見逃した方へ: 2020 年にデータ分析業界で起きたこと
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年は厳しい 1 年でした。世界規模でパンデミックが拡大し、あらゆる国、業界、個人が影響を受けたため、Google はこの未曾有の事態を切り抜けるサポートをするべく、データと分析に着目しました。Google はデータとクラウドを使用して、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大を把握できるようにすると同時に、業界をデジタル変革して、人々が必要なものを必要なときに安全に取得できる方法を提供しました。エッセンシャル ワーカーとビジネスにとっては、この試練の時を経験するなかで、データと分析が不可欠なツールになりました。Google のデータ分析チームは、組織がビジネス戦略を見直し、サービスを顧客に届けられるよう尽力しました。
今年お客様から寄せられた声や、Google Cloud が取り組んできたことは、デジタルの世界にまたがるデータの使用と共有に関する新たな緊急性を反映しています。本稿では、Google が 2020 年に注力してきた 4 つの主なテーマを振り返り、それらが 2021 年にこれまで以上に重要になる理由をご紹介します。
BI を超えて - インテリジェント サービスのさらなる活用
昨今は圧倒的な量のデータが生成されていますが、大量のデータがあることは必ずしも有用な情報があることと同じではありません。数々の企業は、すでにビジネス インテリジェンス(BI)を採用しており、所有するデータから分析情報を得て、より大きなビジネス成果を達成しています。今後、現行のソリューションを AI と機械学習(ML)で強化すれば、大量のデータセットの分析、パターンの認識、過去、現在、そして未来を定義するのに役立つ分析情報を獲得できます。
たとえば Looker を利用すると、チームは Looker Blocks を使用した最新の BI、分析情報の集約、データドリブン ワークフロー、カスタム アプリケーションといった今までのレポートとダッシュボードを凌ぐサービスを提供できるようになります。また、ユーザーはリアルタイム分析と集約テーブルの自動認識機能を利用して、特に重要なデータを高パフォーマンスかつ高効率なクエリでストリーミングすることもできます。BigQuery ML を使用すると、異常検出などのリアルタイム AI ソリューションを含め、データをウェアハウスから移動させることなくカスタム ML モデルを作成できます。さらに、Next OnAir で発表した自然言語インターフェース Data QnA を使用すれば、ビジネス ユーザーが会話形式でデータセットを分析できるため、BI チームの仕事が増えることはありません。
選択肢、柔軟性、ポータビリティを可能にするオープン プラットフォーム
SaaS アプリケーションや一度に 1 つのワークロードを移行する考えが普及している中で、大多数のエンタープライズ クラウド アーキテクチャは 2 つ以上のパブリック クラウドを使用して構築されています。そうすることで、企業はストレージやコンピューティングのコストを最小化し、特に革新的な AI と ML のサービスを使用できるうえ、必要に応じて自由に移植することができます。そのため、Google Cloud はオープンであるよう努めています。
2021 年までに、大規模および中規模組織の 75% 以上がマルチクラウドまたはハイブリッド IT 戦略(またはその両方)を導入する見通しです。
Gartner Predicts
Google は、異なる環境間のサイロを破壊して、お客様がデータの場所を問わず管理、処理、分析、有効活用することを可能にしています。今年は、柔軟性の高いマルチクラウド分析ソリューションの BigQuery Omni をリリースしました。BigQuery Omni は、Google Cloud、AWS、Azure(近日提供予定)のデータを、クラウド間でデータを移行することなく分析できます。さらに、Looker のインデータベース アーキテクチャを使用すると、データが複数のデータベースやクラウドにまたがっていても、データのある場所でクエリを実行できるため、一貫した方法でデータを分析することができます。
Google のマルチクラウド、オープンデータの分析の未来に対するビジョンは、今年新しく開設された Gartner マジック クアドラントのクラウド データベース管理システム(DBMS)部門に反映されています。ビジョンの完全性の軸においてもっとも傑出した 3 社のベンダーのうち、Google がリーダーとして選出されました。
2020 年には、Wayfair といった組織がオンプレミスのデータ分析用オープンソース ソフトウェアを Google のオープン クラウドに移行することも支援しました。こうしたポータビリティによって、組織は Apache Spark、Presto、Apache Hive を使い慣れているデータ分析の専門家の移行へのハードルを下げつつ Dataproc によるクラウドのスケーリングやコスト削減を実現できます。
Google Cloud のすべてにわたるバックアップと DR の機能を強化するため、Google は最近 Actifio の買収契約を締結しました。ハイブリッド シナリオを含め、Google Cloud で重要なワークロードを実行している企業は、外部の脅威、ネットワーク障害、人的ミス、その他の中断によるデータ損失とダウンタイムを回避できます。
コントロールを失うことなく、インテリジェントにスケーリング
データ分析は今や多くのビジネスにとってミッション クリティカルですが、コストを増やすことなく急な需要に効率よく対応し、データを適切な担当者に委ねるにはどうすればよいでしょうか。柔軟性と予測可能性を確保することはできるのでしょうか。
この 1 年で、小売業では実店舗の閉店に伴い、前例のない数のお客様がオンライン ショッピングに移行しました。同時に、引き続きブラック フライデーやサイバー マンデーといった通常のカレンダー イベントや商品リリースの計画を立てる必要がありました。Google は BigQuery Flex Slots を発表し、お客様がクラウド データ ウェアハウスのスケールアップとスケールダウンを素早く行い、使用量に基づいて支払えるようにしました。また、新しい Dataflow 変更データ キャプチャ(CDC)ソリューション によって、データ処理とクラウドへの移行の最適化も簡単に行えるようにしました。この CDC は、使用可能なすべてのデータではなく、変更のあったレコードの取り込みと処理に特化しています。
さらに、データドリブンな従業員の需要を満たすために、組織が扱う各種アセットはますます増え続けています。昨今はデータ アナリストだけでなく、組織内の誰もがデータを使用しています。こうした状況を受け、Google はユーザーの役割を問わず、より多くの価値を引き出せるようにするスマートなツールを提供しています。たとえば、セルフサービスによるデータ検出のためのデータカタログや、カスタマー エクスペリエンスを向上させるためにデータを使用しやすくするプロダクト レコメンデーション リファレンス パターンなどです。
データ分析を活用する
数々の困難がありましたが、2020 年は想像を絶するような成長やイノベーション、インスピレーションのあった年でもありました。Google Cloud は、お客様が重視することや、新たな節目に到達するためにデータ分析をどう活用しているかについて、多くを学びました。
KeyBank と Trendyol Group が BigQuery クラウド データ ウェアハウスに移行した際のストーリーを聞いたり、Procter & Gamble がクラウド分析を使用してカスタマー エクスペリエンスをパーソナライズする方法を学んだりしました。また、ThetaLabs が NASA と提携して魅力的なストリーミング動画を配信するのを支援しました。
メジャーリーグ ベースボール(MLB)は、Google Cloud を使用して野球データからより良い分析情報を引き出し、放送局やコンテンツ作成者が適切なストーリーを伝えて、ファンのエンゲージメントを促進できるようにしました。Conrad Electric は Looker を選択することで、商品の販売状況を詳細に把握できるようにし、分析情報を役立てることで状況に応じて最適化できるようになりました。Blue Apron は、レシピのおすすめやサプライ チェーンの品質向上から梱包ワークフローの合理化まで、カスタマー ジャーニー全体にわたってスマート アナリティクスを組み込んでいます。
しかし、特に目覚ましい飛躍は、危機に直面したときの支援にスマート アナリティクスを活用する方法に見られました。たとえば、Commonwealth Care Alliance(CCA)は、Google Cloud のデータ分析を活用して、臨床医およびケア マネージャーがリスクの高い患者を優先的にケアできるようにしました。信頼できるデータと答えを簡単に得られる方法によって、CCA は変化する要因に対応し、会員に最適なケアを提供できるようになりました。
2021 年に備える
あらゆるスキルレベルに対応した Google Cloud データ分析トレーニングにより、データクラウドを構築し、Google のオープンで柔軟性のあるインテリジェントなプラットフォームを活用できる自信が得られます。Google Cloud のスマート アナリティクス ソリューションについて詳細をご確認ください。
こうした取り組みにお付き合いいただいている皆様に、Google を代表して感謝申し上げます。どうぞ良いホリデー シーズンをお過ごしください。そして 2021 年も皆様とともにソリューションを構築していくことを楽しみにしております。
Gartner、Magic Quadrant for Cloud Database Management Systems、2020 年 11 月 23 日、Donald Feinberg 氏、Adam Ronthal 氏、Merv Adrian 氏、Henry Cook 氏、Rick Greenwald 氏
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-プロダクト マーケティング、データおよびビジネス アプリケーション プラットフォーム担当ディレクター Dain Hansen