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顧客事例

京セラ:デジタル プラットフォームに Google Cloud を全面採用、ものづくりの "Dx" を次のフェーズへ

2021年12月21日
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Google Cloud Japan Team

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将来を見据え、今、多くの国内老舗メーカーが、自社のものづくりのデジタル トランスフォーメーションに取り組んでいます。ここでは、その事例の 1 つとして京セラの『生産性倍増プロジェクト』と、その根幹を担うデジタル プラットフォームについて紹介。そこに Google Cloud のプロダクトがどのように役立っているのかを京セラ デジタルビジネス推進本部の土器手氏と、システムの開発を担当した京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)の皆さんに語っていただきます。

利用しているサービス:
Google Kubernetes EngineBigQueryCompute EngineCloud SQLCloud StorageVertex AICloud Functions など

Google Cloud のネットワーク、プロダクトへの期待とカルチャーへの共感が導入を推進

労働人口減少に伴う人手不足や技術継承の断絶などは、今、多くの国内製造業が抱える課題です。これはさまざまな業界で高い優位性を誇る京セラにとっても他人ごとではありません。この危機感に対して同社がどのような手を打ってきたのか、京セラ 土器手氏は "起点" となった 4 年前を次のようにふり返ります。

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「弊社が直面している課題を解決すべく、2017 年 1 月に現社長(谷本秀夫氏、当時は常務取締役ファインセラミック事業本部長)の肝入りで『生産性倍増プロジェクト』を立ち上げたのが全ての始まりでした。まず目指したのが、ファインセラミック部門における、"自動化" ラインを超える "自律化" ラインの構築です。これは製造不良を未然に防ぎ、ラインを止めず、不良品も作らないといった文字通り自ら律するというもの。それまでの製造ラインはチョコ停(数分程度で復帰可能な軽微な設備停止)、ドカ停(大規模な設備停止)が発生してしまうことがあったのですが、これをオペレーターを介すことなく 365 日 24 時間動かすことを目標にしました。目標が高かったため課題は山積みでしたが、事業部とメンバー全員の協力を得ながら、1 年足らずで国分工場、蒲生工場、川内工場の 3 拠点にモデルラインを構築しました。」(京セラ 土器手氏)

なお、工場の生産能力が倍増するということは、それにまつわる作業も倍増するということ。特にファインセラミック事業のように、カスタムメイドな一品一様のもの作りを求められる現場では、個々に見積り、作図、加工プログラムの作成などといった業務が発生するため、担当者の業務負担も倍増してしまいます。

「それで人的コストが倍増してしまったのではプロジェクトの意味がありません。そこで、3 拠点の自律化ラインを統括するデジタル プラットフォームを並行して構築し、そこに自動で見積りを作ったり、図面を描いたり、それを加工プログラムに変換する機能を盛り込むことでコストを抑えながら生産性を高めてきました。」(土器手氏)

この手応えを元に生産性倍増プロジェクトは次なるフェーズへ。2019 年 10 月に Dx 推進センターを発足してプロジェクトを全社展開していくことになりました。なお、センターの名称は「これまでどこにもなかったデジタル トランスフォーメーションを実現すべく、一般的な大文字表記の『DX』 を少し変化させ『Dx』という名称にした」(土器手氏)とのこと。そしてその象徴となるデジタル プラットフォームのための新たなデータ収集・分析・活用基盤を Google Cloud 上に構築しました。

「生産性倍増にはデータの活用が不可避です。製造現場におけるデジタル トランスフォーメーションとは、データドリブンだと言っても過言ではありません。ですからデータを現場が容易に活用できる基盤を、迅速な機能リリースができて、スケールアップ / ダウンが容易なクラウド上に構築することは必然でした。多くの選択肢を検討・検証し、最終的に Google Cloud を選んだのは、Google がグローバルな海底ケーブル網を持ち、Partner Interconnect というかたちでのセキュアな専用回線の利用が可能だったから。製造現場はノウハウの塊ですから、外部への情報漏洩はなんとしても避けなければなりません。」(土器手氏)

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「開発側としてありがたかったのは、まずメニュー構成などが分かりやすく、開発がとてもしやすかったこと。その上でデータ分析という観点では今後の AI 技術、特にオープンソースの分野で TensorFlow といった根幹となるライブラリを開発していたことや、TPU などのハードウェア開発についてもいろいろ取り組まれていることを評価しています。また、データベースが巨大化、分散化していく中での BigQuery の結合性の高さ、使いやすさも大きかったですね。」(KCCS 倉田氏)

その上で倉田氏は「京セラグループとしてイノベーションを推進していく中、Google のカルチャー、考え方にとても共感させられた」ことも、Google Cloud の導入を後押ししたと語ってくれました。

Dataflow、Pub/Sub、BigQuery、Compute Engine などを駆使して膨大なデータをサービス化

こうして 2020 年 6 月に稼働開始したデータ活用基盤は大きく 3 層構造となっています。グループ各社・事業部ごとに異なる基幹システムや、社員個々人の PC、工場設備上の各種センサー(IoT デバイス)などからデータを取得し保存するデータ収集部分、そしてそれを別途構築した AI モデルなどで分析して使えるようにするデータ活用部分、最後にデータや分析結果を機能として提供するサービス部分です。これら全ての部分で Google Cloud のプロダクトが活用されています。

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「データ収集部分では BigQuery を活用しています。自律化のための EWS(早期警報システム)利用を視野に、設備がどこに納入されているか、どういった原料を使っているかなどといったデータの蓄積や、後続のデータ活用部分でも活用しています。BigQuery にはテラバイト級の膨大なデータに対して瞬時で応答してくれる点、マルチクラウドでのデータソース連携(BigQuery Omni)ができる点など期待しており、今後はこれをしっかり使い込んでいくことで成果を出していきたいと考えています。本格的な運用はこれからなのですが、現時点でもコストの大幅減や、フルマネージドで面倒なところを全てお任せできることなど、多くのメリットを感じています。」(KCCS 秋枝氏)

そのほか、データ活用の部分では BigQuery などの他にも Compute Engine や Cloud SQL を活用、現在は Vertex AI(AI Platform)なども積極的に活用しているとのこと。さらに、最後のサービス部分についてはサーバーレス ソリューションの Cloud Functions や、分析系では Google アナリティクスなども活用しています。

「ユースケース開発からデータ活用基盤構築までを KCCS のエンジニア約 30 人体制で開発しているのですが、Google Cloud がなければ、その 2~3 倍の人員が必要になっただろうと実感しています。」(秋枝氏)

なお、ものづくりに必要となるさまざまな機能を実現するサービス部分のうち、特定の業務に特化しない汎用的なものについては、これを独立したデジタル ソリューションとしてアプリ化し、現場が使いたいものを使いたいときに利用できるように構築。今後は外販も視野に入れているそうです。

「この 4 年、京セラはデジタル プラットフォームも含めて現場を変えるための仕組みを作ってきました。今後は、その仕組みを使って実際に製造の現場を変えていくことに取り組んでいくことになります。そのために大切なのは現場に、デジタルプラットフォームの活用が彼らの未来をどう変えていくのかをしっかり伝えていくこと。私は生産性倍増がこのプロジェクトのゴールだとは考えていません。それはあくまでプロセスに過ぎません。真の目的は、全社の中でも多くの比率を占める製造現場の社員が、「今までのままではいけない」と、意識を変える事です。製造工程だけでなく、社員のメンタリティも "自律化" し、より創造的な風土に変わっていくこと。Google Cloud にはその実現に必要な素晴らしいプロダクトが揃っていると感じています。」(土器手氏)


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京セラ株式会社
産業・自動車用部品や半導体関連部品、電子デバイスの製造から、スマートフォンなどの情報機器、プリンターなどのドキュメントソリューションまで、国内外で幅広く事業を展開する国内大手メーカー。1959 年創業。グループ会社数は 308 社、グループ従業員数は 78,490 名(2021 年 3 月末現在)。

インタビュイー
・執行役員、デジタルビジネス推進本部長
 土器手 亘 氏(写真左)

京セラコミュニケーションシステム株式会社
(Google Cloud パートナー)

インタビュイー
・ICT事業本部 デジタルソリューション事業部
 事業部長 秋枝 正治 氏(写真 中央)
・ICT事業本部 デジタルソリューション事業部 デジタルソリューション部
 ものづくりDX課 副課長 倉田 浩司 氏(写真 右)


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