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データベース

Tchibo が AlloyDB for PostgreSQL でお客様の分析情報を 10 倍高速化

2025年2月5日
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Henning Kosmalla

Principal Data Scientist GenAI

Dominik Nowatschin

Senior Data Scientist GenAI

※この投稿は米国時間 2025 年 1 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ドイツの有名なコーヒー販売店であり、ライフスタイル ブランドでもある Tchibo は、多様な製品内容や販売チャネルに関する膨大な数のお客様のフィードバックを素早くスマートに管理し、解釈する方法を求めていました。この要求を満たすため、同社は AlloyDB for PostgreSQL データベースを採用し、効率的なデータ取得、リアルタイムの分析情報をもたらす、高度な分析機能と AI 機能を活用しています。

Henning Kosmalla Dominik Nowatschin 氏によるこのゲスト投稿では、Tchibo が移行したことでフィードバック分析が 10 倍加速し、同社のチームがお客様のニーズに素早く対応できるようになり、お客様中心のイノベーションに対する取り組みが強化された理由を紹介しています。


Tchibo は、コーヒーだけではなく、お客様とつながるための新しい方法を常に「抽出」しています。

同社はコーヒー中心の事業から、自社店舗、e コマース、食料店の販売区画を利用したマルチチャネルの小売モデルへと成長してきました。この仕組みにより、それぞれ独自のニーズと好みを持つさまざまなお客様に対応できると同時に、衣料品からキッチン用品まで、食品以外の進化し続けるアイテムも取り揃え、「毎週新しい世界」をお届けしています。

しかし、いつもスムーズなわけではありません。インフレーションやお客様の AI への新たな期待など、世界中で課題が増えていく中で、競争力を維持するためには、データに基づく迅速な意思決定を行う必要があります。以前、同社で使用していたクラウド データベース ソリューションは、基本的なデータ取得を行うことはできましたが、3 つの販売チャネルで必要とするデータの規模と複雑さには対応できませんでした。データのニーズが拡大するにつれ、クエリ速度の低下により顧客データへのアクセスが遅くなる、フィードバックの収集に労力がかかる、多様なデータソースから実用的な分析情報を抽出するのが困難になるといった、さまざまな問題に直面しました。

簡単な分析情報を取得するためのクエリですら 10 秒を超えることがよくありました。また、お客様のフィードバック レポートをまとめるために、並べ替え、分類、分析に最大 3 日間の手作業を要しました。AI を活用した高度なアプリケーションをサポートできるような柔軟性にも欠けていました。そのため、構造化データと非構造化データを組み合わせて AI クエリの詳細な情報を得る、検索拡張生成(RAG)ワークフローのような革新的なツールを実装する能力にも限界がありました。こうした理由から、同社は AlloyDB を採用し、あらゆる意思決定においてお客様中心の分析情報を得る能力を強化しました。

スピードとスケールのすぐれた調和を見つける

AlloyDB は、従来のデータベースで直面していた限界に対して高性能なソリューションをもたらしました。高度な分析機能、組み込みのベクトル検索、使いやすい PostgreSQL 基盤により、同社のコーヒーのように新鮮で迅速な分析情報を得るために必要なスピード、適応性、利便性が得られました。非常に影響力のあるアプリケーション、Customer Voice を使用することで、従業員は関連するお客様のフィードバックに瞬時にアクセスできます。このツールは、製品レビューやその他のソースからのデータを実用的な要約にまとめ、「お客様は自社の新しいポッド式コーヒー メーカーについてどう思っているか」などの質問に、簡潔で実用的な要約を返します。

AlloyDB は、同社の Customer Voice アプリケーションの基盤として機能し、リアルタイムのフィードバック分析をサポートする一通りのデータ パイプラインを管理します。AlloyDB のアーキテクチャにより、データ ストレージ、検索、クエリ処理が効率的に扱われるため、Tchibo のチームはお客様の分析情報から新たな視点を得ることができます。AlloyDB は、次のように同社の特定のニーズをサポートします。

  • データ ストレージ: AlloyDB は、お客様のフィードバックと製品のメタ情報を、標準クエリと高度なクエリの両方をサポートする柔軟な構造で整理します。この仕組みにより、従来のクエリ(「肯定的な意見のレビューをすべて返す」など)を実行できるほか、エンベディング列を使用してデータの深度と関連性を高める最近傍(NN)探索も実行できます。

  • クエリの解釈: 従業員が Customer Voice アシスタントに質問すると、大規模言語モデル(LLM)(現在は Vertex AI 上の Claude 3.5 Sonnetがクエリを解釈し、製品やカテゴリといったトピックの核を識別して、対象を絞った関連性の高い回答を返します。

  • 取得とフィルタリング: AlloyDB は、構造化クエリ、NN 探索、再ランキング / フィルタリングの手順を組み合わせて、関連するレビューを取得します。LLM はクラスタリングと要約統計量を使用してデータを充実させ、お客様の意見をすべて表示します。

  • プレゼンテーション: Customer Voice は、効率的なインターフェース上に個々のレビュー、主要な統計、概要をハイライト表示して分析情報を提示するため、従業員は情報に基づいて簡単に行動を起こせるようになります。

意思決定を促進するために最適なデータをもたらす

AlloyDB により、意思決定に必要なお客様のフィードバックと分析に迅速に、より深く、スケーラブルにアクセスできるようになり、Tchibo のデータに対するアプローチが変革されました。

AlloyDB は、高性能な分析と RAG ワークフローをサポートしているため、ほぼ瞬時に分析情報をもたらします。以前は複雑なクエリに最大 10 秒かかっていましたが、今では約 1 秒で結果が返ってくるため、チーム全体でデータに基づいた意思決定を迅速に行えます。以前は、お客様の詳細なフィードバック レポートの生成に、手作業で数日かかっていました。AlloyDB を使えば、今では数秒で完了します。この飛躍により、お客様のニーズと好みをリアルタイムで把握し続けるという取り組みが強化されました。

さらに、AlloyDB のフルマネージド運用により、運用上のオーバーヘッドが削減され、データの需要増加に応じて拡張する機能もシンプルになりました。AlloyDB を選ぶうえで、継続性は主な検討対象ではありませんでしたが、SLA 可用性が 99.99% であるということは、長期目標をサポートするうえで有益な信頼性をもたらしています。

Customer Voice 以外にも、AlloyDB はイントラネット クエリ用の社内チャットボットなどの幅広い AI イニシアチブをサポートしており、さまざまな検索拡張生成(RAG)のユースケースを組織全体で効率的に拡張できる柔軟性があります。将来的には、より多くの構造化データと非構造化データを分析に統合するための拡張 AlloyDB 機能も検討しています。Tchibo は、Google Cloud と提携し、より充実した分析情報を提示する新しいデータ ソリューションを模索することで、成長とイノベーションを促進しています。

お使いの環境で AlloyDB を使ってみる準備はできましたか。次のリソースをご覧ください。

-生成 AI プリンシパル データ サイエンティスト Henning Kosmalla
-生成 AI シニア データ サイエンティスト Dominik Nowatschin 

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