金、エンドユーザーへのレイテンシ、二酸化炭素排出量などの主要な入力データを評価することが可能です。10 月には、無料プロダクトの Carbon Footprint を展開しました。Carbon Footprint は、Google Cloud Platform の使用に関連する合計炭素排出量を数値化できます。すでに Etsy や Salesforce のようなお客様が、これらのツールを使って正確なレポートを作成し、IT 関連の炭素排出量の削減方法を特定するといったメリットを享受しています。

2022 年に向け、Google は、カーボンフリー エネルギーの常時利用の達成に向けた進捗、お客様がどのように Google と協力してサステナビリティ目標を達成しているかについて、今後も最新情報を共有していきます。


- エネルギー担当ディレクター Michael Terrell
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