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データ分析

Wayfair、Google Cloud を活用してサプライヤーと顧客の満足度を引き上げる

2020年12月7日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 11 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Wayfair はデータを利用して自社のビジネス プロセスを発展させるとともに、サプライヤーの業務効率向上を支援しています。そのすべては、優れたカスタマー エクスペリエンスの実現という最終目標に根差したものです。世界最大級のオンライン インテリア小売業という規模の大きさを活かして、データの活用によって顧客満足度を高め、数千社にのぼるサプライヤーのチャンスと課題の発見を後押ししています。私たちはショップの拡張において Google Cloud での環境整備に取り組み、購入者のエクスペリエンスを支えるためのウェブサービスのスケーリングにも Google Cloud を役立ててきました。Wayfair が急成長を遂げる中で、このパートナーシップを通じて、顧客のウェブ トラフィック急増に対処するための柔軟性を高めるとともに、より多くの手法でショッピング エクスペリエンスの改善を果たせることになります。また、顧客、従業員、サプライヤーのエクスペリエンスを拡充すると同時に運用の拡大の支援も可能なことから、分析のニーズに関しても Google Cloud で対応できるという確かな手応えを得ることができました。

顧客とサプライヤーのエクスペリエンスを改善

Wayfair の品揃えは 1,800 万点を超え、そのサプライヤーは 12,000 社以上におよびます。このため、顧客が求めるとおりのアイテムを広範なサプライヤー エコシステム全体から見つけ出すまで顧客を支援するプロセスは、やりがいに満ちた挑戦となっています。このプロセスには、商品のデータをサプライヤーと共有しやすくすると同時に、オンラインのカタログと在庫を管理することから、配達ルートの最適化やビンパッキングといった側面も含めて、強力な物流網を構築することまでが含まれます。

Wayfair はサプライヤーと緊密に連携しているため、サプライヤーのビジネス拡大や、サプライヤーと顧客の双方がメリットを得られる商品とサービスの開発でサプライヤーを支援できます。互いがパートナーであるという視点に立てるため、サプライヤーにとっては、データを情報源とした最適化案を安定的に得られるという利点があります。たとえば、商品の説明文をさらに充実させるなど、マーケティング上の手直しを加えれば一定のカテゴリの需要に応えられる可能性があることを、Wayfair からサプライヤーに提案できます。また、一定のスタイルを好む傾向がある顧客を対象として、より個々の顧客の嗜好に沿った商品を提示することが可能になる商品タグをどのような形で導入すべきかについても、サプライヤーと連携して明確化することができます。Wayfair はサプライヤー パートナーと絶えず対話を重ね、「このカテゴリの需要が増大しているため、マーケティング上の施策にこのような手直しを加えれば、いっそう効果的に商品を提案できる」といった分析情報を共有しているほか、「ソファの品揃えを 1 万点とした場合、最終購入者の嗜好に沿ったおすすめ商品を提案するには、どうすべきか」といった課題に共同で取り組んでいます。このレベルの分析を大規模に提供するには、複数のシステムにまたがる膨大な量のデータを処理できるプラットフォームが欠かせないことは明らかです。

Google Cloud を選んだ理由

Google Cloud を選んだのは、スケーリングによって Wayfair のニーズに対応できることがわかっていたためです。Google Cloud のおかげで、最小限の運用オーバーヘッドでデータをプラットフォームに効果的に集約して、自社のデータ アナリストとデータ サイエンティストによるビジネス クリティカルな分析を実施できます。Google Cloud を導入したことで、アプリケーション データストア、データ移動、分析、データ サイエンスのツールをすべて 1 か所に集約できました。その結果、デベロッパーとアナリストがデータを保存、保護、拡充し、自社のチームによって対策を講じることのできる形で提示することが可能になりました。

Google Cloud は柔軟性に優れ、DataprocComposer といったプロダクトにはオープンソースのソリューションが組み込まれていることから、Google が力を注いでいるのは、独自仕様のテクノロジーを過剰に採用していないプラットフォームであるとの裏付けを得られました。つまり、それらのツールを Wayfair のチームが採用しやすい、また利用しやすい状況になったのです。複数のソースから Google Cloud へとデータを容易に移動できる点もチームには好評でした。さらに、Google Cloud はデータのアクセスモデルに一貫性があるため、Wayfair のデータ ガバナンスも改善されました。Cloud Identity and Access Management(Cloud IAM)による管理に標準化されたことで、しかるべき担当者が確実にデータにアクセスできるようになり、セキュリティは常に保たれています。

Google Cloud のフルマネージド プラットフォームは明確に定義されたサービスであり、ポートフォリオに含まれているサービスを採用し、利用することが容易となっています。たとえば、Cloud DLP API を BigQueryPub/Sub をはじめとする他の Google Cloud ツールと組み合わせると、データのセキュリティを確保するための統合アプリケーションを構築できます。BigQuery Storage API とマネージド メタストアのサービスを利用すれば、オープンソースの製品を Google のデータ プラットフォーム サービスと円滑に統合できるようになります。

データスタックのモダナイゼーションを果たした方法

Wayfair は、分析情報を得るためのストリーミング データとバッチデータを迅速に利用できるようにする方策を必要としていました。以前の環境で維持していたデータ ウェアハウス システムは、スケールしようとするとデータのコピーが複数必要であり、複雑なデータ同期ルーチンが不可欠でした。結果として、チームのリードタイムが長くなっていました。

今では、Pub/Sub と Dataflow からのイベントデータをデータ パイプラインとして取り込み、リアルタイムで分析情報を得られます。また、Dataproc、Cloud Storage、BigQuery ストレージでデータを集約してデータサイロを解消し、行動につながる分析情報を生成しています。BigQuery によってコンピューティング環境とストレージが分離されるため、運用のアジリティを引き上げることができます。構造化データが BigQuery で処理するのに対して、非構造化データは Dataproc で処理します。Wayfair の Dataproc インスタンスは、BigQuery と Cloud Storage ベースのテーブルからデータを読み取る Hive、Presto、Spark のジョブの自動スケーリングを目的とした単一のマネージド クラスタとして利用しています。データは Looker で可視化して、概要を把握できる整理されたダッシュボードを開発します。このダッシュボードでは、特定のビジネス指標の改善につながる診断情報を掘り下げることができます。また、運用レポートの生成にデータポータルも利用していて、BigQuery で簡単に起動します。

運用中の SQL ストアから得られるデータを BigQuery でアプリケーションとして分析することで、在庫と需要の予測を改善して、サプライヤーの意思決定の質的向上と収益の増大、さらに迅速化を支援できました。BigQuery の定額料金オプションを利用することでは、ビジネスで生じる費用の予測可能性も確保できています。

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クラウド データ プラットフォームから得られた成果を活用

Wayfair は、データの持つ価値を常に信じ、自社が拡大を続ける中で量、速度、アジリティを維持することの重要性を認識しています。Google Cloud のインフラストラクチャは強力かつアクセスが容易なため、データ担当チームの時間と労力を、データの移動と管理ではなく、次に取り組むべきイノベーションに再分配することが可能となっています。

BigQuery と Dataproc を利用すると、パフォーマンスに優れ、メンテナンスの頻度が低い大規模なデータアクセス環境が実現します。Google Cloud の分析サービスでは、Google 内部のテクノロジーと、オープンソースの標準およびテクノロジーを効果的に融合したプラットフォーム上で、記述的分析から規範的アラートや機械学習に至るまで、内外のユーザーのあらゆる要件に応えることができます。

また Wayfair は、これらのツールで得られるスケーラビリティと処理能力を存分に活用できることに加え、パフォーマンスも高く評価しています。本番環境では、実行時間が 1 分を超える分析クエリの削減率が 90% を上回ります。規模と処理速度の両面が強化されることから、急速に採用が進んでいます。

移行から 1 年足らずの間に、目に見える形でメリットが表れました。クラウドツールを利用しているユーザーによれば、プラットフォームのサービスを利用したことで、既存の代替環境と比較して NPS が 30% 上昇し、サポートの費用も大幅に削減されています。Google Cloud の採用によって、ビジネス遂行の能力が増強されると同時に必要な労力は削減され、ユーザーの満足度も高まっています。

Google Cloud を利用した取り組みを今後も継続し、顧客とサプライヤーのエクスペリエンス全般をさらに向上していきたいと考えています。

Wayfair の詳細を見る

Wayfair のエンジニアリング部門で起きた興味深い変化の全容について、Wayfair のブログでぜひお確かめください。確かなスキルを備えた Wayfair のグローバル チームとともに、このような挑戦に取り組みたいとお考えの場合は、エンジニアリングおよび機械学習に関する人材採用ページをご覧ください。

-Wayfair 分析インフラストラクチャ担当アソシエイト ディレクター Ethan Dickinson

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