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フォスター電機株式会社の導入事例:ミャンマー工場の MES のシステム基盤を将来性と信頼性の高い GCP で構築。ビジネス変化に対するアジリティとスケーラビリティを獲得

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「未来社会に音で貢献する」というビジョンに基づき、スピーカおよび音響機器、電子機器の製造、販売を事業として展開するフォスター電機株式会社(以下、フォスター電機)。品質管理レベル向上による顧客との信頼関係醸成の一環として、海外生産拠点のシステム化を推進。プロジェクトをけん引したフォスター電機の 2 名のキーマンと、それをサポートした株式会社トップゲート(以下、トップゲート)の 2 名の担当者に話を伺いました。


利用している Google Cloud Platform サービス

Google Compute EngineGoogle Cloud StorageGoogle BigQueryStackdriver LoggingStackdriver MonitoringGoogle Cloud FunctionsCloud Pub/SubVirtual Private Cloud(VPC)Cloud VPN など


写真右から

  • フォスター電機株式会社 経営情報戦略室
    業務システム開発1課 主査 岩田 傑 氏
  • フォスター電機株式会社 経営情報戦略室
    業務システム開発1課 課長 中村 俊一 氏
  • 株式会社トップゲート 営業部 村上 雅子 氏
  • 株式会社トップゲート クラウド事業部 篠原 宏行 氏

会社概要

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フォスター電機株式会社

1949 年の創業以来、「音のスペシャリスト」として、スピーカ事業、モバイル オーディオ事業を主力に、小型音響部品などの事業を加えた 3 つの事業を推進する音響メーカー。スピーカやヘッドホン、警報音用ブザーなどを OEM 生産、ODM 生産するほか、自社ブランド「Fostex」を展開。現在は、車載用スピーカに注力しており、日本、欧州、米国などの主要な自動車メーカーと取引をしている。

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株式会社トップゲート

(Google Cloud Platform パートナー)

GCP の採用でリモートでの IT インフラ管理が可能に

フォスター電機では、2014 年にミャンマー連邦共和国(以下、ミャンマー)ティラワ経済特区内に新しい工場を開設(以下、ミャンマー工場)、2015 年より順次生産を開始しました。新工場では、2018 年 8 月より、新たに車載用スピーカの製造を開始するにあたり、製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)の導入が必要となりました。

MES の導入が必要になった背景を岩田さんは、次のように話します。「国内はもとより欧州や米国の自動車メーカーは FIFO、トレーサビリティなどの品質管理を非常に重視します。紙の情報を整理・保存して対応する従来型では、年々厳しくなる自動車メーカー様の要求品質に応えていくことが難しくなってきました。そのため、MES 導入 による製造現場の品質管理レベルの向上が急務でした。」

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ミャンマー工場に導入する MES として、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)バクニン省内の工場(以下、バクニン工場)で、2016 年より稼働している MES のロールアウトを決定します。しかし、バクニン工場で稼働している MES は、オンプレミスで運用していたために、運用管理面でいくつかの課題を抱えていました。「バクニン工場では、工場内の一室にサーバーラックを置き運用しています。ハードウェアやヒューマン エラーによる障害のリスクに加え、セキュリティ面でも不安がありました。

また、工場はハノイ市内から車で 1 時間程度離れた場所に位置しており、一定以上の IT スキルを持った技術者が集まりにくいという人材面での課題もありました。」(中村さん)。そこでミャンマー工場では、クラウド運用へとシフト。堅牢性・信頼性の高いクラウド基盤で MES を稼働させることにより、IT インフラの不安を解消し人材面での課題も解決する。その実現のため、選定されたクラウド サービスが、Google Cloud Platform(GCP)でした。

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将来的な拡張も見据えた柔軟なアーキテクチャに

GCP の導入プロジェクトは、2017 年 9 月より検討が開始されました。中村さんは、「10月より、GCP 上に検証環境を構築し、約 3 か月間かけて実現の可能性を評価しました。システム基盤として問題がないということを確認できたので GCP の採用を決定しました。」と話します。その後、2018 年 1 月より本番環境の構築を開始し、2 月には構築が完了。現地スタッフのトレーニングを兼ねた約 5 か月間の検証期間を経て、MES を本番稼働しています。

GCP の採用を決めた理由の一つとして岩田さんは、「当社は 2011 年から G Suite を利用しているので、Google プロダクトに対する信頼感もありました。また、Google アカウントの権限管理が、GCP と G Suite でシームレスに連携できることも評価しました。コンスタントにアップデートされていて、将来性が高いことも魅力の一つです。」と話します。今回、構築されたシステムは、共有 VPC(Virtual Private Cloud)ネットワーク上に、Google Compute Engine の複数の VM インスタンスを並べ、各拠点間を Cloud VPN でつないだインフラ構成になっています。このインフラの上で、MES を動かしています。最大の特長は、共有 VPC を使うことで、将来的な拡張も見据えた柔軟なアーキテクチャになっていることです。

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製造実行システム(Manufacturing Execution System) GCP 構成図

「一技術者として、ワクワクする技術的な面白さと可能性を感じたのが GCP でした。アーキテクチャ設計では、試行錯誤した面もありましたが、トップゲートさんにサポート頂きながら一つひとつ解決しながら進めることができました。」と中村さん。フォスター電機では、2017 年 11 月より GCP の導入コンサルティング、および技術サポートをトップゲートに依頼しています。篠原さんは、「権限管理やネットワーク構築など、ベースになるアーキテクチャの部分をサポートしましたが、フォスター電機さんは、GCP について、事前にかなり勉強されていたので驚きました。サポート開始時には、基本的なネットワーク構成図も作成してあり、やりたいことが明確な状況だったので、後はいかに GCP で実現するかを支援するだけでした。」と話します。

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「現地にサーバーを置くのではなく GCP を使い、現地のデータセンターではなく Google のデータセンターを使うことで、安心感を得られます。また、Google のネットワークは、世界でつながっていて、どこの拠点でも高速なスループットを得ることができるので、自信を持ってお勧めできます。」(篠原さん)

村上さんは、「今回のプロジェクトを遂行する上で、現地スタッフとのコミュニケーションに、G Suite を効果的に活用されたことが非常に素晴らしいと思います。プロジェクト開始以前は、メールなど一部の機能しか利用されていなかったと伺っていましたが、今回のプロジェクトでは、Google スプレッドシートのデータ共有や、ハングアウトでの海外拠点とのコミュニケーション、更にプロジェクト専用のポータル サイトを Google サイトで構築していらっしゃいます。ポータル サイトでは、現地スタッフの顔写真、所属などを一覧表示したページや、プロジェクトに関する資料を掲載したページなど、日本にいながらにして、文化の違う現地スタッフとの密なコミュニケーションや、日本型の仕事の進め方を上手にコントロールする方法を確立されたことは、参考になる G Suite の活用方法だと感じました。」と話します。

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岩田さんは、「GCP での構築は初めてだったので、不安もありましたが、トップゲートさんは、技術力、サポート力が高く、安心感がありました。問い合わせに対するレスポンスやアクションが速かったこと、非常に豊富な知識を持っていたことも評価しています。」と話しています。

今後は GCP などの Google プロダクトを活用し、現場の業務改善に貢献したい

ミャンマー工場で MES が稼働して数か月、GCP に関する障害は発生しておらず、非常に安定した運用を実現しています。また GCP は、日本側でインフラ基盤を管理できるので、当該システムにおける専任のサーバー管理者も不要になりました。中村さんは、「ミャンマーは、一定レベル以上の IT スキルを持った技術者の採用が難しく、また地理的な特性からパートナー様からのタイムリーなサポートが受けにくいため、安定運用に不安を感じていました。そのため GCP の採用でその問題が解消されたことは、非常に大きな効果だと感じています。」と話します。

現場での効果を中村さんは、「オペレーションによって発生したデータを、MES から BigQuery に連携・集約し、データ ポータル(旧名称 Data Studio)で可視化する仕組みを構築しました。現場の担当者が、いまどこに問題、課題があるのかを理解し改善するカルチャーができあがったことは最大の効果でした。またベトナム工場への導入では、MES からデータを抽出し、表計算ソフトで加工した上でメール配信していたため、一連の作業が負担になっていました。」と話します。

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データ ポータル で可視化した工場オペレーションのモニタリング データ

「工場オペレーションの可視化は、コストやスケジュールなどを踏まえ、その実現性を常に模索していました。その中で、Google Cloud Next での事例紹介や技術評価から着想を得て、試行錯誤しながらも短期間で現場へデリバリーすることができました。このスピードとコスト感は、オンプレミスでは難しかったと思います。MES には、価値のあるデータが蓄積されているので、データ分析に強い Google プロダクトとの組み合わせによる、さらなる相乗効果を期待しています。」(中村さん)。岩田さんは、「日々、データ ポータルに掲載された情報を見て、自分たちの部門にどのような問題があるのかを把握できるようになったことは導入の中で感じた大きな成果の一つです。まずはポータル サイトを見てもらうことからと、運用の定着には時間がかかりましたが、自分たちの問題点が見えるようになると、自発的に改善を進めるようになりました。改善が進めば、最終的には、品質や生産性が向上し、コスト削減も期待できます。」と話します。また、GCP に関する設定追加、変更の内容と背景、理由を後から振り返ることができるようにするため、Google スプレッドシートで作成した管理台帳を導入しています。また、管理台帳と実設定に差がでないようにするため、Google Apps Script と REST API で設定情報を自動的に取得し比較するツールをつくり、運用しています。

今後の取り組みについて岩田さんは、次のように話します。「これからのエンタープライズ分野のアプリ開発では、ビジネス環境の変化に俊敏に対応できるスピード感が重要になります。今後、フロント エンドに App Maker を、バックエンドに Google App Engine や Google Cloud Functions を活用することで、現場の要望にできるだけ早く対応できる開発スタイルを確立していきたいと思っています。」また中村さんは、「今後 10 年間の当社の IT 戦略では、"クラウド ファースト" を中核に据え、オンプレミス ゼロを目指しています。また、クラウドを徹底活用し、その先の DX(Digital Transformation)を実現したいと考えています。GCP のエンタープライズ分野のプロダクトやサービスは、この 1 年、着実な進化を遂げていると感じていますので、今後もより革新的なサービスが提供されることを期待しています」と話しています。

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