このドキュメントでは、Partner Interconnect 用にオンプレミス ルーターを構成する方法について説明します。Dedicated Interconnect 接続を作成する場合は、Dedicated Interconnect 用のオンプレミス ルーターの構成をご覧ください。
このページで使用している用語の定義については、Cloud Interconnect の主な用語をご覧ください。
Partner Interconnect の使用時に発生する可能性のある一般的な問題を解決するには、トラブルシューティングをご覧ください。
オンプレミス ルーターを構成するタイミング
このコンテキストのオンプレミス ルーターは、Partner Interconnect を有効にするように構成するデバイスのことを意味します。
- レイヤ 2 接続の場合、サービス プロバイダが VLAN アタッチメントを構成した後に、オンプレミス ルーターを構成します。
- レイヤ 3 接続の場合、サービス プロバイダがオンプレミス ルーターに BGP を構成するため、ローカル ルーターに BGP を構成する必要はありません。
このドキュメントで説明するレイヤ 2 接続のトポロジと構成の例は、オンプレミス ルーターを構成するときのガイドとして使用できます。
レイヤ 2 接続のトポロジ
このトポロジでは、Partner Interconnect 接続がオンプレミス ルーターで終端しています。オンプレミス ルーターは Cloud Router との BGP ピアリングを実行します。
このサンプル トポロジは次の Google Cloud リソースを使用します。
- プロジェクト
Sample Interconnect Project
- ネットワーク
my-network
- リージョン
us-east1
ここには my-attachment1
と my-attachment2
という 2 つの VLAN アタッチメントがあります。これらのアタッチメントはすでにアクティブであり、BGP が構成されています。
物理トポロジ
次の図は、レイヤ 2 接続の物理トポロジを示しています。Google Cloud とお客様のサービス プロバイダのネットワークとの物理的な接続は、Google とサービス プロバイダが設定し、管理します。
論理トポロジ
次の図は、レイヤ 2 接続の論理トポロジを示しています。
オンプレミス ルーターを構成する
このセクションでは、本番環境用にレイヤ 2 トポロジを構成する方法について説明します。構成例には、すべてのデバイス設定が示されています。
オンプレミス ルーターの設定
次の表は、サンプルの Google Cloud プロジェクトの構成に基づいて、トポロジ例に使用するオンプレミス ルーターの設定をまとめたものです。
Google Cloud 側で使用されるサンプル プロジェクト名、Virtual Private Cloud(VPC)ネットワーク、リージョンについては、トポロジのリファレンスをご覧ください。
ホールド タイマーとキープアライブ タイマーの値により、問題発生時にトラフィックを冗長接続に迅速に転送できます。下表に示す値を設定します。
グレースフル リスタートを使用すると、Cloud Router のメンテナンス中に BGP セッションのパケットのドロップやルートの取り消しを防げます。オンプレミスのデバイスが BGP グレースフル リスタートをサポートしている場合は、それを有効にして、テーブルに示すようにグレースフル リスタート タイマーと stalepath タイマーを設定します。
BGP タイマー設定の詳細については、Cloud Router のドキュメントの BGP タイマーの推奨値をご覧ください。
設定 | my-attachment1 |
my-attachment2 |
---|---|---|
VLAN 番号 | 1010 | 1020 |
VLAN インターフェースの IP アドレス | 169.254.10.2/29 | 169.254.20.2/29 |
オンプレミスの ASN | 64500 | 64500 |
Cloud Router の ASN | 16550 | 16550 |
Cloud Router の BGP IP アドレス | cr1-us-east1 の場合: 169.254.10.1 |
cr2-us-east1 の場合: 169.254.20.1 |
BGP タイマー | キープアライブ: 20 秒 | キープアライブ: 20 秒 |
ホールド タイマー: 60 秒 | ホールド タイマー: 60 秒 | |
グレースフル リスタート: グレースフル リスタート タイマーをニーズに適した値に設定します。詳細については、BGP タイマー設定をご覧ください。 | グレースフル リスタート: グレースフル リスタート タイマーをニーズに適した値に設定します。 | |
stalepath タイマー: 300 秒 | stalepath タイマー: 300 秒 | |
オンプレミスの LAN サブネット範囲 | 192.168.12.0/24 | 192.168.12.0/24 |
構成のガイドライン
オンプレミス スイッチやルーターで以下の情報を使用し、Cloud Router と BGP のセッションを確立します。
- 有効化された VLAN アタッチメントによって指定されるインターフェース IP アドレスとピアリング IP アドレス。
- サービス プロバイダが提供する VLAN ID。
- アタッチメントと VPC ネットワークの MTU に応じて、1,440 バイト、1,460 バイト、1,500 バイトまたは 8,896 バイトの最大伝送単位(MTU)。
- BGP セッションを構成して、MD5 認証を使用することもできます。Cloud Router の BGP セッションに MD5 認証を追加した場合、オンプレミス ルーターで BGP を構成するときにも同じ認証鍵を使用する必要があります。
EBGP マルチホップ構成では、
gcloud compute interconnects attachments describe
コマンドを使用して VLAN アタッチメントの Dataplane バージョンを確認します。Dataplane のバージョンが2
以降の場合、このコマンドはdataplaneVersion
フィールドを返します。コマンド出力にdataplaneVersion
フィールドが含まれていない場合、Dataplane バージョンは1
です。- VLAN アタッチメントが Dataplane バージョン 1 を使用する場合は、EBGP ネイバーのマルチホップを構成する必要があります。この設定の推奨値は
4
です。 - VLAN アタッチメントで Dataplane バージョン 2 以降が使用されている場合、EBGP ネイバーのマルチホップを構成する必要はありません。VLAN アタッチメントの BGP セッションで双方向転送検出(BFD)を使用する場合や、BFD マルチホップが BGP マルチホップから継承される場合は、EBGP マルチホップを構成しないでください。Google Cloud は、BFD のシングルホップ モードのみをサポートします。BFD の構成をご覧ください。
- VLAN アタッチメントが Dataplane バージョン 1 を使用する場合は、EBGP ネイバーのマルチホップを構成する必要があります。この設定の推奨値は
デバイス構成
VLAN 1010(Cisco)ルーター
次に、VLAN 1010 上のオンプレミス Router1
(Cisco)のレイヤ 2 のサンプル構成を示します。
interface E0/0 description connected_to_service_provider_device no shut interface E0/0.1010 description attachment_vlan1010 encapsulation dot1Q 1010 ip address 169.254.10.2 255.255.255.248 ip mtu 1460 ip prefix-list TO_GCP seq 5 permit 192.168.12.0/24 route-map TO_GCP_OUTBOUND permit 10 match ip address prefix-list TO_GCP router bgp 64500 bgp graceful-restart restart-time 1 neighbor 169.254.10.1 description peering_to_cloud_router neighbor 169.254.10.1 remote-as 16550 neighbor 169.254.10.1 ebgp-multihop 4 neighbor 169.254.10.1 timers 20 60 neighbor 169.254.10.1 update-source E0/0.1010 neighbor 169.254.10.1 route-map TO_GCP_OUTBOUND out
VLAN 1020(Juniper)ルーター
次に、VLAN 1020 上のオンプレミス Router2
(Juniper)のレイヤ 2 のサンプル構成を示します。
set interfaces xe-0/0/0 description "connected_to_service_provider_device" set interfaces xe-0/0/0 flexible-vlan-tagging set interfaces xe-0/0/0 unit 1020 family inet mtu 1460 set interfaces xe-0/0/0 unit 1020 vlan-id 1020 set interfaces xe-0/0/0 unit 1020 family inet address 169.254.20.2/29 set routing-options autonomous-system 64500 set policy-options prefix-list TO_GCP 192.168.12.0/24 set policy-options policy-statement TO_GCP_OUTBOUND term 1 from protocol direct set policy-options policy-statement TO_GCP_OUTBOUND term 1 from prefix-list TO_GCP set policy-options policy-statement TO_GCP_OUTBOUND term 1 then accept set policy-options policy-statement TO_GCP_OUTBOUND term 2 then reject set protocols bgp group config_vlan_1020 type external set protocols bgp group config_vlan_1020 multihop ttl 4 set protocols bgp group config_vlan_1020 local-address 169.254.20.2 set protocols bgp group config_vlan_1020 peer-as 16550 set protocols bgp group config_vlan_1020 neighbor 169.254.20.1 export TO_GCP_OUTBOUND set protocols bgp group config_vlan_1020 neighbor 169.254.20.1 graceful-restart restart-time 1
ベスト プラクティス
Cloud Interconnect 99.9% と 99.99% トポロジの使用時に以下のおすすめの方法を実践することで、オンプレミスのデバイスから Google Cloud への効率的な接続を実現できます。
アクティブ / アクティブ転送用のデバイス構成
- すべての BGP セッションで同じ MED 値が交換されるようにします。
- BGP 構成で、等価コスト マルチパス(ECMP)ルーティングを有効にします。
- BGP セッションでグレースフル リスタートを有効にして、Cloud Router タスクの再起動の影響を最小限に抑えます。推奨トポロジに記載されているように、異なるエッジ アベイラビリティ ドメインを使用して 2 つのアタッチメントを接続すると、Cloud Router はエッジ アベイラビリティ ドメインごとに 1 つのタスクを使用します。ダウンタイムを回避するため、ソフトウェア タスクは個別にスケジュールされます。
- 2 つのオンプレミス デバイスを構成する場合は、任意のルーティング プロトコルを使用して両方のデバイスを相互に接続します。再配布用にデバイスを構成する場合は、IBGP や IGP を使用します。
アクティブ / パッシブ転送用のデバイス構成
- 非対称ルーティングの発生を回避するには、Cloud Router 側とオンプレミス デバイス側により高い MED 値が適用されるていることを確認します。
- BGP セッションでグレースフル リスタートを有効にして、Cloud Router タスクの再起動の影響を最小限に抑えます。推奨トポロジに記載されているように、異なるエッジ アベイラビリティ ドメインを使用して 2 つのアタッチメントを接続すると、Cloud Router はエッジ アベイラビリティ ドメインごとに 1 つのタスクを使用します。ダウンタイムを回避するため、ソフトウェア タスクは個別にスケジュールされます。
- 2 つのオンプレミス デバイスを構成する場合は、両方のデバイスがそれぞれ、レイヤ 3 接続に対応していることを確認してください。再配布用にデバイスを構成する場合は、IBGP や IGP を使用します。
BGP セッションの確認
オンプレミス ネットワークと Google の Virtual Private Cloud(VPC)ネットワーク間で BGP セッションが機能していることを確認します。詳細については、Cloud Router のドキュメントの Cloud Router のステータスとルートの表示をご覧ください。