株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ:GCP で広告レポート業務を大幅自動化、工数削減に成功
Google Cloud Japan Team
※ 以下投稿は、2019 年 12 月時点のものです。
デジタル化された広告データの有効活用はますます価値を増し、データの収集、集計、可視化、分析には、スピードも求められています。株式会社博報堂DYメディアパートナーズ(以下、博報堂DYメディアパートナーズ)では、GCP 導入により、膨大な人的作業の自動化を実現、大幅な工数削減に成功しました。同社の取組みについて、デジタル戦略推進担当者 2 名、および開発をサポートした株式会社トップゲート(以下、トップゲート)の担当者 3 名に、話を伺いました。
利用している Google Cloud Platform サービス:BigQuery、Cloud Functions、Cloud Storage、Cloud Pub/Sub
機械学習の活用も見据えて GCP を導入
博報堂DYメディアパートナーズでは、豊富なデータベースやマーケティング ツールを駆使し、多様なメディアを効果的に活用した、統合コミュニケーションの構築に取り組んでいます。たとえば、テレビや新聞などのマスメディアに加え、コミュニケーションにおいて不可欠となっているデジタル メディアやデジタル デバイスなどを有機的に組み合わせ、メディア効果の最大化とマーケティングの課題解決を図ろうとしています。
クライアント向けには、広告を表示した回数やクリックした回数、クリックに発生した課金状況、クリックにより商品を購入した件数などの情報を細かく集約し、一覧化した広告レポートを作成しています。また、その広告の配信結果がクライアントの KPI に対してが良かったのか、悪かったのか、どれくらいのボリュームが出たのかなどのパフォーマンスをトラッキングし、管理を行なっています。
博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局 デジタル戦略推進部の細見光弘さんは、「広告レポートは、クライアントにあわせて、日次、週次、月次など、さまざまな粒度で作成しなければなりません。これまでは現場の担当者が、個別に管理画面から出力した広告データを、それぞれ表計算ソフトで集約に転記し、手作業で集計、加工、可視化して、リクエストに即した広告レポートを作成していました。ここにかかる時間と工数は大きく、作業の効率化そのものは避けて通れない課題になっていました」と振り返ります。
そこで 2018 年 6 月より、広告レポート作成作業の自動化を実現するためのプロジェクトがスタート。システム構築のインフラとして、クラウドサービスを採用することとし、いくつかのクラウドサービスを比較検討した結果、Google Cloud Platform(GCP)を採用することを決定します。 「広告レポート作成や BI に加え、将来的に利用したい機械学習などのサービスが充実していたことも決め手のひとつとなりました」(細見さん)
広告レポート作成の自動化で大きな費用削減効果が
今回のシステム構築では、BigQuery や Cloud Storage、Cloud Pub/Sub、Cloud Functions などのサービスを利用しています。システム構成としては、API で取得可能な広告媒体のデータは 、ETL ツールを使用し BigQuery に蓄積し、現状 API で取得できない媒体のデータは、まずは Cloud Storage に集約し、Cloud Pub/Sub で集約を検知したら、Cloud Functions で加工を行い、BigQuery に蓄積して、データポータルで広告レポートを自動作成しています。
デジタル戦略推進部で主にレポート作成を担う飯澤江利さんは、GCP 導入の効果を次のように話します。「案件数により広告レポートの作成工数は違いますが、感覚的には半分以下の工数で作成できるようになりました。削減できた工数で、よりクライアントに有益な情報を提供できる作業が可能になりましたし、働き方改革にもつながっています。」
現場の担当者に実施したアンケートでは、1 か月の業務時間を 1 人あたり数時間削減できたという結果が出ているといいます。また、広告レポートの作成は、業務の中で一定の工数を占めていたことから、時間と工数を削減できた効果は大きいそうです。
使いやすさも GCP を採用したメリットの 1 つ。細見さんは、「GCP はエンジニアでなくても比較的簡単に使えるので便利です。特に BigQuery は、分かりやすく、高度な専門知識がなくても、基本的な SQL の知識さえあれば使えます。満足度は、非常に高いです」と話します。
現場の担当者からの依頼により、データポータルを使って構築しているダッシュボードは、クライアントにも公開していますが、前日のデータを翌朝には見られるので、そのスピード感が高く評価されています。同じような機能をコピーして再利用できるなど、小回りの効いた機能も重宝されているようです。
「分担しているので、バックエンドのシステムのことは任せているのですが、ダッシュボード構築においてデータポータルは必要な図表をアウトプットに合わせて当てはめて作成するので、直感的にダッシュボードを作成できます。最初は少し戸惑いましたが、ブログを読んだり、ドキュメントが充実しているので、わからないことも解決できています。アップデートが頻繁にあり、使いやすい機能が増えるので助かっています。」(飯澤さん)
また、ダッシュボードとは別に、現場の担当者が条件を入力して送信すると、必要なデータがスプレッドシートに展開され、PDF に変換されて担当者に送信される仕組みが、Google フォームのアンケート機能を利用して構築されています。こうした取り組みは、社内でも高く評価され、社内のアワードを受賞しています。
4 か月という短期間の開発を支えたパートナーのサポート
今回の GCP 導入には、パートナーとしてトップゲートがサポートをしています。「トップゲートさんは、Google Cloud プレミアパートナーとして多くの実績があり、安心してお任せできると思いました。」(細見さん)。
トップゲート PMO Section / Leader の赤間さんは、次のように話します。「依頼を受けたのは 2018 年 7 月で、10 月よりシステムの構築を開始し、2019 年 1 月にリリースしています。今回、4 か月という非常に短期間で、集中してシステムを構築しました。構築にあたり、とてもコミュニケーションが円滑で、不明な点について問い合わせをしてもすぐに返事があり、資料も迅速に提供してもらえたので、短期間での構築が実現できました」
システム構築で工夫した点については、「専用クラウド サービス以外のデータは、スプレッドシートや CSV など、フォーマットがさまざまで、たとえば、何行目のデータを抜き出すとか、不要なデータを取り除くといった個別の処理に工夫が必要でした。データ解析を支援するライブラリである pandas の機能を利用することで、100 行程度のスクリプトで比較的簡単に対応できました。」(トップゲート Tech Club / Manager 鈴木さん)
こうした要望や問い合わせへの柔軟な対応は、現場の担当者たちにも評価が高い。
トップゲート Solution Section / Manager 松田さんは、「システム面では、機能の改善はもちろん、コスト削減が期待できる GCP の活用を、今後も提案していきます。GCP のサービスを利用して新たな発見があれば、お互いにハッピーになれます。博報堂DYメディアパートナーズさんが、クライアントへの付加価値の創造が行える、そんな提案を、今後も提供していきたいと考えています」と話しています。
(写真左から)
株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ
統合アカウントプロデュース局 デジタル戦略推進部 細見 光弘 氏
統合アカウントプロデュース局 デジタル戦略推進部 飯澤 江利 氏
株式会社トップゲート
System Solution Division / Tech Club / Manager 鈴木 達彦 氏
System Solution Division / PMO Section / Leader 赤間 正 氏
System Solution Division / Solution Section / Manager 松田 基数 氏
博報堂、大広、読売広告社の経営統合により設立された博報堂DYホールディングスの 100 %子会社として 2003 年 12 月に設立。3 つの広告会社と連携して、広告主、媒体社、コンテンツホルダーに対し、最適な課題解決力を提供しています。博報堂DYグループの「統合的課題解決力」に基づきビジネスを展開。メディア コンテンツビジネス領域において、プラニング、プロデュース、バイイング、トラフィック、ナレッジを主要な機能として駆使し、コミュニケーション効果を最大化するサービスを提案しています。
(Google Cloud Platform プレミアサービスパートナー)
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