ビルド構成ファイルには、Cloud Build が指定に基づいてタスクを実行するための指示が記述されています。たとえば、ビルド構成ファイルには、Docker イメージのビルド、パッケージ化、push を行う手順を設定できます。
このページでは、Cloud Build 構成ファイルのスキーマについて説明します。 ビルド構成ファイルの作成と使用方法については、基本的なビルド構成ファイルの作成をご覧ください。
ビルド構成ファイルの構造
ビルド構成ファイルは、Cloud Build API の Build
リソースを使用してモデル化されます。
ビルド構成ファイルは YAML または JSON 構文で記述します。curl などのサードパーティの http ツールを使用してビルド リクエストを送信する場合は、JSON 構文を使用します。
ビルド構成ファイルの構造は次のとおりです。
YAML
steps:
- name: string
args: [string, string, ...]
env: [string, string, ...]
allowFailure: boolean
allowExitCodes: [string (int64 format), string (int64 format), ...]
dir: string
id: string
waitFor: [string, string, ...]
entrypoint: string
secretEnv: string
volumes: object(Volume)
timeout: string (Duration format)
script: string
- name: string
...
- name: string
...
timeout: string (Duration format)
queueTtl: string (Duration format)
logsBucket: string
options:
env: [string, string, ...]
secretEnv: string
volumes: object(Volume)
sourceProvenanceHash: enum(HashType)
machineType: enum(MachineType)
diskSizeGb: string (int64 format)
substitutionOption: enum(SubstitutionOption)
dynamicSubstitutions: boolean
logStreamingOption: enum(LogStreamingOption)
logging: enum(LoggingMode)
defaultLogsBucketBehavior: enum(DefaultLogsBucketBehavior)
pool: object(PoolOption)
requestedVerifyOption: enum(RequestedVerifyOption)
substitutions: map (key: string, value: string)
tags: [string, string, ...]
serviceAccount: string
secrets: object(Secret)
availableSecrets: object(Secrets)
artifacts: object(Artifacts)
mavenArtifacts: [object(MavenArtifact), ...]
pythonPackages: [object(PythonPackage), ...]
npmPackages: [object(npmPackage), ...]
images:
- [string, string, ...]
JSON
{
"steps": [
{
"name": "string",
"args": [
"string",
"string",
"..."
],
"env": [
"string",
"string",
"..."
],
"allowFailure": "boolean",
"allowExitCodes: [
"string (int64 format)",
"string (int64 format)",
"..."
],
"dir": "string",
"id": "string",
"waitFor": [
"string",
"string",
"..."
],
"entrypoint": "string",
"secretEnv": "string",
"volumes": "object(Volume)",
"timeout": "string (Duration format)",
"script" : "string"
},
{
"name": "string"
...
},
{
"name": "string"
...
}
],
"timeout": "string (Duration format)",
"queueTtl": "string (Duration format)",
"logsBucket": "string",
"options": {
"sourceProvenanceHash": "enum(HashType)",
"machineType": "enum(MachineType)",
"diskSizeGb": "string (int64 format)",
"substitutionOption": "enum(SubstitutionOption)",
"dynamicSubstitutions": "boolean",
"logStreamingOption": "enum(LogStreamingOption)",
"logging": "enum(LoggingMode)"
"defaultLogsBucketBehavior": "enum(DefaultLogsBucketBehavior)"
"env": [
"string",
"string",
"..."
],
"secretEnv": "string",
"volumes": "object(Volume)",
"pool": "object(PoolOption)"
"requestedVerifyOption": "enum(RequestedVerifyOption)"
},
"substitutions": "map (key: string, value: string)",
"tags": [
"string",
"string",
"..."
],
"serviceAccount": "string",
"secrets": "object(Secret)",
"availableSecrets": "object(Secrets)",
"artifacts": "object(Artifacts)",
"mavenArtifacts": ["object(MavenArtifact)", ...],
"pythonPackages": ["object(PythonPackage)", ...],
"npmPackages": ["object(npmPackage)", ...],
"images": [
"string",
"string",
"..."
]
}
ビルド構成ファイルの各セクションに、Cloud Build に実行させるタスクの一部を定義します。
ビルドステップ
ビルドステップには、Cloud Build に実行させるアクションを指定します。ビルドステップごとに、Cloud Build は docker run
のインスタンスとして Docker コンテナを実行します。ビルドステップは、スクリプトの中のコマンドによく似ており、ビルドにおいて任意の命令を実行する柔軟性を提供します。ビルドツールをコンテナにパッケージ化することができる場合、Cloud Build はビルドの一部としてそれを実行できます。Cloud Build はデフォルトで、同じマシン上でビルドのすべてのステップを連続して実行します。同時に実行できるステップがある場合は、waitFor オプションを使用します。
構成ファイルには、最大 300 のビルドステップを含めることができます。
ビルド構成ファイルの steps
フィールドを使用してビルドステップを指定します。steps
フィールドで構成するスニペットは次のとおりです。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/kubectl'
args: ['set', 'image', 'deployment/mydepl', 'my-image=gcr.io/my-project/myimage']
env:
- 'CLOUDSDK_COMPUTE_ZONE=us-east4-b'
- 'CLOUDSDK_CONTAINER_CLUSTER=my-cluster'
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/my-project-id/myimage', '.']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/kubectl",
"args": [
"set",
"image"
"deployment/mydepl"
"my-image=gcr.io/my-project/myimage"
],
"env": [
"CLOUDSDK_COMPUTE_ZONE=us-east4-b",
"CLOUDSDK_CONTAINER_CLUSTER=my-cluster"
]
},
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/my-project-id/myimage",
"."
]
}
]
}
name
ビルドステップの name
フィールドは、クラウド ビルダーを指定するために使用します。これは、一般的なツールを実行するコンテナ イメージです。ビルドステップの中でビルダーを使用して、タスクを実行します。
次のスニペットは、bazel
、gcloud
、docker
の各ビルダーを呼び出すビルドステップを示しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/bazel'
...
- name: 'gcr.io/cloud-builders/gcloud'
...
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
...
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/bazel"
...
},
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/gcloud"
...
},
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker"
...
}
]
}
args
ビルドステップの args
フィールドには、引数のリストが入れられます。引数は、name
フィールドによって参照されるビルダーに渡されます。ビルダーに渡された引数は、ビルダーで実行されているツールに渡されます。これにより、ツールでサポートされているどのコマンドも呼び出すことができます。ビルドステップで使用されるビルダーにエントリポイントがある場合、そのエントリポイントへの引数として args が使用されます。ビルダーでエントリポイントが定義されていない場合、args の最初の要素がエントリポイントとして使用され、残りが引数として使用されます。
1 つのステップに最大 100 個の引数を作成できます。引数の最大長は 10,000 文字です。
次のスニペットは、docker build
コマンドを呼び出し、Maven の依存関係をインストールします。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/mvn'
args: ['install']
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/my-project-id/myimage', '.']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/mvn",
"args": [
"install"
]
},
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/my-project-id/myimage",
"."
]
}
]
}
env
ビルドステップの env
フィールドには、ステップ実行時に使用される環境変数のリストが入れられます。変数の形式は KEY=VALUE
です。
次のビルド構成では、ビルドステップの env
フィールドは、kubectl
の実行前に Compute Engine ゾーンと GKE クラスタを設定します。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
- name: 'gcr.io/cloud-builders/kubectl'
args: ['set', 'image', 'deployment/myimage', 'frontend=gcr.io/myproject/myimage']
env:
- 'CLOUDSDK_COMPUTE_ZONE=us-east1-b'
- 'CLOUDSDK_CONTAINER_CLUSTER=node-example-cluster'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
},
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/kubectl",
"args": [
"set",
"image",
"deployment/myimage",
"frontend=gcr.io/myproject/myimage"
],
"env": [
"CLOUDSDK_COMPUTE_ZONE=us-east1-b",
"CLOUDSDK_CONTAINER_CLUSTER=node-example-cluster"
]
}
]
}
dir
ビルドステップの dir
フィールドは、ステップ実行時に使用する作業ディレクトリを設定するために使用します。dir
フィールドをビルドステップに設定すると、作業ディレクトリは /workspace/<dir>
に設定されます。この値が相対パスの場合、ビルドの作業ディレクトリを基準とする相対パスになります。この値が絶対パスの場合、ビルドの作業ディレクトリ外の可能性があります。その場合、パスの内容はビルドステップ実行の間に変化する可能性があります(そのパスのボリュームが指定されていない場合)。
次のコード スニペットでは、ビルドステップの作業ディレクトリが /workspace/examples/hello_world
として設定されます。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/go'
args: ['install', '.']
env: ['PROJECT_ROOT=hello']
dir: 'examples/hello_world'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/go",
"args": [
"install",
"."
],
"env": [
"PROJECT_ROOT=hello"
],
"dir": "examples/hello_world"
}
]
}
timeout
ビルドステップの timeout
フィールドは、ステップを実行するための制限時間を設定するために使用します。このフィールドを設定しない場合、ステップには制限時間がなく、完了するかビルド自体がタイムアウトするまで実行が許可されます。ビルドステップの timeout
フィールドは、ビルドに指定された timeout
値を超えないようにする必要があります。timeout
は小数 9 桁まで、「s」で終わる秒単位に指定する必要があります。例: 3.5s
次のビルド構成では、500 秒後に ubuntu
ステップがタイムアウトします。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['sleep', '600']
timeout: 500s
- name: 'ubuntu'
args: ['echo', 'hello world, after 600s']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"sleep",
"600"
],
"timeout": "500s"
},
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"echo",
"hello world, after 600s"
]
}
]
}
スクリプト
ビルドステップの script
フィールドは、ステップで実行するシェル スクリプトを指定するために使用します。ビルドステップで script
を指定する場合、同じステップで args
や entrypoint
を指定することはできません。script
フィールドの使用については、bash スクリプトの実行をご覧ください。
id
id
フィールドは、ビルドステップに対して一意の識別子を設定するために使用します。id
は、ビルドステップの実行順序を構成するために waitFor
フィールドとともに使用されます。waitFor
と id
の使用方法については、ビルドステップの順序の構成をご覧ください。
waitFor
ビルドステップで waitFor
フィールドを使用して、そのビルドステップの前に実行する必要のあるステップを指定します。waitFor
の値が指定されない場合、ビルドステップは、ビルド リクエスト内の先行するすべてのビルドステップが正常に完了するまで待機した後に実行されます。waitFor
と id
の使用方法については、ビルドステップの順序の構成をご覧ください。
entrypoint
ビルドステップの entrypoint
は、ビルダーのデフォルトのエントリポイントを使用しない場合にエントリポイントを指定するために使用します。このフィールドを設定しない場合、Cloud Build ではビルダーのエントリポイントが使用されます。次のスニペットは、npm
ビルドステップのエントリポイントを設定します。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/npm'
entrypoint: 'node'
args: ['--version']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/npm",
"entrypoint": "node",
"args": [
"--version"
]
}
]
}
secretEnv
Cloud KMS 暗号鍵を使用して暗号化された環境変数のリスト。ビルドのシークレットでは、これらの値を指定する必要があります。このフィールドの使用方法については、暗号化された変数をビルド リクエストで使用するをご覧ください。
volumes
ボリュームは、ビルドステップにマウントされ、複数のビルドステップを通じてファイルを保持する Docker コンテナのボリュームです。Cloud Build がビルドステップを実行すると、workspace
ボリュームが /workspace
に自動的にマウントされます。ステップに対して volumes
フィールドを使用することにより、ビルドステップのコンテナにマウントするボリュームを追加で指定できます。
たとえば、次のビルド構成ファイルでは、最初のステップでファイルをボリュームに書き込み、2 番目のステップでファイルを読み取ります。これらのステップで /persistent_volume
パスが永続ボリュームとして指定されていない場合、最初のステップでそのパスにファイルが書き込まれ、そのファイルは 2 番目のステップの実行前に破棄されます。両方のステップで同じ名前のボリュームを指定すると、最初のステップの /persistent_volume
の内容は 2 番目のステップに保持されます。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
volumes:
- name: 'vol1'
path: '/persistent_volume'
entrypoint: 'bash'
args:
- '-c'
- |
echo "Hello, world!" > /persistent_volume/file
- name: 'ubuntu'
volumes:
- name: 'vol1'
path: '/persistent_volume'
args: ['cat', '/persistent_volume/file']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"volumes": [
{
"name": "vol1",
"path": "/persistent_volume"
}
],
"entrypoint": "bash",
"args": [
"-c",
"echo \"Hello, world!\" > /persistent_volume/file\n"
]
},
{
"name": "ubuntu",
"volumes": [
{
"name": "vol1",
"path": "/persistent_volume"
}
],
"args": [
"cat",
"/persistent_volume/file"
]
}
]
}
allowFailure
ビルドステップで allowFailure
フィールドの値を true
に設定し、ビルドステップが失敗した場合、そのビルド内の他のすべてのビルドステップが成功している限り、ビルドは成功します。
ビルド内のすべてのビルドステップで allowFailure
が true
に設定されていて、すべてのビルドステップが失敗した場合、ビルドのステータスは引き続き Successful
になります。
allowExitCodes
はこのフィールドよりも優先されます。
次のコード スニペットで、最初のステップが失敗したときにビルドが成功するようにできます。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['-c', 'exit 1']
allowFailure: true
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['echo', 'Hello World']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"-c",
"exit -1"
],
"allowFailure": true,
},
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"echo",
"Hello World"
]
}
]
}
allowExitCodes
allowExitCodes
フィールドを使って、ビルドステップが特定の終了コードを返すときにそのステップの失敗を無視するように指定します。
ビルドステップが allowExitCodes
で指定した値と一致する終了コードで失敗すると、Cloud Build ではこのビルドステップが失敗になりますが、ビルド全体が失敗することはありません。
ビルドステップがすべて失敗しても、すべてのステップが allowExitCodes
フィールドで指定したコードで終了した場合、ビルドは依然として成功しています。
ただし、ビルドステップが失敗して、別の終了コードが生成された場合(指定した値と一致しないコードが allowExitCodes
にある場合)、ビルド全体が失敗します。
ビルドに関連する終了コードは、ソフトウェアによって異なります。たとえば、「1」は Linux での一般的な終了コードです。スクリプトで独自の終了コードを定義することもできます。allowExitCodes
フィールドには、最大 255 までの数値を指定できます。
このフィールドは allowFailure
よりも優先されます。
次のコード スニペットで、最初のステップが指定したいずれかの終了コードで失敗したときに、ビルドが成功するようにできます。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['-c', 'exit 1']
allowExitCodes: [1]
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['echo', 'Hello World']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"-c",
"exit 1"
],
"allowExitCodes": [1],
},
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"echo",
"Hello World"
]
}
]
}
timeout
ビルドの timeout
フィールドは、このビルドの実行が許可される時間を、秒単位で指定するために使用します。この時間が経過すると、ビルドの処理が停止し、ビルドのステータスは TIMEOUT
になります。timeout
が設定されていない場合、ビルドには 60 分のデフォルト timeout
が適用されます。timeout
に適用できる最大値は 24 時間です。timeout
は小数 9 桁まで、「s」で終わる秒単位に指定する必要があります。例: 3.5s
次のスニペットでは、sleep が原因でビルドがタイムアウトにならないようにするため、timeout
を 660 秒に設定しています。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['sleep', '600']
timeout: 660s
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"sleep",
"600"
]
}
],
"timeout": "660s"
}
queueTtl
queueTtl
フィールドを使用して、ビルドをキューに入れられる時間を指定します。ビルドが queueTtl
に設定された値よりも長くキューに入っている場合、ビルドは有効期限切れになり、ビルド ステータスは EXPIRED
に設定されます。値が指定されていない場合、Cloud Build はデフォルト値である 3600s
(1 時間)を使用します。queueTtl
は createTime
から時間の計測を開始します。queueTtl
は小数 9 桁まで、「s」で終わる秒単位に指定する必要があります(例: 3.5s
)。
次のスニペットでは、timeout
が 20s
に、queueTtl
が 10s
に設定されています。
queueTtl
は、ビルドがリクエストされた時刻である createTime
に時間の計測を開始します。timeout
はビルドが開始される startTime
に時間の計測を開始します。したがって、ビルドが開始されない限り、queueTtl
は createTime
+ 10s
で期限切れになります。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['sleep', '5']
timeout: 20s
queueTtl: 10s
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"sleep",
"5"
]
}
],
"timeout": "20s",
"queueTtl": "10s"
}
logsBucket
ビルドの logsBucket
フィールドは、ログを書き込む必要がある Cloud Storage バケットを指定する場合に設定します。このフィールドを設定しない場合、Cloud Build では、ビルドログを保存するためにデフォルトのバケットが使用されます。
次のスニペットは、ビルドログを格納するログバケットを設定します。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/go'
args: ['install', '.']
logsBucket: 'gs://mybucket'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/go",
"args": [
"install",
"."
]
}
],
"logsBucket": "gs://mybucket"
}
options
フィールドは、ビルドに次のoptions
オプションの引数を指定するために使用します。
env
: このビルドのすべてのビルドステップに存在するグローバル環境変数定義のリスト。変数がグローバルとビルドステップの両方で定義されている場合、変数はビルドステップ値を使用します。VALUE
の値が与えられている環境変数 KEY
の場合、要素の形式は KEY=VALUE
です。
secretEnv
: Cloud Key Management Service の暗号鍵を使用して暗号化されたグローバル環境変数のリスト。リストは、このビルドのすべてのビルドステップで使用できます。ビルドの Secret
では、これらの値を指定する必要があります。
volumes
: すべてのビルドステップでグローバルにマウントするボリュームのリスト。各ボリュームは、ビルドプロセスを開始する前に空のボリュームとして作成されます。ビルドが完了すると、ボリュームとその内容は破棄されます。グローバル ボリューム名とパスは、ビルドステップで定義したボリュームと競合できません。1 つのステップのみのビルドでグローバル ボリュームを使用すると、誤った構成でビルド リクエストが発生するため無効です。
sourceProvenanceHash
: sourceProvenanceHash
オプションには、ソースの場所に関するハッシュ アルゴリズムを指定します。次のスニペットは、ハッシュ アルゴリズムが SHA256
であることを示しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
options:
sourceProvenanceHash: ['SHA256']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
}
],
"options": {
"sourceProvenanceHash": ["SHA256"]
}
}
machineType
:
Cloud Build には、ビルドを実行する 4 つの高 CPU 仮想マシンタイプが用意されています(CPU が 8 個のマシンタイプが 2 つ、CPU が 32 個のマシンタイプが 2 つ)。Cloud Build には、ビルドを実行する仮想マシンタイプがさらに 2 つ用意されています(CPU が 1 個のマシンタイプと CPU が 2 個のマシンタイプ)。デフォルトのマシンタイプは 2 個の CPU を備えた e2-standard-2
です。高 CPU 仮想マシンをリクエストすると、ビルドの起動時間が長くなる可能性があります。より高い CPU の仮想マシンをリクエストするには、machineType
オプションを追加します。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
options:
machineType: 'E2_HIGHCPU_8'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
},
],
"options": {
"machineType": "E2_HIGHCPU_8"
}
}
machineType
オプションの使用方法について詳しくは、ビルドの高速化をご覧ください。
diskSizeGb
: diskSizeGb
オプションは、ビルドのカスタム ディスクサイズをリクエストする場合に使用します。リクエストできる最大サイズは 2,000 GB です。
次のスニペットでは、200 GB のディスクサイズをリクエストしています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
options:
diskSizeGb: '200'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
}
],
"options": {
"diskSizeGb": '200'
}
}
logStreamingOption
: ビルドログを Cloud Storage にストリーミングする場合、このオプションを使用します。デフォルトの場合、Cloud Build はビルド完了時にビルドログを収集します。このオプションには、ビルドプロセス全体をとおしてリアルタイムでビルドログをストリーミングするかどうかを指定します。次のスニペットは、ビルドログが Cloud Storage にストリーミングされることを示しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/go'
args: ['install', '.']
options:
logStreamingOption: STREAM_ON
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/go",
"args": [
"install",
"."
]
}
],
"options": {
"logStreamingOption": "STREAM_ON"
}
}
logging
: Cloud Logging または Cloud Storage にログを保存するかどうかを指定します。このオプションを設定しない場合、Cloud Build は Cloud Logging と Cloud Storage の両方にログを保存します。logging
オプションを GCS_ONLY
に設定すると、Cloud Storage にのみログを保存できます。次のスニペットは、ログが Cloud Storage に保存されることを示しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
options:
logging: GCS_ONLY
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
}
],
"options": {
"logging": "GCS_ONLY"
}
}
defaultLogsBucketBehavior
: defaultLogsBucketBehavior
オプションを使用すると、ビルドと同じリージョンに独自のプロジェクト内にデフォルトのログバケットを作成するように Cloud Build を構成できます。詳細については、ユーザー所有のリージョン化されたバケットへのビルドログの保存をご覧ください。
次のビルド構成では、defaultLogsBucketBehavior
フィールドを値 REGIONAL_USER_OWNED_BUCKET
に設定しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: [ 'build', '-t', 'us-central1-docker.pkg.dev/myproject/myrepo/myimage', '.' ]
options:
defaultLogsBucketBehavior: REGIONAL_USER_OWNED_BUCKET
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"us-central1-docker.pkg.dev/myproject/myrepo/myimage",
"."
]
}
],
"options": {
"defaultLogsBucketBehavior": "REGIONAL_USER_OWNED_BUCKET"
}
}
dynamic_substitutions
: このオプションを使用して、置換で bash パラメータの拡張を明示的に有効または無効にします。トリガーによってビルドが呼び出された場合、dynamic_substitutions
フィールドは常に true に設定され、ビルド構成ファイルで指定する必要はありません。ビルドを手動で呼び出す場合、ビルドの実行時に bash パラメータの拡張が解釈されるようにするには、dynamic_substitutions
フィールドを true に設定する必要があります。
substitutionOption
: このオプションは、置換チェックにエラーがある場合の動作を指定するために、下記の substitutions
フィールドとともに設定します。
pool
: このフィールドの値は、ビルドを実行するプライベート プールのリソース名に設定します。プライベート プールでビルドを実行する手順については、プライベート プールでのビルドの実行をご覧ください。
requestedVerifyOption
: 証明書と来歴メタデータの世代を検証するには、requestedVerifyOption
の値を VERIFIED
に設定します。このオプションでは、リージョン ビルドとプライベート プール内のビルドの証明書と来歴メタデータも有効になります。requestedVerifyOption: VERIFIED
を追加しない場合、Cloud Build はグローバル ビルドでのみ来歴を生成します。
substitutions
substitutions は、ビルド時に特定の変数を置き換える場合にビルド構成ファイルの中で使用します。置換はビルド時まで値が不明な変数を設定する場合や、既存のビルド リクエストを別の変数値で再利用する場合に役立ちます。デフォルトでは、置換変数や置換がない場合、ビルドでエラーが返されます。ただし、ALLOW_LOOSE
オプションを使用すると、このチェックをスキップできます。
次のスニペットでは、「hello world」を出力するために置換が使用されています。ALLOW_LOOSE
置換オプションが設定されているため、置換変数や置換がない場合でも、ビルドでエラーが返されません。
YAML
steps:
- name: 'ubuntu'
args: ['echo', 'hello ${_SUB_VALUE}']
substitutions:
_SUB_VALUE: world
options:
substitution_option: 'ALLOW_LOOSE'
JSON
{
"steps": [
{
"name": "ubuntu",
"args": [
"echo",
"hello ${_SUB_VALUE}"
]
}
],
"substitutions": {
"_SUB_VALUE": "world"
},
"options": {
"substitution_option": "ALLOW_LOOSE"
}
}
substitutions
の使用に関する追加の手順については、変数値の置換をご覧ください。
tags
tags
フィールドは、複数のビルドをグループにまとめたり、ビルドをフィルタリングしたりする場合に使用します。次の構成では、mytag1
と mytag2
という名前の 2 つのタグを設定しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
...
- name: 'ubuntu'
...
tags: ['mytag1', 'mytag2']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker"
},
{
"name": "ubuntu"
}
],
"tags": [
"mytag1",
"mytag2"
]
}
availableSecrets
このフィールドを使用して、Cloud Build で Secret Manager のシークレットを使用します。詳細については、シークレットの使用をご覧ください。
secrets
シークレットは、値の復号に使用するため、暗号化された値を含むシークレット環境変数のセットと Cloud KMS 鍵とをペアにします。
serviceAccount
このフィールドを使用して、ビルドで使用する IAM サービス アカウントを指定します。詳細については、ユーザー指定のサービス アカウントの構成をご覧ください。
images
ビルド構成ファイルの images
フィールドには、Cloud Build が Artifact Registry または Container Registry(非推奨) に push する 1 つ以上の Linux Docker イメージを指定します。Linux Docker イメージを生成せずにタスクを実行するビルドがあるかもしれませんが、イメージをビルドしてレジストリにプッシュしない場合、イメージはビルド完了時に破棄されます。指定されたイメージがビルド時に生成されない場合、ビルドは失敗します。 イメージの保存について詳しくは、Artifact Registry にアーティファクトを保存するをご覧ください。
次のビルド構成では、ビルドされたイメージを保存するための images
フィールドを設定しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '-t', 'gcr.io/myproject/myimage', '.']
images: ['gcr.io/myproject/myimage']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"-t",
"gcr.io/myproject/myimage",
"."
]
}
],
"images": [
"gcr.io/myproject/myimage"
]
}
artifacts
ビルド構成ファイルの artifacts
フィールドには、Cloud Storage に保存する 1 つ以上のコンテナ以外のアーティファクトを指定します。コンテナ以外のアーティファクトを保存する詳細については、Cloud Storage へのビルド アーティファクトの保存をご覧ください。
次のビルド構成では、ビルドされた Go パッケージを gs://mybucket/
に保存するための artifacts
フィールドを設定しています。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/go'
args: ['build', 'my-package']
artifacts:
objects:
location: 'gs://mybucket/'
paths: ['my-package']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/go",
"args": [
"build",
"my-package"
]
}
],
"artifacts": {
"objects": {
"location": "gs://mybucket/",
"paths": [
"my-package"
]
}
}
}
mavenArtifacts
mavenArtifacts
フィールドを使用すると、コンテナ以外の Java アーティファクトを Artifact Registry 内の Maven リポジトリにアップロードできます。詳細については、Java アプリケーションのビルドとテストをご覧ください。
次のビルド構成では、パッケージ化されたファイル my-app-1.0-SNAPSHOT.jar
を Artifact Registry リポジトリ https://us-central1-maven.pkg.dev/my-project-id/my-java-repo
にアップロードするための mavenArtifacts
フィールドを設定しています。
YAML
artifacts:
mavenArtifacts:
- repository: 'https://us-central1-maven.pkg.dev/my-project-id/my-java-repo'
path: '/workspace/my-app/target/my-app-1.0-SNAPSHOT.jar'
artifactId: 'my-app-1'
groupId: 'com.mycompany.app'
version: '1.0.0'
JSON
{
"artifacts": {
"mavenArtifacts": [
{
"repository": "https://us-central1-maven.pkg.dev/my-project-id/my-java-repo",
"path": "/workspace/my-app/target/my-app-1.0-SNAPSHOT.jar",
"artifactId": "my-app-1",
"groupId": "com.mycompany.app",
"version": "1.0.0"
}
]
}
}
pythonPackages
pythonPackages
フィールドを使用すると、Artifact Registry に Python パッケージをアップロードできます。詳細については、Python アプリケーションのビルドとテストをご覧ください。
次のビルド構成では、Python パッケージ dist/my-pkg.whl
を Artifact Registry リポジトリ https://us-east1-python.pkg.dev/my-project/my-repo
にアップロードするための pythonPackages
フィールドを設定しています。
YAML
artifacts:
pythonPackages:
- repository: 'https://us-east1-python.pkg.dev/my-project/my-repo'
paths: ['dist/my-pkg.whl']
JSON
{
"artifacts": {
"pythonPackages": [
{
"repository": "https://us-east1-python.pkg.dev/my-project/my-repo",
"paths": ["dist/my-pkg.whl"]
}
]
}
}
npmPackages
npmPackages
フィールドを使用して、ビルドした npm パッケージを Artifact Registry のサポートされているリポジトリにアップロードするように Cloud Build を構成します。repository
と packagePath
の値を指定する必要があります。
repository
フィールドには、パッケージを保存する Artifact Registry リポジトリを指定します。packagePath
フィールドには、アップロードする npm パッケージを含むローカル ディレクトリを指定します。このディレクトリには package.json
ファイルが含まれている必要があります。
packagePath
の値には絶対パスを使用することをおすすめします。.
を使用して現在の作業ディレクトリを参照できますが、このフィールドは省略したり空のままにしたりすることはできません。npmPackages
の使用の詳細については、Node.js アプリケーションのビルドとテストをご覧ください。
次のビルド構成では、/workspace/my-pkg
ディレクトリ内の npm パッケージを Artifact Registry リポジトリ https://us-east1-npm.pkg.dev/my-project/my-repo
にアップロードするように npmPackages
フィールドを設定しています。
YAML
artifacts:
npmPackages:
- repository: 'https://us-east1-npm.pkg.dev/my-project/my-repo'
packagePath: '/workspace/my-pkg'
JSON
{
"artifacts": {
"npmPackages": [
{
"repository": "https://us-east1-npm.pkg.dev/my-project/my-repo",
"packagePath": "/workspace/my-pkg"
}
]
}
}
Dockerfile の使用
Cloud Build で gcloud CLI やビルドトリガーを使用して Docker ビルドを実行する場合は、個別のビルド構成ファイルなしで Dockerfile
を使用します。Docker ビルドをさらに調整する場合は、Dockerfile
の他にビルド構成ファイルを指定できます。Dockerfile
を使用して Docker イメージをビルドする手順については、クイックスタート: ビルドをご覧ください。
Cloud Build ネットワーク
Cloud Build は、各ビルドステップを実行するときに、ステップのコンテナをローカルの Docker ネットワーク cloudbuild
に接続します。cloudbuild
ネットワークは、アプリケーションのデフォルト認証情報(ADC)をホストします。Google Cloud サービスは、この ADC を使用してユーザーの認証情報を自動的に検出します。ネストされた Docker コンテナを実行していて基になるコンテナに ADC を公開する場合、あるいは docker
ステップで gsutil
または gcloud
を使用している場合は、Docker build
ステップで --network
フラグを使用します。
YAML
steps:
- name: 'gcr.io/cloud-builders/docker'
args: ['build', '--network=cloudbuild', '.']
JSON
{
"steps": [
{
"name": "gcr.io/cloud-builders/docker",
"args": [
"build",
"--network=cloudbuild",
"."
]
}
]
}
次のステップ
- Cloud Build のビルドを構成する基本的なビルド構成ファイルの作成方法を学習する。
- 手動でのビルドの開始を読み、Cloud Build でビルドを実行する方法を確認する。