新しい地熱プロジェクトで、24 時間 365 日のカーボンフリー エネルギー化に全力前進
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google が再生可能エネルギーの購入によって電力消費量の 100% をまかなう取り組みをさらに進め、2030 年までに 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギーですべての事業を行うという計画を発表した際、この目標を達成するには、新しい取引構造、クリーン エネルギー政策の進展、新しい革新的なテクノロジーが必要だと申し上げました。このような新しいテクノロジーの一つが、今までに類を見ない次世代地熱発電を採用したプロジェクトです。本日は、このテクノロジーによって、ラスベガスの Cloud リージョンを含むネバダ州全体のデータセンターとインフラストラクチャに電力を供給するグリッドに、カーボンフリー エネルギーがまもなく追加されることを発表いたします。
Google と、クリーン エネルギーのスタートアップ企業である Fervo は、次世代地熱発電プロジェクトを展開する世界初の企業間契約を締結しました。これにより、化石燃料に依存する 1 時間当たりの電力を削減できる「常時オン」のカーボンフリー リソースが得られます。Fervo は 2022 年に、「安定した」地熱エネルギーをネバダ州の電力グリッド システムに追加し始める予定です。同州では、Google はすでに企業による世界最大規模の太陽光発電および蓄電の電力購入契約を交わしています。
重要な点として、このコラボレーションは、次世代の地熱発電が、柔軟で安定したカーボンフリー エネルギー源としての役割を担うための基盤にもなります。このようなエネルギー源により、電力市場を拡大、改善する政策や、革新的なテクノロジーの導入を奨励する政策、クリーン エネルギーの研究、開発、デモ(RD&D)への投資を増やす政策による支援がある場合は特に、炭素を排出する化石燃料への依存度をさらに減らすことができます。
次世代の地熱テクノロジー
従来の地熱発電はすでに、多くの電力グリッドにカーボンフリーのベースロード電力を供給しています。しかし、費用と場所による制約のため、全世界のクリーン エネルギー発電の中で地熱発電が占める割合はごくわずかです。
その点において、この新たなアプローチは画期的です。次世代の地熱発電は、高度な掘削、光ファイバー センシング、分析技術を使用することにより、まったく新たな種類のリソースを最大限に活用できます。米国のエネルギー省によると、政策、テクノロジー、調達が進展すれば、2050 年までに米国で最大 120 GW の柔軟で安定した発電能力を地熱エネルギーで賄える可能性があることがわかっています。
契約の一環として、Google は Fervo と提携し、AI と機械学習を開発しています。この AI と機械学習により、変動する再生可能エネルギー源によって生じたギャップを埋めるとともに、次世代の地熱発電の生産性を向上させ、より効果的に需要に対応することが可能になります。このプロジェクトはまだ初期段階ですが、将来有望です。
Fervo は、坑井内の光ファイバー ケーブルを使用して、地熱資源の流れ、温度、パフォーマンスに関するリアルタイム データを収集できます。このデータにより、Fervo は最適な資源が存在する場所を正確に特定できるため、さまざまな深さで流れを制御できます。こうした機能は、前述の AI および機械学習の開発と組み合わせることで、生産性を向上させ、さまざまな新しい場所で柔軟な地熱発電を最大限に活用できます。
Google がソフトウェア ソリューションをクリーン エネルギーの用途に適用するのは、これが最初ではありません。先日、カーボン インテリジェント コンピューティング プログラムの最新情報を発表しました。このプログラムは、Google のデータセンターでのアプリケーションの実行に伴う二酸化炭素排出の削減に貢献します。また、風力エネルギーの価値を高めるために、前述とは異なる形の AI と機械学習が現在使用されています。
Google は今年すでに、すべてのデータセンター、オフィス キャンパス、Cloud リージョンの 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギーを確保するという目標に向けて、大きく動き出しています。アースデイには、Google の全世界のデータセンター サイトのうち 5 か所が、2020 年に初めて約 90% のカーボンフリー エネルギー使用率で稼働したことが、Google の CEO、Sundar Pichai によって発表されました。
この Fervo プロジェクトは、ネバダ州にある Google のデータセンターを 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギーの目標達成へと近づけるだけでなく、次世代の地熱発電など、安定したクリーン エネルギー源を、炭素を排出する世界中の発電源の代わりに使用する方法を示す概念実証としての役割も果たします。
-エネルギー担当ディレクター Michael Terrell