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顧客事例

日本テレビ放送網株式会社:サイロ化したデータを統合するための基盤に BigQuery を採用。トレーニングで Google Cloud を体系的に理解

2020年9月23日
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Google Cloud Japan Team

中期経営計画「日テレ eVOLUTION」のテーマである「テレビを超えろ。2020」に基づいて、テレビという枠を超え、総合コンテンツ企業への進化を目指す日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビ)。インターネット領域をビジネスの柱に成長させることを目的に、Google Cloud をインフラとしたデータ基盤を構築。データを活用した DX による構造改革の取り組みについて、ICT 戦略本部の責任者と、認定トレーニングをサポートしたクラウドエース株式会社(以下、クラウドエース)のエバンジェリストに話を伺いました。

利用している Google Cloud サービス:BigQueryCloud StorageApp EngineCloud SQLCloud SchedulerCloud Pub/SubCompute EngineCloud AutoMLVision API

ビッグデータ解析を高いコストパフォーマンスで期待できる BigQuery を採用

現在、総合コンテンツ企業への進化を目指す日本テレビにとって、地上波によるテレビ放送の強化はもちろん、インターネット分野への注力が、今後のビジネスの大きな柱の 1 つです。インターネット領域をビジネスの中核とする日本テレビ ICT 戦略本部 データ戦略 Division の川越さんは、次のように語ります。「最強のコンテンツ制作集団であり続けるという日本テレビのスタイルを踏襲しながら、データ活用による新しい価値の創出が求められています。」

日本テレビでは、当初は他社のデータ統合プラットフォームを中心に、MVP(Minimum Viable Product)開発手法を使ってデータ基盤を構築していました。このデータ基盤は、番組や広告の価値向上、迅速な事業判断、事業効率化などを目的に、編成部、宣伝部、営業部、報道部など、7 つの部門、100 名以上が利用。半年程度で一定の成果を上げたものの、やりたいことが増えるとともに課題も見えてきました。

「当時利用していた統合プラットフォームは、リソースに制限があったので、より高度なデータ解析をしようとするとパフォーマンス的に苦しくなり、データが分散してサイロ化するという課題がありました。そこでサイロ化したデータを統合する基盤として、Google Cloud を採用しました。」(川越さん)

新しいデータ基盤に Google Cloud を採用した最大の理由は、BigQuery の存在だと川越さんは言います。「他社のデータ統合プラットフォームがリソース的にきびしくなってきたときに、統合データ基盤についてネットで調べたり、いろいろな人に話を聞いたりして、 ビッグデータ解析を高いコストパフォーマンスで実現できそうな点で BigQuery に興味を持ちました。 また、Google アナリティクス 360 Google アド マネージャーなどのツールの恩恵が期待できることも後押ししました。何より、Google Cloud のワクワク感。実際に使ってみて、“あっ、できる”の繰り返しの毎日でした」と話しています。

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(日本テレビ放送網株式会社 ICT 戦略本部 データ戦略 Division 川越 五郎  氏)

Google Cloud のフルマネージドの恩恵でインフラコストを大幅に削減

Google Cloud による統合データ基盤は、2019 年 4 月ごろから検討を開始。 1 か月程度の PoC(概念実証)実施を経て本格利用を開始。1 か月後には、ユーザー部門にダッシュボードを展開しました。基本構成としては、BigQuery を中心に、その前段に Cloud Storage があり、そこにデータを集めるために、App Engine、Cloud SQL、Cloud Scheduler、Pub/Sub、Compute Engine などを使っています。

BigQuery に蓄積されたデータは、Cloud AutoML や Vision API などを使って解析しています。監視系にも、Google Cloud の各種サービスを使っています。エンジニアの数が少ないので、いかにプログラムを書かかずに、設定ファイルで実現できる方法を模索するかが、Google Cloud を使ったデータ基盤の構築で工夫した点でした。

Google Cloud を採用した効果について川越さんは、「Google Cloud のフルマネージドの恩恵で、インフラコストは大幅に削減できました。また AutoML については、社内のデータ サイエンティストから、“データ サイエンティストの仕事がなくなる日が来るかもしれない(笑)”という声が聞こえるほど効率化が進みました。一方、ビジネス側の担当者にとっても、高度な専門知識がなくても機械学習を簡単に活用できる点が、大きなメリットとなっています」と話します。

今後、日本テレビでは、Google Cloud によるデータ基盤を、社内のありとあらゆるデータを解析できる統合データ基盤に成長させていく計画とのこと。「デジタル領域は、データの解析をしやすいので、まずはそこをスタートに、次の一手としてイントラデータの解析を実現し、最終的には本丸であるテレビの視聴率データの分析につなげていかなければならないと思っています」と川越さんは、今後の抱負を語ります。

「個人的には、Dialogflow により、知りたいことをチャットなどで問い合わせれば答えが見つかる世界観を実現したいと思っています。またデータの種類が増えているので、Data Catalog をメタデータ管理に使いたいです。分析の専門知識がないビジネスの担当者でも、データを簡単に分析できる仕組みの実現に向け、新しいサービスの紹介、将来的な活用の提案などを Google Cloud には期待しています。」(川越さん)

より実践的で受講者のニーズに合ったトレーニング

「前職でインターネット関連の開発やプロジェクトのマネジメントをしていたので、知識と経験はありましたが、Google Cloud は、個人的に触ったことがある程度で、業務で利用するのは初めてでした」と川越さんは話します。そこで利用したのが、クラウドエースが提供する Google Cloud の認定トレーニングでした。

日本テレビでは、2018 年 9 月よりクラウドエースのカスタマーサービス(請求代行サービス)を利用していますが、2019 年 9 月ごろからデータ基盤の開発にあわせて認定トレーニングを受講しています。今回、受講した認定トレーニングは、基礎コース(初級 1 日)、GCP アーキテクト トラック(上級 3 日間)、データ エンジニアリング トラック(初級 1 日)、データ エンジニアリング トラック(上級 4 日間)の 4 つのトレーニングです。そのほか社内のエンジニアにも広げて、Kubernetes 入門コースをはじめ、いくつかのトレーニングを受講しました。

「データ基盤を構築するにあたり、Google Cloud の基礎知識を体系的に習得する必要があると考え、認定トレーニングを受講しました。これにより、アーキテクチャーの判断もパートナー任せにすることなく、自分たち自身でコントロールできるようにしたいと考えたのです。実際にハンズオン形式のトレーニングを受けたことで、プロトタイプを自分で試したりすることもできるようになり、物事の判断が圧倒的に速くなりました。トレーニングの内容はもちろんですが、休憩時間により実践的な相談を講師にできたので、それも非常に有意義な時間でした。」(川越さん)

クラウドエース 事業推進本部 エモーショナル エバンジェリストのラリオスさんは、「クラウドエースの強みは、講師が数多くの開発現場で経験や実績を積んでいることです。また、GCP の認定トレーナーは、国内に 20 名程度しかいないのですが、そのうち 12 名がクラウドエースに所属していることも強みです。講師は、共通のテキストだけでなく、それぞれが培った経験やノウハウに基づいた独自のテキストを作って、より実践的な情報、受講者のニーズに合った幅広い情報を提供できるよう工夫しています。今後も、新しいテクノロジーにスピーディに対応していきたいと思っています」と話します。

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(クラウドエース株式会社 事業推進本部 エモーショナルエバンジェリスト Google Cloud Authorized Trainer 川口 ラリオス 氏)

クラウドエースについて川越さんは、「2018 年より、請求代行やチケットベースの問い合わせを利用していたので、会社に対する信頼感もあり、クラウドエースが提供する認定トレーニングを選びました。実務的な内容と教科書的な内容を、メリハリをつけて講習できるのは、やはり講師が現場を知っているからだと感じました。今後は、人材育成の一環として認定トレーニングを社内に展開したいので、そのサポートを期待しています」と話します。


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日本テレビ放送網株式会社 ICT 戦略本部 データ戦略 Division 川越 五郎 氏

日本テレビ放送網株式会社
1952 年 7 月、わが国第 1 号のテレビ放送免許を獲得し、10 月に会社設立。2012 年 10 月 1 日付で認定放送持株会社に移行。「見たい、が世界を変えていく。」というコーポレートメッセージに基づいて、放送法によるテレビジョンの放送事業、放送番組・映像コンテンツの制作・販売、動画配信事業、映画事業、イベント事業、海外ビジネス事業、メディア事業、ライツビジネス事業などを展開。放送事業では、2019 年に 6 年連続で年間視聴率三冠王(全日、プライム、ゴールデン)を獲得。

クラウドエース株式会社

(Google Cloud パートナー)


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